リヨンといえば、豊富な食材を使った名物料理で知られるフランス随一の美食の街。
日常的に自炊をしたり外食では比較的リーズナブルなブションを楽しんだりと、普段高級料理には全く縁のない筆者。ワインも正直よく分かりません。
ですが今回はフランス在住の日本人の方にお誘いいただき、初めて超高級フランス料理にチャレンジすることに!
伺ったお店は「リュスティックRustique」。ミシュランガイドでも1つ星を獲得しておりリヨンでも話題のお店だそう。
本記事ではそのときのレポをお届けします。
初めて見る食材や聞き慣れない料理に気を取られてばかりでしたが、味ももちろん大満足でした!
お店の雰囲気とメニュー
お店の雰囲気
お店の規模はそこまで大きくありません。看板もシンプルで、知らないと素通りしてしまいそうです。
店内の様子。天然の木や植物を多用した内装は森や山に囲まれたリヨンの豊かな自然をイメージさせます。
コースリストのスタンドはなんと石。どこまでも自然。カトラリー置きもオシャレ!
メニューは2種類のコースが中心
こちらのメニューですが、Nature Instantanée(115ユーロ)とGreat rural walk(180ユーロ)のコース2種のみという潔さ。Great rural walkはNature Instantanéeの料理にワインのペアリング5種が付くだけなので、料理は実質1種類のみです。
料理のコンセプトも「自然」とのことで、地の物がたくさん出てくる様子。
チーズのペアリングも試したい場合は追加でセットすれば可能でした(15ユーロ)。
ワインリストが豊富
フレンチのコース料理に合わせる飲み物はやっぱりワイン!
ワインリストは非常に豊富で、産地別にズラリと並んだワインは圧巻の一言。
そこに各自で飲み物を合わせていくスタイルで、アペリティフはグラスで、食事中に飲む用のワインリストはボトルでの提供がメイン。
筆者の選択
さてどのコースを選ぶか、ということですが…
115ユーロも180ユーロもどっちに転んでも高いのは変わらないので、筆者はこういう機会はなかなかないと考え、お店の料理に合わせて5種類のおすすめワインをペアリングしてくれるGreat rural walk(180ユーロ)を選びました。
正直うわっ高っ!と思いましたが、ここは清水の舞台から飛び降りる覚悟で180ユーロを支払って経験を買うことにしました。
料理の詳細と感想
こちらのレストランのこだわりは、とにかく地元の食材を使うこと!各料理の提供時には、産地や調理法まで詳しく説明してくれます。ワインをセットした場合には、ワインの産地や特色についてもしっかり教えてくれます。
英語でも対応してくれるので、フランス語が分からなくても問題ありません。
Premier pas…(前菜)
まずは前菜からスタートです。早速見慣れないものが色々と出てきました!
- Jus de pomme, oseille & agastache(リンゴ、ソレル、アガスタッシュのジュース)(左)
- Salade “tonic”: Concombre & raifort(サラダ「トニック」: キュウリとワサビ)(手前)
- Grenouilles à la braise(炭焼きのカエル)(奥)
ジュースは見た目の味(リンゴが強め)から最初は野菜ジュースのように感じますが、ほのかに野菜の味や食感もあるためすぐに違いが分かります。
手前のサラダはキュウリのみずみずしい食感とピリッとするワサビの味のコントラストが絶妙。他にも歯ごたえの異なる具材がいくつか入っているのですが、ワサビが全体をうまくまとめていたように思います。
奥のカエルは宮崎の地鶏の炭火焼きを彷彿とさせる味と食感で、ペロッと食べてしまいました。言われなければカエルだと思わないかも。
Silure signature(名物のナマズ)
ここからは様々な食材が主役になった料理がいくつかセットになって出てきます。
第一弾は何とナマズ!日本でも食べたことがありません。果たしてどんなお味…?
- Tamara aux herbes du potager(タマラ、ガーデンハーブ添え)
- Soupe de peau fumée, lentilles vertes du Puy(燻製皮とピュイグリーンレンズ豆のスープ)
- Biscuit de silure, œufs de brochet(ナマズとハモの卵のビスキュイ)
まずは食用の花とハーブが見た目にも華やかな一品。生アーモンドの食感とハーブの香りが印象的でした。
続いてはスープ!燻製の香ばしい味のスープに歯ごたえの良いレンズ豆がゴロゴロ入っていて、見た目以上に食べ応えがあるスープでした。
このブロックの最後は魚卵!件のナマズは中に入っています。
上に載っている魚卵は見た目は数の子のようですが、食感はもっと柔らかくてタラコのような感じ。
下のビスキュイはほんのりと塩味が付いており、温かくてふんわりと柔らかいため、魚卵や魚肉(ナマズ)と良く合います。おせち料理の伊達巻きを思い出しました。
Beurre maturé au foin(干し草の熟成バター)
ここで前菜はひと段落。パンとバターが出てきました。こちらもただのパンとバターではなく、特にバターは干し草で燻した熟成バター。素朴なパンにたっぷりつけて頂きます。
Escargot(エスカルゴ)
来ましたフランス名物エスカルゴ!料理名はこちら。
- Raviole de bleu des Alpes, sauce herbacée(アルプスブルーチーズのラビオリ、ハーブソース添え)
そしていよいよワインのペアリングがセットになってきます。まずは白ワイン。
- Bourgogne Haute-Côtes de Beaune «En cheignot» 2022 – Domaine Bonnardot
エスカルゴではありますが、ブルーチーズのラビオリとのコントラストがGOOD。シトラスの香りのするフルーティーなワインがブルーチーズのクセと相まって良い感じ。
Omble chevalier(イワナ)
何だか凄い名前の料理が来た!と思って検索したらイワナでした。
フランスでサーモン以外の魚って珍しい気がするので嬉しい。日本人の血が騒ぎます。
料理名はこちら。
- Artichaut au sapin & bergamote(アーティチョーク、モミとベルガモット風味)
ペアリングのワインはこちら…。あれ、ワインじゃない?
