スイス・ジュネーブ留学中のMattです。
大学院留学を実現させるには、一般に費用や語学力といった多くのハードルを越える必要があります。ただでさえ大変な大学院留学ですが、年齢を重ねると外国語によるディスカッションに順応するのにも一苦労。
実際こちらに来てから年齢面での制約を色々と感じていますし、
大学院留学自体のリスクも当然ながらあります。
全ての不安が消えたわけではありません(おそらく消えることは無いでしょう)が、私は主に以下の理由から今の年齢で留学を決めました。
- キャリアアップに繋がる・これまでのキャリアを活かせる
- 視野を広げることができる
- 世界に通じる人脈を築くことができる
- キャリアを熟考する機会になる
- 自分の人生を取り戻すことができる
- 人生の後悔が一つ減る
大学院留学を検討している方の参考になれば嬉しいです。
なお筆者は国際機関を目指すために社会科学系の修士課程に進むため、理系や別キャリアだと必ずしも参考にならない点もあるかもしれません。その点はご容赦ください。
キャリアアップの機会が得られる
大学院でアカデミックやプロフェッショナルの専門知識を学ぶことにより、関連分野の企業や団体でポジションが得やすくなったり、学校の所在する国・地域や周辺国でのビザ取得・就労機会が広がります。
欧米の場合は学位が足切り要件として設定される場合も多い(と聞きます)。
特に国際機関を目指す場合は特定分野の修士・博士以上の学位と関連職歴が求められる傾向があるため、どこかのタイミングで高い専門性を身につける必要が出てきます。
海外には新卒一括採用の概念がありません。学部から直接修士課程に進学した場合は基本的に職歴が無いので、就職を目指す場合はインターンシップを通じて職歴を積みつつ、ポジション獲得を目指すことになります。その道のりは非常に厳しく、若年層の失業率が高止まりする要因にもなっています。
一方で日本であれば新卒で職を得るのは(海外と比較すると)難しくないので、大学院入学前に目指したい業界に関連する職歴を積んでおけば、インターンや現地採用でプラスに働きます。
視野が広がる
専門知識を学ぶことで、これまで得た知識や自分にとっての常識を客観的に見る視点が養われます。
また日常的に様々な国・地域から集まった同じ分野に興味を持つ学生や教授、大学の立地する都市で働く人々、地元の人々と交流することでも文化や宗教・思想面での人格的な広がりを経験することができます。
海外で日本と全く異なる考え方に触れることで、物事をより深く多角的に分析するスキルが身につきます。
特にスイスは外国人居住者も多くフランス語圏・ドイツ語圏・イタリア語圏があることに加えて英語も幅広く通用するコスモポリタンな環境であることから、上記のメリットが得られる可能性が高いです。
既に様々なことを経験した状態だと人間関係やそれぞれの考え方を一歩引いて見ることができるため、多少心の余裕が生まれます。
世界中に仲間ができる
長期的に良いキャリアを築いていくうえで非常に重要なのは人間関係(人脈)。
特に志を同じくする学生同士でグループワークや研究を行うことは、仕事上のプロジェクトメンバーとはまた違った関係を構築できる良い機会でもあります。
留学生や外国人と交流を行うことは様々なプラットフォームを活用すれば日本でも可能ですが、世界中から集まった優秀な学生と切磋琢磨しつつ濃密な時間を過ごすことができるのは海外大学院ならではかと思います。
欧米は年齢をあまり気にしない文化なので基本的にフラットに接してくれますし、アジア人は年齢よりも非常に若く見られるので、その意味でもグループに入りやすいです。
ノリさえ合えば年齢関係なく友達になれる点が日本と大きく異なるところ。
キャリアの棚卸し期間が作れる
健康寿命の延長や年金受給年齢の繰り上げなどの理由から、最初に学校を卒業してから退職年齢まで働く期間は、今後も伸びていく可能性が高いです。またデジタル化や国際的な社会情勢といった状況を踏まえると、社会が変化するペースも年々早まっているように感じます。
組織の求めることにただ応え続けるために時間を使うことは、自分のスキルの陳腐化を招きます。さらに思考停止に陥り、本当に自分のやりたいことや求める人生も分からなくなってしまいます。
自分が人生に求めることは何か、また実現するためには何が必要なのか。
留学は新しい知識や経験を得つつそれらにじっくり向き合う時間になります。
学部からストレートに大学院に進んだ場合、自分の専門分野がしっかりと決まっていないことも多いです。
一方である程度のキャリアがある学生の場合、専門分野や卒業してからやりたいことなどある程度方向性が定まっているため、キャリア迷子になりづらいと言えます。
自分の人生を自分で舵取りする実感が得られる
キャリアアップの機会と共通する部分もありますが、特に日本型雇用の強い組織では、異動や昇進といった多くの場面で組織の都合や対象者の年齢といった要素が絡むため、自分の意思でキャリア自律を実現するのはかなり厳しいです。
仕事内容や勤務地が選べないのに自分のキャリアを描くのは無理。
一方で昨今話題になっているジョブ型雇用(日本以外)であればポジションが選べますし、畑違いの異動はありません。会社が求める能力や成果に合致すれば、若くても高報酬が得られることも。が、相応のスキルや経験が必要になりますし、成果がシビアに求められる厳しい世界です。
大学院で学ぶことは思考の切り替えになると同時に、そのような世界に出ていくために「自分の将来を自分で決める」覚悟を持った学生に囲まれるため、良い刺激になります。
日本型雇用の考え方に染まった状態では見つからない選択肢や自分の可能性に気づくことができますし、日本の働き方や組織の問題点など内部で経験した人にしか分からないことは、今後自分で道を切り開いていくうえで大いに役立ちます。
番外編:内なる声に従うことの大切さ
色々とメリットを挙げてきましたが、筆者の場合、「ずっとやってみたかった」も大きいです。
もともと広い世界に興味があり国際公務員になりたいと漠然と考えており、英語やフランス語を勉強しながらキャリアチェンジに備えていたつもりでしたが、自分の語学力やキャリアに自信が持てず…
実際大学院に進学することを妨げる要因が日本には多く、特に社会科学分野は修士号や博士号をとっても報われない可能性も大いにあります。
筆者の場合、キャリアの展望に加えて資金にも不安がありずっとチャレンジできずにいましたが、ここ数年色々と新しい経験や出会いがあったことをきっかけに、今挑戦しなかったらきっと後悔すると思い、一歩を踏み出すことができました。
本当に実現したいなら、自信がなくても準備が不十分でもどこかのタイミングで決断するしかありません。
完璧なタイミングなんて絶対来ないんですよね…。
Don’t reject yourself first!
自信が無いと漏らしたときに、友人に貰った言葉です。自分が自分を信じられなかったら、他に誰が自分を信じられるのだろう、と思いました。
まとめに代えて
日本型雇用から色々と守られていた状態からまっさらな状態に移行するのは初めてなので、嵐の海に船出するような気分でいます。
キャリアにはどこにもショートカットなどなく、できるのは「自分が選んだ道を正解にする」ことだけ。大学院留学やキャリアは「最終的に一人で決める」必要はありますが、同時にその道のりは「独り」ではありません。それを今スイスで感じています。
これからどのように「学ぶこと」と向き合い、どこに進んでいくのか。これからこのブログに少しずつ記していきたいと思います。
以上です。
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