アラブの伝統を色濃く残す国、オマーン。アラビア半島に位置する国として、灼熱の砂漠のイメージを持っている方も多いのでは。実際首都マスカットでは夏は日中の気温が40度近くになり、とても観光に適しているとは言えません。
しかし、そこは南北に長いオマーン。都市によって全く気候が異なります。夏に観光シーズンを迎えるのが南部の都市・サラーラ(英語表記:Salalah、アラビア語表記:صلالة)です。
前述のとおり夏のマスカットはオフシーズンですが、6月から9月のカリーフ・シーズンと呼ばれる時期にはサラーラは緑豊かな状態になり、国内外から多くの観光客が押し寄せます。
この記事では、そんなサラーラの観光情報をご紹介します。
夏のサラーラは特に涼しくて非常に快適!湾岸諸国以外からの外国人観光客はまだまだ少なく穴場です。
2024年1月現在、1オマーンリヤル(OMR)は約384円です。
オマーン全般の情報はこちらから。
サラーラの基本情報
サラーラってどこ?
サラーラはアラビア海に面するオマーン南部の中心的都市。
カブース前国王の生まれ故郷であり、前国王ゆかりのスポットをはじめとする歴史スポットも数多くある歴史豊かなエリアです。
項目 | 内容 |
---|---|
人口 | 約16万3,000人(オマーン第3位) |
アクセス | 日本から サラーラ国際空港は日本からの直行便がないので経由便を利用することになります。経由地としては東南アジアか中東の主要都市が一般的。東京・サラーラ間の所要時間は最短で18時間程度。 マスカットから 航空機が利用可能なほか、マスカット・サラーラを結ぶバスが運行しています。安価ですが12時間程度かかります。 |
市内交通 | 公共交通機関はバスが利用可能。タクシーやレンタカーも選択肢に入ります。鉄道網はありません。 |
文化とマナー | サラーラは他のオマーンの諸都市と同様にイスラム教が主要な宗教です。地元の文化とマナーに配慮することが求められます。 |
サラーラの気候
サラーラの年間の気温と降水量は以下のとおり。マスカットのように高温になることはなく、年間を通じて比較的安定しています。
特にモンスーンの影響を受けて緑豊かになる夏季はカリーフ・シーズンと呼ばれ、内外から観光客が押し寄せます。この時期のマスカットは40度近い暑さなので、ギャップに驚くこと請け合い。
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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平均気温 | 23 | 24 | 26 | 28 | 30 | 30 | 26 | 25 | 26 | 27 | 26 | 24 |
平均最高 | 27 | 28 | 30 | 32 | 33 | 32 | 28 | 27 | 29 | 31 | 31 | 29 |
平均最低 | 18 | 19 | 21 | 24 | 26 | 27 | 24 | 23 | 23 | 22 | 20 | 19 |
降水量 | 10 | 20 | 10 | 10 | 10 | 10 | 30 | 40 | 10 | 10 | 10 | 10 |
カリーフ・シーズンは、気温が涼しく、リフレッシュできる雰囲気を楽しみたい方にとって、理想的な時期。
この時期は快適にビーチを楽しんだり自然保護区を探索したりできます。特にカリーフ・フェスティバルはこの時期の特別なイベントです。時折雨が降ることがあるため、傘や雨合羽を持参すると便利です。
カリーフ・シーズンは気候が良いため結婚式が多く行われます。
オマーン人の結婚式は非常にオープンで基本的に誰でも参加可能。非常に良い経験になるので、機会があればぜひ参加してみてください!
