スイス・ジュネーブ留学中のMattです。
留学と一口に言っても色々と種類がありますが、大学院留学はそのうちでもかなりタフな部類に入ると思います。主な理由としては大体以下のような感じ。
- 外国語で授業を受けたり課題をこなしたりするのがシンプルにキツイ
- 課題が多い&評価が厳しい
- ディスカッションなど日本よりもアウトプットを求められる場面が非常に多い
- 食事や生活スタイルが合わない
- 留学先の人間関係が厳しい(ノリが合わない、会話に付いていけない)
- 他の学生と成績を比較して落ち込む
- お金の問題(物価が高い、円安)
この記事では筆者の体験を基に、主に学業関係のプレッシャーに押しつぶされないためのスケジュール管理やメンタル管理などをご紹介します。
かなり基本的なことも含まれると思いますが、いざ自分の番になると抜け落ちてしまう観点も意外とあるので、この機会にぜひ再確認をしてみてください。
学業の成功は綿密なスケジューリングがキモ!
授業のコマ数や内容は時間の使い方や成果に直結します。大学院の授業は(科目によるものの)2時間弱はあるので、一コマ受けるだけでもかなり体力と精神力を使います。
詰め込み過ぎて消化不良になったり、逆に少なすぎて最低要件を満たさないということが起こらないように、手くスケジュールを組みましょう!
いちセメスターあたりの標準的な受講科目数や取得単位の目安は大学院からの書類に書いてあるので参考にしましょう!
まずはシラバスの各項目をしっかり確認!
必修の科目は既に曜日や時間帯が決められているので、それ以外の曜日や時間帯に選択クラスを受講することになります。
受講するクラスを決めるのに一番重要なのがシラバス。シラバスには担当教授、授業の内容や進め方、想定する受講者の条件など、受講の決め手になる情報が記載されています。
スケジューリングという観点で注目すべきポイントは以下のとおりです。
- 曜日&時間帯→早い時間帯だったり遅い時間帯だったりすると生活スタイルに影響が出るかも。レギュラーのクラス以外に出席すべき授業がある場合は、他の授業と被る可能性や参加できない場合の救済策についても要確認。
- 課題&評価基準→想定されるリーディング量、ペーパーやプレゼンなどの課題の内容&重さは?各課題が最終成績に占める配点はどのくらい(出席点の割合もあわせてチェック)?記載されている評価基準は明瞭か?
- 試験の形態→試験には通常授業中に教室で実施するパターンと持ち帰りのパターンがあります。また単独で行う場合とグループで行う場合があるので、そちらも自分の好みと照らしてチェック。
また要卒単位の算出方法にも注意。必修科目や在籍している学科の単位以外に他学科設置クラスの単位も一定数必要になる場合があります。
オフの日を作ると気持ちに余裕ができる。連続受講を避けるのも手。
大学院留学の場合、受講が必要な科目はセメスターあたり4科目から5科目程度。そのため科目でキツキツになるということは基本的にありませんが、それ以外の時間にはリーディングをこなしたり課題に取り組んだりすることになります。
個人的におすすめなのは、週に数日一日に2科目程度受講する日を設けて、それ以外の日には授業を入れない日を作ることです。
オフの日を作ることで学校への行き帰りの時間を節約することができるので、課題に集中できますし、旅行したり遊んだりして完全にリフレッシュすることができます。
また冒頭で言及した通り、授業を連続して受講するとかなり疲れます。1コマ~2コマ程度間を空けるとようにすると、合間に予習復習が出来たり、休憩して気力を回復させてから授業に臨むことができます。
筆者の場合はこんな感じでスケジュールを組んでいました。
時間帯 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
---|---|---|---|---|---|
10:15-12:00 | 授業(選択) | 授業(選択) | オフの日 | オフの日 | |
12:15-14:00 | |||||
14:15-16:00 | 授業(選択) | ||||
16:15-18:00 | 授業(必修) | 授業(必修) |
特にまだ慣れていないときは気力と体力を消耗するので、連続するコマには授業を入れないようにして途中で休憩を入れていました。この作戦はリーディングが終わっていないときにも有効でした。
木曜日・金曜日には授業を入れていないので、この日に集中的に課題をこなしていました。ちょっと余裕があるときは旅行したりもしました。
履修登録期間には多めに取って判断材料を確保する
学校によってもルールが異なるとは思いますが、初回のクラスを受講した後で履修登録を取り消すことができるシステムが用意されていることがあります。
クラスの雰囲気や具体的な学習内容については、実際に授業を受けてみないと分からないことが多いからですね。
もしそのようなシステムがあったら、多少無理をしてでも多めに科目を登録して授業に出席してみるのをおすすめします。この場合は後から科目を追加するのは難しいですし、受講してみたら意外と面白かったというクラスに巡り合えるかもしれません。
ただし受講を継続しない科目については履修登録の取り消し手続きを忘れずに!
