リヨンでの半年間の交換留学体験記。得たものや反省点を振り返る【隣国でも全く違った】

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EMリヨンビジネススクールでの交換留学を無事に終え、ジュネーブに戻ってきました。

距離的にかなり近い(ジュネーブからリヨンへは電車で2時間)交換留学であり、かつ異なる専攻(ビジネス)について学ぶということで、正直成果についてあまり期待していませんでした。

ただふたを開けてみると、目標としていたフランス生活体験以外にも学業面で面白い展開があり、行って良かった!というのが感想です(やっぱり食わず嫌いは良くないですね)。

ジュネーブから離れていた期間はたったの半年間でしたが、リヨンという都市にも愛着が湧きましたし、ジュネーブが余計に新鮮に感じられて修論にも熱が入るような気がします。

この記事では、EMリヨンビジネススクールを選んだ経緯やリヨンでの日々の過ごし方をはじめ、交換留学を通じて得られた学びや気づきについてまとめたいと思います。

留学や交換留学に関心のある方への参考になれば幸いです。

目次

時系列で交換留学を振り返る

まずは交換留学を時系列で振り返ってみたいと思います。

交換留学先の選定

交換留学についてはIHEID入学以前から念頭に置いていました。2年間のプログラムを選んだのもそのため。

当初考えていたのはパリ政治学院かシンガポール国立大学。パリ政治学院は当初の第一志望ですし、シンガポール国立大学はまたシンガポールに住んでみたい!という願いを叶える場所だったので、ある意味必然といえるでしょう。

いずれも大人気の大学なので難易度が高いことは分かっていましたが、ジュネーブに集う学生のレベルはやはり高く、交換留学の要件となるGPAは思うように上げることができず。結局どちらにも行くことは叶いませんでした。

そんな中で飛び込んできたのが、今年度から交換留学先に加わったEMリヨンビジネススクール。

ここで以下のようなモチベーションが思い浮かびました。

  • 日常生活でフランス語をもっと磨く機会が得られる(フランス語力の強化)。
  • ずっと体験してみたかったフランス生活が体験できる。
  • これまでの職歴やジュネーブでの学びをビジネススクールの知見と掛け合わせることができる。
  • 全く異なる学問領域であっても、これまでの知見を生かして貢献できる。

それらをまとめて数行の短いモチベーションレターを書いたところ、交換留学が許可されました。

交換留学が決まってから

交換留学先が決まったのは第2セメスターの半ば。

本来ならそこから家探しなどの具体的なアクションに移っていくと思いますが、交換留学の正式決定に必要な第2セメスターの単位を落とさないために必死だったこと、リヨンがジュネーブから比較的近いという心理的な安心感といった要素が重なり、リヨンの居住環境を整えるための準備が遅れました。これが第一の反省点。

IHEIDの学科は単位認定が厳しいので、なかなか交換留学にまで気を回せませんでした。

結果として第2セメスターは単位を落とすことなく、交換留学が正式決定することになりました。

授業選び

交換留学にあたりまず取り組んだのが、交換留学先であるEMリヨンビジネススクールで受講する授業の選択です。

交換留学先となるプログラム(Master in Management Grande Ecole)では授業が英語とフランス語で開講されているため、修士課程レベルのフランス語能力がない筆者は英語の授業を選ぶ必要がありました。また学問領域が異なるため、そのなかでもジュネーブにおける専攻に比較的近い内容の授業を選択する必要がありました。

そこで筆者が考えた授業選びの軸と実際に選択した科目が以下のとおりです。

  • 国際機関で使えそうな組織論・イノベーション関連の授業→Leading Strategic Change、Managing international teams、Strategic Networks、Organizing Social Innovation
  • 修士論文の執筆に役立つ環境関連の授業→Systems Thinking and Sustainability、Climate Strategies for Organisation、
  • 修士論文の執筆に役立つ理論関連の授業→Systems Thinking and Sustainability、Strategic Networks
  • 修士論文の執筆に役立つ知見・コネクションが得られる授業→Organizing Social Innovation

ビジネススクールでは新しい視点を取り入れることに重きを置く計画でしたが、実際にシラバスを見て意外と元の専攻と関連した内容が多く、科目によっては一つ取るだけで複数の目的を達成できることも分かりました。

またフランス語(語学)やスポーツ科目も取ることができたので、それらも含めてスケジューリングをすることにしました。

唯一の懸念点が、授業のサイクルが非常に短いこと。科目を多く取ることが可能になる点は良いですが、本来ミッドタームにあたる期間がサイクルの終わりになってしまうため、かなり集中して授業に臨まないとあっという間に終わってしまいます。

家探し

家探しについては、最初の出遅れが響きかなりの苦戦を強いられました。

家探しの苦労については以下の記事にまとめたとおりですが、早いタイミングなら契約できたかもしれない学生用アパートの機会を逃し、結局相場からかなり高い物件を契約することになったのは痛かった…。

