オマーンはアラビア半島の東に位置する美しい国です。
この地から出航したと言われるシンドバッドは有名ですが、オマーンについては見聞きすることはあまりないのではないでしょうか。
そのようにまだまだ日本では知名度の低いオマーンですが、イメージ通りの砂漠から緑あふれる山々まで自然が非常に豊かであるとともに、興味深い歴史遺産も豊富にあり、訪れた人を虜にするような魅力がたくさん詰まった国なんです!
親日で非常にフレンドリーな人々との交流もオマーンの魅力のひとつ。
今回は、そんなオマーンの概要と魅力についてご紹介します。
オマーンってどんな国?
国土と気候
オマーンはアラビア半島の東に位置し、広大な砂漠、山脈、美しい海岸線から成る多様な地形を持つ国。UAE(アラブ首長国連邦)、サウジアラビア、イエメンと国境を接しており、他の湾岸諸国との行き来も陸路や航空便で簡単にできます。
湾岸協力理事会(GCC)の加盟国であり、オマーン国民はパスポートなしで加盟国間の移動ができます。
地形の多様性に応じて、気候もバラエティーに富んでいます。
オマーン湾岸
まずは首都マスカットを含むオマーン湾岸。夏季は非常に高温多湿で平均気温が40度に達することもある一方、冬季(11月から3月)は25度ほどになり、過ごしやすい気候になります。
- マトラ・スーク
- スルタン・カブース・グランド・モスク
- オマーン国立博物館
- オマーン国軍博物館
- ワディ・シャーブ
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平均気温 | 21 | 22 | 26 | 30 | 34 | 35 | 35 | 32 | 32 | 30 | 26 | 23 |
平均最高 | 25 | 26 | 30 | 35 | 39 | 40 | 38 | 35 | 36 | 35 | 31 | 27 |
平均最低 | 17 | 18 | 21 | 25 | 29 | 30 | 31 | 28 | 28 | 25 | 21 | 19 |
降水量 | 10 | 30 | 10 | 20 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 |
マスカットの観光スポットに関する記事はこちら!
ひたすら暑いオフシーズンの夏場のマスカットを旅行する際のヒントはこちら。
内陸部
古都ニズワを含む内陸部は、マスカットと同様に夏季は気温が40度に達することもある厳しい気候です。ただし標高が高い場所では冬に雪が降ることもあります。ベストシーズンもマスカットと同じ冬季。
- ニズワ・フォート
- ニズワの金曜日朝市
- ニズワ旧市街
- ジャブリン城
- バハラ・フォート
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平均気温 | 19 | 22 | 25 | 30 | 34 | 36 | 35 | 34 | 32 | 30 | 25 | 21 |
平均最高 | 25 | 28 | 32 | 36 | 40 | 42 | 41 | 40 | 38 | 35 | 30 | 27 |
平均最低 | 13 | 15 | 18 | 23 | 26 | 28 | 28 | 28 | 26 | 23 | 19 | 15 |
降水量 | 8 | 10 | 20 | 12 | 5 | 7 | 16 | 15 | 2 | 6 | 12 | 6 |
ニズワの観光スポットはこちらの記事で。
アラビア海湾岸
一方で南部の中心都市サラーラを含むアラビア海湾岸は、オマーン湾岸と比較すると気温が低め。緑豊かな自然を楽しむことができるモンスーンの時期(7月~9月)は雨季に入り、当地はベストシーズンを迎えます。
- 乳香博物館
- アル・バリード考古学公園
- ワディ・ダルバート
- タカ
- 夏季限定のカリーフ・フェスティバル
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平均気温 | 23 | 24 | 26 | 28 | 30 | 30 | 26 | 25 | 26 | 27 | 26 | 24 |
平均最高 | 27 | 28 | 30 | 32 | 33 | 32 | 28 | 27 | 29 | 31 | 31 | 29 |
平均最低 | 18 | 19 | 21 | 24 | 26 | 27 | 24 | 23 | 23 | 22 | 20 | 19 |
降水量 | 10 | 20 | 10 | 10 | 10 | 10 | 30 | 40 | 10 | 10 | 10 | 10 |
夏にベストシーズンを迎えるサラーラの旅行情報はこちら。
簡単な歴史
古代
紀元前3千年紀からオマーン地域には人が住み始めました。紀元前3千年紀から紀元前2千年紀にかけて町や交易が発展し、オマーンは銅や香料などの貴重な商品の取引で栄えました。
古代オマーンは、紀元前1千年紀にはアッシリア、バビロニア、ペルシャなどの帝国の支配下に入るなど、多くの文化的影響を受けました。
イスラム時代
7世紀にイスラム教がオマーン地域に広まりました。オマーンはイスラム帝国の一部となり、交易と航海の中継地として重要な役割を果たしました。
