筆者はかつてシンガポールに住んでいました。
初めての海外生活でかつ初めてのシンガポール。右も左も分からないなかで情報をかき集めながら住む場所を探すのは、大変でもあり、また面白くもありました。
以前の記事ではシンガポールの住みやすさについて触れましたが、今回はシンガポールに住んでみて分かった家探しの際のチェックポイントや、実際に住んでいたエリアの感想、もしもう一度シンガポールに住むことになったら住んでみたいエリアなどをご紹介します。
筆者自身の居住エリアのほか他の駐在員も多く住んでいたエリアを中心に取り上げます。
実際の住み心地だけでなく周辺の環境についても触れるので、シンガポールに居住予定の方はもちろん、旅行でシンガポールを訪れる方についても、ホテル探しの参考になると思います。
筆者の独断と偏見に基づくマップも付けるので(ある程度)参考にどうぞ。
タンジョンパガー Tanjong Pagar
まずは筆者が住んでいたタンジョンパガーエリアからご紹介します(ちょっとした思い出語りが入ります)。
シンガポールに来てからいくつかの物件を内覧し、最終的に住むことに決めたのはMRTタンジョンパガー駅近くにあるコンドミニアムでした。
選定の決め手になったのは以下の項目!
窓が大きくて眺めが素敵でした。
逆に住んでみて初めて分かった不便な点も(筆者が住んでいたのは駅の北方面です)。
スーパーマーケットが遠いのは常夏のシンガポールではかなりマイナス。アイスクリームも買って帰れません。
ショッピングモールの近くを選んでいれば…と何回後悔したか分かりません。
また同じエリア内でも東西南北どちら寄りに住むかによってMRTの最寄り駅が異なり、南はタンジョンパガー駅に近かったり、北はテロックアヤー駅に近かったり、東はシェントンウェイ駅に近かったり…と色々。複数の路線が使えるため便利ともいえますが、どれも1路線しか乗り入れていないため乗換の観点からは不便ともいえ、ちょっと中途半端な印象です。
でも総合してここに住んで良かったなというのが正直な感想です。
このエリアでは本当に色々な思い出ができました。
- アモイ・ストリート・フードセンター(アモイ・フードコート)(ホーカーセンター):在宅勤務の際はほぼ毎日お世話になっていたホーカーセンター。2階建てでかなりの店舗数があるのですが、2年間通い詰めたので好みのお店はほぼ網羅したと思います。ブラックペッパーライスがまた食べたい!
- インターナショナル・プラザ(ショッピングモール):ちょっと年季の入ったショッピングモール。シンガポール発のブラザーズラーメンや24時間営業のカフェThe Coffee Bean & Tea Leafなどのお店にかなりの頻度で通っていました。筆者が行っていたジムもこのビルにあります。
- グオコタワー(ショッピングモール):地下~地上1階にかけて各種商店やレストランが入居しているビル。こちらのサラダレストランThe Daily Cutはジム通い後の健康的な食事にぴったりでした。水煮魚のお店も好きでした。
- 100AM(ショッピングモール):フェアプライス(スーパーマーケット)からドンドンドンキ、ダイソー、モスバーガーのような日系のお店まで幅広くラインナップするショッピングモール。このエリアでの日本人の生活はこのモールがないと成り立たないのでは?と思うくらいお店が充実していました。
- ティアン・ホッケン寺院(宗教施設):住んでいたコンドミニアムに程近い中国寺院で、非常にゴージャスな外観とお香の香りがいつ通っても素敵でした。旧正月あたりになると装飾が加わってさらに美しくなります。
住めば都!思い出は美化されるものなのです。
ここからはエリアごとの特色をまとめます。
オーチャード Orchard
まずはシンガポールの銀座と言われるオーチャードとその目抜き通りであるオーチャードロード沿い。複数の駅にまたがって商業圏が続いているので、ここではMRTオーチャード駅からドビーゴート駅あたりまでをエリアをオーチャードエリアと呼ぶことにします。
この記事では、MRTの駅だとオーチャードOrchard駅、サマセットSomerset駅、ドビーゴートDhoby Ghaut駅の一帯を指します。
早速メリットから考えてみます。
オシャレなショッピングモールが立ち並びMRTも複数路線使えるので、まさに一等地!といった立地。なかでもドビーゴート駅は3路線乗り入れなので抜群の利便性を誇ります。
公共交通機関の便利さ以外には、日本人にとっては日本のラーメンが気軽に味わえるお店や日系のお店が多い点が非常に助かりますし、日本語が通じる医療機関があるのも心強いです。サマセット方面に近くなると24時間営業のドンドンドンキもあるのでさらに利便性が増します。
深夜でもカフェでお茶したり行動したい筆者にとっては天国のような場所!