値段相応のハイグレードな住居ではありましたが、それが家計を圧迫することになったことは否定できません…。

交換留学開始~交換留学中(初期)

交換留学先であるリヨンへは、ジュネーブから電車で向かいました。

リヨンには何度か行ったことがあったので多少の土地勘はありましたしSNCFの割引カードも持っていたので、かなりお得に移動することができました。

日帰りで何度か行ったことのあるリヨンに住むことになるなんて…と何だか不思議な気分になったことを覚えています。

授業が始まってまず戸惑ったのが、一コマ当たり3時間という授業の長さと異様にフレキシブルなスケジュール。慣れるまでは少し大変でしたが、ジュネーブと比較してかなりリーディング量が少なかったため、何とかバランスを保つことができました。

一方の生活面ですが、これまでのフランス渡航を通じてちょっとした憧れを抱いていたものに囲まれる生活は単純に楽しかったです。家の近くにはパリ発のお店が多かったこともあり、その点でも充実していました。

ただしパリへの憧れめいた感情は消えず、そこだけがちょっと苦しかったですね…。

交換留学中(中期)

授業がスタートして数週間経つと課題やグループワークが本格化してきます。

この頃になると(目論見通りではありますが)過去のキャリア経験からシェアできる事例がかなり多いことに気づき、授業が楽しくなってきました。授業中の発言もかなり多かったと記憶しています。

授業中の発言は当初からノルマとして自分に課していたものの、何の問題もなくできるようになっていましたね。そして教室の定位置は最前列!食い入るように授業を受けていました。あまりに発言しすぎて、教授が「他に発言したい人いませんかー?」みたいな状態になったこともありました。

また、グループワークの難しさに気づいたものこのあたりです。

最初は手探りで取り組んでいたグループワークも数週間経つと徐々に個々人のカラーが出てきて、フリーライダー問題が発生したり、個人間のトラブルが発生したり、課題になかなか取り組まない人がいたり、もう色々!といったところ。これまでここまでグループワークに取り組んだことはなかったので、ここまで考え方やスタンスが違う人がいるのか…と新鮮でした。

年齢というか世代間の差のようなものについても考えさせられた時期でしたね。気づけば国籍を問わず友人もできていました。

交換留学中(末期)~交換留学終了

交換留学中のプログラムでは、(ジュネーブと比較すると)課題や試験がかなりマイルド。

そのせいか学生(特に交換留学生)はヨーロッパ全土を旅行しまくっている人が多くいたように記憶しています(自分はフランス生活が目的だったので特段旅行せず。行ったのはパリだけ)。

交換留学末期は、ビジネススクールでありながらジュネーブでの修論に近い内容を学べたり、有用なコネクションが得られたりと、点が線になるような、個人的に面白いと思うことが色々と起きていた時期でもあります。

自分の興味を爆発させていました。笑

リヨンでのクリスマスと年越しも良い思い出になりました!

フランスの大学院で得たもの

ここからは交換留学を通じて気づいたことをまとめます。

専門知識・異なる視点が得られた

まず挙げられるのは、何といっても新しい分野を学習できたこと。

ビジネススクールでは、これまでに学んだり経験を積んできたりした分野とは全く異なることを学習することができました。

特に西洋と東洋の感覚の違いとそこから派生するマネジメント手法の違いや、組織に変化を起こすための方法論、企業活動とサステナビリティの関わりやその分析手法といった内容については、ビジネススクールならではの観点だなと感じました。

リヨンで得られた観点をジュネーブでの学びと上手く掛け合わせられないか考え中です。

人脈が広がった

交換留学は外国人と仲良くなることを目標にすることが多いと思いますが、筆者の場合、他の学生はもちろんのこと教授や大学の職員といった様々な人ともつながりを持つことができました。

実は学生よりも教授陣のほうが年齢が近くて話しやすかったり…。

そのような人々と修士論文について相談したりキャリアや経験について話したりしたことは、本当に楽しかったです。対話を通じて気づきを得られたことは数知れません。

あとは学校外で修士論文や今後のキャリアに関係する人を紹介してもらえる機会に恵まれたことも大きな成果でした。

キャリアの幅が広がりそう

ビジネススクールで学ぶ機会を得られたことで、これまで公共分野一辺倒だった自分のキャリア展望に新たなカラーが加わったように感じます。

交換留学は学位も得られないですしどんなに良い成績を取っても派遣元には記録されませんが、そこで得た単位以外のつながりや成果を人生に反映させる方法はいくらでもあります。

新卒で修士課程に進むと「修士課程で得た学びを職業人生に活かす」という観点になりますが、筆者の場合は「修士課程で得た学びから過去の職業人生を再構築(新しい意味を与える)し、さらにこれからに活かす」という観点になるので、ビジネススクールでの学びを過去のキャリアの解釈に活かすことが可能になります。

