元シンガポール駐在員で現在スイス・ジュネーブ留学中のMattです。
シンガポールといえば一般的に英語が通じる安全な外国として認知されている国。日本で外国語学習に取り組みながらずっと待っていた海外での機会だったので、やっと英語圏で英語を使いながら仕事や生活ができる!と小躍りしたことを覚えています。
英語が通じるのはイメージ通りでしたが、実際に生活しているうちに聞き慣れない表現があったりアクセントが独特だったりとシンガポール独特の要素があることに気づきました。
本記事では、そんな筆者の経験から英語学習環境としてのシンガポールの評価と、シンガポールでの英語学習に向いている人・逆に向いていない人の特徴をまとめます。
シングリッシュが聞き取れなくてお悩みの方はもちろん、語学留学先選びの参考にもどうぞ。
ちなみに筆者はシンガポールの語学学校で英語を学習した結果、IELTS7.5を取得してスイスの大学院に留学するに至りました。
英語はシンガポールの公用語のひとつ
シンガポールで話される言語は英語を含めて4つ
シンガポールは多民族国家。公用語もその状況を反映して「英語」「中国語(普通話)」「マレー語」「タミル語」の4つが存在しており、独立に至るまでの歴史的な経緯から「マレー語」が国語に指定されています。国歌「Majulah Singapura」もマレー語です。
中華系シンガポール人の友人いわく「国歌は当然歌えるけれど意味を完全に理解しているかは微妙」らしいです。
4つの公用語のうち、何と言ってもメインとなるのは「英語」。国の発展のため国策として取り入れられた経緯があることから進学・就職に大きく影響するため皆必死に学習します。そのため(程度の差はあるものの)シンガポール人と話す場合はほぼ確実に英語が通じます。
他の言語はそれぞれの民族のアイデンティティーを体現するものといった位置づけで、学校では自分のルーツに対応した言語を学ぶことになります(例えば中華系のルーツを持つシンガポール人は中国語を学びます)。
英語以外の言語を話す家庭が多いため複数言語を操るシンガポール人は珍しくありませんが、近年英語のみを話す家庭が増加しており、モノリンガル(英語のみ)のシンガポール人が増えているようです。
シンガポール政府の統計によると、家庭内で英語を話す世帯は2010年時点で32.3%でしたが、2020年には48.3%にまで上昇しています。
国内では多言語が徹底されている
街中で見かける看板や首相の演説や重要政策の発表など、シンガポール国内において言語が重要な意味を持つ場面では4つの公用語を全て使用することが徹底されています。
例えば交通標識は複数言語併記が普通ですし、こと首相の演説に関しては別言語の字幕を付けるのではなく実際にそれぞれの言語を直接使用して発表を行います。
日本語のみで発表を行うのが当たり前の日本では見られない光景ですね。
また報道機関は基本的に国が管理している状況なので、テレビやラジオの放送ではそれぞれの言語に対応したチャンネルが用意されており、例えばCNA(Channel News Asia)は全て英語による放送です。
シンガポールで使われる英語の特徴
ベースはイギリス英語
シンガポールは元イギリス領のためベースとなる英語はイギリス式。
分かりやすいところで言えば、「センター」の綴りは日本(アメリカ英語が主流)だとCenterですが、シンガポール(イギリス英語が主流)だとCentreになるという具合です。
他にも「行列」をqueue(アメリカ英語ではline)、「アパートの一室」のことをflat(アメリカ英語ではapartment)、エレベーターをlift(アメリカ英語ではelevator)と表現するなど、単語の使い方もイギリス英語に近いです。
なお建物の階数の数え方は日本と一緒(地上階=1階で0階がない)だったり、日常会話ではイギリス英語でもアメリカ英語でも問題なく通じたりと、線引きはあまり明確ではありません。
crispsとchipsのようにイギリス英語とアメリカ英語で意味が逆になるような単語を使うときは一応意味を確認したほうが良いかも?
