フランス・リヨンの冬の風物詩!2023年「光の祭典Fête des Lumières」訪問記

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美食の都と言われるフランス・リヨンの冬の名物といえば光の祭典Fête des Lumières

光をモチーフにしているだけあって、メインは夜間。市庁舎をはじめとするランドマークが様々な工夫を凝らした光のインスタレーションによってライトアップされる光景は、非常に幻想的で息をのむ美しさです。

光の芸術作品群やリヨンの冬の美食を求めてフランス内外から多くの人がつめかけ、街は人で埋め尽くされます。公式ウェブサイトによると2023年は200万人が訪れたとか。

正直あまり期待していませんでしたが、意外と楽しめました!

この記事では2023年12月に開催された光の祭典を訪問した際の体験記をご紹介します。

リヨンの観光地についてはこちらの記事でまとめていますので、合わせてどうぞ!

目次

光の祭典(フランス語:Fête des Lumières)とは

リヨン市を挙げたお祭り

光の祭典は、聖母マリアへの感謝を示すために毎年12月8日前後に開催される行事です。最初は小さなイベントだったようですが、徐々に規模を拡大し現在のかたちになりました。

毎年開催期間や内容が変わりますが、基本的に12月8日を含む週末にかけて開催されることが多いようです。

2023年の開催概要は以下のとおり。

項目説明
開催期間※2023年12月7日(木)~9日(土):19時~23時
同10日(日):18時~22時
会場リヨン市街ほか
公式サイトFete des lumieres (lyon.fr)
2023年の情報です。※作品によっては鑑賞可能な時間や時期が異なります。

開催期間中の夜間は交通規制が行われるほか、一部公共交通機関の終電が延長になったり運賃が無料になります(後述)。街を挙げてのイベントであることが伝わってきますね。

地下鉄が延長運転&無料に

光の祭典の開催期間は、公共交通機関は特別な運賃が設定されるほか、運行も特別ダイヤになります。

2023年の特別な運賃設定は以下のとおり。

日付内容
12月7日、9日、10日・特別運賃Tarif TCL en Fêteの販売
 16時から終電まで公共交通機関が乗り放題(3,50€)。
・その他時間制のチケット
 24時間券:6,50€/48時間券:12,50€/72時間券:17€
・家族チケットTicket famille (6,50€)
 大人と同伴の子供が一緒に利用できる割引チケット。
12月8日16時から終電まで公共交通機関が無料
出所:Se déplacer dans Lyon | Fete des lumieres

2023年の各種公共交通機関の特別ダイヤは以下のとおり。

交通機関の種類12月7日、8日、9日12月10日
メトロ16時以降増便
深夜2時まで運行
16時以降増便
深夜0時まで運行
トラム終日増便
1号線と3号線は深夜1時まで運行
4号線は深夜0時30分まで運行
終日増便
深夜0時まで運行
フニキュレル深夜1時まで運行フォーヴィエールの丘行きは23時までの運行
サン・ジュスト(Saint-Just)行きは深夜0時までの運行
バス16時以降運休運行時間中は増便
15時以降運休
出所:FDL_depliant_ 2023_1.pdf (tcl.fr)

特別メニューを出すお店もたくさん

光の祭典は多くの人が訪れるので、レストランにとっては書き入れ時。2023年も多くのお店でイベントにちなんだ限定メニューを提供していました。

特別感があって楽しい反面、通常メニューよりも若干割高感がある側面も…

2023年の見どころ

ここからは筆者が実際に巡った2023年の見どころをざっくりご紹介。市街地を歩くだけでも結構の数の作品を見ることができます。

通し番号は公式ウェブサイトの作品一覧に対応させています。

Nouvelle Vague(通し番号:1)

駅舎をキャンパスに4組のアーティストの作品が交互に映し出されるインスタレーション。

映し出される作品はいずれも「電車」がテーマ。客車のように連結された4つの作品が、観客をそれぞれ全く異なる旅路にいざないます。参加アーティストはPia Vidal氏、Simon Lazarus 84氏、Ludovic Burczykowski氏、Laurence de Wilde氏。