不明点は教授やアドバイザーに確認
もし分からない点があったら、絶対にそのままにしてはいけません!各科目の担当教授や学科(プログラム)の担当者に問い合わせをしましょう。
授業内容や組み合わせ方法については、アカデミックアドバイザーに相談してみるのも手です。
授業期間中のタイムマネジメント
授業の始まりはリーディングや課題に追われる日々の始まり。予習・復習を完璧にこなせれば理想的ですが、慣れない環境での生活と学業の両立は意外と大変。
頑張りすぎて心が折れてしまう…ということのないように、手を抜けるところは適度に手を抜きつつ留学生活をエンジョイしましょう!
授業ごとの特徴を見極めて、リーディングや課題に着手
先ほどシラバスのことに触れましたが、科目ごとの特徴をつかんでリーディングや課題に優先順位をつけて臨むと、全てのリーディングが終わらなくても支障なく授業が受けられたり、試験で良い点を取れたりします。
リーディングのこなし方を授業の特徴別に整理すると、以下のようなかたちになります。
授業の特徴 | リーディング重要度 | リーディングのこなし方 |
---|---|---|
ディスカッション中心の授業 出席点の配点が高い | 高 | 全部読む。必要に応じてノートに論点やポイントをまとめておく。 |
レクチャー中心の授業(リーディング引用度高め) 重要論点がまとめられたスライドなどの資料が手に入る場合 | 中 | 基本的に全部読むが、時間が無い場合は概要(Abstract)と結論(Conclusion)だけでも読んでおく。ただし試験で内容が問われる場合もあるので、後で本文もカバーしておく必要はある。 |
レクチャー中心の授業(リーディング引用度低め) 重要論点がまとめられたスライドなどの資料が手に入る場合 出席点の配点が低い | 低 | 基本的に全部読むが、時間が無い場合は概要(Abstract)と結論(Conclusion)だけでも読めれば御の字だが、状況によってはスキップ。ただし試験で内容が問われる場合もあるので、後でカバーしておく必要はある。 |
もちろん基本的には全てのリーディングをこなす必要があるのは大前提ですし、プレゼンの順番が当たっていたりすれば授業の特徴に関わらず丁寧なリーディングが必要になりますが、どうしても全てこなすのが厳しそうな場合はこの考え方が助けになると思います。
またリーディングや課題をこなす際はdeeplを始めとする各種ツールの助けを借りるのも非常に有用です!
可能であれば数回先のリーディングや課題まで把握しておく
1セメスター分の授業スケジュールやリーディングが公開されている場合、あらかじめ数回先のリーディング量まで把握しておくと数週間分の勉強の進め方の計画を立てることができます。
重めの課題が出されるタイミングだけでも把握しておくと、心の準備ができます。
期限の交渉も状況によってはあり
課題の期限は基本的に絶対に守るべきものですが、課題について詳細が発表されるのが遅かった、などの理由があれば交渉次第で期限の延長が認められる場合もあります。
また病気やアクシデントのような避けられない理由はもちろん、筆者は未確認ですが、提出課題の質を上げるためにもっと時間が必要!のような個人的な理由も状況によっては認められる場合もあるようです。
頑張ってもどうしても終わらない…という場合はダメ元で掛け合ってみても良いかも。
授業や課題が分からなかったら…迷わずSOS!