他言語との混在が作る「シンガポール式英語」
いわゆる「シンガポール人」はイギリス統治時代に主に中国南方から移住した人々をルーツに持つ中華系シンガポール人(74.3%)、マレー・インドネシアにルーツを持つマレー系シンガポール人(13.5%)、南インドから移住した人々をルーツに持つインド系シンガポール人(9%)、ユーラシアンやフィリピン系など前出の3類型以外の人々(その他)に大まかに分類されます。(この分類はそれぞれの頭文字を取ってCMIO方式と呼ばれます。)
それぞれのグループは、中華系は中国南方の方言、マレー系はマレー語、インド系はタミル語、といった具合にもともと使用する言語がバラバラ。シンガポールで使用される英語もそれらの言語の影響を受け、今日の「シンガポール式英語」が形作られました。
語尾にLahを付けるのが有名ですね。
「シンガポール式英語」はシンガポール(Singapore)独自の英語(English)ということで、シングリッシュ(Singlish)と呼ばれます。
「シングリッシュ」と「シンガポール訛りの英語」の違い&攻略法
シンガポールの歴史と密接な関係を持つシングリッシュはもはやシンガポールの文化。(政府は国民に正しい英語を話すようキャンペーンを行ったりもしていますが…)
シンガポールのスマホの番号だけで決済できる便利なサービスはその名もPay Lah!。シンガポール英語はシンガポール文化の一部です!
攻略のカギは「いわゆるアメリカ英語やイギリス英語と異なる発音で発話される単語があること」と「中国語やマレー語といった別の言語の影響を受けた表現があること」の違いを認識することにあります。
前者の「いわゆるアメリカ英語やイギリス英語と異なる発音で発話される単語」のパターンは、
- アクセントが平坦で畳みかけるように発話する
- 語尾が消える、伸ばす発音(rの音)が短くなる(例:Car Parkをカーパークではなくカッパッと発音)
という特徴がありました。こちらの攻略に必要なのはとにかく「慣れ」。英語として間違いがあるわけではないので、場数を踏むことでリスニング能力が上がれば自然に聴き取れるようになりますし、もし聴き取れなくても状況に応じて何を言われているか察するくらいはできるようになります。
後者の「中国語やマレー語といった別の言語の影響を受けた表現」のパターンは、
- 他の英語圏では存在しない語法。Can! Can!だけで応答が成立する。
- 時制の概念が薄く、過去の事柄について現在形で表現したりする。(alreadyを最後につければ何でも過去形になる)
- lahやlehといった独特な語彙。(中国語で言う語気助詞?)
- マレー語の語彙が混じったMakan already? のような表現。(makan=マレー語で「食事」、つまり「ご飯食べた?」の意)
という特徴がありました。こちらの攻略に必要なのは「慣れ」に加えて「英語以外の言語の知識」です。文法や語法が間違えていたり多少崩れてしまうのは単語を繋げれば何とか理解できるレベルなので、こちらも場数を踏めば大体は理解できるようになります。
またこちらのパターンはおそらく英語以外の言語で発想したものを英語に変換する過程で不自然になってしまったと思われる構造を持つフレーズが多いです。
中華系シンガポール人が多いので、中国語の知識はかなり役立ちます。例えばCan! Can!は中国語に「可以、可以」という表現があることを知っていると意味が理解できますし、alreadyが最後に置かれるのは中国語では完了を示す語を最後に置くことで時制を表すことを知っていれば何となくパターンがつかめたります。
中国語やマレー語のようなシンガポール人のルーツに関係する言語の知識があれば、ある程度根底にある発想や成り立ちを想像することができて理解の助けになります。
非シンガポール人にとっての最大の問題は英語(由来)以外のボキャブラリーが使われることですが、こちらが外国人であれば滅多に起こらないので特段心配する必要はありません。しかしよく使われる表現をいくつか知っておけば会話を盛り上げるのに使えます。
例えば以下のような表現がよく使われます。推測で対応するのはちょっと無理ですね…
- chope:ホーカーセンターでポケットティッシュなどを置いて席を取ること。マレー語が転化した語。
- kiasu:シンガポール人の負けず嫌いな性分を示す語。福建語由来。
- shiok:「美味しい」の意。マレー語由来。
- Catch no ball:「理解できない」の意。福建語由来。
コーヒーのメニューや注文方法にも文化的な特徴が表れています。
仲の良いシンガポール人に対してであればLahをひたすら語尾に付けるというお遊びもアリですが、相手の言語を馬鹿にしているような感じになるのであまりやらない方が無難です。
「シンガポールは英語圏なのか」問題
そんな感じで、シンガポールにおける英語の特徴は「シンガポール人は英語の通用度が非常に高いが、実際に使用される英語はかなり特徴的」というのが大方の見方です。
