大学院(学位取得)留学で直面する「年齢の壁」7選

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以前「30代後半でも留学は決して遅くない理由」を記事にしました。

確かに学位留学の場合はキャリアを重ねた場合にも多くのメリットがありますが、実際に大学院生として生活していく面で若者と比較して不利になる場面があることも否定できません。

この記事では、特に30代後半で学位取得に向けた留学をする場合を想定し、筆者が実際に直面した年齢による様々な制約や、新卒・キャリア初期で留学する方々とは大きく異なる点を取り上げます。(一部ヨーロッパ、特にスイスにのみ当てはまるものもあります。)

計画を立てるうえで参考にしていただければ幸いです。

大学院で学ぶ過程で年齢差別をされることはありませんが、それ以外の厳然とした「区別」は折に触れて感じます。
スイス留学の場合、25歳と30歳が取り扱いの分かれ目になっていることが多いです。

目次

学生生活を送るうえで直面する現実

まずは学生生活に関する現実から。こちらは費用面・機会面での負担が大きくなる傾向があります。

1.応募可能な給付型奨学金が少ない

奨学金(特に給付型)は、応募に際し年齢条件が定められていることが多いです。目安として修士課程は20代まで、博士課程は大体35歳までが上限ライン。

そのため、奨学金を受給できる可能性をあまり高く見積もらず、資金計画を十分に練って留学に踏み出すことが重要で、最悪の場合状況によって利子付きの貸与型に頼らざるを得ない場合も想定しておく必要があります。

2.若者・学生向けサービスはほぼ対象外になる

ヨーロッパでは一般的に若者・学生向けサービスが充実していますが、そこにも年齢制限が付きまといます。

例えばジュネーブ市内の年間乗り放題パスは25歳未満であれば400フラン(運よくキャンペーンがあれば300フランになる場合も)ですが、それ以上になると500 CHFかかります。

銀行口座についても、学生用口座の場合は口座維持手数料の優遇や提携サービスの割引といった特典が受けられますが、スイスでは大体の場合、30歳までの学生のみが対象です。

留学生向けの保険も、被保険者が30歳以上だと保険料が跳ね上がるケースが多いです。

3.一部の学生寮に入れない場合もある

学生寮によっては入寮できる学生の年齢に制限を設けている場合があり、例えばジュネーブでは一部の寮で35歳(一部30歳)までの年齢制限があります。

大学院生が多い機関で学生寮の入居に際し年齢制限を設けているところは見たことがありませんが、学部生向けと比較するとやはりお高めです。

4.周囲とノリが合わずに孤立するかも

大学院進学に年齢制限はないものの、ヨーロッパの大学院の場合、MBAのように職歴を問うプログラムにしない限りは文系・理系問わず学部を卒業してストレートに大学院に進むことが多いようです。そのため(特に)修士課程のボリュームゾーンは20代前半になりがち。

アジア人は童顔のため実は見た目で浮くということはあまりありませんが、会話の内容やノリが全く違うためちょっと孤独を感じる可能性は考慮しておいたほうが良いかもしれません。大学院もなんだかんだ言って情報戦のため、そういった輪の中に入りづらいのは単純にデメリットになりそうです。

なお、人数が少ない学科や、要求水準が非常に高く学生同士で協力しないと厳しいような学科の場合は、自然に集まりが出来るのでこのデメリットは特段気にしなくてもOK。経験豊富な分むしろ頼りにされるかも。

キャリア面で直面する現実

続いてキャリア面。大学院留学は厳しい分プラスになる要素も多いですが、いかんともしがたいデメリットがあるのも事実です。

5.将来のキャリアに繋がるルートが減る

企業や機関によっては明示的に応募可能な枠に年齢制限を設けていることがあります(明示されていないだけの場合もあります)。そこから外れてしまうとそもそも応募できません。

例えば国連職員への登竜門と言われる外務省の「JPO(Junior Professiona Officer)」派遣制度の応募資格は、日本国籍の場合35歳まで(これでも他国よりは高い方)。

6.実務経験・マネジメント経験がより厳しく問われるようになる

インターンシップやポジションへの応募について、年齢制限で門前払いされなくとも年齢相応の実務経験やマネジメント経験が問われることがあります。(特にキャリアが10年を超えるとその傾向が強くなると言われます。)

選考を通過するためには、留学までのキャリアと大学院での専攻をうまく結びつけて即戦力アピールをする必要があります

キャリアが長い場合、大学院の成績よりもどのような科目を取っていたのかや興味関心について聞かれることが多いという噂も。

これはいわゆる日本型雇用でそこそこキャリアを積んできた場合に不利になりやすい点。組織都合の脈絡のない異動や若手が昇進しづらい構造は海外で理解されるがの非常に難しく、うまく説明を付けられないと本人に問題があると判断される可能性もあります。

また職探しは他の学生との席取り合戦。アグレッシブな中国人やインド人といった全く異なる文化を持った人々と同じ土俵で勝負することになります。

特に国際的な舞台を目指すなら、自分の有能さをアピールするスキルは非常に重要で、多少盛るのは当たり前の世界!自分のスキルや能力を誇示(状況によっては誇張)することを良しとしない日本人特有のメンタリティーが障壁になってしまう場合もあります。

7.レバレッジが効かせにくい

大学院における学びを直接キャリアに活かせる期間が新卒やキャリア初期で留学した方々より相対的に短くなるので、人生へのインパクトはどうしても薄くなります。

留学前の職歴と専攻の親和性にもよると思いますが、卒業後のキャリアを明確に描き、在学中に精力的に動かないと、キャリアダウンになってしまう恐れがあります。

特に日本に帰る場合は、「海外との身の置き方の違い」を再確認しておく必要がありそうです…。

まとめ

今回は30代後半から学位取得のための留学をする際に年齢がらみで直面する現実について取り上げました。

海外では大学院に進学する年齢が基本的にバラバラなため年齢を理由に差別されるようなことはあまりないと思いますが、キャリアパスや生き方はどうしても周囲と同じというわけにはいきません。

特に学部新卒で大学院に進学する学生が多いヨーロッパにおいては、自分のキャリア戦略を強く持っておくのが重要だと感じています。

以上です。

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