日本から7時間程度とあまり距離も遠くなく年間を通じて温暖であることから、近年観光地として急速に人気が高まっているシンガポール。
世界的に知られた有名観光地が多数あるわけでもないですし、体験型アクティビティにもお金がかかるものが多いことから、定番スポットを回って数日間で終了、ということも良くあるのではないでしょうか。
でも!シンガポールの魅力はそれだけではありません。キラキラした観光地以外にも色々と興味深いエリアや風景もたくさんあります。
そういった魅力を発見するためにおすすめなのが自転車。自転車で街を巡ってみると、MRTやバスで巡るのとはまた違った視点で色々と面白いものが見つかること請け合いです。
この記事ではシンガポールに在住していた筆者が簡単にサイクリングを楽しむ方法とおススメのルートをご紹介します。
定番を外した観光プランに興味がある方、シンガポール人の日常に関心のある方はきっと面白い体験が出来るかと思いますので、参考にしていただけると嬉しいです。
シンガポールでサイクリングをおススメする理由6選
シンガポールには気軽にサイクリングを楽しんでいる人がいっぱい!
シンガポールでは元々サイクリングが人気のスポーツでしたが、コロナ禍で他者との接触を最小限に抑える必要が生じたことから、距離を保ちつつ一人でも複数人でも楽しめるサイクリング人気に一気に火が付きました。その人気は一時自転車が品薄になるほど。
現在コロナ禍はほぼ終わりを迎え自転車の品薄はひと段落したようですが、日常的な自転車利用はすっかり定着し、シェアサイクルのポートや利用者もかなり見かけるようになりました。
特に週末の朝は色々なところでお揃いのウエアを着こんだサイクリングのグループを見かけます。
政府も専用道を整備してサイクリングをサポート!
シンガポールでは政府も健康増進のためにサイクリングを奨励しており、その一環として住民がより快適にサイクリングを楽しむためにパークコネクターネットワーク(Park Connector Network)と呼ばれる自動車道を主要な公園を結ぶように整備されています。
2022年にはシンガポール島の周囲をカバーするRound Island Routeの東側半分(西側半分は2035年までに開通予定)が完成し、ネットワークはどんどん拡大しています。
寒暖差が少なく気温が安定。冬用ウェアは不要!
シンガポールでは赤道気候であり、日本のような四季がなく雨季(11月~2月)と乾季(3月~10月)に分かれています。雨季には少し肌寒い時期はありますが、気温は年間を通じて30度前後ですので屋外活動が快適にできます。日中の強い日差しが苦手であれば夜間に運動するのがおすすめです。
終電も東京と同様に0時近くまでありますので、ゆったり時間を掛けてサイクリングを楽しむことも可能です。
寒い時期がないので、寒さ対策用のウェアを購入する必要がない点もメリットだと思います。
ルートを選べば深夜でも安全に楽しめる!
2022年の調査では、シンガポールの治安は世界9位と日本(10位)よりも治安が良いという結果が出ています(Institute for Economics and Peace調べ)。事実筆者が深夜にサイクリングを行った際も特段危険は感じず、むしろエリアによっては深夜であってもピクニックを行っている団体(しかも家族連れ)が居るくらいです。
海外であることには変わりないので最低限の注意は必要ですが、夜間に運動に出るくらいであれば全く問題はないと言えるでしょう。
土地が平坦
シンガポールの最高峰はブキティマヒル(Bukit Timah Hill)の164mであり、高い山はありません。
海岸沿いが平坦なのはもちろん、内陸部を走行するときでもそこまでの高低差がなく、比較的快適に長距離を走行することができます。
筆者が実際にサイクリングしていたときも、多少の坂はあったものの激しい高低差で苦労した記憶はありません。
シェアサイクルの利用が定着している
シンガポールでは大きな公園(イーストコーストパーク等)では自転車の貸し出しサービスを行っているため、旅行者でも気軽にサイクリングを楽しむことが出来ます。またアプリを利用したシェアサイクルサービスも至る所で見かけます。
筆者のおススメは利用可能な自転車さえ見つかれば24時間利用でき、所定の場所に乗り捨てできるシェアサイクルです。シェアサイクルはいくつか種類がありますが、自転車やポートが見つけやすく自転車自体のメンテナンスも比較的良いと思われるAnywheelがおすすめです。