そして、シンガポールの英語は中国語やマレー語の語彙や文法的な特徴が合わさっているので、日本でいわゆる英語圏として挙げられることが多い国々(アメリカ、イギリス、オーストラリアなど)では通じない表現が割とあるのも事実。
その他歴史的な背景などもあり、シンガポールは「英語圏」ではなく「準英語圏」の括りに入ることがあります。
また一部の高等教育機関ではその点を考慮してかシンガポール出身者にTOEFLやIELTSといった英語試験のスコア提出を求める場合もあります。
例えばスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)の場合、オーストラリア、アイルランド、ニュージーランド、イギリス、アメリカで学士号を取得していれば英語試験スコアの提出が免除されますが、シンガポール対象外。
ハーバード大学やコロンビア大学といった他の有名大学も軒並みそんな感じです。
英語圏かどうかを重視する度合いは英語学習の目的や到達したいレベルにもよりますし、そこまで意識するような要素ではないという考え方もあると思いますが、国際的な評価を知っておくと英語学習に関する希望に合致するかを判断する一つの指標として使えます。
また、中国語のみで生活ができる中国人移民は別として、シンガポール人であっても様々な要因から英語を話せない人が一定数いるのも事実。過去にシンガポールの公共放送であるCNAで特集が組まれたこともあります。
シンガポールでの英語学習がおすすめできる人の特徴6選
さてシンガポールの英語環境を一通り押さえましたので、ここからは筆者の考えるシンガポールで英語学習がおすすめできる人の特徴と逆におすすめできない人の特徴をご紹介します。あくまで主観なので参考までにどうぞ。
中級者以上の英語学習者
シンガポールは前述のとおり独特なアクセントや表現がたくさんあるので、文法や単語のインプットを優先すべき初心者がそれらに触れると、意図せずにシンガポール英語の話者(シンガポールのなまりや表現が身に付く)になってしまう可能性があります。
シンガポールや東南アジアでキャリア形成をしていく目的であればそれでも良いかもしれませんが、問題はそこから東南アジア以外の外国で通じる英語のアクセントや表現を身につけたくなった場合。失礼な言い方にはなりますが、シンガポールで身につけた独特な英語を多少矯正する必要が出てくる場合があります。
欧米への留学を通じて流暢な英語を話すシンガポール人は対外国人用の英語と対ローカル用の英語を使い分けることもありますし、中級以上の学習者であれば英語の種類を切り替えつつ対応することもある程度は可能でしょう。
でもインプットにも注力すべき日本人の英語初学者がそこまでの領域に達するのは非常に大変!もしクセを付けたくないのであればローカル英語は避けた方が無難です。
でもシンガポールで日常生活を送る限りローカル英語は避けられませんよね…。
ローカル英語を避けつつ日常を過ごすということも可能といえば可能ですが、それでシンガポール生活を楽しめるのかは疑問です。
もし初学者がシンガポールで英語学習をする場合は、なるべく語学学校に通ってIELTSやTOEFLのような試験で通用するような英語を学習するのがおすすめです。
シンガポールや東南アジア諸国に興味・関心がある人
シンガポールは近年旅行先としても非常に人気。マリーナベイサンズやガーデンズバイザベイの近代的な景観から伝統的な建造物といった有名どころはさることながら、言語に代表されるミックスカルチャーやグルメも注目を集めています。
一方で、チューインガムが持ち込み禁止だったり、様々な種類の罰則が細かく規定されていたりと、日本では考えられないような側面もいわばエンタメのようなかたちで発信されていますね。シンガポールで言語を学ぶということは、そういった側面を深く知るということでもあります。
国の成り立ちや各種制度、シンガポール人のリアルな生活スタイルといったディープな部分はある程度の期間生活してみないと見えてきません。興味がある人にとっては非常に面白い分野だと思います。
また一般的に、シンガポール人と友達になるには比較的長い時間がかかります。ある程度期間をかけた言語学習ではシンガポール人の友達ができる可能性が高まりますし、現地人の視点からシンガポールの良い部分・良くない部分を聞くことは、シンガポールをもっと深く知りたいなら是非試したいところです。
さらに語学学校の生徒は日本人を始めとする東アジア人もいますが、やはりメインはシンガポール以外の東南アジアからの人々。そのような様々な学生と仲良くなれるのもシンガポールの魅力です。
シンガポールでかかる高い費用を賄える人
シンガポールでは様々なサービスが非常に発達しており、特に富裕層向けのサービスの品質は世界でも随一。予算に応じて生活面はもちろん語学学習の手段でも幅広い選択肢から自分に合ったものを選べます。
予算が潤沢にあれば海外に居ながらほぼ日本にいるような生活(日本食や日本のサービスに囲まれた生活)をすることだって可能。
ただしシンガポールの物価は一般に日本よりも非常に高く、さらに近年のインフレと円安も影響して全てが割高になっている状況です。
シンガポールは世界一生活費の高い国として有名!
