海外大学院に出願するにあたり、入学資格を満たしていることを証明するのが卒業証明書と成績証明書です。
卒業証明書は大学学部卒業かそれに相当する学位を保有していることを確認するための書類であり、成績証明書は学術上の業績を確認するための書類です。
特に成績証明書に記載されるGPA(Grade Point Average)は、出願の足切り要素として使用されることもある重要な指標であり、一般的に大学院留学には3.0以上が必要と言われています。
本記事では、そんな卒業証明書や成績証明書の入手方法とGPAの計算方法についてまとめました。GPAが出願要件に満たない場合の対処法についてもご説明しています。
卒業証明書
卒業証明書の入手方法
卒業証明書は卒業大学(学部事務所等)に請求します。大学院の指定により、英語か現地語のものを提出する必要があるので請求時に注意します。
海外大学院の場合は日本語版は受け付けないことが多いと思います。
基本的に直近に取得した学位についての情報が求められると思いますが、2つ目以降の修士を取得する場合等例外も考えられるので、大学院のウェブサイトをよく確認する必要があります。
最近は遠方からでもコンビニのマルチコピー機を利用して卒業証明書や成績証明書が印刷できる場合があります。また海外在住の場合はメールでデータを送ってもらえる等特例措置が受けられることも。
詳細は卒業大学のウェブサイトをご確認ください。
成績証明書
成績証明書の入手方法
成績証明書も卒業証明書と同様に卒業大学に請求します。
GPAの表示と計算について
大学での学問上の業績を測るために使用される代表的な指標がGPAです。成績証明書を請求する際に証明書に記載される場合が多く、大学や学部によって成績の付け方が異なることから、GPAも算出方法や基準にバリエーションがあるようです。
GPAの計算方法
例えば、以下のように各評点をグレードポイントに対応させると定められているとします。
評点 | 点数 | グレードポイント(Grade Point) |
A | 90~100 | 4.0 |
B | 80~90 | 3.0 |
C | 70~80 | 2.0 |
D | 60~70 | 1.0 |
F | ~60 | 0.0 |
この場合、以下の数式でGPAを算出できます。
(Aの単位数×4.0+Bの単位数×3.0+Cの単位数×2.0+Dの単位数×1.0)÷総単位数=GPA
求められるGPA水準(4.0満点方式の場合)
コースによっては一定以上のGPAを取得していることを入学要件としている場合もあり、その場合は証明書に記載されている出願者の取得GPAが基準を上回っていることが必要です。出願先大学院の立地する国によっても基準は変わりますが、大学院の場合、アメリカ基準の算出方法で一般的に3.0、トップレベルになると3.5程度が求められるようです。
求められるGPA水準(イギリス式の場合)
イギリスの場合は少し体裁が異なり、4.0満点方式ではなく1st classから3rd classまでのランク付けで成績要件が示されることが多いです。対応関係は以下のとおりです。
イギリス式 | GPA |
First-Class Honours (First or 1st) | 4.0 |
Upper Second-Class Honours (2:1) | 3.7 |
Upper Second-Class Honours (2:1) | 3.3 |
Lower Second-Class Honours (2:2) | 3.0 |
Lower Second-Class Honours (2:2) | 2.7 |
Third-Class Honours (Third or 3rd) | 2.3 |
Third-Class Honours (Third or 3rd) | 2.0 |
Ordinary/Unclassified | 1.0 |
Ordinary/Unclassified | 0.0 |
トップ校の場合、Upper Second-Class Honours (2:1)以上が求められる場合が多いです。
GPAが証明できない場合
GPAの計算方法が示されている場合
大学や学部、卒業年によってはGPAが掲載されていない場合があります。私は卒業時点で大学がGPAを算出していなかったので、成績表でGPAを示すことが出来ませんでした(「GPAが示せない旨の証明」はもらえました)。
GPAの掲載された成績表が入手できない場合に規定の成績を修めていることを示す方法は、大抵の場合大学院のウェブサイトに掲載されていますので、その記載内容に沿って準備します。
- 自分で算出したGPAを提出する
- 留学エージェントで再計算したGPAを提出する(後述)
- GPA不明のまま出願する
- GPAに関する証明が発行されない旨を大学院に説明して指示を仰ぐ
私の場合、パリ政治学院ではGPAの算出方法が示されていましたので指示に従い自分で計算しました(パターン1)しました。
GPAの計算方法が示されていない場合
またイギリスの大学院については、エージェントの介在を認めるロンドン大学クイーンメアリー校や同パリ研究所にはBEOで再計算したGPAを提出(パターン2)し、エージェントの介在を認めないLSEには出願ポータルでGPA欄に数値を入れず(パターン3)にそれぞれ出願しました。
IHEIDはGPA基準を設定していないため本件はあてはまりません。
LSEはGPA要件を設定していますが数値を入れなくても合格できたのは、おそらく職歴がプラスに働いたのだと思います。
GPAが出願要件を満たさない場合
留学エージェントでGPAの再計算をしてみる
筆者が利用した留学エージェントのBEOはGPAの再計算サービスを提供しており、エージェントの介在を認める大学院であればその数値を使うことができます。
実際に私も4.0満点方式だと2.6だったのですが、再計算の結果3.4まで上がりました。(おそらく最高点4.3方式で計算している)
大学院からGPAの計算方式を指定されていない場合は、試してみる価値アリです。
筆者が留学エージェントBEOでGPAの再計算を行ったときのことは、こちらの記事にまとめています。
GPAが低い場合でも、あきらめないで!
なお大学院留学はGPA3.0以上無いと厳しいという言説もありますが、GPAの足切り要件が明示されていない限り、基本的に出願してみることをお勧めします。
職務経歴等他の要素でカバーできる可能性があるからです。
例えば最難関の一つであるLSEは一般的に3.5が最低基準と言われていますが、私はそれよりも低いGPAでも合格することが出来ました。
まとめ
この記事のまとめは以下のとおりです。
- 卒業証明書と成績証明書は出願先大学院指定の言語のものを準備。
- GPAの算出方法には決まったものがない。大学によっても、国によっても異なる。
- GPAが不明の場合は、大学院の示している方法に従う。自分で算出する場合もある。
- 出願先によってはGPA再計算をエージェントに依頼することも可能。
卒業証明書と成績証明書は大学に請求するだけですので、発行期日について条件がある場合以外は早めに入手して手元にもっておくと、志望理由書や推薦状の準備が忙しくなっても焦らずに済むかと思います。
以上です。
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