しかし、9世紀から16世紀にかけて、オマーンは内部の対立や外部の支配といった複雑な歴史を経験しました。
ポルトガルによる統治
16世紀初頭からオマーンはポルトガルの統治下に入ります。17世紀にはオマーン人がこれに反発し、ポルトガル勢力を追放。東アフリカ(ザンジバル、ザンビア)に植民地を建設し、支配地域を広げます。
規模を急速に拡大した当時のオマーンは、イギリスと並ぶ海洋国家と位置付けられています。
19世紀から20世紀
19世紀には、オマーンは諸外国と関係を結びます。
特に当時のサイイド・サイード・ビン・スルターンはインド洋交易の中心地であった東アフリカを支配地域に組み入れ(過去に建設した植民地は一部を除き独立を達成していた)、アラブ諸国で最初の特使を派遣するなどアメリカと友好的な関係を築きました。
しかし、彼の死後に後継者争いが起きて国土がオマーン本土とアフリカに分割されることになりました。
現代
1970年、カーブース・ビン・サイード・アル=サイードが政権を掌握(クーデター)し、オマーン国内外の近代化と石油資源を基にした経済政策を進めました。
現在のオマーンは、安定した政治体制と豊かな資源、美しい自然環境を持つ国として知られています。経済は石油と天然ガスの輸出に依存しており、国内外への観光も重要な産業の一つとなっています。
オマーンのブサイナ王女の母親は日本人。このことはオマーンでは広く知られており、よく引き合いに出されます。興味のある方はウィキペディアの該当ページをご参照ください。
経済と物価
オマーンは石油を主要な経済源泉としていますが、最近では多様な経済分野への投資も進んでいます。物価は一般的に中程度で、観光地での食事やアクティビティもリーズナブルな価格帯が多いです。
最近は円安のあおりを受けてちょっと割高にはなっていますが、肌感覚としては東京と同程度でしょうか。交通や食費といった各項目にかかる費用は後述します。
なおオマーンでは他の湾岸諸国と同様に自国民優遇の政策が取られており、例えば観光地の入場料は国民と外国人で差をつけています。
オマーンの治安
オマーンは他の中東諸国と比べて治安が非常に良いとされています。政府は国内の治安を重視し犯罪率は低いです。親しみやすい人々と穏やかな文化も安心感を与えます。
観光客に対する危険も一般的に低いですが、どんな国でも一般的な感覚の範囲内で安全策を講じることは重要です。貴重品はホテルのセーフティボックスに保管したり、公共の場では注意して取り扱うよう心がけましょう。
オマーンの人々
オマーン人は一般的に友好的で親しみやすい人々です。初対面でも笑顔を絶えず見せ、訪問者を歓迎することを重要視します。ゲストに対するもてなしや気配りも、彼らの文化的な価値観の一部です。
家族やコミュニティの結びつきはオマーン文化において非常に重要です。家族間の絆や親戚関係は深く、家族単位での集まりや行事がよく行われます。このため、人々の間には互いに尊重し合い、支え合う文化が根付いています。
一般的にオマーン人は外国人に対して好意的な態度を持っています。特に観光客に対しては歓迎の意を示し、親切に接してくれることが多いです。日本に対する態度も同様で、日本文化や技術に対する興味を示すことがあります。また、オマーン人が日本へ留学するケースもあり、日本への関心が高まっています。
オマーン人と交流するためのヒントはこちらの記事で。
オマーンの外国人労働者
2022年現在、オマーンの人口の40%は外国人。商店やレストランでよく見るのはフィリピン・インド・パキスタンといった国から出稼ぎに来る人々(出典:Omanis constitute 59.60% of total population – Oman Observer)。
そのような背景から、日本人はフィリピン人と間違えられることが良くあります。
他の湾岸諸国と比較するとローカル度が高めなので、地元民との触れ合いが楽しめる確率も高め。観光客として話す可能性の高いタクシードライバーは、オマーン国民であることが多いです。
オマーン旅行の魅力
伝統を残しつつもモダンな国
オマーンの首都・マスカットは、近代的な建物と伝統的な建築が調和する美しい街。毎日決まった時間にモスクから流れるアザーンの音色がイスラムの国に居ることを実感させます。
伝統的なスーク(市場)や博物館を巡るのも楽しいですし、近代的なモールも充実しています。モダンな設備と伝統のデザインが調和した各種建築も必見です。
近年国が高速インターネットに力を入れていることもあり、通信環境も悪くないです。
SIMカードや通信環境に関する記事はこちら。
大自然が堪能できる
デザートサファリに参加すれば、広大な砂漠の風景やアクティビティを楽しむことが可能。近隣のUAE等と比較すると比較的安価に、より原風景に近い体験をすることができます。
また雄大な岩山の風景と涼やかな泉が楽しめるワディ(渓谷)では、トレッキングやスイミングを楽しむことができます。
オマーン旅行で必要な費用
オマーンの通貨は「オマーンリヤル(OMR)」と「バイザ(Bzs)」の2種類。1/2(=500)バイザは0.5オマーンリヤルにあたります。
2024年2月時点のレートは、1オマーンリヤル=約390円。両替手数料などの諸費用を含めると約400円になります。(円安が辛いですね…)
単位が小さいので安く感じがちなので、使い過ぎないよう注意しましょう!