駅舎が通りの突き当りにあるため、作品はある程度遠くからでも見えますが、間近で見るべく観客が殺到します。

FloWeЯ PoWeЯ(通し番号:2)

回転と光で異なるパターンを映し出すデジタルな装置を利用したインスタレーション。

作品は題名のとおり花がモチーフとなっており、光の花が音楽と共に咲き誇る様は非常にユニーク。どのようなパターンが映し出されるかは見てのお楽しみといった様相で、ずっと見ていても飽きません。

Jean-Pierre David氏とChristian Thellier氏による作品。

使っている照明は環境に優しいLEDです。

Kernel³(通し番号:3)

旧市街のシンボルであるサンジャン大教会の前面の壁面を使ったインスタレーション。

教会のバラ窓や各種の装飾とプロジェクションマッピングの組み合わせを存分に活かしたプログラムで、教会の柱が壊れたり、窓が形を変えたり…と、まるで空間が歪んでいるような錯覚を楽しむことができます。

アーティスト集団Ruestungsschmie.deによる作品。

昼間とはイメージの全く違うサイケデリックな教会に驚きます。

V.V.V. / Video Visual Vernacular(通し番号:4)

コの字型の建物の壁面を活用し、映像を投影するインスタレーション。既存の概念を打ち破り、ろうあ文化の新しい世界を開くというメッセージを表現しています。

Anthony Guyon氏とPierre Amoudruz氏による作品。

壁面いっぱいに展開されるプロジェクションマッピングにくぎ付けです。

Evanescent(通し番号:6)

市内中心部ベルクール広場に設けられた、光の球体が連なる特徴的なインスタレーション。夜のライトアップも素敵ですが、昼間の太陽の光を受けてそれぞれの球体が輝く姿も美しいです。

近くにはフードスタンドもあり、飲食を楽しみながら作品を鑑賞することができます。

世界的なパンデミック下で静止した世界から着想を得た、Atelier Sisuの作品。

光の色や当たり方によって表情を変える球体は見ていて飽きません。

Ceux du fleuve(通し番号:7)

旧市街の建物に投影される光のショーをソーヌSaône川の対岸から眺めるインスタレーション。フォーヴィエールの丘にそびえる大聖堂のライトアップとのコントラストが非常に美しいです。

眠っているときに見る夢のイメージに着想を得たFranck Dion氏による作品。

リヨンならではの風景と芸術作品が共存する光景が楽しめる珍しいイベントです。

Sign(通し番号:11)

燃え上がるようなオレンジ色の光がレピュブリック広場の水面に映る姿が印象的なインスタレーション。素材はなんとアルミニウムで覆われた竹です。オレンジ色の炎を模したこの作品は、気候変動が与える影響について警告を発しています。

オランダのアーティストVendel & de Wolfによる作品。

作品の周りは水場なので、近づきすぎて落ちないように注意。

L’écrin des Jacobins(通し番号:10)

1885年にガスパール・アンドレ(Gaspard André)によって建造された「ジャコバン噴水」が、レーザー光線と煙の効果をまとって一秒ごとに違った表情を見せるインスタレーション。

光の当たり方によって噴水の彫刻が浮かび上がったり消えたりする姿は摩訶不思議。レーザー光線だけなら遠くからも見ることができます。フランスのアーティスト集団1024 Architectureによる作品。

レーザー光線は光の糸のよう。

Cellulo/d(通し番号:17)

呼び方は「セルロイド」。テロ―広場の複数の建物の壁面を大胆に使ったインスタレーションです。

フランス出身の「映画の父」リュミエール兄弟による作品と最先端のAI技術を組み合わせた映像の数々は、非常に芸術的であり、また驚きの連続。アーティストBruno Ribeiro氏の作品。

映像だけでも十分面白いですが、映画史に詳しいともっと楽しめるかも!