パラゴンショッピングセンターの浅野屋(現在は閉業)がお気に入りでした。
ただ非常に利便性が高い反面、住むことを考えるとその利便性が却ってデメリットになる場合も考えられます。
デメリットとして分かりやすいのは賃料の高さ(予算を考慮するとかなり厳しそう…)や騒音ですが、意外と盲点だと思うのが治安が微妙な場所がある点。
例えばオーチャード・タワーズには売春目的の女性が多くおり昼間でも薄暗かったりしますし、日本人御用達のラーメン店の入居しているカッページプラザにもいかがわしいお店が入っています。
またおしゃれな飲み屋街があまりないので、雰囲気の良いバーやパブなどを日常的に楽しみたい人にとっては少々微妙かもしれません。
さらにリトルフィリピンと呼ばれるラッキープラザの周辺には週末になるとフィリピン人のメイドさんたちが大集合します。治安的な問題はないのですが、慣れるまでは居心地の悪さを感じる人もいるかも。
週末になると「ここって本当にシンガポール?」と思うような光景が広がります。
- 紀伊國屋書店(書店):高島屋に入居している日系の書店。おそらくシンガポールで一番大きな書店で、英語の本から中国語や日本語の本まで非常に品ぞろえが豊富。おしゃれな文房具や雑貨も取り扱っています。何時間でも居られそう。
- 三宝亭(ラーメン店):新潟発のラーメン屋さん。ちょっとお高いですが、とても良いことがあったときはもちろん、とても嫌なときがあったときに行っていました。ラーメンも美味しいですが、ここの唐揚げも大好きでした(筆者はみぞれ派です)。
- ホノルル・カフェ(香港レストラン):エッグタルトや香港ミルクティーを楽しみたいなら迷わずココ。ドリアのようなスタイルのご飯メニューも大好きでした。
- ウィーロック・プレイス(ショッピングモール):他のショッピングモールとは一線を画すラインナップが素敵。イギリスの小売店M&Sの大型店舗の他、おしゃれな中国書店(カフェ併設)もあります。
- アイオン・オーチャード(ショッピングモール):このエリアのシンボル的存在。高級ブランド揃い踏みで目の保養になります。地下のフードコートのおすすめ!
ブギス Bugis
続いては若者に人気の街ブギス界隈。
スーパーマーケットも入居する大型ショッピングモールがあり生活に便利な他、アラブストリートやリトルインディアからも程近いので観光の拠点としても優秀です。ちょっと東に行けばリトルタイランドと呼ばれるゴールデンマイルコンプレックスも。
オーチャードと同じく日本人クリニックがある点もポイント高し。
筆者がブギス地区の物件を内覧した際にエージェントが言っていたデメリットと自分が考えるデメリットを総合すると以下のとおりになります。
デメリットとして真っ先に挙がるのはやっぱり賃料の高さ。それ以外に(人によっては)デメリットになり得るのが、サルタンモスクのアザーン。静かな環境が好きな人にとっては厳しいかもしれません。
窓を閉め切っていてもある程度は聞こえるのだとか。
あとは基本的に大型商業施が多いエリアなので、食堂はそこそこあるもののいわゆるホーカーセンターはあまり多くありません(コーヒーショップなら割とあります)。
- ブギス・ジャンクション&ブギス・プラス(ショッピングモール):ヴィクトリアストリートを挟んで向かい合う巨大ショッピングモール。飲食の価格帯もちゃんとしたレストランからフードコートまで非常に豊富なため、筆者は食事に困ったらとりあえずここに行っていました。
- リアンシア・ストリート(エリア名):火鍋店や中華デザート店といった中華系のお店が軒を連ねる通り。名店と名高い中華デザート店Ah Chew Dessertsはこちらにあり、常に行列ができています。
- ゴールデン・ランドマーク・ショッピングセンター(ショッピングモール):インド系やマレー系&イスラム教系の雑貨や雑多なお店が集まるショッピングモール。観光客はほぼいないディープな感じが面白いショッピングモールです。
