海外旅行で通信手段を確保する場合、最もコストパフォーマンスが良いのは現地SIMカード。
多くの国でこの法則は当てはまりますが、残念ながら例外となる国もあります。その一つがトルコです。
特にイスタンブールでは、旅行者向けの現地SIMは空港・市内を問わず「観光客価格」として割高に設定されているケースが多く、必ずしも市内のほうが空港より安いとも限りません。
とはいえ、現地SIMにしかないメリットがあるのも事実。
あえて購入する必要がある人もいるでしょう。
そこで本記事ではまず現地SIMよりコスパの良い「おすすめの通信方法」を紹介したうえで、どうしても現地SIMを購入する場合に備えて、空港と市内の価格差や注意点を実体験とともに解説します。
イスタンブール旅行を予定している方、特に現地SIMの購入を検討している方の参考になれば幸いです。
イスタンブールで現地SIMがおすすめできない理由3つ
イスタンブールの現地SIMには、他国のように「安くて便利」というイメージは当てはまりません。
実際に購入してみて感じたのは、旅行者向けプランが不透明かつ割高に設定されているという現実でした。
空港で売られているSIMは非常に高額
イスタンブールの空港にはTurkcell、Vodafone、Türk Telekomといった主要通信会社のカウンターが並んでおり、到着してすぐにSIMカードを購入することができます。
旅行者向けプランは英語表記で料金やデータ容量が分かりやすく提示されているため、購入のハードルは低く、手続きもスムーズです。空港ということもあり、英語もちゃんと通じるという安心感もあります。
ですが、問題はその価格です。実際に確認したプランでは、5GB(データ専用eSIM)で1,300TL(約4,600円)、25GB(音声通話付き)で2,000TL(約7,200円) といった水準でした。
もちろん空港SIMは「到着直後から使える便利料」が上乗せされがちですが、イスタンブールの場合はその度合いが突出しています。単純に計算すると 1GBあたり約900円 という水準で、同じ国際空港で売られているSIMと比べてもかなり高め。
到着直後に「通信が必要だから」と妥協して買うには、勇気がいる金額です。
市内でも安いとは限らない
「空港は高いから、市内で現地SIMを買えば安いだろう」と考える人は多いでしょう。
しかしイスタンブールでは、この常識が必ずしも通用しません。
筆者自身、市内のTurkcellショップを2店舗回ってみました。最初の店舗では、外国人旅行者向けプランは20GB(データのみ)で2,500TLの一点張り。空港と比べてもむしろ割高でした。
次の店舗では20GB(音声通話付き)が2,000TLと提示されましたが、購入を渋るそぶりを見せたところ、なぜか1,500TLまで値引きされるという不可解な展開に。
この経験から分かったのは、外国人旅行者向けのSIMには定価が存在せず、ほぼ言い値で決まるということです。市内だからといって必ず安いわけではなく、交渉や担当者によって価格が上下するという不安定さもあります。
大抵の国(というか通信会社?)が定価を表示するのが当たり前の通信サービスにおいて、こうした二重価格や値引き交渉が持ち込まれているのは、旅行者にとって非常に不親切な仕組みだと感じました。
観光客向けプランは割高で選択肢もない
このように、地元の人が契約できる長期パッケージと比べると、旅行者用プランは明らかに割高です。
しかも「観光客向け」として用意されているプランは基本的に選択肢がなく、店員から提示された内容をそのまま受け入れるしかないのが実情。
筆者も別のプランを尋ねてみましたが、「それしかない」の一点張りでした。空港のショップではまだ複数プランが用意されているのを確認できましたが、市内ではその余地すらありません。
その結果、滞在期間や利用スタイルに合わないSIMしか選べないという状況に陥りがちです。
さらに不便なのは、観光客向けプランではテザリング(データ共有)が標準で有効化されていないことがある点。有効化を希望する場合は通信会社で追加の手続きが必要になり、同行者とシェアしたいと考えている人にとっては不向きです。
こんな感じで思わぬ制限に戸惑うケースもあり、油断できません。
現地SIM以外のおすすめの通信手段
以上のように現地SIMは色々と不安な面や金銭的なデメリットが大きいので、別の手段を検討するのがおすすめです。代替手段として考えられるのが以下の3つ。
eSIM
近年もっとも利用者が増えているのがeSIMです。スマートフォンに直接プロファイルをインストールするだけで利用でき、物理カードの差し替えは不要で、専用のアプリを利用すれば残量確認やチャージが随時できる点が非常に便利。基本的に現地SIMよりも割高なことが多いですが、トルコでは逆にこちらの方がお得です。
一般的な注意点はデータ専用プランでは現地電話番号が付与されないことですが、トルコ独特なのが、トルコ当局が国際eSIMの利用を遮断していること。スムーズに利用を開始するためにはインストールまでは入国前に済ませておく必要があります。
トルコ国内からはアプリへのアクセスもできないので、残量確認やチャージにはVPNを併用する必要があります。
モバイルWi-Fi
続いてはモバイルWi-Fi機器をレンタルする方法。宅配や空港カウンターで受け取り、帰国後に機器を返却する方式が多いです。
メリットはSIMロックが解除されていない場合でも利用でき、SIMカードの入れ替えが不要なこと。複数台接続も可能なので、グループ旅行やテザリング前提の滞在スタイルに向いています。利用料金もかなり良心的で、利用する期間によってはかなり安く済みます。
反面、機器を常に持ち歩かなければいけなくなるため荷物が増えますし、機器の充電も必要。管理の手間が若干煩わしいかもしれません。長時間出歩く場合はモバイルバッテリーの持ち歩きも必要になります。また機器の返却が前提になるため長期滞在には向きませんし、渡航先や渡航期間が流動的な旅行にも向いていません。
キャリアの国際ローミング
普段利用している通信キャリアの国際ローミングを利用する方法です。スマホのSIMを差し替えることなく、そのまま海外でデータ通信・通話を行えるのが特徴です。
この手段の魅力は、とにかく簡単で手間がかからないこと。出発前にローミングを有効化しておけば、到着した瞬間からすぐに通信が可能。トルコをサポートしていることが前提にはなるものの、普段と同じ電話番号を使えるため、SMS認証や電話が必要なサービスも問題なく利用できます。短期出張や急な渡航など、準備の時間がない場合には特に便利です。
注意点は、料金体系がキャリアによって大きく異なること。海外利用がそもそも不可能なケースもありますし、利用可能な場合であっても容量や期間に制限がある場合がほとんど。正しく把握しておかないと、現地で突然利用できなくなったり、利用料金が非常に高額になってしまうといった危険もあります。
それでも現地SIMを買うべき人とは?
ここまで紹介したように、イスタンブールでの現地SIMは割高で不透明な点が多いため、多くの旅行者にはeSIMやローミングなどの方が便利です。とはいえ、滞在スタイルや目的によっては現地SIMが必要になるケースもあります。
音声通話が必須な人
現地でレストランやホテルに電話をかけたり、アポイントを取ったりする予定がある場合、音声通話ができる現地SIMは便利。出張で現地の人と直接やり取りする機会が多い人にとっては必須級かもしれません。
現地電話番号が必要なサービスを利用したい人(SMS認証など)
一部のアプリやサービスでは、トルコ国内の電話番号を用いたSMS認証が求められることがあります。
公共Wi-Fiの利用や銀行関連サービスなどを利用する際は外国の番号では認証できないことがあるため、これらを利用する予定がある人には現地SIMが必要です。
イスタンブールで現地SIMを買う方法