サラーラの必見観光スポット7選
乳香博物館 The Museum of the Frankincense Land
乳香(フランキンセンス)の産地として知られるサラーラの歴史やオマーン各地の風俗を紹介する博物館。オマーンと各国の交易にまつわるダウ船の展示やさまざまな出土品が非常に興味深いです。
構内にはお土産物屋さんがあり、乳香にまつわる品々やオマーンの伝統工芸品を購入することができるほか、カフェも併設されています。
項目 | 内容 |
---|---|
営業時間 | 日曜日~木曜日:9時~19時 金曜日・土曜日:15時~19時 |
入場料(オマーン非居住者) | 3オマーンリヤル(大人) 1オマーンリヤル(6~12歳) |
アル・バリード考古学公園 Al Balid Archaeological Park
かつてこの地に栄えていた港湾都市の名残を今に伝える遺跡群。
さまざまな年代の建造物の名残が残されており、遊歩道を巡りながら往時の姿をイメージするのが楽しいスポットです。各ポイントには英語の解説があり、当時の姿を想像するヒントになります。そこそこ広いので、熱中症対策と水分補給を忘れずに。
入場料は上述の乳香博物館と共通です。
スルタン・カブース・モスク Sultan Qaboos Mosque
市内中心部に位置するスルタンの名を冠したモスク。白でまとめられた美しい外観が特徴的で、マスカットやニズワにあるモスクと並ぶオマーンで最も規模の大きいモスクです。
金曜日を除く8時から11時は非イスラム教徒でも内部を見学することができます。入場はできませんが、夜間のライトアップも必見。
宗教的な場所のため厳しいドレスコードがあり、男性は袖付きの上衣と長ズボン(ショーツはNG)、女性は頭髪を隠すスカーフと身体のラインを隠す服装の着用が求められます。
サラーラ中央市場 Salalah Central Market
肉や魚、野菜などを取り扱うサラーラの台所。朝8時から夜の23時まで営業の活気あふれる市場です。敷地内には床屋が集まっているエリアやモスクも。
レストランもいくつかあるので、試してみても面白いかもしれません。
ココナッツ・ビーチ Coconut Beach
ラクダ乗りやピクニックが楽しめる風光明媚なビーチ。市内中心部からも近いです。
近年急速に開発が進んでいるおしゃれスポットであり、おしゃれなカフェやレストランが続々出店しています。午前中はやや閑散としている場所ですが、夕方からはローカルの人々が繰り出してきて非常に賑やかになります。
後述のカリーフ・フェスティバルの会場となるアル・ハッファ・ビーチ(Alhafa Beach)もすぐ近くです。
ビーチの西側には伝統的なスークもあり、手工芸品、香辛料、お土産などが揃います。オマーンの伝統文化を感じたい方はそちらも要チェック!
ワディ・ダルバート Wadi Darbat
サラーラ市内から車で約2時間の距離に位置する美しい山岳地帯で、涼しい気候と美しい景色を楽しめます。ピークシーズンにはスイーツやコーヒーを売る店が出て非常に賑わいます。
ボート乗りや文化体験が楽しめる場所もあり、家族連れに大人気。
風光明媚な撮影スポットも多くあり、ハイキングやピクニックに最適です。
見どころが点在しているので、可能であればタクシーを貸し切るか、レンタカーの利用がおすすめ。
タカ Taqah
サラーラ市街から東に40分くらいに位置する港町。見どころが大量にあるわけではありませんが、静かで素朴な雰囲気が魅力的。写真は街の東に位置する崖からの眺めです。
タカ・フォート(Taqah Fort)という砦もあり、頂上に上ることもできます。
カフェもあるので休憩場所としてもおすすめです。筆者が訪問した際(2023年7月)はほぼ全員ローカル人の静かな歴史スポットでしたが、店舗を準備しているところだったのでこれから観光地として栄えてくるかもしれません。
【夏季限定】カリーフ・フェスティバル
サラーラを夏に訪れたときだけ楽しめる特別なイベントがカリーフ・フェスティバルです。
カリーフ・フェスティバルとは?
カリーフ・フェスティバルは、オマーンのサラーラ地域におけるモンスーン(Khareef)シーズンの間に行われる祭典です。
このフェスティバルは、この特別な自然現象を祝うために開催されるものであり、地元住民と観光客の両方が楽しむイベントとなっています。
まだ中東以外にはマイナーなイベントだからか、湾岸諸国以外の外国人は少な目。なので英語対応はほぼ期待できませんが、その分本物のアラビアンナイトの雰囲気を味わえる絶好の機会です!
フェスティバルの基本情報
2023年の開催情報は以下のとおりです。毎年ほぼ同じらしいですが、年度ごとに確認が必要です。
項目 | 説明 |
---|---|
会期 | 7月末~8月(年度により異なる) |
時間 | 周辺の常設店舗は朝から営業。フェスティバル本体は日没から深夜まで。(店舗により異なる) |
会場 | アル・ハッファ・ビーチ(Alhafa Beach) |
2023年の会場・アル・ハッファ・ビーチ(Alhafa Beach)はこちら。
フェスティバルの時期になると、会場周辺には出店やステージが設置され、多くの人で賑わいます。アクセスはタクシーが一番便利です。
フェスティバルの見どころ
文化的なイベントとパフォーマンス
カリーフフェスティバルでは、オマーンの伝統文化に基づいた多彩なイベントやパフォーマンスが行われます。伝統舞踊や音楽、民族衣装を身に着けたパフォーマーたちの演技などが、訪れる人々に感動と喜びを与えます。
基本オマーン人向けなので英語その他の外国語による説明はありませんが、見ているだけでも十分楽しいです。
地元の市場
フェスティバル期間中は地元の市場が活気づきます。伝統的なハンドクラフトや工芸品、オマーン料理、フランキンセンス製品などが並び、お土産探しに最適です。伝統的なスイーツ・ハルワーもどうぞ!