効率の良い回り方

公式ウェブサイトのインタラクティブマップが便利

土地勘のない場所で市内に散らばるインスタレーションを効率よく回るのは簡単ではありません。そこで役立つのが公式ウェブサイトのマップ。

GPSを許可したスマホで起動すれば、現在地とインスタレーションの位置を知ることができます。

イベント会場近くのホテルなら情報収集に便利!オリジナルマップの用意があることも

「光の祭典」は国内外から観光客が押し寄せるイベント。

リヨン市内のホテルではおすすめの作品や交通規制といった重要な情報が得られるほか、独自のマップを用意していることがあります。リヨンの市街地に宿泊する場合はレセプションにぜひ確認を!

宿泊したホテルでもらった地図。おすすめの作品や特に混雑する通りなど色々と教えてもらえました!

注意事項

ここからは実際に「光の祭典」を訪れる際の注意事項を何点かご紹介します。

イベント時期はホテル料金が高騰する

これは「光の祭典」に限ったことではありませんが、イベントを目がけて宿を取ろうとすると通常料金の数倍かかることがあります。

これは仕方がないので、訪問が決まったら可能な限り早めに宿を押さえるのがおすすめです。

通常だと一泊50ユーロの部屋がイベント期間中は150ユーロになったりします。

防寒対策をしっかりと

イベントが開催されるのは12月。雪が降ることはあまりなさそうですが、当然ながら非常に寒いです。

寒さをしのげる場所としてはレストランやカフェがありますが、このイベント目当ての観光客も多いことから、非常に込み合います。外で順番待ちをする前提で完全武装で臨むことをおすすめします。

リヨン市内にはユニクロが2か所(リヨンパールデュー駅Lyon Part DieuのショッピングモールWestfield La Part-Dieuとレピュブリック広場近く)あり、ヒートテックの下着などが調達できます。

交通規制・手荷物チェックに注意

イベント当日は交通規制が行われ、公共交通機関も特別ダイヤに。

またイベント会場周辺は歩行者天国になり、特に狭い通りは事故を防ぐため一方通行になったり通行止めになったりします。交通規制については必ず事前に確認を。

テロ対策の観点から手荷物チェックが行われる通りもあり、市内の移動には通常時よりも時間がかかる想定でいることをおすすめします。

交通規制の状況によってはホテルにすぐ戻れるとは限りません!忘れ物には注意。トイレは可能な限りホテルで済ませておくのがおすすめです。

ピーク時間帯には足の踏み場もないような状態。こうなってしまうとどこにも行けません。

スリ・軽犯罪に注意

リヨンはパリやマルセイユといったフランスの他都市と比較すると治安が良いですが、毎年身動きがとれないほどの人出になる「光の祭典」では要注意。

貴重品はバッグ(もちろんファスナーを閉めて)や内ポケットなどの簡単に盗れない場所に収納し、周囲に気を配りましょう。

クリスマスマーケットの営業時間に注意

レストランやカフェ以外で食べ物を調達したり買い物ができるのがクリスマスマーケット。冬のヨーロッパのお楽しみのひとつなので、「光の祭典」と合わせて楽しみたい方も多いのでは。

そこで注意が必要なのがクリスマスマーケットの営業時間です。2023年は営業時間がかなり短く、18時には閉まってしまう状況でした。

つまり「光の祭典」の時間になるとクリスマスマーケットには行けないので、クリスマスマーケットと「光の祭典」をハシゴしたいなら、それぞれの営業時間を事前にチェックしておく必要があります!

まとめ

本記事ではフランス・リヨンで12月に行われる「光の祭典」についてご紹介しました。

内容は2023年のものですので同じ作品を見ることは(おそらく)できませんが、交通規制などは年によってそこまで変わらないので再現性はあると思います。

フランスの地方都市では珍しくかなり大掛かりなイベントで、かつフランス語が分からなくても楽しめるインスタレーションも多いので、訪問時期がもし合えばぜひ訪れてみてください!(もちろん「光の祭典」目当てでフランスを訪問するのも全然ありです!)

以上です。

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