おおまかな物価の傾向としては、食費は東京並みかそれ以下(ホーカーセンターを利用する場合)、滞在費(宿泊費や住居費)と嗜好品(お酒・たばこ)は非常に高額です。
金額と品質は基本的に正比例するので日本のような「コスパの良い商品」を見つけるのは非常に難しいですが、お金さえ出せればある程度の品質は約束されるので、予算に余裕があってより快適な環境で言語学習をしたい方にはおすすめの場所です。
治安の良さ・衛生的な環境にこだわりたい人
シンガポールは東南アジアにありながら、他の国々とは一線を画す清潔さ&治安の良さを誇っています。もちろん東南アジア的な雰囲気は随所に感じられますが、ほぼ日本と同じような感覚で生活することができます。
人種も中華系を筆頭にマレー系、インド系と多種多様なので、欧米でたびたび報道されるようなアジア人差別は心配無用。
海外でも本格的で美味しい日本食が食べたい人
近年では海外でも日本食が食べられますが、日本の倍以上の金額を払ってもクオリティーが微妙ということはよくあります(特に欧米)。
その点シンガポールであれば日本人経営のお店が多いだけでなく日系の大手チェーン店も続々出店しているので、気軽に日本と同じ味を楽しむことができます。
日本の野菜やお菓子も簡単に手に入るので、自炊派の方も安心です。
シンガポールは異国感が少な目かつ日本人居住者が多いため日本人向けサービスも充実。日本人にとっては最高に暮らしやすい環境が整っています。
金融・IT業界に興味がある人
シンガポールは東南アジアの金融やデジタル産業のハブになっており、現地で働いている外国人はかなりの確実で金融産業に関わっていたり、世界有数のデジタル企業に勤めていたりします。
日本とは違いかなり高いポジションであっても非常にオープンな人が多いのも特徴的で、ネットワーキングイベントも非常に盛ん。語学力がある程度あれば、機会を見つけてそのような人たちに積極的に関わっていくことも可能です。
またプロフェッショナルのコミュニティーでは語学力よりも何を話すかが重要なので、英語が多少拙くても笑われたり無視されたりするようなことはまずありません。中級以上であればそのような環境に身を置いてみるとキャリアアップにつながる機会が得られるかも!
ただし満足に会話できない初心者レベルだとこの部分のシンガポールのメリットを生かすことは難しいです。(積極的に絡んでいかないと普通に放置されます)
シンガポールでの英語学習がおすすめできない人の特徴4選
さてここからはシンガポールで英語学習をするのはちょっと微妙かも…と思う人の特徴を挙げます。
完全な英語初心者
これは「シンガポールでの英語学習がおすすめできる人」の項目の裏返し。
基礎的な文法も覚束ない状態からシンガポールで言語学習を行う場合、よほどスパルタ式の語学学校を選ぶか、自分を律する覚悟がないと、日本や東南アジア以外で通用するレベルの語学力を習得するのは難しいです。
現地の友達を沢山作ることは語学力の上達につながりますし良い思い出になるかもしれませんが、シンガポールの場合に限って言えば、初学者の場合、意識していないとローカルの独特な英語のアクセントを身につける・シンガポール以外では通じない表現を身につける、といったことが生じる可能性もあります。
短期間ではそこまで現地に溶け込むようなことはないかもしれませんが、そのあたりのリスクは考えておいて損はないと思います。
またシンガポールはエンターテインメントが充実しているので誘惑も多いです。中級者以上であれば日常的に英語を使用して生活を楽しむ余地があるかもしれませんが、初心者だと語学学習の妨げにしかならない…ということになりかねません。
欧米に少しでも憧れがある人
シンガポールは非常にコスモポリタン。外国人住民が多いエリアもあり、アメリカやヨーロッパのような雰囲気を味わうことができるのも魅力的ですし、日本には進出していないオシャレなお店を周るのも楽しいです。
語学学習でいえば欧米系の語学学校に通えば欧米にいるような教育環境で英語を学習することができます。例えばブリティッシュカウンシルに通えばイギリスで勉強しているような気分を味わうことも可能。
ただしそこは東南アジアのシンガポールなので、欧米への留学をイメージするとかなりギャップがあります。英語=欧米といったイメージがある人やロンドンやニューヨークなど都市の雰囲気に興味がある人がシンガポールを選んでしまうと、理想とのギャップに苦しむことになるかもしれません。
ただしシンガポールの教育の質は一般的に非常に高いので、そのあたりが気にならないのであれば最高の環境(学習環境&住環境)が手に入ると思います!
