海外旅行や滞在でどうしても避けて通れない通信環境をどうするか問題。
モバイルwifiや現地SIMなどこれまでも様々な手段が提供されてきましたが、近年旅行者の間で通信手段の新たな選択肢として人気が高まっているのがeSIM。
旅行系YouTuberの動画を観ているとかなりの確率でプロモーションが挟まっていることもあってか、じわじわと認知度が上がっているように感じますね。
筆者はこれまで専ら現地SIM派でしたが、今回中国と東南アジアの数ヵ国を短期間で巡ることになったことからeSIMを使ってみることにしました。
今回はその正直なレビューをお届けします。
今回eSIMを利用することにした5つの理由
今回eSIMを利用することに決めたのは、以下のような5つのメリットがあったからです。
コスパが良い
まずはeSIMは比較的安価かつ手元の操作だけで利用が可能なので、非常にコスパ(費用対効果)が良いということ。
主要キャリアの海外プランは新規の手続きが不要な分一日当たり数千円かかることもあり利用料金はかなり割高ですが、eSIMは一日当たり数百円で利用が可能。費用面ではポケットwifiと双璧を成す存在と言えそう。
また費用面では現地SIMは非常に安価ですが、購入可能な場所まで移動する費用や時間が掛かりますし、国によっては現地語を使うハードルを超える必要があることを考えると、必ずしもコスパが良いとは限りません。

中国と東南アジアの両方をカバーするサービスは意外にも少なく、それぞれ別個に契約するとトータルでかなり割高になります。利用料金と手間を考えるとeSIMが一番便利。
気軽に利用できる
比較的安価な現地SIMはウェブで購入できますが、配送時間が短くて数日かかるのがネック。
モバイルwifiは事前予約や当日カウンターでの受け取りが必要なため、eSIMのように手元のスマホで全ての手続きが完結することはありません。
その点eSIMであれば専用のアプリをダウンロードしセットアップをすれば簡単に使えますし、容量が少なくなってもアプリを利用してトップアップすることができるので安心。
現地SIMは専用のアプリをダウンロードしないと容量確認やトップアップができないことが多いので、容量が少なくなってくると不安になります。しかも情報は大抵の場合現地語のSMSなどで送られてくるので、理解できないこともしばしば。



いざというときに現地語を介さずに手元でデータ残量確認やトップアップができるという点は安心材料です。
短期旅行に便利
滞在期間が短い旅行を最大限楽しむには時間の使い方が非常に重要。現地SIMが買える場所を探す時間や手間はなるべく避けたいものです。
以前訪問したことのある場所であれば購入方法がすぐに分かりますが、到着時間によっては現地SIMを販売するカウンターが閉まっていたり、初訪問の場所だと勝手が分からなかったりして、思ったよりも時間がかかってしまうこともあります。
eSIMであれば現地到着時からすぐに利用できるため、到着空港で現地SIMを探し回ったりする必要がなく、時間を有効に活用することができます。



今回は短期旅行ではないものの、中国で空港間移動を伴うトランジットがありました。言語の壁やトラブル発生の可能性を考えると、短時間であってもインターネット接続は確保しておきたいところ。
周遊旅行に便利
eSIMの特徴が、一枚で複数の国や地域をカバーできる点。この特徴は複数の国を周る旅程で非常に効果を発揮します。
周遊日程でそれぞれの国の現地SIMを購入するのも一案ではあるものの、その都度現地SIMを新たに購入するのは単純に手間ですし、滞在期間が短ければデータ容量が使い切れず余ってしまうこともあります。
さらに困るのが、そうして増えてしまったSIMカードの管理。どれがどれだか分からなくなってしまったり、小さいので最悪紛失してしまうリスクもあります…。
ポケットwifiも様々な地域を一台でカバーできるものの、機器を持ち歩く必要がある点が不便。しかも充電しないと使えない点がネック。



