近年激しいインフレに見舞われているトルコ。以前の記事でも触れたとおり観光スポットの入場料は数年前の数倍の値段になっています。
そして値上げの影響は当然生活物価にも…。地元の人々が日常的に使うサービスも、観光スポット程ではありませんが相当値上がりしています。月単位で変わるのでガイドブック記載の価格はほぼ意味を成さないレベルです…
この記事では食費や交通費などイスタンブールの街中で各種サービスを受ける際に掛かる金額について筆者の経験を基にお伝えします。
絶対の指標ではありませんので参考までにどうぞ。なお旅行費用の大部分を占める宿泊費ですが、ホテル代は地元民の物価とは関係なく推移するので今回は取り扱いません。
2024年7月現在のトルコリラのレートは1トルコリラ=約5円。表示価格を5倍すると大体の日本円換算の値段が分かります。
食費
まずは一番の基本となる食費から。イスタンブールなら世界三大料理の一つに数えられるトルコ料理を是非楽しみたいところ!
イスタンブールは一大観光地のため各種費用は観光地かどうかでかなり異なり、特に食費は観光地では青天井になる傾向があります(ぼったくりを含む)。この記事では観光地ではないエリア(カドゥキョイ)を基準にご紹介します。
カドゥキョイの解説記事はこちら。宿泊場所としてもおすすめです。
パン屋
まずはパン屋で食べられるメニューから。トルコはパンの消費量が多いことで有名で種類も豊富。シンプルなパンであれば非常にリーズナブルな金額で食べられます。朝食や軽めの昼食におすすめ。
パン屋によってはイートイン用の席が設けられているので、街の様子を眺めながらリーズナブルに食事ができます。
屋台のシミットは10トルコリラくらい。その他のパンは50トルコリラ(250円)~200トルコリラ(1,000円)くらい。一緒に注文するチャイは30トルコリラくらい。
まずはいわゆるゴマパンのシミットSimit。屋台なら10トルコリラ(50円)くらいから買えます。
続いてはボレキBörek。いわゆるパイのようなパンで朝食の定番です。値段は重さによって決まっているので予算で指定すると買いやすいです。お店にもよりますが一人前の注文はちょっと難しそう。
まずはプレーンのボレキ(粉糖がけ)。粉糖がほんのり甘く軽めのパンケーキのような感覚で食べられます。
半分でも注文できます。
チーズ入りのボレキ。柔らかめの生地とちょっと塩っ気のあるもちもちしたチーズの食感が美味しい。
ホウレンソウや肉の入ったボレキ。春巻きや肉まんのような味で日本人にも受けると思います。
同じパン屋の別パターン。パンの種類を変えてもらいました。
甘いフィリングが入ったクッキーのようなパンもありました。
ロカンタ
続いては安くてお腹いっぱいになると評判の大衆食堂のロカンタ。以前は「どれも安いのでたらふく食べてもお会計は安心!」という状況でしたが、現在は物価上昇によりメニューの組み合わせによっては日本のレストランでの食事よりも高くつくようになりました。手の込んでいるメニューを頼むと合計で2,000円を超えることも!
ロカンタには価格表があるためぼったくられる心配はないものの、品数が多いうえトルコ語表記なので観光客が読みこなすのは簡単ではありません。
あまりお店が込んでいない場合は予算を伝えておすすめを盛り付けてもらうのも手です。
一人前のトルコ料理はパン&小麦系が多いので、ご飯と野菜の組み合わせが食べたいときにも重宝します。
メニューの組み合わせによって150トルコリラ(750円)~400トルコリラ(2,000円)くらい。
ご飯、ブロッコリーの炒め物、スープ、飲み物で117.50トルコリラ。
こちらは肉のおかずも追加して飲み物と合わせて240トルコリラ。
こちらは初ロカンタで値段を聞かずにお任せにした結果300トルコリラになりました。
こちらはメイン料理を複数チョイスしたので340トルコリラ。ロカンタは安いというイメージを覆すお値段です。
ロカンタの具体的な使い方やおすすめのロカンタはこちらの記事で紹介しています。
トルコ料理いろいろ
トルコには名物料理がたくさん。日本の寿司やラーメンのように料理によってレストランが分かれているので、色々試してお気に入りのお店を見つけてください!