- 観音堂(宗教施設):シンガポール有数の中国寺院。こちらのおみくじは非常に当たると評判で、近所にはおみくじの内容を解説してくれるお店もあります。良い結果も悪い結果もよく当たるらしいので、引く場合はちょっとした覚悟が必要。
- 国立図書館:膨大な蔵書を誇るシンガポール国立の図書館。利用者登録をしなくても無料で使えるので、本を読みながらちょっと涼むにはもってこい。
- マレー・ヘリテージ・センター:シンガポールに元々住んでいたマレー系の人々の歴史を知ることができる博物館。地元の伝承などシンガポールの地名の由来が分かる展示もあり興味深かったです。派手さはありませんが西洋と南国風がミックスした建築も素敵。
チョンバル Tiong Bahru
お次はおしゃれなお店とローカルな住宅街のミックスが面白いチョンバルエリア。
MRTチョンバル駅がありコンドミニアムが結構あるので駐在員にも人気ですが、周辺はとにかく団地!といった割と単調な雰囲気でお店も控えめ。公園も多いので家族連れにもGOOD。
このあたりのコンドミニアムは海やCBDの夜景が見える物件もあるので眺望が欲しい人にはハマるかも。
落ち着いた住環境を好む人にはおすすめですが、反面夜遊びや食べ歩きが好きな人には微妙かも。
また大型ショッピングモールは駅の近くに一つだけ&おしゃれなお店が立ち並ぶエリアも駅からちょっと距離があるので、そこまで便利かと言えば普通と言ったところ。観光客に人気のチョンバルマーケットもMRT駅からだと少し歩きます。
家賃相場もCBDほどではありませんが高めの印象。
このエリアには駐在開始直後には通っていたのですが、少しずつ足が遠のきました。
- チョンバル・ベーカリー(パン屋):シンガポールの元祖オシャレパン屋。クロワッサンやクイニーアマンが絶品で、西洋人に大人気。
- チョンバル・マーケット(市場):地元民はもちろん観光客にも人気のホーカーセンター&ウェットマーケット。ローミーの名店がある。
マリーナエリア Marina area
続いては駐在員に大人気のマリーナエリア。
マリーナ湾に面しており、シンガポールのシンボルであるマリーナベイサンズを間近に見ることのできる眺望がポイント!一度は住んでみたい、という人も多いです。住居の立地にもよりますが、重要な行事(ナショナルデーやニューイヤー)が特等席で見られるのも人気のポイント。
マーライオン公園へも歩いて行けます。
シンガポール来たぞー!って感じがします。
ビジネス街や金融街に程近いので、ラッフルズプレイス方面のCBDや金融街(MBFC)あたりに勤務している人であれば、職住近接の利便性の高いエリア。
周囲はおしゃれな飲食店や高級ブランド店が軒を連ねるエリアなので、そういった物が好きな人にとってはパラダイスである一方で、安価なスーパーマーケットが皆無だったり、基本的にビジネス街なので土日はほとんどの商店が営業していません。家賃はもちろんかなりお高め。
エリア内にはオフィスビルの合間を縫うようにコンドミニアムやホテルが林立しており、交通の便としては地下鉄の駅も多くあるので最高です!
また地下街も非常に発達しており、商店もたくさん。特にダウンタウン駅とラッフルズプレイス駅は地下街で繋がっているので、暑さやスコールを避けて移動することができます。
さらにトムソンイーストコーストラインがダウンタウンラインと接続するSungei Bedok駅まで延伸すれば、チャンギ国際空港への移動手段がひとつ増えることになり、さらに利便性が向上します。
このエリアは自宅から近かったのでよく散歩に行きましたし、金融街があるので銀行口座の開設の際もお世話になりました。正直それ以外ではあんまり思い入れはないかも…。
またマリーナ湾沿いの遊歩道はジョギングやサイクリングをする人の定番ルートになっており、筆者もサイクリングをする際は頻繁にこのエリアを通過していました。
- アーケード・フィッシュスープ(飲食店):筆者がシンガポールで一番美味しいと思っているフィッシュスープ屋さん。好きすぎて紹介記事も書いてしまいました。
他にもまだ気になるエリアがあるので、今後も加筆していく予定です。
もしもう一度住むなら、この条件は外せない!
