パリの街角に漂う芳しい香りの一つといえば、やはりオニオングラタンスープ。このシンプルでありながら心温まる料理は、パリの寒い季節には欠かせない一品です。
玉ねぎをじっくりとカラメル化させ、白ワインで煮込み、香ばしく焼かれたバゲットとたっぷりのグリュイエールチーズを乗せて仕上げるこのスープは、フランス料理の伝統を色濃く反映しています。
パリのレストランやビストロでは、さまざまなスタイルのオニオングラタンスープが提供されており、それぞれが独自の風味や工夫を凝らしています。
今回は、パリでオニオングラタンスープを食べる際に特におすすめの6つのレストランを紹介します。
長い歴史を持つ老舗から地元の人々に愛されるカジュアルな場所まで、どのレストランでもスープを通じてパリの魅力を感じることができるでしょう。
フランス料理の真髄ともいえるこの一品を、ぜひ味わってみてください!
オニオングラタンスープは大抵の場合コースに組み込まれているので、合わせて試してもらいたいメイン料理もご紹介します!
オニオングラタンスープの歴史とパリで食べるべき理由
オニオングラタンスープの起源
オニオングラタンスープ(Soupe à l’oignon gratinée)はフランス料理の中でも特に有名な伝統的なスープの一つで、その歴史は長く、深いものがあります。
発祥は18世紀頃とされ、特にフランスの庶民的な料理として親しまれてきました。このスープの起源は、玉ねぎという安価で手に入りやすい食材を使い、寒い季節に体を温めるために作られたシンプルな料理でした。
オニオングラタンスープが特に注目されるようになったのは18世紀のパリ。主に夜遅くまで開いているレストランや、早朝まで営業しているマルシェ(市場)で労働者や夜更かしをする人々に提供されていたことがきっかけです。労働者たちは長い労働の後に、温かいスープで体を温めるためにこの料理を食べ、パリのマルシェ・デ・アリーグル(Marché des Halles)などでは特に人気が高まりました。
また、オニオングラタンスープは王政時代にも貴族たちの間で人気を博したことが知られています。
特に有名な逸話として、ルイ15世が狩猟中にわずかな食材しか手に入らなかった際、彼自身が玉ねぎ、バター、シャンパンを使ってオニオングラタンスープを作ったという話が伝えられています。この逸話が真実かどうかは定かではありませんが、オニオングラタンスープの歴史において興味深いエピソードです。
パリでオニオングラタンスープを食べるべき理由
パリは世界中の美食家たちにとって魅力的な場所であり、フランス料理の真髄を味わえる街です。その中でも、オニオングラタンスープは特にフランスらしい一品として、パリで食べる価値があります。
まず、フランスならではの食材の新鮮さと質の高さが挙げられます。玉ねぎやバゲット、グリュイエールチーズといった基本的な材料の品質が、フランス国内では特に優れています。これにより、シンプルでありながらも豊かな味わいを持つスープが出来上がるのです。
また、パリには伝統を守り続ける老舗レストランが数多く存在し、オニオングラタンスープもその一部として長い歴史の中で改良され続けてきました。各レストランが独自のレシピを持っており、どのレストランで食べるかによって微妙に異なる味わいが楽しめます。
さらに、パリという街そのものの歴史的背景や雰囲気の中で味わうオニオングラタンスープは、単なる料理以上の体験となるでしょう。
Le Terminus Nord
Le Terminus Nord(テルミニュス・ノール)は、パリ北駅(Gare du Nord)のすぐ近くに位置する歴史あるブラッスリーです。
このブラッスリーは1920年代に創業され、アールデコ様式の内装が特徴的です。
Le Terminus Nordは地元の人々にも観光客にも愛されており、特にクラシックなフランス料理を提供しています。その中でも、オニオングラタンスープは定番メニューの一つです。
オニオングラタンスープの特徴
ここで提供されるオニオングラタンスープは、非常に伝統的なスタイルで作られています。
たっぷりのカラメル化された玉ねぎを、白ワインで煮込み、濃厚なグリュイエールチーズをたっぷりとかけたバゲットとともに提供されます。スープ自体の深い甘さとチーズの塩味が絶妙に絡み合い、寒い日には特にぴったりの一品です。
メインで食べるべき名物料理:シュークルート
Le Terminus Nordの名物料理としてぜひ試してほしいのが「シュークルート(Choucroute)」。
アルザス地方の伝統料理で、キャベツを発酵させた酸味の効いた付け合わせとともに、ソーセージやハム、豚肉などが盛り合わせられた豪華な一品です。
ボリュームがありフランスの地方料理をパリで楽しむことができる、非常に満足感の高い料理です。
レストランの情報
レストランの営業時間などの情報はこちら。
店舗名 | Terminus Nord |
住所 | 23 Rue de Dunkerque, 75010 Paris |
営業時間 | 7時30分~0時(日曜日・月曜日は23時まで) |
最寄り駅 | Gare du Nord |
公式ウェブサイト | Terminus Nord | Brasserie | Sur place | A Emporter | Paris | Gare du Nord |