サバサンド
まずはイスタンブール名物サバサンドBalik Ekmek。香ばしいサバとパンの相性が抜群でシンプルに美味しいです。使用されるパンはバゲットが多いようですがトルティーヤのような生地を使うところもあるようです。スパイスや味付けもお店によって違うとか。
Balikは「魚」、Ekmekは「パン」を意味するので、サバでなくてもBalik Ekmek。
メジャーどころはガラタ橋付近ですが、一部市街地でも食べられる場所があります。
こちらは行列のできる人気店Sokak Lezzeti Tarihi Balık Dürümcü Mehmet Ustaのサバサンド。ラップサンドのようなスタイルで、スパイスが効いていて美味しかったです。
余談ですが、サバはイスタンブールでは獲れず専ら輸入に頼っているそうです。しかも観光のピークシーズンである夏はそもそもサバのシーズンではないとのこと…。
美味しいことには変わりないですが、観光客向け色が強くて個人的にちょっと萎えました。確かに地元っ子が食べているのを見かけなかったかも…
ちなみに定番のヨーグルトドリンクは魚とは絶対に合わせないそうです。魚を食べるときは別の飲み物にしましょう。
ラフマジュン
続いては筆者が勝手にリーズナブルなトルコ料理代表1番だと思うラフマジュンLahmacun。薄いパン生地の上にひき肉やハーブといった具材を載せて焼いたもの。
付け合わせの生野菜を載せてレモンを絞ってから、ラップサンドのように折り畳んで食べます。
ピラウ
ピラフの原型となったトルコ料理のご飯料理ピラウPilav。色々な種類があり基本的にリーズナブルです。
ケバブ
トルコ料理といえばケバブKebap。色々な種類がありますが、今回はブルサ名物のイスケンデルケバブİskender kebapにトライしてみました。こちらは羊肉。
こちらはロープウェイで上る高台にあるレストランのピエールロティケバブ。ビーフとチキンが選択できたのでチキンにしました。
チョルバ
トルコ料理のスープチョルバçorba。ロカンタでも定番のメニューです。こちらはスタンダードなレンズマメのスープ。
ピデ
トルコ風ピザのピデPide。イスタンブールのピデは舟の形をしています。
チェーン系レストラン
チェーン系レストランは味が安定していてリーズナブル。世界中にあるマクドナルドもトルコ仕様にローカライズされていて面白いです。
マクドナルドのトルコ限定メニュー
まずは日本のマクドナルドにはないキョフテバーガー。パテの代わりにキョフテ(トルコ風ハンバーグ)が挟まっています。
味はちょっとスパイシー?筆者はテリヤキバーガーを感じました。
トルコ発のバーガーショップBurger Yiyelim
トルコ発のハンバーガーチェーンもあります!こちらはトルコ発のBurger Yiyelim。ミディアムチーズバーガー、オニオンリング、アイランを注文しました。
トルコ発のチキン系チェーン店Tavuk Dünyası
続いてもトルコ発チェーン系レストランTavuk Dünyası。チキン・パスタ・野菜を組み合わせて注文するスタイルのお店です。一般的なレストランと比較すると若干リーズナブルで、メインは250トルコリラ前後です。
カフェ飯
食事系の最後はオシャレな雰囲気でモダンなメニューが楽しめる「カフェ飯」系。イスタンブールではドローカルのトルコ飯に抵抗がある人でも入りやすいお店が沢山あるところが嬉しいところ。
またエアコンが完備されているお店が多いのも特徴で、屋内にエアコンが無いことも珍しくないトルコでは夏場に非常に助かる存在でもあります!
こちらに挙げたオシャレなカフェは基本的にwifi・電源・エアコン完備で英語が通じます。パソコンを持ち込んで作業している人(主に欧米人)が多いイメージ。
なお物価もオシャレなので予算がタイトな方は要注意です。(チェーン系なら多少はマシ)
一般的なカフェだとアイスアメリカーノで100トルコリラを超えないくらいですが、オシャレなカフェでは100トルコリラを超えてきます(観光地だと200トルコリラ近い値付けのことも)。またフード類はクッキーやマフィンあたりで200トルコリラ、サンドイッチやベーグルのような食事メニューは300トルコリラを軽く超えてくることもあります。
Walter’s Coffee Roastery
こちらは周辺のデジタルノマドっぽい人々が足しげく通っていそうなカフェWalter’s Coffee Roastery(カドゥキョイ)にてランチした際の写真。wifi・電源・エアコン完備で作業に最適な環境でした。
MONTAG
続いて小さくて可愛いカフェMONTAG(カドゥキョイ)にて朝食を摂った際の写真。こちらのエアコンは弱め。
Happy Croissants
こちらはクロワッサンがウリで緑の内装が素敵なHappy Croissants(カドゥキョイ)。このお店にはエアコンが無さそうでした。