オマーンまでの渡航費用
往復の航空券はシーズンによって異なりますが、おおよそ10万円から20万円程度です。直行便はないので、東南アジアや中東の主要都市を経由する便を利用することになります。
また日本国籍の場合は査証(ビザ)の取得が必須です。
オマーン国内の交通費
オマーンは自動車が一般的な交通手段。タクシー利用も非常にポピュラーで、最近は配車アプリも登場してますます便利になっています。
公共交通機関(バス)もありますが、慣れていないとあまり使い勝手は良くないです。
オマーンで便利な配車アプリといえばOTAXI(空港から市内の移動時には使用できないので注意)。
国際免許証があればレンタカーを日額料金20~50オマーンリヤル程度で利用できます。
交通機関の利用方法(特にマスカット市内)についてまとめた記事はこちらです。
宿泊費
ホテルの宿泊料金は規模やクラスによって異なりますが、中級クラスのホテルで1泊あたり50~100オマーンリヤル(2万円から4万円)程度です。
安くても20オマーンリヤル(8,000円)は見積もっておいた方が安心です。
食費
オマーンで食べられているのはアラブ料理で、肉と米がメインです。ときどきサラダ(というか刻み野菜?)が付くこともあります。
レストランでの食事は1食あたり5~15オマーンリヤル程度で、東京と比べると少々高めです。ローカルのインド・パキスタン系レストランであれば2オマーンリヤル程度で食べられます。
娯楽費
観光地の入場料やアクティビティにかかる費用は5~20オマーンリヤル程度です。
その他
ショッピングや小規模な雑費に数オマーンリヤルから数十オマーンリヤル程度必要となります。
オマーン滞在の注意点
服装に注意
衣服は体のラインが出ないものを選び、公共の場では肌の露出を避けましょう。オマーンは他の湾岸諸国と同じように保守的なイスラム教の国であるため、宗教的な場所や文化に敬意を払うことが必要です。
飲酒は注意
飲酒はホテル内のレストランなど一部でのみ許可されています。スーパーマーケットや商店では購入できません。
(なぜか)ローカル向けに酒類を提供するお店もあり、外国人向けと比較するとかなり割安にお酒が楽しめますが、見つけるのは至難の業です。
写真撮影
写真撮影は旅行の楽しみの一つですが、軍事施設や王宮等では禁止されていることが多いです。また女性の撮影は基本的にNG。
オマーン旅行には現地ツアーの参加がおすすめ!
前述のように多彩な魅力を持つオマーンですが、実際に見て回るとなると観光スポットが散らばっていてなかなか大変。そんなときは現地ツアーに参加すると効率良く観光スポットを回ることが可能です。
また現地ツアーは現地ガイドがつく点も魅力的。アラビア語が理解できないと見逃してしまうポイントが多くなるオマーンでは、もはや必須と言って差し支えないでしょう。
VELTRAは珍しくオマーンの現地ツアーを取り扱っているので要チェックです。
まとめ
この記事ではオマーンの旅行情報についてお伝えしました。
まとめると以下のようになります。
- 伝統を重んじつつ最先端も取り入れた街並みが魅力。
- ベストシーズンはエリアによって異なる。マスカットやニズワなら冬季、サラーラなら夏季がおすすめ。
- 物価は基本的にリーズナブルだが、安くはない。用途によっては高くつくこともある。
- 治安はかなり良いので、最低限の注意でOK。
これらの情報を通じてオマーンに興味を持っていただけると非常に嬉しいです。
以上です。参考にしていただければ幸いです。
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