筆者が訪問したときは、香水のお店が大量にありました。
フェスティバル中の注意点
フェスティバルの時期には、サラーラの観光スポットも大変賑わいます。アル・モグサイル・ビーチやアイン・ラザートなどの自然の美しさを堪能しながら、フェスティバルを楽しむことができます。
ただし自然スポットは混雑がすさまじいので、(特に山岳地帯を訪問する場合は)時間を多めに確保するのが肝です。
サラーラの必食グルメ4選
南部のサラーラでは、北部のマスカットとは異なる食文化を楽しむことができます!
ラクダ料理
サラーラでは、ラクダ料理が北部よりも一般的。調理方法は煮込み料理風だったり串焼きだったりと様々ですが、総じてクセは少ないので気軽にトライできると思います。個人的に食感は牛肉に似ているかも。
魚料理
サラーラは海に面しているのでシーフードが豊富。特にココナッツカレー風味の魚料理(مرق سمك بالنارجيل)はタイ料理を思わせる味で、日本人の口に合うと思います。
カブリ
今やオマーン全土で食べられる定番料理のカブリですが、サラーラが発祥とのこと。
筆者はマスカットで食べるカブリとサラーラのカブリの違いは分かりませんが、オマーン人の友人いわくサラーラのほうが美味しいそうです。
ココナッツのスイーツ
ココナッツはスイーツにも使われます。こちらはココナッツのスイーツ(حلوى القشاط)。ココナッツを砂糖などのつなぎで固めたもので、各家庭でレシピが異なるとか。
筆者がトライした物は他のアラブ菓子のように甘さがきついわけでもなく、ほんのり甘い程度で美味しかったです。
サラーラのお土産3選
乳香(フランキンセンス)&関連商品
サラーラは乳香の産地として有名。乳香そのものはもちろん、オイルや香水、お香、石鹸といった商品もお土産としておすすめです。
伝統柄のテキスタイル
手織りのカーペット、陶器、伝統的なアラビアのコーヒーセットなど、オマーンの伝統工芸品は素敵なお土産になります。
ココナッツ製品
サラーラの特産品といえばココナッツ。ココナッツオイル(写真下部)をはじめとするココナッツ製品も人気です。生ココナッツジュースはお土産には向かないのでその場でどうぞ。
サラーラの市内交通
サラーラはオマーン南部の都市で、市内を観光する際に便利な交通手段が数多く用意されています。この記事では、サラーラの市内交通について詳しく紹介します。
タクシー
サラーラで最もポピュラーな交通手段。流しのタクシーを拾うか配車アプリOTAXIを使用することになります。
流しのタクシーの運賃は交渉制のため不慣れな観光客には厳しいので、OTAXIの利用がおすすめ。
市内中心部の移動であれば2オマーンリヤル(約730円)程度です。
バス
サラーラではMwasalat社がバスサービスを提供しています。バスは観光地や市内の主要エリアを結んでおり、比較的安価。
サラーラで利用可能なバス路線は、北東部Al Saadaとサラーラ港を結ぶ20番とサラーラ空港とMwasalatバスターミナルを結ぶ21番の2路線。
運行時間は概ね6時台から22時台で約30分刻み、運賃はゾーン2まで乗って400バイザ(約150円)ほどです。
ただ利用方法がちょっと分かりづらいので、初めてであればタクシー利用が無難。
レンタカー
オマーンは車社会。特にサラーラの場合は観光地が郊外に点在しているので、可能であればレンタカーの利用がおすすめ。車であれば観光地やアトラクションを便利に自分のペースで巡ることができます。
車種にもよりますが、レンタル料金は一日12オマーンリヤル(約5,200円)程度。
なおオマーンは右側通行。運転に慣れていない場合は注意が必要です。
まとめ
この記事ではサラーラの観光情報をご紹介しました。
魅力が多く詰まった場所ですが、まだまだマイナーなので観光客ズレしていないところも魅力的。日本からのアクセスは若干不便なところがありますが、オマーンを訪問する機会があればぜひ訪れてみてください!
以上です。参考にしていただけると嬉しいです。
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