場所はこちら。パリ北駅の目の前で治安が若干悪いので、ランチ利用か早めのディナー利用がおすすめ。
Au pied de cochon
Au Pied de Cochon(オ・ピエ・ド・コション)は、パリで最も有名なブラッスリーの一つで、パリ中央市場(Marché des Halles)近くに位置しています。
このブラッスリーは、(ほぼ)24時間営業しており、特に夜中から早朝にかけて、オニオングラタンスープを提供することで知られています。
創業は1947年で、当時の市場で働く労働者たちが朝食代わりにこのスープを楽しんでいたという歴史を持っています。
ピエ・ド・コション=豚足。時間帯によってはレストランのユニークな歌が掛かっているので、ぜひ聴いてみてください。
オニオングラタンスープの特徴
Au pied de cochonのオニオングラタンスープは、その豊富な具材とボリューム感で知られています。
スープはたっぷりのキャラメライズされた玉ねぎとともに、白ワインやブイヨンでじっくり煮込まれ、上にはグリュイエールチーズがたっぷりとかけられ、オーブンで焼き上げられます。
この場所の雰囲気と歴史を感じながら、温かいスープを楽しむのは特別な体験です。
メインで食べるべき名物料理:豚足料理(ピエ・ド・コション)
このレストランの名前の由来ともなっている「ピエ・ド・コション」(豚足料理)は必ず試してほしい一品です。
柔らかく煮込まれた豚足は、外側がカリカリと香ばしく、内部はゼラチン質でジューシーな食感が楽しめます。フランスらしいボリューム感ある肉料理であり、特に肉好きの方におすすめです。
筆者訪問時はちょっと気分ではなかったので、次に気が向いたら挑戦します。
レストランの情報
レストランの営業時間などの情報はこちら。
店舗名 | Au Pied de Cochon |
住所 | 6 Rue Coquillière, 75001 Paris |
営業時間 | 8時~11時、11時30分~翌5時 |
最寄り駅 | Les Halles |
公式ウェブサイト | Au Pied de Cochon | Brasserie | Sur place | A Emporter | Paris | Les Halles |
場所はこちら。メトロやRERの複数の路線が利用できるのでアクセスは抜群です。
Bistrot des Vosges
Bistrot des Vosges(ビストロ・デ・ボージュ)はパリのマレ地区に位置する居心地の良いビストロで、フランスの伝統料理を提供しています。
地元の人々に愛されるこのビストロでは、オニオングラタンスープもメニューに含まれています。このビストロの魅力は、その落ち着いた雰囲気と手頃な価格で、地元の食文化を楽しめる点にあります。
こちらのオニオングラタンスープはかなり評判が良いようで、店先にも「お客さんの人気ナンバーワン」的なことが書かれています。
オニオングラタンスープの特徴
ここのオニオングラタンスープは、特にバランスの取れた味わいが特徴です。キャラメル化された玉ねぎの甘さとチーズのコクが調和しており、スープの一口ごとに豊かな風味が広がります。
ビストロの温かみのある内装とともに、カジュアルに本格的なフランス料理を楽しみたい人にはぴったりの場所です。
メインで食べるべき名物料理:カスレ
Bistrot des Vosgesでのおすすめメイン料理は「カスレ」です。
この南フランスの伝統料理は、白インゲン豆とソーセージ、そしてコンフィにした鴨肉や豚肉が煮込まれた豊かな味わいが特徴。寒い季節にぴったりのボリュームたっぷりの一品で、ビストロの落ち着いた雰囲気の中でじっくりと味わいたい料理です。
レストランの情報
レストランの営業時間などの情報はこちら。
店舗名 | Bistrot des Vosges |
住所 | 31 Bd Beaumarchais, 75004 Paris |
営業時間 | 12時~22時 |
最寄り駅 | Bréguet – Sabin |
公式ウェブサイト | Le Bistrot des Vosges |
場所はこちら。マレ地区の東端にあるので、マレ地区散策の〆にどうぞ。バスティーユ広場からもアクセス良好です。
Le Bouillon Pigalle
Le Bouillon Pigalle(ル・ブイヨン・ピガール)は、パリ北部のピガール地区にある人気のレストランで、リーズナブルな価格とクラシックなフランス料理が楽しめることから、多くの人々に愛されています。
ここでは、シンプルでありながらも心温まるオニオングラタンスープが提供されています。
オニオングラタンスープの特徴
このレストランのオニオングラタンスープは、非常にクラシックなレシピに基づいて作られており、玉ねぎをじっくりとキャラメル化させた後、白ワインで煮込みます。スープの上にはたっぷりのバゲットが浮かべられ、その上にグリュイエールチーズをふんだんに乗せて焼き上げられます。
ボリューム満点でありながら、どこか家庭的な味わいが感じられるのがこの店の魅力です。
メインで食べるべき名物料理:ビーフブルギニョン
Le Bouillon Pigalleでは、フランスの伝統料理「ビーフブルギニョン(Bœuf bourguignon)」が名物です。