ここからはトルコの通信会社とイスタンブール(空港・市内)で現地SIMを購入する具体的な方法をご紹介します。
メジャーな通信会社
メジャーなのは、Turkcell、Vodafone、Türk Telekomの3社で、それぞれの特徴は以下のとおり。
会社 | 説明 |
---|---|
Turkcell | トルコ最大手の通信キャリアで、カバー率・通信速度ともにトップクラス。都市部だけでなく地方でも安定して使えるため、旅行者には最も人気があります。空港や市内の店舗でも、外国人向けプランは「高いけど安心」という立ち位置です。 |
Vodafone | イギリス発の通信会社で、トルコでも大手のひとつ。料金設定がやや安めの傾向があり、都市部を中心に使うなら問題ありません。ただし地方や田舎ではTurkcellに比べてカバー率が落ちることがあり、長距離移動を伴う旅行者にはやや不安が残ります。 |
Türk Telekom | もともと国営だった通信会社で、現在も固定回線やインターネット事業に強いプレイヤー。モバイルの料金は比較的リーズナブルですが、通信速度やカバー範囲ではTurkcellに劣ることが多いです。短期滞在で都市部中心なら問題ないものの、旅行者が第一候補に選ぶことは少なめ。 |
現地SIM購入にはパスポートが必要
イスタンブールで現地SIMを購入する際には、必ずパスポート(原本)の提示が必要です。
旅行者のSIM契約は登録制になっており、パスポート番号をもとに利用者情報が管理されます。
支払いはクレジットカード・現金のいずれでも可能です。
空港での購入手順(到着ロビーの各キャリアブース)
イスタンブールの国際空港(IST/SAW)には、到着ロビーにTurkcell、Vodafone、Türk Telekomなど大手キャリアのカウンターが並んでいます。到着後すぐに通信環境を整えたい場合はここで購入可能です。
手順はシンプルで、パスポートを提示し、案内された旅行者向けプランから希望のものを選び、支払いを済ませればその場で店員が開通設定まで行ってくれます。英語対応も可能なスタッフが多く、購入に困ることはありません。
ただし前述の通り料金は高めに設定されています。
市内での購入手順(キャリアショップ)
市内にも各キャリアの公式ショップやフランチャイズ店が多くあります。
購入方法は空港と同じく、欲しいプランを店員に伝えるだけ。
一見すると空港より安い場合もありますが、同一キャリアでも店舗ごとに料金が異なり、統一価格が存在しないのが大きな特徴です。
そのためコスパを求めるなら、ひとつの店舗で即決せず、複数店舗を回って比較することが重要です。提示されるプランや料金にとにかく幅があるため、納得のいく価格を見つけてから購入するのが無難でしょう。
筆者の体験(Turkcell)では相場は20GB(音声通話付)で1,500TL前後といったところですが、インフレによって価格が乱高下するので、ご自身でも必ずご確認ください。
滞在スタイルごとのおすすめの通信方法総括
最後に、ここまでの内容を踏まえて滞在スタイルごとにおすすめの通信方法をまとめます。
- ○=おすすめ
- △=プランや条件次第でおすすめ
- ×=あまりおすすめできない
滞在スタイル | 現地SIM | eSIM | モバイルWi-Fi | 国際ローミング |
---|---|---|---|---|
短期滞在 | ×割高 | ○ | ○ | △プラン次第 |
中長期滞在 | ×割高 | ○ | ×手間が多い | ×割高 |
短期グループ旅行 | ×割高 | ○ | ○ | △プラン次第 |
出張・ビジネス | △番号必須なら | △番号不要なら | ×手間が多い | △プラン次第 |
表で比較したとおり、イスタンブール旅行でおすすめの通信手段は eSIM です。特に短期旅行者にとっては料金・手軽さの両面で現地SIMよりも圧倒的に有利です。
中でも便利なのがairalo。トルコ専用プランなら20GBで22USD(※時期によって価格は変動する場合があります)と、市内で販売されている旅行者向けSIMの半額以下で利用できます。出発前に購入・設定しておけば、到着後すぐに通信を始められるので安心。
ちなみに今なら本ブログの限定特典が使えるので、気になった方は是非チェックしてみてください。
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airaloの詳細についてはこちらの記事で紹介しています。