「オシャレなシンガポール」ももちろんありますが、その魅力は欧米スタイルの重厚さとはまた違ったタイプだったりします。また「欧米っぽさ」を求めると非常に高くつきます。
暑い気候&高い湿度に弱い人
シンガポールは夏でも冬でも30度程度。
極端に暑くなることはありませんが、涼しくなることもほぼありません。日差しも強いので、焼きたくないなら対策が必須。毎日汗だくになって生活する覚悟が必要です。
また湿度も非常に高く、革製品はケアに気を使わないとあっという間にカビだらけになってしまいます。
爽やかな天候の日ももちろんありますが、日本の梅雨のような湿気が長期間続くようなイメージです。
これらの要素は裏を返せば南国リゾート感ということになるので、熱帯の気候が好きなら気に入るかも。
その他の住みにくさはこちらの記事でも。
費用をかけたくない、もしくはかけられない人
先述のとおり、シンガポールではほぼ全ての費用が日本と比較すると高いですし、支払う金額とサービスの質や量は日本以上に密接にリンクしています。そのため、費用を節約しようとすると必然的にサービスの質や量を犠牲にすることになります。
シンガポールの物価に見合うだけの予算がないと、生活上ひもじい思いをすることになりかねませんし、学習成果にも影響します。
ホーカーセンターで食事するようにしたりコンビニ利用を避けたりすれば多少節約になりますが、全体の費用を圧縮するほどの効果はありません。
シンガポールで英語を学ぶおすすめの方法
ここからはシンガポールで英語を学びたい方に向けて、おすすめの方法をご紹介します。
語学学校で学ぶのがベター
語学を体系的に学ぶなら、何と言っても語学学校。アウトプットの機会も得られて一石二鳥です。シンガポールには色々な語学学校があるので、選択肢は非常に豊富!
コース内容やレベルをよく確認して選びましょう。
ただかなり費用がかかるので、十分は予算を用意する必要があります。
テレビ・ラジオが良い教材。テレビならCNA・ラジオならClass 95
シンガポールのテレビやラジオも良い教材です。英語チャンネルであるCNA(テレビ)やClass 95(ラジオ)を日常的に流しておくと、自然にリスニング能力が鍛えられます。
教材や洋書も入手しやすい
シンガポールでは英語教材や洋書も入手しやすい環境が整っています。しかもシンガポール最大級の書店が日系の紀伊国屋書店なので、日本語で書かれた教材も購入可能。
初学者にとっては非常にありがたい環境です。
ネットワーキングイベントに参加してみるのも面白い
先述のとおり、シンガポールは外国人居住者も多いのでネットワーキングイベントも非常に盛んです。様々なイベントに足を運んでワイワイ楽しむのも、英語力を鍛えるのにかなり役立ちます。
ネットワーキングイベントを探せるプラットフォームには、例えば以下のようなものがあります。
- Meetup:興味関心や趣味で繋がれるプラットフォーム。
- Couchsurfing:無料で宿泊場所を提供したり提供されたりするプラットフォームですが、一緒に観光したり遊んだりする用途にも使えます。
- InterNations:興味関心や趣味で繋がれるプラットフォーム。こちらは主に外国人居住者が対象です。
交流目的のプラットフォームには他にもアプリなど色々な形態があるので、詳細はこちらの記事をご覧ください。
筆者のシンガポール英語学習体験談
ここからは実際にシンガポールで英語を学習した筆者の体験談をご紹介します。
ブリティッシュカウンシルで遭遇した、想定外のカルチャーショック
せっかく日常的に英語が話される国に住んだことだし、さらに英語力を高めたい(何ならイギリスにどっぷり浸かってアジアを忘れたい)!