これまでのキャリアに自己判断100%ではない新たな解釈を与えることができることは、これから新たな職を得るにあたって重要な武器になりそうな予感がしています。

同じヨーロッパでも全く違うことに気づけた

もう一つの気づきが、ジュネーブとリヨンの違い(もっと言うとスイスとフランスの違い)です。

筆者はジュネーブ在住時にもリヨンを訪れていましたし、買い物のため日常的にフランス領に行っていました。完全に地続きかつ使用言語も同じフランス語なので、そのときはそこまで違うように感じていませんでした。

取り扱い商品であったり、物価であったり、行政制度だったりといった分かりやすい違いには思い至っていましたが、それだけ。

ですが、リヨンに住んでみてビックリ。スイスとフランスでは人々の考え方や行動原理が全く違います。

スイスは直接的な表現を使うのと対照的にフランスでは間接的だったり、スイスが極端なローコンテクスト文化なのに対しフランスは実は割とハイコンテクスト文化(それでも日本ほどではない)だったり。

異文化の違いを理解するという面では日本vs海外という構図でまず理解すると思いますが、今回の交換留学で、スイスvsフランスという構図も自分の頭の中に持つことができました。

イタリアからの交換留学生が多かったので、さらにフランスvsイタリアという構図もできました。ヨーロッパ内でもこんなに違うなんて面白いですね。

フランス生活を疑似体験できた

夢のフランス生活?に向けたシミュレーションができたのもちょっとした成果でした。

各種手続きをフランス語だけでやってみた

リヨンでは学校や観光地を除き基本的に英語が通じません。そのため銀行口座の開設や医療保険の加入などの手続きはフランス語で行うことになります。

割と英語が通じるジュネーブとは決定的に違う点です。

フランスに住んでみたいと考えていた筆者にとって、これはなかなかに良い経験になりました。

フランス語だけでも意外とできるな、というのが筆者の感想です。

月々の収支のシミュレーションができた

実際に住んだらどのくらい生活費がかかるのか?といった費用面でのシミュレーションができたのも大きかったです。

短期滞在だとどうしても名物料理を食べに行ったりお土産を買ったりしますが、住んでいるとそういったことは滅多にしないので、リアルな支出額や支出の傾向を把握することができます。

初月は出費が多いので比較には使えませんが、数ヵ月経って家計簿を見直してみると意外と出費が少なかったです。自炊をベースにできるのが大きかったですね。

日々のルーティーンがイメージできた

住んでいると観光に行かなくなりますし、そもそも授業や課題があるので、毎日の行動がある程度固定されてきます。そうすると、自分がフランスに住んだら取りがちな行動や行きがちな場所が分かってきます。

自分の場合は以下のような感じでした。

  • 勉強はカフェですることが多い。ランチも合わせてカフェで取ることも多い。
  • 勉強に疲れたら大体美術館や博物館に行く。
  • 外食は心のうるおい。ある程度の頻度で行きたい。名物料理も食べたい。
  • 都市内を移動するのが好き。地下鉄があればGOOD。

上記から、自分がもしフランスに住むとしたら、普段使いできるカフェがあり、美術館や博物館が充実していて、ある程度手頃なレストランがあり、一定程度の規模のある都市を選ぶと快適に過ごせそうな感じがします。つまり、フランスであれば人口第2位の都市圏にはひとまず住めそうということが分かりました。

逆に美しい村なんかに住んだら窒息しそうな気がします。笑

パリ以外の都市の魅力に気づけた

フランスは都市間の差が激しく、極端に言えばパリ以外は全て田舎町と言っても差し支えないほど。東京以外にも大阪や名古屋といった規模の都市圏を持つ日本とはかなり違います。

リヨンに住むまではフランス=パリ、パリ以外ありえないという狭い発想でしたが、今回リヨンが意外と住みやすいことに気づくことができましたし、地域ごとの特色を体験することができました。

特にリヨンのブションは自分にとってかなりの発見になりました。

リヨンにこんなに名物料理があるのは知りませんでしたし、短期滞在時にはそれらがこんなに日常に根付いていることにも気づきませんでした。

正確に言うと、名前自体は知っていたものの自分がブションで食べるイメージがなかった、といったところ(神楽坂にあるブション近くに住んでいたことがあるにも関わらず、です)。

こうやってみると、つくづく「認識していないものは見えない」ことが分かります。

まとめ

本記事では、筆者のリヨンでの交換留学について色々と振り返ってみました。

以前の記事で交換留学のメリットとデメリットについて考えましたが、自分の経験では割とその中でもメリットを享受できた感覚があります。積極的に動いたからか非常に多くの学びがありました。

充実感があったという証拠なのか、リヨン生活の終わりはちょっとした寂しさもありましたね。

これからの学生生活やキャリアでこの経験を活かせる道を模索していきます!

以上です。

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