シェアサイクルAnywheelの使い方
ここでは筆者おススメのAnywheel(Anywheel | Go Anywhere With Anywheel)の使い方をご紹介します。なおこのサービスは16歳以上の方を対象としていますのでその点だけ注意が必要です。
アプリで利用登録を行い、必要金額をチャージする
アプリをストアからダウンロードし、アカウント設定を行います。
アプリのダウンロードはこちらから。
SNSアカウントと連携すると色々な個人情報の入力が省けます。2023年6月現在、Facebook、Apple、Googleのアカウントと連携させることができます。
アカウントを設定出来たら、都度利用に足りる分の金額か決められた期間であれば定額で利用可能なAnywheel Pass購入分の金額をアプリ経由でチャージします(チャージ金額はシンガポールの場合、20~200シンガポールドル(SGD)の範囲で決めることが出来ます)。
トップ画面左上の人物マークをタップすると、以下の画面に遷移します。都度利用の場合は画面上部「Anywheel Credit(S$)」のTop Upを、定額プランを購入する場合はその下「Anywheel Pass」のPurchaseをタップします。
ここでは都度利用に必要な分をチャージする方法をご紹介します。
Top Upをタップすると以下の画面に遷移します。
決済方法としてはPayNow(銀行送金)、デビッドカードかクレジットカード、Apple Pay、WeChat Payが使えます。
最低チャージ額は10SGDです。
Mobile No.にアカウントと紐づけた番号が表示されていることを確認し、チャージ金額を20ドルから200ドルの間で入力します。
都度利用の場合、料金は最初の30分が1SGD(ファミリータイプは4SGD。2023年4月末のレートで1SGD=約100円)で、その後は30分超過ごとに1SGDが追加で掛かります。
チャージが成功すると、「Anywheel Credit(S$)」にチャージした金額が反映されます。
なおAnywheel Passは7日間(6.90SGD)、30日間(9.90SGD)、90日間(26.90SGD)の3種類が用意されています。
Creditにチャージ額を正しく反映させるには、チャージ先として指定した電話番号とアカウントの電話番号が一致している必要があります。
チャージ額が正しく反映されない場合、アプリ側の番号とSNS側の番号(Googleアカウントの番号)が一致しているか確認してみてください。
利用可能な自転車を見つける
アプリを起動して自転車を探す
BluetoothをONにしてアプリを起動すると、現在地(黒いピン)と利用可能な自転車の位置(緑色の自転車マーク)が地図上に表示されるので、地図を確認して自転車を見つけます。
自転車が壊れていたりタイヤがパンクしていたりすることがあるので、ロックを外す前に自転車の状況をよく確認しましょう。
見つけ方のコツ
利用可能な自転車が周辺に全く存在しない場合や地図上に自転車があるはずなのに見つからない場合もよくあります。
例えば平日夕方~夜の場合は、自転車が通勤に利用されているためオフィス街や繁華街では見つかりづらいことがあります。その場合は住宅街に近づけば利用可能な自転車が見つかるかもしれません。
また自転車が私物化されているケースもよくあり、地図上に利用可能な自転車があったとしても実際にはその場所に無かったり、私物のカギで施錠されていて使えないということが意外とあります(特にHDBの周辺で多いイメージです)。その場合は残念ですが別の場所を探す必要があります。
自転車のロックを解除して、サイクリングを楽しむ
ロックを解除する
QRコードを利用するアプリ上で「Scan to Ride」をタップし、自転車に付けられたQRコードをスキャンすると、ロックが解除できます。
サイクリングを楽しむ!
無事に自転車のロックを解除できたら、シンガポールの交通ルール(LTA | Rules & Code of Conduct)を守って楽しくサイクリングを楽しみましょう!
自転車を返却する
返却できる場所を探す
返却場所はアプリの地図上にPマークとして表されます。返却場所に到着したら自転車をロックし、返却場所に設置されているQRコード(大体地面に張り付けてあります)をアプリで読み取って返却手続を行います。
ちゃんと返却手続を行わないとペナルティが課せられるので注意!