EspressoLab
こちらはトルコ全域に広く展開するチェーン系カフェEspressoLab。コンクリート打ちっぱなしのオシャレな店内が魅力的。写真はコリアンチキンバーガーです。
MADO
トルコアイスで有名なカフェMADOはスイーツのみならずフードメニューも豊富です。全体的にお値段は高め。
カフェ・スイーツ
ちょっと一息つきたいときに寄るのがカフェ。イスタンブールには素敵なカフェがたくさんあります。カフェ飯は高いですがドリンクメニューだけなら意外とそうでもありません。
チャイ
トルコの国民的な飲み物チャイ(紅茶)。一日のうちに事あるごとに飲むためかなり安価で相場は30トルコリラくらい。フェリーでも販売しているので、海風に吹かれながらぜひどうぞ。
安いと10トルコリラで飲めることもあります。
チャイは当然ながらグランバザールの中のカフェでも販売しています。こちらはアップルティー70トルコリラ。チャイには基本的に何も付きませんが、このときは珍しくロクムと水が付いてきました。観光客向けのサービスなのかも。
トルココーヒー
カフェといえば何となくパリやウイーンが思い浮かびますが、実はそのルーツはトルコ。2013年にはトルコのカフェ文化はユネスコ無形文化遺産にも登録されています。
トルコのコーヒーはコーヒーが人々の間で飲まれ始めたときの伝統的な飲み方にかなり近く、粉に水を注いで淹れる方式。飲む際は粉が沈むまで少し待ってから、上澄みだけを飲みます。
トルココーヒーの相場は70トルコリラくらいで、水とロクムがよく基本セットで付いてきます。
初めてトルココーヒーを頼んだ際に水とロクムが一緒に出されたときは、ぼったくられると思って身構えてしまいました。
伝統的なカフェMola Közde Kahveci (KADIKÖY)にて。内装もこれぞトルコ!といった感じで素敵でした。
こちらも歴史のあるカフェFazıl Bey’in Türk Kahvesi。こちらは75トルコリラでした。
船着き場によく併設されているカフェKahve Dünyasıにて。他のお店よりも少しリーズナブルな60トルコリラです。
その他ドリンクメニュー
トルコのカフェはメニューが豊富!
アイスコーヒーはトルココーヒーと比較すると若干高くなりますが、それでも観光地や個人経営のオシャレなカフェなどでなければ100トルコリラくらいで飲めます。
トルコアイスで粘り気を出すために使われるラン科の植物サーレップを使ったドリンクもあります。味はほんのり甘くて爽やか。シナモンがトッピングされていたりされていなかったりします。
サーレップは近年絶滅の危機にありトルコ国外への輸出が禁止されているとか。つまりこのドリンクはトルコでしか飲めない大変貴重なもの!
スイーツ
トルコはスイーツも豊富。バクラヴァのような激甘スイーツが有名ですが、甘さ控えめでほっこりするタイプのスイーツも結構あります!
おすすめトルコスイーツについてはこちらの記事もどうぞ!
トルコアイス(ドンドゥルマ)
まずは定番の伸びるトルコアイスから。パフォーマンスは苦手なので店舗で頂くことにしました。こちらの写真はトルコアイスの専門店MADOにてトルコアイスを食べた際のもの。
ロクム
ターキッシュデライトとして有名なロクムもトルコのお菓子の定番。グラム単位で購入できるのでお土産はもちろんちょっと甘いものが欲しいときにもおすすめ。有名店はAli Muhiddin Haci Bekir。
様々なフレーバーがありますが、個人的にはローズ味とピスタチオ味が好きでした。(なぜか写真が残っていないので見つけたら追加します…)
ロクムの名店Ali Muhiddin Haci Bekirですが、比較的お手頃にスイーツを楽しむこともできます。こちらはアプリコットのタルトとアイスコーヒーは合計で205トルコリラ。
フルン・シュトラッチ
今回の旅でかなり美味しいと感じたのが、オーブンでこんがり焼いたライスプディングのフルン・シュトラッチFırın Sütlaç。いくつかの場所で食べましたがどれも優しい甘さでした。
どこで食べても60トルコリラだったので、相場がそれくらいなのかも。
バクラヴァ
あっさり系も良いですが、やっぱり外せないバクラヴァ。カフェDilekで頂きました。こちらのバクラヴァはそこまで激しい甘さではなかった気がします。
交通費
イスタンブールの公共交通機関の運賃は1回あたり20トルコリラ~30トルコリラくらい。
イスタンブールカード(カード本体130トルコリラ)を使うと、その都度乗車券を買うよりも安く乗車することができてお得です。
イスタンブールカードの購入方法や公共交通機関の使い方についてはこちらの記事をどうぞ。
観光費
有名観光地
有名観光地の入場料は青天井。安くても2,000円くらいは覚悟しておいたほうが良さそうです。
スポット名称 | 外国人観光客(2024.7) |
---|---|