続いては筆者の体験談に基づくこれだけは外せない!と思う条件をご紹介します。
予算の関係で全ては無理…というのは一旦置いておいて、理想を語ります!
ローカルのエージェントが仲介している
日本人エージェントは日本語が通じて安心ですが、駐在員の案件を一手に引き受けているため基本的にかなり多忙でサポートが後手に回りやすいというデメリットがあります。
エージェントが日本人であることと日本並みのサービスが受けられることは別物と考えましょう。
また言語面や制度理解などの面でどうしてもローカルと同じとはいかない面もあり、交渉事でローカルに競り負ける可能性も考慮しておく必要があるでしょう。
英語が話せるのであればローカル(シンガポール人)のエージェントに頼った方が色々な面で安心です。
極端に古くも新しくもないこと
シンガポールは高温多湿のため建物が劣化しやすい環境のため、日本以上に建築年数を気にする必要があります。見た目が綺麗でも内部の設備が劣化している可能性もゼロではないので、そのあたりは築年数で判断するしかありません。
また逆に築浅もいわゆる初期不良が多く、設備の安定性の観点から避けた方が無難。
結論として築10年程度の物件が良いと言われています。
全ての設備が思うかたちで利用できること
筆者の住んでいたコンドミニアムにはシンガポールには珍しくバスタブがあり、日本みたいに風呂に入れそう…と期待していたら、契約後にバスタブに溜められるだけのお湯がないということが判明。
水なら十分な量が利用可能ではあるのですが、結局バスタブは身体を洗う場所だけに使うことになりました。
見た目の設備以外に、この設備は本当に自分の考える用途に使えるのか?ということを確認することが必要です。
浴槽があるのに十分なお湯がない!ということは日本だとなかなか起きないですよね…盲点でした。
スーパーマーケットまで歩いて5分以内
暑さのせいで外を歩くだけで体力が削られるシンガポール。普段使いするスーパーマーケットのような施設はとにかく近いほうが良いです。
外出はちょっとした買い物であっても苦行になりがち(特に昼間)。理想はドアツードアで5分以内!
シンガポールの気候に慣れていない場合、10分以上歩かないとスーパーマーケットにたどり着けないような場所は割と真剣におすすめしません。
持ち歩き時間が長くなると冷凍食品やアイスクリームが溶けてしまうので、その意味でも近い方が良いです。
ダストシュートが部屋の中にあること
これは人によって好みがあるようなのですが、個人的にはダストシュートは部屋の中にあるほうが好みです。ゴミ捨ての手間がなくなるのはもとより、ゴミを捨てるときに誰かと顔を合わせなくて済むのも大きい。
なお低層階の場合、虫がダストシュートを伝って部屋に侵入することがあったり、またペストコントロール(法律で義務付けられている害虫駆除作業)の際に薬品の影響を受けることがあるようです。
なので、もし低層階に住むならダストシュートは外にあるほうが良いかもしれません。
ある程度の高層階
高層階であれば眺めが良いですし、部屋の中を誰かに覗かれることもありません。色々と気が楽です。
日本の場合は地震があるので高層階だといざというときに困ることがありそうですが、シンガポールなら問題なし。
まとめ。もう一度住んでみたいシンガポール
この記事では、もう一度シンガポールに住むなら、という前提でいくつかのエリアと条件をピックアップしてみました。
他にも検討したいエリアがあるので、将来的に少しずつ追加していく予定です(駐在員向けに限らず色々と!)。
今考えているのはこのあたり。
- リバーバレー→日本人駐在員が多く、シンガポールリバーに近くて住みやすそう。
- ノベナ~ニュートン→駐在員に密かな人気。程よい都会度で利便性高し。
- トア・パヨ→何でも揃う地元民向けコンパクトシティー。
- バレスティアロード沿い→建築が楽しい名店揃いの通り。
- パヤ・レバー~ベドック→マレー系色濃いコスパ最強の街。
あくまで理想なので実現できるかどうかは別問題ですが、将来の目標として置いておきます。
以上です。
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