国土の狭いシンガポール。
MRTが主要観光地をカバーし、タクシーも日本に比べて安価なため、移動のストレスはほぼありません。
このように交通機関のバリエーションの広いシンガポールで、筆者が特におすすめしたい移動手段がバスです。バスを乗りこなすことができれば、シンガポールのほぼ全ての場所に、素早くかつ安価に移動することができます。
特に2階建てバスは眺望が素晴らしく、最前列に陣取れば土地勘を養いつつ移動の時間を観光の時間にすることもできます。当然ながらエアコンもかかっていますし、車体のモデルによってはUSB充電も可能です!
目的地への移動はもちろん、目的地を特に定めずに遠乗りしてみるのもおすすめ!
今回の記事では、バスの基本知識からおすすめのバス路線まで、シンガポールでバスを使いこなすための情報をご紹介します。
公共交通機関を使いこなすためのアプリはこちらの記事でご紹介しています。
シンガポールのバスの運賃&運行時間
バスに乗る前に、運賃の基本を押さえましょう!シンガポールのバスは日本よりも安めです。
運賃
種別の違い
シンガポールのバスは複数の会社によって運営されています。観光客が乗ると思われる代表的な種別は、トランク・サービス(Trunk Services)、フィーダー・バス(Feeder Bus)、エクスプレス・サービス(Express Services)の3種類。エクスプレス・サービスは若干運賃が高めに設定されています。
各種別の説明は以下のとおり。基本的に3.30SGD以上あれば大丈夫です。
バスの種別 | 種別ごとの説明 | 料金 |
---|---|---|
トランク・サービス (Trunk Services) | 一般道路を走行するバス | 距離制 (0.99~2.80SGD) |
フィーダー・バス (Feeder Bus) | MRT駅等を起点に一定エリアを走行するバス | 均一料金 (0.99~1.70SGD) |
エクスプレス・サービス (Express Services) | 高速道路を走行するバス | 距離制 (1.59~3.30SGD) |
種別のごと運賃
以下は各種別の運賃体系を一部抜粋したリストです。現金運賃のほうがカード使用運賃よりも高めに設定されています。
リスト全体はこちらからどうぞ→PTC | Fare Structure
トランク・サービス(Trunk Services)
距離 | 運賃(カード) | 運賃(現金) |
---|---|---|
~3.2km | 0.99 | 1.70 |
3.3km~4.2km | 1.09 | 1.90 |
… | … | … |
40.2km~ | 2.26 | 2.80 |
フィーダー・バス(Feeder Bus)
距離 | 運賃(カード) | 運賃(現金) |
---|---|---|
乗車回数あたり | 0.99 | 1.70 |
エクスプレス・サービス(Express Services)
距離 | 運賃(カード) | 運賃(現金) |
---|---|---|
~3.2km | 1.59 | 2.50 |
3.3km~4.2km | 1.69 | 2.50 |
… | … | … |
40.2km~ | 2.86 | 3.30 |
また乗車するバス番号・乗車地点・下車地点が分かっている場合は、以下のサイトで運賃を計算することも可能です。
支払方法
バスを含む公共交通機関ではSimplyGoシステムが導入されており、デビットカードやクレジットカードによるコンタクトレス決済が可能です。
またSUICAのような交通カードEZ-Linkカードも販売されており、こちらは事前にチャージすることで支払いを行うことができます。
なお現金による支払いも可能です。その場合は運転手に行き先を告げて運賃を支払います。おつりが出ないようなので注意。なお筆者は現金払い客は見たことがありません。
運行時間
路線により異なりますが、運行時間は大体5:30頃から深夜12時頃まで。
曜日とルートによっては深夜バスもあるようで、参考リンクの記事によると金曜・土曜・祝前日にシェントン・ウェイ(Shenton Way)を2:30(最終)に出発するバスが2ルート運行しています。