赤ワインでじっくり煮込まれた牛肉は非常に柔らかく、豊かなソースがパンにもよく合います。家庭的でありながらも洗練された一皿で、リーズナブルな価格で本格的なフランスの味を堪能できるのが魅力です。
レストランの情報
レストランの営業時間などの情報はこちら。
店舗名 | Bouillon Pigalle |
住所 | 22 Bd de Clichy, 75018 Paris |
営業時間 | 12時~0時 |
最寄り駅 | Pigalle |
公式ウェブサイト | https://bouillonlesite.com/bouillon-pigalle |
場所はこちら。開店直後に行けばあまり並ばずに済みますが、そうでない場合は並ぶ時間と食事時間を合わせて少なくとも3時間は確保したいところです。モンマルトル散策とセットでどうぞ。
La Coupole
La Coupole(ル・クーポール)はモンパルナス地区にあるパリの有名なブラッスリーで、1927年に創業されました。
このブラッスリーは、アールデコ様式の豪華な内装で、パリの文化的アイコンとして長い歴史を誇っています。ジャン・ポール・サルトルやシモーヌ・ド・ボーヴォワール、ヘミングウェイなど、芸術家や知識人が集まった場所としても知られています。
そんなLa Coupoleでは、伝統的なフランス料理のほか、クラシックなオニオングラタンスープも提供されています。
オニオングラタンスープの特徴
ここで提供されるオニオングラタンスープは、しっかりと煮込まれた玉ねぎの甘さが特徴で、たっぷりのグリュイエールチーズがとろけたバゲットと一緒に提供されます。
歴史的な雰囲気とともに、フランス料理の伝統的な一皿を楽しむことができるのが魅力です。
メインで食べるべき名物料理:
La Coupoleのもう一つの名物料理は「カレー・ド・アニョー(Curry d’agneau)」、つまり子羊のカレーです。
この料理は、フランスのクラシックなブラッスリー料理にインドのスパイスを取り入れたもので、香り豊かでスパイシーな味わいが特徴です。しっかりとしたボリュームがあり、La Coupoleで一度は試しておきたい一品です。
レストランの情報
レストランの営業時間などの情報はこちら。
店舗名 | La Coupole |
住所 | 102 Bd du Montparnasse, 75014 Paris |
営業時間 | 8時~0時 |
最寄り駅 | Vavin |
公式ウェブサイト | La Coupole | Brasserie | Fruits de mer | Sur place | A Emporter | Livraison | Paris 14 (lacoupole-paris.com) |
場所はこちら。モンパルナス界隈にはこのレストラン以外にも文豪や芸術家が通ったスポットがたくさんあるので、その時代に思いをはせてみるのも楽しいです。
Au Chai de l’Abbaye
Au Chai de l’Abbaye(オー・シェ・ド・ラベイ)はパリ6区に位置するカジュアルなワインバー兼ビストロで、地元の人々に親しまれています。ここでは、フランス各地から厳選されたワインとともに、伝統的なフランス料理を楽しむことができます。
オニオングラタンスープもその一つであり、特に寒い季節にぴったりの一品です。
オニオングラタンスープの特徴
このビストロのオニオングラタンスープは、玉ねぎの甘さとチーズの塩味がしっかりと感じられる、非常にシンプルでありながらも満足感の高い料理です。
ワインとの相性も抜群で、食事とワインをゆっくりと楽しみたい人におすすめです。
メインで食べるべき名物料理:シューファルシ
Au Chai de l’Abbayeの名物料理は、「シューファルシ(Chou Farci)」です。
キャベツの葉でひき肉を包み込み、じっくりと煮込んだこの料理は、フランスの家庭料理の一つとして親しまれています。キャベツの甘さと肉の旨味が染み込んだ一品で、素朴で温かみのある味わいが特徴です。
ワインとの相性も抜群で、食事を通じてフランスの伝統的な味を堪能できるでしょう。
レストランの情報
レストランの営業時間などの情報はこちら。
店舗名 | Au Chai De L’ Abbaye |
住所 | 26 Rue de Buci, 75006 Paris |
営業時間 | 8時~2時 |
最寄り駅 | Mabillon |
公式ウェブサイト | Le Chai Saint-Germain – Paris 6 – Brasserie typique (lechaisaintgermain.com) |
場所はこちら。いわゆる左岸サンジェルマンデプレエリアにあります。
まとめ
これらのレストランでは、オニオングラタンスープとともにフランスの伝統的な名物料理を楽しむことができ、パリならではの美食体験を堪能できます。
それぞれの場所が持つ歴史や雰囲気の中で、特別なひとときを味わってみてはいかがでしょうか。
日本で食べるオニオングラタンスープよりもかなりボリュームが多いので、ぜひお腹を空かせてどうぞ。
以上です。
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