授業の内容が分からない場合はその場で確認するのが一番ですが、大勢の前で発言するのに慣れていない多くの日本人にとっては厳しいと思います。その場合は、授業終了後に直接聞きに行ったり、メールで質問をしましょう。大抵の場合教授はビジネスアワーに面会を受け付けているので、その時間帯に訪問するのもありです(予約が必要かどうかは国や学校によって異なります)。
これは課題も同様で、問題の内容に疑義があったり、何から手を付けていいか途方に暮れるようなときは、早めに教授に質問や相談をしましょう。答えはさすがに教えてもらえませんが、何かしらのヒントをもらえるはずです。
出題内容自体に問題があり、生徒の指摘で差し替えになるパターンがありました。どんな些細なことでも気になったら聞いてみましょう!
メンタル&体調管理
留学生活は思い通りにならないことも多いので、精神を病みがち。またずーっと勉強しているため、意識的に体を動かさないと体調に影響します。
他人とは絶対に比較しない
大学院はもとより、同じ人間はだれ一人としていません。学業成績は数値化されるのでどうしても比較の対象になりますし、友達が多い・少ない、仕事がある・ないなど様々な要素が気になるものです。
ときには無力感を覚えて落ち込んでしまったり、他人に嫉妬したりすることもあるかもしれません。個人的には前提が全く違う欧米人よりも自分と属性が近いアジア人にそのような感情を抱くことが多そうだなと感じました。特に日本人は他人を見て行動するよう教育されているので、つい比較してしまうのは仕方のないことなのかも。
どうしても比較してしまうときは、いっそ他人を見ないのがおすすめです。もし誰かと自分を比較して劣等感に苛まれてしまうようなら、その誰かと深く関わることでその人の知らなかった一面が見えて劣等感が和らぐかもしれません。
できない自分を責めない
外国語を使って難しい文章を読んだり、授業に出席したり、外国で友人を作ったりすることは、もともと非常に難しいこと。思い通りにできなくて当たり前です。
そして、できないことや知らないことを学ぶのが学校。学んだこともアウトプットはある程度求められますが、全て知っている前提ではありません(もしそうなら学校に通う必要はないですよね)。そしてアウトプットには評価基準はあっても絶対的な正解・不正解はありません。
もし期待していたようなパフォーマンスが出せなくても、少しでも自分が成長していることを感じられたら、日々挑戦している自分を褒めてあげましょう!
足りない部分はこれから補えばよいし、もし補えなかったとしても無事に学位が得られれば御の字です。「苦手分野に気づけてラッキー」くらいの気持ちで先に進みましょう!
睡眠時間はとにかく確保
肉体疲労の回復と精神の安定に欠かせないのが睡眠!どんなに忙しくても睡眠時間だけは確保しましょう。
課題が忙しいとついつい夜更かししてしまいますが、睡眠時間の短さは翌日のパフォーマンス低下につながるので、ある程度で切り上げて続きは朝早起きしてやる習慣を身につけると良いです!
運動習慣も確保
運動も大事!本格的な運動ができれば最高ですが、ちょっとウォーキングするだけでも違います。晴れた日は是非外を歩いてみましょう。日光を浴びるのはメンタルヘルスにも良いみたいです。
留学先を歩いて観光してみるのも良い気晴らしになります。筆者の場合はチョコレート店めぐりが気分転換になります。交通機関を使わずあえて歩くのがミソ。
自炊中心&ときどき外食
自炊をすれば食べ慣れた味を再現することも可能です。ヨーロッパの場合アジア料理は外食だと非常に高くつきますが、食材や調味料を買って自分で作れば節約にもメンタル安定にもつながって一石二鳥です。
地元のスーパーマーケットについて詳しくなったり、アジア食材店を見つけておくと捗ります。
またマクドナルドでも良いのでたまに外食すると気分転換になります。
日本人ともつながろう!
母国語で相談できる相手を作っておくのはいざというときに非常に重要!英語では伝えきれない感情を吐き出すことでスッキリできますし、協力して困りごとを乗り越えることもできます。
まとめ
本記事では厳しい大学院留学生活を乗り切るためのタイムマネジメント&メンタル管理のヒントをご紹介しました。慣れない環境で高いパフォーマンスを挙げるには、事前の戦略がカギになります。
本記事が少しでも参考になりましたら幸いです。
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