ガイドブックに必ず掲載されていると言っていいほどの有名店「ロンドンレストラン(倫敦大酒樓)」。
旺角にある、今では数少なくなってしまったワゴン式飲茶が楽しめる有名店です。
観光客も多く訪れるお店ではありますが、香港ローカル色がかなり強く、外国人観光客であっても容赦なし!
香港人と同じように突っ込んでいかないと点心にありつけません。

ある程度香港に慣れていないと必ず何かしら不快な思いをするかも?と思うくらい香港レベルが高いです…。ガイドブックに掲載されている他のお店と同じ気分で行くと火傷しますよ。
今回はそんなロンドンレストランにひとりで飲茶してきたので、その記録をご紹介します。

結論としてはとっても楽しかったです。
入店から着席までが最大のハードル
お店に到着したのは平日11時頃。早茶と呼ぶにはちょっと遅いくらいの、人が減ってくるタイミング。
10時までは非常に込み合うピークタイムということなので、そこまで混雑しない良い頃合いです。
ワゴン式飲茶は3階へGO
カタカナで書かれているので分かりやすいです。
きっと日本人観光客が多いのでしょう。
でもここで油断してはいけません。中身は観光客向けとは程遠いので、覚悟を決めていきましょう。

案内はありません!
3階に辿り着いたらとにかく空席を探します。
他の飲茶点にあるようなカウンターは見当たりません。
店員さんは結構な人数いるものの、基本的にあまり親切ではなく、話しかけても日本みたいにちゃんと対応してくれることはほぼありません。というか最悪無視されますが、これが通常運転なので腹を立てても仕方がないです。
入り口に突っ立っていると誰か案内してくれそうなものですが、ここではただ放置されるだけ。
誰かが空席を見つけて案内してくれる…という期待はするだけ無駄な環境です。

平日朝11時ですがほぼ満席…。さすが人気店。年齢層はかなり高めですが凄いエネルギーを感じます。
そんな状況なので、空いていそうな席(新しい器がセットされている席)があったら、その周囲の人にとにかく声を掛ける…を繰り返します。店員さんに探してもらうスタンスだと一生見つからないかも。

ほぼ確実に相席になります
時間帯にもよりますが、完全に空いているテーブルを見つけるのは至難の業。
ほぼ確実に相席になるので、そのあたりは割り切っていきましょう。
空席を見つけて腰掛けたら、同席の人に必ず軽く挨拶を。英語でも良いですが、広東語でコミュニケーションを取る(軽くネイホウとか言う)と喜ばれます。
ここで軽くコミュニケーションを取っておくのが、楽しい飲茶タイムにするために非常に重要です。

香港の人は基本的に親切なので、同席になっただけでもかなり気にかけてくれることが多いです。
このときの筆者はかなり運が良かった方。
空席らしき場所のすぐ近くにたまたま店員さんがいたので「Can I get a seat for one?」と声をかけると、軽くうなずかれ、相席テーブルに案内されました。ここまででおよそ10分ほど。
香港人の高齢の男女ペアと一緒になりました。
お茶と点心を注文!
席についても油断は大敵!アンテナを高く張って情報を集めましょう。
お茶やら点心やら選ぶものがいっぱいあります…。
まずはお茶を注文
席に腰掛けると、店員さんが何やら聞いてきます。
大抵の場合お茶の種類を聞かれています。
筆者はとっさに「ぽうれい(普洱茶)」と答えたところ、合っていたみたいで、すぐに店員さんが引っ込みました。
点心記録カードが渡される
お茶が到着した後、すぐに店員さんから紙の注文票が渡されました。
点心をオーダーするとここにスタンプが押されていきます。
点心の種類は小・中・大・特・頂の5種類ある様子。
小が一番安く、頂が一番高いのは容易に想像がつきます。このあたりは同じ漢字圏だと有利ですね。

またテーブルにはメニューらしきものがありますが、書かれているのは点心ではなく食事メニューのラインナップ(おそらくランチやディナー用)。点心を選ぶヒントになるかと思い見てみましたが、特に参考にはならず…。
結局注文しないと分からないみたい。