トプカプ宮殿(入場+ハレム)+アギア・イリニ聖堂 | 1,500トルコリラ(約7,200円) |
アヤソフィア(2階部分) | 25ユーロ(約4,200円) |
地下宮殿 | 800トルコリラ(約4,000円)(昼)~1,300トルコリラ(約6,500円)(夜) |
ガラタ塔 | 30ユーロ(約5,130円) |
国立考古学博物館 | 15ユーロ(約2,500円) |
軍事博物館 | 400トルコリラ(約2,000円)+軍楽隊200トルコリラ(約1,000円) |
ドルマバフチェ宮殿(セラムルク+ハレム)+絵画博物館) | 1,050トルコリラ(約5,250円) |
ベイレルベイ宮殿 | 350トルコリラ(約1,750円) |
こちらの記事でそれぞれのスポット詳細や数年前の入場料との比較をまとめています。
その他の観光地
世界中から観光客が押し寄せるメジャーなスポット以外の観光地であれば多少リーズナブルに観光できます。
またモスクやその付属施設であれば無料もしくは非常に安価。
ビザンツ帝国時代の素晴らしいモザイク画が残るカーリエ博物館Kariye Camiiは何と無料で入れます。
スルタンアフメトモスク(ブルーモスク)も無料です。
各種サービス
ここからは地元民しか使わないであろうサービスの数々。
散髪(カット+眉毛&ひげトリミング+シャンプー)
カット+眉毛&ひげトリミング+シャンプーで500トルコリラでした。散髪終わりには髪型のセットもやってもらいました。仕上がりは大満足。
料金は事前に確認しました。初回サービスだったのか普通の料金がこれくらいなのかはちょっと謎。
美容師さんは英語は通じませんでしたが、たまたま先客が英語が話せたので、事前に髪型の希望を伝えてもらいました。
また後日別の床屋さんで同じサービスを注文したところ、そちらも500トルコリラでした。どうやらぼったくっているという感じではなさそうです。
YouTubeだとトルコの床屋で鼻毛や耳毛の除去をやっている場面を見ますが、これまでの経験だと、自分からやりたいと言わない限り勝手に追加されるようなことはなさそうです。
証明写真(写真館)
フランスの学生ビザ申請用の写真撮影のために利用しました。料金は300トルコリラで、写真撮影後2時間程度で受け取れました。
写真5枚(申請書用のサイズにカット済み)とデータが料金に含まれていました。
ハマム(庶民派)
筆者が訪問した庶民派ハマムでは入場料が400トルコリラくらい。
オプショナルサービスの値付けについては、垢すりは100トルコリラ、泡マッサージは100トルコリラ、オイルマッサージは300トルコリラくらいの場所が多かったです。
日本円にして3,000円くらいあれば楽しめる印象。
ちなみに有名高級店のお店の料金(基本コース)は以下の通りです。ご参考まで。
ハマムの名称 | プラン名と内容 | 料金 |
---|---|---|
Hürrem Sultan Hamamı | Hamam Rituals(入場料+泡マッサージ+頭と肩のマッサージ) | 95ユーロ |
Cağaloğlu Hamam | The Istanbul Dream(入場料+垢すり+バブルバス+お茶&スイーツ) | 70ユーロ |
Ağa Hamamı | Traditional Package(入場料+垢すり+泡マッサージ) | 2,300トルコリラ(カード払い)、2,000トルコリラ(現金払い) |
Sultan Süleyman Hamam | Traditional Hamam Program(入場料+垢すり+泡マッサージ+飲み物) | 50ユーロ |
ハマムの利用方法と体験レビューの記事はこちら。
歯科治療(クリーニング)
カドゥキョイの英語の通じる歯科で歯垢と歯石の除去をお願いし、料金は1,850トルコリラでした。パスポートの提示とトルコ国内の電話番号を求められました。
通常保険のきかない海外の歯科治療で1万円を下回るのは破格だと思います。同じことをスイスでお願いしたらと思うと恐ろしいです。
今回はクリーニングのみだったのでこの料金でしたが、本格的に治療が必要になるとかなり高額になることもありえます。
ATM手数料
ATM手数料は引き出し金額の8%くらい取られます。HSBCのATMであれば手数料がかからないのでおすすめ。
まとめ
今回の記事では、筆者がイスタンブールで体験した物価レンジをご紹介しました。
トルコリラの暴落によって円安でも楽しめるという側面があることは否定しませんが、一概に全てが安いということでもないことが分かりました。特に観光客が行くような観光地や観光客が利用するようなサービスは非常に高額です。
逆にローカル向けの食事やサービスであればまだ多少はお得に楽しめるので、集中と選択の精神でイスタンブールを楽しみましょう!
以上です。
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