またeSIMの導入方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

まとめ
一般的に海外旅行では現地SIMが最もコスパの良い通信手段ですが、トルコでは観光客向けに割高な料金が設定されているためおすすめできません。
空港・市内を問わず料金が不透明で、安心して利用できる環境とは言い難いのが現状です。
そのため、可能であれば日本出発前にeSIMやモバイルWi-Fi、国際ローミングといった手段を準備しておくのがおすすめです。
特に短期旅行者にとっては、airaloを始めとするeSIMがコスト・手軽さの両面で最も安心できる選択肢となるでしょう。
最後に、トルコ・イスタンブール旅行に役立つ関連記事を当ブログからいくつか紹介します。
旅行準備の参考にしていただければ幸いです。
空港からの移動
到着直後に迷わないために、空港から市内への移動方法もチェックしておきましょう。
・新イスタンブール空港から市内への移動方法を詳しく解説。

・サビハ・ギョクチェン空港から市内への移動方法を詳しく解説。

市内交通
市内観光をスムーズに楽しむには、交通カードや公共交通の仕組みを事前に理解しておくのがポイントです。
・観光に必須の交通系ICカード「イスタンブールカード」を現地でスムーズに入手する方法。

・トラム・メトロ・フェリー・バスなどの乗り方や注意点を解説。

旅行準備・安全
滞在費や観光地の入場料、安全対策についても知っておくと、旅行全体の計画が立てやすく安心です。
・食事・交通・観光にかかる費用の目安。予算を立てる際の参考にどうぞ。

・頻繁に価格が改定されるイスタンブールの主要観光地の入場料を調査しました。

・イスタンブールでよくある詐欺やぼったくりの手口と対策をまとめました。

以上です。
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