はじめての陳奕迅!香港ポップスの魅力に触れる超定番おすすめ曲7選

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香港の夜景、飲茶、トラムの街並み…。香港は現在も非常に人気の旅行先!香港映画も根強い人気がありますよね。
香港の独特な世界に魅せられた人も多いのではないでしょうか。

そんな香港が好きな人にぜひ聴いてみてほしいのが「広東語のポップス」。日本の楽曲のカバーも非常に多く、意外にも音楽の好みは日本と似ています。

そして中でも高い人気を誇るのが陳奕迅(Eason Chan)。香港を代表するシンガーであり、心を打つ歌詞と表現力豊かな歌声で、今に至るまで中華圏を中心に多くの人々に愛されています。

2025年5月3日には横浜で日本初の単独コンサートが開催されました!

この記事では、広東語の歌にあまり馴染みがない方でも入りやすい、初心者向けのおすすめ曲7選をご紹介。

音楽を通じて少しディープな香港文化に触れてみたい方や、香港の魅力をもっと知りたいという方に参考にしていただければ幸いです。

目次

十年(2003年)

当時30歳を迎えた陳奕迅が、人生と時間について深く考えるようになった時期に生まれた作品。かつての恋を静かに回想するような構成で綴られた、陳奕迅の代表的な普通話バラードです。

「もし十年後に再会したら、僕たちはどうなっているのだろう?」という仮定の中で、もう戻ることのない関係性、癒えたはずの傷、そして未練のようなものが淡々と歌われていきます。

歌詞は別れの余韻を「十年後の視点」で振り返るという構成が印象的で、特に「十年之前 我不認識你 你不屬於我…」「十年之後 我們是朋友 還可以問候…」(十年前僕らは知らない同士だった。十年後には友達として挨拶を交わせるだろう)という一節は、多くのリスナーの心に刻まれ、別れを静かに受け入れる曲として長く愛されています。

「情人最后难免沦为朋友」(恋人は結局友達になってしまうものだ)のところもグッときます。

なおこの楽曲は2002年に発表された広東語の楽曲『明年今日』をもとに、2003年に普通話で再構成されたバージョン。MVでは愛の記憶がゆっくりと色褪せていくような演出が施され、切なさと共に「時間」という存在の重さを感じさせます。

この曲は陳奕迅の代表作で、カラオケの定番曲にもなっています。

好久不見(2007年)

北京語のアルバム「認了吧」(簡:认了吧)収録曲で、陳奕迅が普通話市場でも地位を確立した代表曲のひとつ。

曲中で主人公は思い人との再会を思い描いており、「你会不会忽然的出现、在街角的咖啡店」(君が突然、街角のカフェに現れたりしないだろうか)のように、ひょっとしたら?と期待するような心情描写も多くなされています。しかし一方で実際には再会が果たされていないことも示唆されており、再会への願望とそれが叶わない現実との間で揺れる心情が表現されています。

陳奕迅の感情を抑えるような歌い方も、「起こらない再会」を願う虚しさを際立たせるよう。

もし再び会えたら、ただ一言「久しぶり」と声を掛けたい。そんなささやかな願いを歌った切ない楽曲です。

K歌之王(2000年)

アルバム『打得火熱』に収録。若き陳奕迅が「歌うこと」と「感情」のリンクを強く意識した初期の傑作です。

K歌は「カラオケ」のこと。「君が愛したのは僕?それとも僕の歌声だったのか?」そんな問いかけが胸を刺す、鋭くも切ないバラード、それが「K歌之王(カラオケの王様)」です。表向きは「カラオケ好きな人の歌」のように見えて、実は「愛にすがる自己表現」の不器用さを描いた深い楽曲だったりします。

主人公は、歌うことによってしか想いを伝えられない。それなのに、伝わったのは「気持ち」ではなく「歌」だった。このジレンマと孤独が、哀愁を帯びたメロディとそれに似つかわしくないような激しい歌詞の中に滲み出ています。言葉選びの緻密さと感情の余韻は、まさに「C-POP詩の金字塔」と称されるほどの完成度。

のちに普通話版の「K歌之王(国语版)」もリリースされましたが、内容は同じメロディにのせた全く異なる歌詞。広東語版が「報われない恋愛に歌うことで耐える男の孤独」を描いているのに対し、普通話版ではより自虐的な「振られた男の未練」が軸になっています(歌詞も広東語版と比べるとだいぶマイルド)。それぞれ聴き比べてみるのもおすすめ。

こちらには広東語版を載せます。

Shall We Talk(2001年)

アルバム「Shall We Dance? Shall We Talk!」の表題曲。

この曲「Shall We Talk」は、日常によくあるコミュニケーションのすれ違いによって恋人や家族の間にいつの間にか生まれた「気まずい静けさ」をそっと見つめ、言葉を交わすことの大切さを歌うバラード。