もし故障によりロックが出来ない場合、アプリで「Force End Trip」を選択したうえで返却場所のQRコードをスキャンして返却しましょう。
深夜・早朝の場合の帰宅方法
シンガポールは配車アプリが発達しています。Grab、Gojek、ComfortDelGro等お好みに合わせて選択してください。
筆者的おすすめサイクリングルート3選
ここから先は筆者が実際行ってみて個人的に良いと思ったサイクリングルートです。
全て40分程度の小旅行です。
マリーナベイサンズ~イーストコーストパーク
CBDエリアで自転車を調達し、マリーナベイサンズからスタートします。ガーデンズバイザベイ脇をすり抜けてマリーナバラージの橋を渡った後、イーストコーストパークを西から東へ駆け抜ける所要40分程度のコースです。
筆者のおススメポイントと注意点
マリーナベイサンズやガーデンズバイザベイといった有名観光地とシンガポール人に人気のイーストコーストパークを結ぶルートで、人気コースのため夜間でも多くのサイクリストが走っています。2022年11月にMRTガーデンズバイザベイ駅が開業したためショートカットも可能。
マリーナバラージとイーストコーストの間のルートが一部分かりづらい箇所があるので注意。PCNの表示が路面にあるので見失わないように辿りましょう。
おススメ補給スポット
- Satay by the Bay
- Burger King Coastal Playgrove
- St. Marc Bakery & Bar
- McDonald’s Marine Cove
Satay by the Bayはホーカーセンタースタイルの屋台街で22時頃まで営業。サテー以外にもシンガポールの様々な料理が安価に楽しめ、フレッシュジュースも美味しいです。
バーガーキング以下はイーストコーストパーク内の店舗で、西から東に比較的営業時間の長い店舗をピックアップしました。
筆者のお気に入りは24時間営業のマクドナルドです。
チャンギエアポートコネクター~イーストコーストパーク
チャンギ空港ターミナル2のGoCyclingからチャンギエアポートコネクターを経由してイーストコーストパークに至る所要40分程度のコースです。最初に挙げたコースと被らないようにゴールをシンガポール随一のオシャレカフェであるPS.Cafeにしてみました。
筆者のおススメポイントと注意点
このルートではチャンギ空港隣接のサイクリスト向け施設「Hub&Spoke」、恐竜の巨像(効果音付き)の脇を通り抜ける「チャンギジュラシックマイル(Changi Jurassic Mile)」といったユニークな施設が体験できます。
チャンギジュラシックマイルは家族連れが多いので、徐行するなどの配慮を。
また夜間はチャンギジュラシックマイルを出てからイーストコーストパークまでの道が暗めです。
おススメ補給スポット
- Jewel Changi Airport
- Hub & Spoke Cafe
- High Tide Bistro and Bar
- PS.Cafe at East Coast Park
スタート地点から多少戻りますが、世界最大の人工の滝や多くのレストラン・ショップが揃うJewelで買い物をしておくのも一案かもしれません。そのほかは営業時間が長めの飲食店をピックアップしました。
MRTイオチューカン駅~MRTカラン駅
MRTイオチューカン駅からアンモーキオタウンガーデンを経由してMRTカラン駅まで、カラン川に沿って南下する所要40分程度のルートです。
筆者のおススメポイントと注意点
このルート沿いには特筆すべきスポットは多くありませんが、シンガポールの典型的な集合住宅群(HDB)が立ち並ぶ風景やホーカーセンターの賑わいといったシンガポール人の日常生活を垣間見ることが出来ますので、ローカルカルチャーに関心がある方であれば面白いと思います。
都市部を走るためルートを見失いやすいので、道路に書かれたPCNの表示を常に意識する必要があります。
おススメ補給スポット
- AMK Hub
- McDonald’s Bishan Park
- Geylang Bahru Market and Food Centre
- Upper Boon Keng Market & Food Centre
都市部を縦断するルートではありますが、カラン川沿いのPCNには補給スポットがほぼありません。
スタート直後のAMK Hubやマクドナルドは比較的アクセスしやすいです。MRTカラン駅に近づくといくつかホーカーセンターがありますので、ルートに近いホーカーセンターを挙げています。
まとめ
筆者は海外旅行中にヨーロッパや中国の都市で自転車を借りて観光をしたことがありましたが、シンガポールはその中でもシステムの便利さや交通事情が突出していると感じました。
個人的には夜景の癒し効果と涼しい風を感じられる夜のサイクリングが好きでした。
シンガポールを訪れた際は、観光の合間にサイクリングを組み込んでみてはいかがでしょうか。
以上です!
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