バスのルート検索にはCitymapperがおすすめ
シンガポール国内を縦横無尽に走るバス。小回りが利くのは魅力的ですが、大量のバス路線から最適な路線を探すのは大変です。そんなときはやはりアプリが便利。
ここでは筆者がシンガポール在住時に利用していたCitymapperというアプリを使ったルート検索の方法をご紹介します。
ここではアプリ「Citymapper」を活用したバスの利用方法をご紹介します。
持っていない場合はこちらからインストールできます。
Citymapperアプリを立ち上げ、Get Me Somewhereに目的地を入力します。
今回はオーチャード地区の有名ショッピングモールION Orchardへの行き方を検索してみます。
バス路線のみのルートやMRTと組み合わせたルート等いくつかのルートが提案されました。選択肢を見る限り65番のバスに乗るのが一番簡単そうです。
選択肢をタップすると具体的なルートが示されます。「in 6, 10, 17 min」の表示は、出発バス停から該当のバスが出発する時間です。
地図右下の「GO→」をタップすると、ナビゲーションが始まります。
まずは地図を頼りにバス停に向かいましょう。
バス停に到着すると、乗車すべきバスの番号・到着時間・込み具合が表示されます。65番のバスはあと5分で到着するようです。
バスを実際に利用する
乗車するバス停で待つ
実際のバス停はこんな感じ。バス停番号・名前・停車するバス番号が表示されています。
バス停によっては電光掲示板が設置されており、このバス停を通るバスに関する情報が一目で分かるようになっています。
147や857という番号はバスの番号、隣の数字は到着までの分数です。「Arr」は「もうすぐ到着」の合図です。
到着分数表示の右上に2階建てバスのマークがあれば、到着するバスは2階建てです。
バス到着案内ならアプリ「SG Buses」が便利
そもそも最寄りのバス停がどこだか分からない…そんなときはこのアプリが便利です。
最寄りのバス停の他、バスの運行状況も簡単にチェックできます。
持っていない場合はこちらからインストールできます。
まずは最寄りのバス停を探します。下にあるNearbyを選ぶと、GPSから近くにあるバス停を一覧表示してくれます。
Searchからバス停名を入力して検索します。
バス停をタップすると、そのバス停に到着予定のバス一覧が表示されます。
double deckとあれば2階建てバスが来ます。
バス番号をタップすると、バスの位置や後続車の情報、混雑状況が分かります。
これで2階建てバスが来るまでの待ち時間が分かりますね。
バスに乗る
お目当てのバスが来たら、軽く手を挙げて運転手に合図をしバスを止めます。
シンガポールのバスは前の乗車口から乗ります。(後ろは降車口)
コンタクト決済対応のデビットカードやEZ-Linkカードを持っている場合は端末にタッチ。現金の場合は運転手に目的地を告げて運賃を支払います。
運転は基本的に荒いので、乗車したらすぐ座席に座るか手すりにつかまりましょう。
Citymapperを利用している場合は、乗車中もオンにしておくと乗り過ごす可能性を減らせます。バスに乗るとCitymapperの表示がOn tripに変わります。
現在地・これから通過するバス停・到着予定時刻も確認できます。
バスを降りる
降車するバス停に着く直前になったら、手すり等に設置された赤い降車ボタンを押します。
目的のバス停に着いたら、後ろの降車口から下車します。
カードを使用して乗車した場合は、もう一度同じカードを出口に設置された端末にタッチするのをお忘れなく。
観光にも! おすすめ絶景バス路線4選
シンガポールの観光地はそこまで多くないので、飽きてしまった…という方もいるのではないでしょうか。そんな方におすすめなのが、路線バスの遠乗りです。
理由は以下のとおり。
- 観光地を違った目線から楽しめる
- 地元民気分が味わえる
- あまりお金がかからない
- 長くても2時間程度なので気軽
- 意外と景色に変化がある
この記事ではシンガポールを知り尽くした地元メディアが推薦する路線をご紹介します!
地元メディアのおすすめ路線をチェック!