点心の注文はカウンターかワゴンで
記録カードやら食事メニューやらを眺めていても仕方ないので、さっそく点心を注文します。
周りを観察すると、ワゴンは回っていません。代わりにカウンターに人が集まっています。
どうやらカウンター注文がメインみたいです。
カウンターを訪れると、そこには出来立ての点心がたくさん。
かなりのペースで追加されていますが、それを上回るペースで飛ぶように売れていきます。
お客さんと店員さんのやりとりが飛び交い、すごい活気。
でもこの雰囲気に気圧されていては何も食べられません。

それぞれの具体的な品目や金額は表示されていないので正直分かりませんが、親切に教えてくれるような雰囲気ではありません。スピード重視なので、ある程度勘で行くしかない感じ。
筆者は甲殻類アレルギーがあるので、明らかに海老っぽいやつを避けて注文します。

食べたい点心を指差して注文票にチェックを入れてもらいますが、ここでも周りの香港人に負けないようにアピールしないとなかなか注文が通りません。とにかく必死に注文票を差し出します。
容器を洗いましょう
いくつか点心をゲットしてテーブルに戻ると、ポットのお茶がサーブされていました。
一番大きな器に他の器と食器を入れて、上からお茶を注ぎます。
くるくる回しながら洗います。

これが香港スタイル。

あまりにぎこちなかったようで、同席の香港人からサポートが入りました。
熱々のお茶を注いだので器も結構熱いけど、気にしないみたいです。
これで準備はバッチリ!
実際に食べた点心とおすすめメニュー
早速点心をいただきます。
カウンターで注文したもの
カウンターで頑張ってゲットした戦利品はこちら!
肉団子の焼売と湯葉巻きです。

ワゴンで注文したもの
しばらくするとワゴンも回ってきました!
ワゴン式飲茶は嘘じゃなかった。

蒸籠を開けて中身を見せてもらいます。
どれも美味しそうで迷ってしまいますが、アレルゲン表示がないので慎重に選びます。
戦利品です。
香港飲茶の定番メニュー、鶏の爪先の豆鼓蒸し。これなら安心なはず。

ちょっと食べづらいけど美味しいんですよね。
名物!ココナッツミルクプリン「椰皇」
飲茶メニューはとにかく種類が多いのである程度分散しますが、ほぼ全員と言っていいほど皆食べていたのがこれ。
椰皇(HK$38)です。ココナッツの殻をそのまま使った見た目がインパクト大のミルクプリン。ちゃんとふたも付いています。
食べている人が多いので気にはなっていたのですが、同席の香港人からも片言で猛プッシュ。
これは間違いないサイン。
カウンターにもしっかり書いてあります。
他のメニューはこんな表示はないので、特別なのがよく分かります。

ただこれが非常に人気のメニューなので、普通の点心以上の争奪戦。
出てきたそばから売れていくので、必死にアピールします。
大人しく順番を待っているとただ飛ばされるだけなので、もうとにかく必死。
しばらく粘ってようやくゲットしました。
見た目はまさにココナッツ。

ふたを開けるとこんな感じ!
ココナッツの中にミルクプリンが入っています。上に乗っているのはツバメの巣らしいです。

ミルクプリンはココナッツの香りがほんのり付いているような感じで全然しつこくなく、あつあつでくちどけ滑らか。
脂っこいものを食べた後に口の中をすっきりさせるのにもピッタリ。
周囲のココナッツの果肉をこそげ落としながら食べると、ココナッツ感が増して更に美味しいです。
お湯のお代わりが欲しいときは…
お茶はポットサービスなので、お湯を足せば何杯も飲むことができます。
お湯を足してほしい場合は、ふたをずらしておけばOK。気づいた店員さんがすぐにお湯を入れてくれます。
特に何も言わなくてもお湯を入れてくれるので、非常に便利なシステムですね!