- Bière Cédat – Brasserie du Mont Salève
なんと今回はビール!しかもジュネーブに程近いサレーブ山のビールです。
もっとフランス語ができたらサレーブ山のこととか色々話もできたのに…なんて考えていました。
さて肝心のお味ですが、ベルガモット風味とモミの風味とアーティチョークの歯ごたえがイワナの淡白な味にマッチ。ビールも柑橘類を思わせる味で知っているビールとはかなり違いました。
Lapin(ウサギ)
魚の次はウサギ!見た目も華やかな一品です。
- Rôti, épinard à la braise, rose & marc de café(ロースト、ほうれん草の煮込み、バラとコーヒーかす)
ペアリングするワインはこちら。
- Vin de Savoie «Les Abymes» 2020 – Domaine de Chevillard
ふっくらしたウサギ肉とほうれん草が良く合います。バラの花びらとほのかに感じるコーヒーの香ばしさのバランスも絶妙でした。
Pigeon(ハト)
ウサギに続き今度はハトが出てきました。
- Mûre, verveine(ブラックベリー、バーベナ)
- Cuisse confite puis grillée(モモ肉のコンフィ、グリル)
- Bonbon chocolat & foie(チョコレート&レバーボンボン)
ペアリングのワインはこちら。
- Saint-Joseph «Les Baraques» 2020 – Thierry Alexandre
生っぽい見た目なのでちょっと面喰いましたが、臭みもなく添えられたブラックベリーとバーベナのソースと絡めて食べると絶品。赤ワインも納得のチョイスといったところ。
食材を余すところなく使うというコンセプトのもと、他の部位も一緒に供されました(右&左奥の皿)。
また写真には写っていませんが、チョコレートも合わせて提供されました。こちらはスイーツかと思いきやしっかりと料理の一部。中にレバーが入っています。
とはいえレバーらしさはあまりなく、上品なチョコレートの一部といったところ。新しいチョコレートの食べ方を知りました。
Géranium Rosat(ローズゼラニウム)
動物系が続いたので、ここで口をサッパリさせます。
- Guimauve, citron confit(ギモーヴ、プリザーブドレモン)
提供されたのはシャーベットのような一品で、中にギモーヴが隠れています。まず爽やかなレモンの味と少しシャリシャリする食感が最初に来て、食べ進むともちもちしたギモーヴに行きつくのが面白い構成。
何だか宝探しをしているような気分でした。
Reine des prés(メドウスウィート、セイヨウナツユキソウ)
コースも終盤に差し掛かってきました。
最初の数皿が控えめな量だったので「高級フレンチ=量が少なめ」かと思っていたのですが、ここまでで相当な品数が提供されておりかなりお腹がいっぱいですが、もう一息なので頑張ります。
こちらはデザート。
- Myrtilles, amande & lait fermenté(ブルーベリー、アーモンド、発酵乳)
そして最後のペアリングワインはこちら。
- Cerdon du Bugey 2023 – Renardat-Fache
スイーツにワインを合わせたことがなかったので正直ちょっと驚きましたが、意外と合うんですね。
ブルーベリーは上に載っている飾り?とアイスクリームのような本体の中にも入っており、甘酸っぱさが他の甘さを良い感じに引き締めていました。そしてアーモンドとミルクは合わないわけがない組み合わせ。
Foin(干し草)
こちらがコースの最後を飾るデザート。
「干し草」の名前でまとめられており、なんと3種類もあります。
- Esquimau(エスキモー)
- Mousse au chocolat fumé(スモーク・チョコレート・ムース)
- Petit ourson(小熊)
エスキモーはちょっと懐かしいチョコレートアイスバー(中央奥)。といってもただのチョコレートアイスバーではなく、「干し草」の名前に相応しく燻されたような香りがほんのり付けられています。
スモーク・チョコレート・ムースは濃厚かつ滑らかなムースとサクサクしたカカオニブの食感がこれぞチョコレート!と思わせる一品。
干し草の上に乗って登場した可愛らしい熊の焼き菓子も、やっぱり燻されたような香ばしい風味をまとっています。しっかりした食べ応えがあり、個人的にマドレーヌとフィナンシェの中間のような印象を受けました。
食後はコーヒーで〆。ごちそうさまでした!
この段階でもう動けないくらいお腹がいっぱい。午後8時にスタートして結局深夜1時近くまでレストランに居ました。
まさかのお土産付き!
ここで終わらないのがリュスティック。なんとマドレーヌを頂きました!
翌朝に開けてね!ということだったのでちょっと我慢。たまたま翌日にパリ行きが決まっていたため、ルーブル美術館近くで頂きました。
まとめ
今回は超高級フランス料理に挑戦した記事を書きました。普段あまり縁のない世界なので語彙力が足りていませんが、雰囲気が少しでも伝われば嬉しいです。
リヨンにお越しの際には、ブションも良いですが是非こういったお店にもトライしてみてください!
以上です。
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