海外大学院への進学等で必要となるIELTSスコア。IELTSを構成する4技能のうち、一番ハイスコアを取ることが難しいと言われるのがこのライティングセクションです。特にアカデミック・モジュール(本記事ではアカデミックライティングと表現)では、タスク1で図表の読み取りが科されることもあり、英語力とともに資料を読み解く訓練が必要です。
決まった答えがないため自力での対策が難しく、アウトプットの練習量が不足しがちな日本人受験者にとっては鬼門の試験。
実際、筆者も大学院留学用に対策を始めたときに一番スコアメイクに苦労したのがこのセクションでした。
そのように対策の難しいライティングですが、採点基準を把握して設問に正面から解答することができれば一定以上のスコアを安定して取得することは十分に可能です。
この記事では、IELTSアカデミックライティングの概要とハイスコアを取得するためのポイントを7つご紹介します。
なおIELTSの概要についてはこちらの記事をご覧ください。
アカデミックライティングの難易度と試験形式
まずアカデミックライティングの概要について見ていきます。
ライティングセクションは最難関
IELTSの公式サイトに2022年のセクションごとのスコア平均が掲載されていましたので、引用してご紹介します。表は「性別別全世界平均」と「日本人平均」の比較です。
受験生の属性 | リスニング | リーディング | ライティング | スピーキング | オーバーオール |
---|---|---|---|---|---|
女性(全世界) | 6.51 | 6.26 | 5.95 | 6.17 | 6.28 |
男性(全世界) | 6.52 | 6.20 | 5.86 | 6.06 | 6.22 |
日本人平均 | 6.00 | 6.10 | 5.70 | 5.50 | 5.90 |
上の表をみると、ライティングセクションのスコアは他のセクションと比較すると低い傾向にあることが分かります。つまり、ライティングセクションは、苦手としている受験者が多く、難易度が高いといえるでしょう。
IELTSアカデミックライティングの試験形式
IELTSアカデミックライティングは2つのタスクから構成され、それぞれのタスクについて評価基準に基づいて採点されます。
タスク | 出題内容 | 試験時間 |
---|---|---|
タスク1 | 図表やグラフ等について、特筆すべき傾向や特徴を150単語以上でまとめる | (20分) |
タスク2 | 見解や現象等について、受験生の考えを250単語以上で述べる | (40分) |
合計60分 |
タスク2つにつき60分ですので、時間配分は受験生が自由に決められます。
ハイスコアを獲得するために押さえるべきポイント7選
ライティングセクションの採点基準を把握する
確実にハイスコアを獲得するためには、ライティングセクションがどういった基準で採点されるかを正確に把握することが欠かせません。
この点について、IELTS公式サイトでは以下の4点が挙げられています。
- 課題の達成度(タスク1)及び課題への回答(タスク2)(25%)
- 一貫性とまとまり(25%)
- 語彙力(25%)
- 文法知識と正確さ(25%)
タスク1とタスク2のそれぞれにおいてこれらの基準が適用されるので、詳細はタスク別対策のページをご覧ください。
タスク1に20分、タスク2に40分かける
IELTSアカデミックライティングでは、2つのタスクに対し60分の時間が与えられ、タスク1には20分程度、タスク2には40分程度かけるよう案内されます。
必ずしもこの時間配分で解く必要はありませんが、配点(タスク1よりもタスク2のほうが多い)を考えると、少なくともタスク2のほうに多めに時間を割くのが賢明です。
筆者のおすすめは案内通りにタスク1に20分、タスク2に40分かけることです。
なお筆者が7.0を取ったときは、いずれもタスク2から先に回答していました。このあたりは受験テクニック的なものですので、ご自身に合ったやり方を是非見つけてください。
イントロダクションは必須、コンクルージョンはタスク2のみ必須
英語エッセイは通常、イントロダクション(導入)とコンクルージョン(結論)が必須です。
IELTSアカデミックライティングの場合、タスク1(資料解釈)ではイントロダクションのみ必須ですが、タスク2(エッセイ)ではイントロダクションとコンクルージョンの両方が必須です。
特にタスク2は配点が大きいので、どんなに時間がなくてもとにかくイントロダクションとコンクルージョンだけは書いて体裁を整えましょう。
文法・語法のミスは最小限に!
文法・語法は英語力の基礎を成すものであり、4つの採点基準のうち「語彙力」と「文法知識と正確さ」に関連する要素です。文法・語法のミスが少ないことはそれ自体で加点になるわけではありませんが、間違いが多いと減点要素になります。
注意すべき主なポイントは以下のとおり。
- 冠詞(a/the/なし)の用法は適切か?
- 三単現のsは正しく使えているか?
- スペルミスはないか?
書き終えたらミスが無いか必ず確認しましょう。
言い換えとハイレベルな語彙を意識的に使う
多彩な文法構造やハイレベルな語彙を上手く使用できると、「語彙力」と「文法知識と正確さ」の基準で加点が期待できます。7.0以上のスコアを目指す場合は必須です。
特に出題内容を引用するときや既に述べた内容について再度説明するときは、別の表現で言い換えることで語彙力や文法知識の豊富さをアピールしましょう。
筆者の肌感覚としては、同じ単語や表現を同一パラグラフ内で使っていいのは2回まで。
また使用方法を誤ると減点になってしまうので、難しい単語や表現は自信がある場合にのみ使用するようにしましょう。
必ず最低単語数以上書く。ただし書きすぎない!
2つのタスクでは最低単語数がそれぞれ指定されており、タスク1は150 words以上、タスク2は250 words以上書く必要があります。
最低単語数を下回ると減点になる(「課題の達成度・課題への回答」の基準に影響)ため必ず一定以上の文章量が必要です。ただし、書きすぎも問題です。ミスが増える原因になりますし、試験時間をそれだけ浪費することになります。
アカデミックライティングでハイスコアを取るためには、必要最小限の分量でしっかりと評価基準を満たすエッセイを書く能力が求められています。
内容が面白い必要はない
IELTSアカデミックライティングはあくまで試験ですので、採点者のウケを狙う必要はありません。
エッセイ内容の面白さや斬新さは評価に全く関係しませんので、設問に過不足なく答えることが何より重要です。
ちょっとシンプルすぎるくらいの文章がちょうど良いです。
まとめ
IELTSアカデミックライティングは対策が難しい試験ですが、試験である以上は傾向と対策があります。
本記事で紹介したポイントは以下のとおりです。
- ライティングセクションの採点基準を把握する
- タスク1に20分、タスク2に40分の時間配分を厳守する
- 両タスクでイントロダクションは必須。タスク2ではコンクルージョンを必ず書く
- 見直しで文法・語法のミスを最小限にする
- 言い換えとハイレベルな語彙を意識的に使う
- 必ず最低単語数以上書く。ただし書きすぎないように注意
- 内容の面白さはスコアに関係しない
今回ご紹介した点に留意すれば少なくても大幅な失点を防ぐことが可能ですので、そのうえでタスク別対策を進めてハイスコアを狙いましょう。
以上です。
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