お会計の流れ
お会計も独特な感じでした。
まず清算カウンターで会計をもらう
注文票を持って清算カウンターへ。そこで注文内容から合計金額を計算してもらいます。
こちらのお茶はHK$12でした。

支払い用カウンターで会計
続いて支払い用カウンターでお会計を済ませます。
ここでは各種カードも利用できました。

飲茶店はクレジットカードが使えないところも多いので、この点は非常に便利だと感じました。
素直な感想と注意点
ここからは実際に体験してみて感じたことをいくつかご紹介します。
ひとりでも意外と入りやすい
着席するまではハードルが高い感じでしたが、席を見つけてしまえばあとは普通の飲茶店とほぼ同じ。
日本と比べるとぶっきらぼうな接客スタイルなのは否めませんが、これは香港ならではの人間性の裏返し。そこさえ問題に感じないのであれば、ひとりでも全然楽しめます。
相席になる人は大抵優しいですし、店員さんも別に意地悪なわけでもないので、そこまで心配しなくても大丈夫。

テーブルクロスをくるくる巻いて新しいセクションをセッティングするタイプ。合理的。
金額がとにかく分かりづらい!
こちらはメニュー表から選んで注文するスタイルではないので、慣れないとどのメニューがどの価格カテゴリーに割り当てられているのかが全く分かりません。
筆者の場合も、結局お会計のタイミングになるまでココナッツプリン以外の金額が分かりませんでした。
高額メニューは分かりそうな感じもしますが、ちょっと自信がないです…。
アレルギー持ちは要注意
こちらのレストランのスタイルだと、アレルゲンを完全に避けるのは非常に難しいと感じました。
まず、蒸籠がひたすら積み上がっているので、食べたい物だけピンポイントで狙うのがかなり難しい。中に何が入っているかは分かるものの、甲殻類のように細かく刻まれたり出汁として使われたりしていれば、見た目では判別できません。
さらに、レストラン独特の香港らしい活気が、却ってアレルギーのことを相談するのがはばかられる雰囲気を作り出しています。
さすがに強制退店にはならないと思いますが、広東語によるコミュニケーションができないとかなり面倒くさがられそう…。
アレルギーの品目や程度にもよりますが、広東語ができる知人を帯同するような対策を取るのが最も安全。
それでも絶対に安全とは言えないため、懸念がぬぐえない場合は行かない方が良いでしょう。
体験は相席のお相手次第かも
これはこのお店に限ったことではありませんが、伝統的な飲茶レストランは相席になることが多いです(というかほぼ確実に相席になります)。
コミュニケーションを取る必要は必ずしもありませんが、地元客と一緒になれば色々と教えてもらうこともできますし、観光客と一緒になれば点心をシェアすることもできるかもしれません。
筆者も何度も飲茶レストランを訪問していますが、そういった体験は素敵な思い出になっています。
ただ裏返せば体験内容が相席の人にある程度依存するということでもあるので、そのあたりは認識しておくと良いかも。
まとめ
ロンドンレストランは、観光客向けの親切さとはほど遠い、昔ながらの香港飲茶文化がそのまま残る貴重な場所です。
席を探すのも、点心を確保するのも、自分から動かなければ何も起こりません。
それゆえハードルは高いものの、いったん席を確保してしまえば、あとは香港の日常に溶け込むだけ。
お茶と点心を自分のペースで楽しみながら人間観察…。こんなスタイルが非常に楽しいお店です。
店員さんは素っ気ないですが、悪意があるわけではありません。もちろん恭しいサービスは期待できませんが、観察しているとちょっとした気遣いを見つけることができるはず。
さらに相席になった香港人の方々もとても温かく、器の洗い方からおすすめの点心まで教えてくれました。
ひとりで訪問するのは少し心細いかもしれませんが、ひとたび飛び込んでしまえば、むしろ世話を焼いてもらいやすいというメリットすらあります。現地に溶け込んで本物の香港を体感するには、これ以上の場所はないかもしれません。
そんな感じでひとりでも十分楽しめるロンドンレストランですが、やはり香港のローカル感を体験する覚悟は持って行くことをおすすめします。
もちろん、アレルギーがある人や、優雅で静かに飲茶を楽しみたい人には向かない可能性があります。
とはいえ、ローカル感を体験してみたい人には、最高の舞台です。
少しでも興味があれば、ぜひこの雰囲気を体感してみてください。
以上です!
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甲殻類アレルギー持ち向け、香港の楽しみ方。

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