タイトルの「Shall We Talk?」は直訳すれば「ちょっと話さない?」という控えめな誘い文句。歌詞は親子や恋人、友人など、さまざまな人間関係におけるコミュニケーションの重要性とその難しさを繊細に描き、「あのとき、もっとちゃんと話していれば」という「後悔の静けさ」を通して人間関係のリアルな温度感を伝えてくれます。黃偉文の繊細な歌詞が、優しく語りかけるような歌唱と相まって、非常に印象に残る一曲。

この曲はそのテーマ性から香港政府の精神健康推進キャンペーン「陪我講(Shall We Talk)」のテーマソングに採用され、公式のYouTube動画には陳奕迅も出演しています。

富士山下(2006年)

報われなくても、愛せたことが幸せだった。
そんな無償の愛を静かに描いたのが広東語バラードの傑作「富士山下」です。

富士山という日本の象徴を「手の届かない存在」になぞらえ、別れた恋人への想いをどこか諦めに似た優しさで綴っていくこの曲。「誰能憑愛意 要富士山私有?」(誰が愛の力で富士山を手に入れられるだろう)という歌詞からも、どれだけ愛しても全ては得られないという、切なくも大人びた視点が感じられます。

林夕による詩的で深い歌詞と澤日生の哀しみを帯びたメロディが見事に融合し、叱咤樂壇我最喜愛的歌曲大賞(2007年)をはじめとする香港の音楽賞を多数受賞したこの曲は、今も多くの人の心に残る名バラードです。

またこの楽曲には、「愛情轉移」という普通話の姉妹作が存在します。メロディは同じですが、こちらは一転して「過去の恋から立ち直る方法」をテーマにした内容。手の届かない存在を認めながらも、「前の恋で得たぬくもりを次の恋へ転移する」という少し心理学的な視点が取り入れられています。

まったく異なる歌詞世界を持ちながら、どちらも「恋が終わったあとの心の動き」を見つめる名曲。ぜひ2曲を聴き比べて、その違いを味わってみてください。

例によって広東語版「富士山下」を載せます。

歳月如歌(2001年)

「時の流れは、まるで歌のように」…。そんな詩的なタイトルの通り、人生の移ろいや友情、後悔、別れを一編の歌に託したのが「歳月如歌」です。

エネルギッシュなロックバラード調のこの曲は、静かに始まりながらも、サビでは力強いギターと感情的なボーカルが炸裂。過去を振り返る「自分語り」のようでありながら、聴く人それぞれの記憶や感情にも寄り添ってくれる不思議な楽曲です。

「多少歲月如歌 多少心裡話難講」(いくつの歳月が歌のように流れ、いくつの想いが語れないままだった)というフレーズには、言葉にできない感情をそっと抱えながらもそれでも前に進もうとする人の姿が浮かびます。

またこの楽曲はTVBの人気ドラマ「衝上雲霄(Triumph in the Skies)」の主題歌として爆発的にヒットし、香港では「誰でも知っている定番曲」のひとつとして、カラオケでも今なお高い人気を誇っています。歌詞の内容もパイロットをテーマにしたドラマにぴったりで、大いにドラマを盛り上げました。

ちなみに、この曲には普通話版の「兄妹」というバージョンも存在します。
タイトルの通り男女の友情と恋愛の境界線を描いた内容で、「歲月如歌」とは歌詞の世界観が大きく異なります。同じメロディながら、広東語版が“別れと回想”を詩的に描いているのに対し、普通話版は“片想いの複雑さ”に焦点を当てています。

聴き比べてみると、言語が変わることでこんなにも表現が変わるのかと驚くはずです。

こちらには広東語版「歳月如歌」を載せます。

讓我留在你身邊(2016年)

最後はちょっと新しめの楽曲「讓我留在你身邊」を取り上げます。

「そばにいさせてほしい」そんなシンプルで切実な願いを、優しいメロディにのせて歌いあげたのがこの曲。映画『擺渡人』の主題歌として制作され、陳奕迅が普通話で歌ったロックバラードです。

歌詞は、不器用で内向的な人間が、言葉ではうまく愛を表現できなくても、ただそばにいて大切な人を見守りたいという気持ちを静かに綴っています。愛するとは、何かを与えることではなく「そばにいること」だと気づかせてくれるような一曲です。

メロディは控えめながらも深い余韻を残し、陳奕迅の柔らかく感情を込めた歌声が心に染み入ります。普通話の楽曲の中でも、初心者が最初に聴くにはぴったりのやさしさと包容力を持った名曲。

ここではライブ版をご紹介。

まとめ

以上、初心者にもおすすめできる陳奕迅の名曲7選をご紹介しました。

バラードからロック調の楽曲、ドラマや映画とのタイアップまで…どの曲にも共通しているのは、「感情を丁寧に描き出す」力と、リスナーの記憶や人生にそっと寄り添う表現力です。

中国語やC-POPに馴染みがない人でも、まずは気になる曲から聴いてみれば、その世界観の豊かさにきっと驚くはず。
ぜひお気に入りの1曲を見つけてみてください!

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