安宿だと十分な数のコンセントがないことがあるので、充電が必要な機器はなるべく増やしたくないです…。
その点複数の国をカバーするeSIMであれば、国を移動すると自動的に設定が切り替わるため、スマホでいちいち設定変更を行ったり、SIMを入れ替える手間はありません。
今回airaloを選んだ理由
eSIMを提供しているサービスは結構ありますが、今回その中でもairaloを選んだのは以下の2点が理由です。
中国&東南アジア両方のエリアで使え、かつ渡航日程全てをカバーしているから
eSIMを選ぶにあたり、まずは滞在予定の国を全てカバーすることが必要。調べてみるとHolafly、airalo、world eSIM、Glocal eSIMあたりが両方のエリアをカバーしていることが分かりました。
商品 | 該当プラン | 対応国数 | プラン条件 |
---|---|---|---|
Holafly | アジア | 16(日本、中国、インドネシア、タイ、韓国、ベトナム、シンガポール、フィリピン、香港、スリランカ、マレーシア、台湾、パキスタン、カンボジア、マカオ、ラオス) | 1~90日までカスタマイズ可能 データ無制限/990円(日) |
airalo | Asialink | 18(日本、中国、インド、インドネシア、タイ、韓国、ベトナム、シンガポール、フィリピン、香港、スリランカ、マレーシア、台湾、パキスタン、バングラデシュ、カンボジア、マカオ、ラオス) | 1GB/7日/5.00USD 2GB/15日/9.50USD 3GB/30日/13.00USD 5GB/30日/20.00USD 10GB/30日/37.00USD 20GB/30日/49.00USD 50GB/90日/100.00USD 100GB/180日/185.00USD |
world eSIM | アジア・オセアニア周遊A | 21(インドネシア、オーストラリア、カンボジア、シンガポール、タイ、ニュージーランド、フィリピン、ベトナム、マレーシア、韓国、香港、台湾、中国、日本、アゼルバイジャン、アルメニア、インド、カザフスタン、スリランカ、パキスタン、マカオ) | 期間容量プラン 10GB/10日/9,817円 5GB/5日/5,340円 3GB/3日/3,549円 |
Glocal eSIM | アジア周遊 | 12(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、マカオ、ラオス、香港、台湾、中国) | 8日間/毎日1GB/3,780円 15日間/毎日1GB/5,780円 8日間/毎日2GB/4,980円 15日間/毎日2GB/8,080円 |
他は東南アジアだけだったり中国だけだったり…。
現地SIMと併用しやすいプランがあるから
Holaflyはデータ無制限の点が魅力的である一方、airaloは少な目のデータ量で安価にサービスを提供しています。Glocal eSIMは1日当たりのデータ量設定とアジア・AU・US周遊10日間プランが選べそう。world eSIMも容量が良い感じに思えます。
筆者の旅程は以下のとおり。
Holaflyはデータ無制限なのでそれ1枚だけでいけるものの現地SIMとの組み合わせは微妙、Glocal eSIMはeSIMを使わない日があること&日程が10日を超えることを考えるとニーズを満たさない。world eSIMは日数が足りない…ということで、今回はairaloを使うことにしました。
eSIM&airaloの使い方
ここではairaloの使い方をご紹介します。
eSIMを利用するための条件
eSIMを使用できるスマホを持っていることが第一条件。
- SIMロックが解除されていること
- eSIM対応機種であること
対応機種かどうかは機種名やEID項目の有無で判別できます。
アプリのインストール&アカウント設定
まずはアプリをストアからインストール。
インストールが完了したら、アカウント設定を行います。
アカウント設定時に登録が必要な情報は以下のとおり。
- 名前(ファーストネーム)
- メールアドレス
- 任意のパスワード
eSIMプランの購入
eSIMをインストールする前にまずはプランを購入します。
購入するeSIMのプランを選択します。