そう考えた私はイギリスの機関でありIELTS対策もできるブリティッシュカウンシルに通うことにしました。
筆者が受講したのは以下のコース。
- ビジネスライティング
- IELTS対策コース(中上級)
ビジネスライティングのコースは、質自体には何の問題もありませんでしたが、問題は他の受講者でした。場所柄シンガポール人はほぼゼロ(英語で教育を受けているから当然ですね)でメインは他の東南アジア諸国の人たちやシンガポールで働く非英語圏出身者。
そのなかでインド系の一部の人が(悪い意味で)積極的だったのです。本筋と関係の無い質問をしたり、例題の電話番号に電話を掛けてみたり(!)…とやりたい放題でした。
授業に支障を来すレベルではなかったため大きな問題にはなりませんでしたが、日本では起こらないことが色々とあり、なかなかのカルチャーショックを味わいました。
一方でIELTS対策コースは受講者も目的がある程度明確なので、かなり真面目。東南アジアをメインに各国から来ている受講者は非常に優秀でした。
コース内容については、日本でもあまりしっかり学習しない冠詞の使い方や使わないパターンに関する講義は非常に役立ちましたし、ライティングの宿題やペアワークでも非常に鍛えられました。
欧米への憧れとのはざまで悩む日々
「おすすめしない人の特徴」の一つに「欧米に少しでも憧れがある人」を挙げましたが、これは筆者の体験談がベースになっています。
シンガポールに住み始めてシンガポール式英語に日々触れることになった筆者は、元々ヨーロッパ(特にフランス語圏)に憧れがありフランス語も勉強していたこともあり「このままでは自分の英語はシンガポール訛りになってしまう」という危機感を持ちました。
幸いシンガポールの英語放送局CNAのキャスターはシンガポール独特の訛りが聞かれなかったため、主にCNAを視聴していました。英語を聞くのが目的だったため、キャスター以外が話す場面は「字幕ON音声OFF」にして極力シンガポール英語が耳に入らないようにしていたくらい徹底していました。
あの時期は何を見ても「暑すぎる…」「服装がダサい…」「発音がおかしすぎて無理…」「ヨーロッパに配属された同僚が恨めしい…」といった感じの愚痴が止めどなく出ていました。今思えば病んでいたのかも。
シンガポールに興味があれば日々の生活を楽しむことができますが、そうでない場合はかなり辛い状況になります。欧米にこだわりがある方は可能ならやっぱり欧米に行った方が良いです。
成果が出てからやっとシンガポールをプラスに捉えられるように
幸いながらシンガポールにはシンガポール人以外の外国人も多いので、日本で慣れ親しんだアメリカ英語やイギリス英語に触れる機会も意識的に作ろうと思えば作れる環境であったため、外国人コミュニティや日本人コミュニティにとにかく顔を出して英語力の向上に努めました。
イギリスのスーパーマーケットM&Sに通い詰めていた時期もありました。
そして無事にIELTSの目標スコアもクリア。段々シンガポール英語に対する愚痴は減っていきました。
そんな過程を辿る途中、シンガポールの英語はいわゆるイギリス英語+中国語のシンガポールの方言「ビジン言語」でありシンガポールは準英語圏であるという情報を得て、腹落ちしました。またシンガポールにおける英語がどの人種にも属さない中立な言語という政治的な意図によって導入されたことも知りました。
結果論ですが、ここで自分が腹落ちしたのは英語力が向上している実感があったからだと思います。IELTSスコア等で結果が出ていなかったら「シンガポール英語に汚染されてしまったからもうヨーロッパに行けない…」なんて風にもっと病んでいたかもしれません。
結果として逆ホームシックになるくらい好きになれたのは、語学面の不安が解消されたからという側面もあるかもしれません。
まとめ
本記事では、シンガポール英語の概要、シンガポールでの英語学習に向いている人・向いていない人の特徴、筆者の体験談をご紹介しました。
シンガポールのミックスカルチャーは語学学習という側面から見ると、良い面も悪い面も色々あり、日本とは非常に異なる特徴を持っています。
もしシンガポールの特徴が面白そうと感じましたら、ぜひ語学学習先の候補に入れていただければと思います!
本記事が少しでも参考になれば幸いです。以上です。
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