今回紹介するバスルートを選ぶにあたり参考にした記事は以下のとおり。1は官公庁、2は地元報道機関、3と4は地元密着系メディアです。
サイト名 | 記事名 | 路線数 |
---|---|---|
シンガポール陸上交通庁(LTA)(1.) | Views and Avenues: Your 10 Best Bets for a Scenic Bus Cruise | 10 |
THE STRAITS TIMES(2.) | Hop on: 5 most scenic bus routes in S’pore | 5 |
The Smart Local(3.) | 12 Most Scenic Bus Routes In Singapore Including Double-Decker Options & Best Pit Stops | 12 |
TimeOut(4.) | The most scenic bus routes in Singapore | 8 |
参考にしたサイトに掲載されているバス路線を一覧にするとこんな感じ。
サイト | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1. | 30 | 36 | 97 | 103 | 143 | 200 | 857 | 858 | 975 | 980 | ||
2. | 117 | 145 | 518 | 975 | 980 | |||||||
3. | 5 | 12 | 29 | 35 | 36 | 65 | 70 | 117 or 103 | 191 | 200 | 925 | 980 |
4. | 10 | 12 | 30 | 31 | 35 | 117 | 172 | 518 |
特に高評価な路線は117番と980番、次点で12番、30番、35番、36番、103番、200番、518番!
今回そのうちの4路線に乗車しましたので、写真を交えてご紹介します。
117番:「千と千尋の神隠し」の世界が味わえる!?ルート
起点・終点 | Sembawang Interchange(NS線Sembawang駅直結) Punggol Interchange(NE線Punggol駅直結) |
バス停数 | 37 |
所要時間 | 55分 |
シンガポール北部の住宅地域を結ぶルート。今回はSembawangから乗車しました。
このルートはハイライトはイーシュンダム(Yishun Dam)。ロウワーセレター貯水池(Lower Seletar Reservoir)とジョホール海峡(Straits of Johor)の間の道を進みます。
穏やかな流れの水に囲まれた風景は、「千と千尋」で千尋とカオナシが電車に乗るシーンを思い出させますね。
Sembawangから出発すると、右側にロウワーセレター貯水池(Lower Seletar Reservoir)が見えます。
穏やかな水面の風景に癒されます。
980番:都会と森林のコントラストが味わえるルート
起点・終点 | Sembawang Interchange(NS線Sembawang駅直結) Lor 1 Geylang Terminal(EW線Kallang駅前) |
バス停数 | 62 |
所要時間 | 80分 |
シンガポールを南北に貫くルート。今回は南から北に向かってみます。
出発して程なくブギス(Bugis)の特徴的なデザインのビルが目に入ります。
続いてノベナ(Novena)の教会「Church of Saint Alphonsus」。
このルートのハイライトは「森林浴体験」。風景に緑が多くなっていきます。
30番:特徴的なデザインのビル群を眺められる高速道路ルート
起点・終点 | Bedok Interchange(EW線Bedok駅直結) Boon Lay Interchange(EW線Boon Lay駅直結) |
バス停数 | 75 |
所要時間 | 123分 |
シンガポールの南側を繋ぐルート。今回はベドック(Bedok)のバスターミナルから乗車します。
途中で高速道路に入ります。地下をひたすら進むと…
急に視界が開け、シンガポールの特徴的なビル群が目に飛び込んできます。夕方はさらに素敵な景色になるようです。
奇妙な展示物で有名な「ハウパーヴィラ」もルート上にあります。
35番:チャンギ空港の滑走路と海の風景が堪能できるルート
起点・終点 | From Bedok Interchange(EW線Bedok駅直結) ALPS Avenue ※35番バスはLoop Service(出発地点に戻ってくるルート)です。 |
バス停数 | 34 |
所要時間 | 105分 |
シンガポール島の東岸をなぞるルート。今回はベドック(Bedok)のバスターミナルから乗車します。
しばらくEW線の高架線路に沿って進みます。シンガポールがまだまだ発展中であることを示す風景が目に入ります。
空港近くのゴルフ場地帯を抜けると一気に視界が広がります。左側がチャンギ空港、右側がシンガポール海峡です。
途中には最近リニューアルオープンしたシンガポール海軍博物館(Singapore Navy Museum)もあります。
海が見える食堂(Canteen)は一般人も使用可能。公共施設らしく飲み物が激安(2SGD以下)でした。
Changi Airfreight Centre Pass Office(貨物の保安検査施設。撮影不可のため写真無)でUターン。写真はAlps Avenueです。
まとめ
今回は具体的なバスの乗り方とおすすめルートをご紹介しました。
シンガポールのバスは本当に便利なので、活用できると行動の幅がぐっと広がりますし、色々な側面が見えてきてさらに興味が湧くこと間違いなし!です。
参考にしていただけると嬉しいです。
コメント