今回はアジア圏で使用するので、Regional eSIMsを選択し、次にAsiaを選択します。対象となるプランが表示されるので、購入したいプランを選択します。


プランを選択すると内容や料金が確認できます。問題なければ右下のBUYをタップ。


BUYをタップすると、支払い画面に遷移します。


決済が完了すると、登録したメールアドレスに領収書が送信されます。


eSIMのインストール&アクティベート
プランの購入が完了したら、eSIMのインストールに移ります。



こちらの画面はiPhone(端末言語設定は英語)のものです。
View Instructionsをタップすると、eSIMのインストール方法を確認することができます。


ここからは具体的にインストール作業に移ります(eSIMのインストール方法はいくつかありますが、ここでは一番簡単なDirectを選択)。
eSIMのインストール方法を確認し、画面下部のINSTALL eSIMをタップ。


スマホにeSIMをインストールする準備ができました。Allowをタップ(ここからはスマホの言語設定によって表示される言語が異なります)。


ここからはスマホ側でインストール作業を行います。Continueをタップ。


eSIMのセットアップが完了しました。


これでスマホにeSIMがインストールされたので、次に主要回線などのネットワーク設定を行います。
既存の回線とeSIMを区別するためにそれぞれに名称を付与します。ここでは既存回線にPersonal、eSIMにはCellular Dataという名前を付けてみました。


次に連絡先以外の人からの電話やメッセージを受ける際に利用する回線を選択します。


さらにiMessageとFaceTimeを利用する回線を選択します。


そしてデータ通信を利用する回線を選択します。


連絡先からの通話に利用する回線を選択します。


ここでアプリの画面に戻ってきます(Your eSIM has been successfully installedと表示されればインストールが無事に完了しています)。
これでeSIMを利用するための準備が完了しました。


eSIMを使う
ここからは実際にeSIMを使う際の設定をご紹介します。
まずは既存回線をオフにして、海外での高額請求を防ぎます。既存回線を選択し、回線&データローミング(Data Roaming)をオフに。


既存回線でAPN設定プロファイルを利用している場合、そのままだと干渉してしまいeSIMが利用できません。そのためAPN設定プロファイルを削除する必要があります。


該当のプロファイルを削除します。


eSIMの対象エリアに入ったらeSIM回線をオンにします。



eSIM回線をオンにすると自動的に利用日数のカウントがスタートするので、eSIM回線をオンにするタイミングは要注意。
airaloのレビュー
さてここからは実際にairaloのeSIMを使ってみた感想をご紹介します。
簡単に使える
インストールさえしてしまえば、回線をオンにすれば自動的にインターネットに繋がります。
国を跨ぐ移動の際には機内モードに設定していましたが、現地に着いて機内モードを解除すると自動的に現地の通信会社の回線に繋がるので、煩わしい設定変更やSIMカードの入れ替えが不要で非常に便利でした。
2週間程度の旅程で2GBというデータはかなり少ないですが、残量がアプリでチェックできるため調整しながら使うことができました。
普通に使う限り通信速度は申し分なし
通信速度については、いつも通りネットサーフィンを行う限り特段問題は感じませんでした。動画視聴も問題なし。
トップアップが便利…でも割高
容量が足りなくなった場合に簡単に容量を購入できますが、7日間有効の1GBプランが5USDとかなり割高。渡航先の物価にもよりますが、ストレートにお得!とは言い難い金額です。
現地SIM購入までのつなぎに有用
今回の渡航先である東南アジアでは現地SIMが格安なので、現地SIMを入手するまでの臨時の通信手段として利用することにしました。
参考までに、筆者が使用した現地SIMをご紹介します。
- タイ:8日間有効、データ無制限&音声通話付きSIM。通信会社はdtacで料金は399バーツ(約1,750円)。
- シンガポール:4週間有効、データ120GB&音声通話付きSIM。通信会社はStarHubで料金は25シンガポールドル(約2,700円)。
1日あたり課金プランや無制限プランのeSIMを利用するよりも、トータルの費用を抑えることができました。
まとめ
本記事ではeSIMの使い方やairaloの使用レビューをご紹介しました。
今回のような周遊旅程かつ現地SIMとの併用前提であれば、比較的安価な価格設定でデータ量が少ないというairaloの特徴を上手く活かすことができると感じました。
以上です。
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