日本から週末トリップでも気軽に訪問できる台北。
小籠包や夜市などグルメのイメージが強い街ですが、個性豊かなカフェが集まる「カフェシティ」という顔も。
少し歩いただけでも、古民家を改装した小さな喫茶店や書店併設のカフェなど、無数の選択肢が現れます。
面白いのが、それぞれが全く異なる雰囲気をまといながらも、台北の喧騒の中に溶け込んでいること。
台北のカフェは物思いにふけったり、書き物をしたり、本を読んだり…という過ごし方にピッタリの静かな空間を提供してくれます。
今回は、そんな台北で出会った、いわゆる文青カフェを中心に、静かに自分の時間を過ごせるカフェを厳選して紹介します。にぎやかな観光名所とは一味違う台北を味わってみてください。
台北のカフェ文化とカフェの多いエリア
台北のカフェ文化は、ここ10年ほどで驚くほど変化しています。
台湾独自の文青文化(アート・文学・音楽を愛する人々のカルチャー)と結びついたことで、台北のカフェは単なる喫茶空間ではなく「静けさと創造の場」として進化を遂げています。
以前から日本統治時代の家屋をリノベーションしたカフェも人気でしたが、さらに多彩になっているのが最近の台北のカフェシーン。日本ではすっかり見なくなった純喫茶やレトロカフェからノマドが集う夜カフェまで個人経営のお店が多いその様相は、まさに都市全体がカフェ激戦区のようです。
その中でも以下のエリアに個人経営のカフェが多く出店しています。
- 大安・永康街エリア:老舗から新鋭まで幅広く、リノベカフェも。新スポット・榕錦時光生活園區も人気。
- 中山・迪化街エリア:台北駅にも近く、デザイン性の高いカフェが集中。ノマドワーカーに人気。
- 松山・民生社區:落ち着いた住宅街で、コーヒー通に愛される店が点在。
次の章からは、実際に訪れたカフェをひとつずつ紹介していきます。
何家人珈琲.Coffee HO
一階は自転車店。その奥の扉を抜け、階段を上がった先に現れるのが何家人珈琲. Coffee HOです。
外からは想像もつかないほど静かな空間が広がり、まるで秘密基地のような隠れ家カフェ。

店内はレトロな家具と植物に囲まれ、午後の光が白いカーテン越しにやさしく差し込みます。壁の棚には台湾や海外の本が並び、自由に読むことができます。音楽は控えめで、静寂そのものが心地よいBGMになります。
コーヒーは200NTDからで、豆の産地からオーダーを選びます。
そして評判なのがカラメルプリン。やや固めで、ほどよい苦味と甘みのバランスが絶妙です。

迪化街にほど近い住宅街にひっそりとあるこのカフェは、観光の途中に立ち寄るというよりも「静かな時間を味わいに行く」ための場所。本とコーヒーが似合う台北の午後を過ごすなら、きっとこの店がぴったりです。
| 住所 | 103 台湾 Taipei City, Datong District, Lane 155, Nanjing W Rd, 33號2樓 |
| 営業時間 | 11時~18時(日曜日定休) |
| Wi-Fi | なし |
| 電源 | なし |
| 公式ウェブサイト/SNS | https://www.instagram.com/coffee_ho/?igshid=YmMyMTA2M2Y= |
SIDOLI RADIO 小島裡
台北駅からほど近い場所にあるSIDOLI RADIO 小島裡は、ポッドキャストの録音スタジオとレコードショップを併設した珍しい音楽カフェ。一歩足を踏み入れると、コンクリートと木材が調和したレトロモダンな空間が広がり、どこか昭和の喫茶文化を思わせる温かみがあります。

店内にはレコードプレーヤーやスピーカーが並び、日本や欧米のレコードも多く飾られています。訪問時はレコードスペースが期間限定のギャラリーとして開放されており、ピンクのネオンライトに照らされた写真展示が印象的でした。定期的にアーティストのライブも開催されているようです。
音楽とアートが自然に交差する場所…そんな台北らしい自由な空気が漂います。

カウンター席には電源があり、Wi-Fiも完備。
平日はノートパソコンを開く客も多く、作業や読書にもぴったりです。
静けさの中にほどよい生活音と音楽が混ざり合う、心地よいバランス。
「台北の街で音とともに過ごす空間」を楽しみたい人には理想的な一軒です。
| 住所 | 103 台湾 Taipei City, Datong District, Chang’an W Rd, 245號一樓 |
| 営業時間 | 10時~18時(金曜日・土曜日は19時~0時も営業)(月曜日・火曜日定休) |
| Wi-Fi | あり |
| 電源 | あり |
| 公式ウェブサイト/SNS | SIDOLI RADIO 小島裡 |
Block & Cafe 町咖啡
夜遅くまで静かな活気が漂うBlock & Cafe 町咖啡。
台北駅から徒歩圏内にあるこのカフェは深夜1時まで営業しており、夜型のクリエイターやノマドワーカーが集う人気スポットです。

店内は白壁と木製テーブルを基調にしたミニマルな空間で、BGMも控えめ。
各席には電源が備えられ、Wi-Fiも安定しているため、作業やリモート会議にもぴったり。
ノートパソコンを開く人、参考書を読みふける人…それぞれが思い思いの時間を過ごしています。

そして、この店の名物とも言えるのが看板猫。
人懐っこく、ふらりと客席の間を歩く姿に思わず顔がほころびます。
コーヒーだけでなく台湾茶などメニューも豊富に揃い、長時間の滞在でも飽きません。
昼は光が差し込む明るい空間、夜は静かな共創の場。
まさに台北らしい夜カフェ文化を感じられる一軒です。
| 住所 | 103013 台湾 Taipei City, Datong District, Taiyuan Rd, 50號2樓 |
| 営業時間 | 8時~翌1時 |
| Wi-Fi | あり |
| 電源 | あり |
| 公式ウェブサイト/SNS | Station & Cafe. 壹站咖啡 |
Athena Bookstore 春秋書店
中山駅近く、赤峰街の静かな一角に佇むAthena Bookstore 春秋書店は、本とコーヒーがゆるやかに共存するブックカフェ。近年おしゃれなカフェやギャラリーが増えている心中山線形公園のすぐ脇の路地にあり、観光の途中で立ち寄る人も多い人気スポットです。
壁一面に並ぶ本棚には、台湾文学や哲学、アート関連など多彩なジャンルの書籍がずらり。
店内は照明がやや落とされ、読書にも作業にも集中しやすい雰囲気。各席に電源とWi-Fiが用意されており、ノートパソコンを開く地元の学生やフリーランスの姿もよく見られます。

コーヒーの他軽食やデザートもあり、長時間の滞在でも心地よく過ごせます。
本を読むために設計されたような静けさの中で、ページをめくる音とコーヒーの香りが穏やかに溶け合う…。
そんな「知の休息所」と呼びたくなるカフェです。
| 住所 | No. 7號, Lane 41, Chifeng St, Datong District, Taipei City, 台湾 103 |
| 営業時間 | 12時~22時 |
| Wi-Fi | あり |
| 電源 | あり |
| 公式ウェブサイト/SNS |
森高砂咖啡館
台北駅近く南京西路と延平北路の交差点に建つ森高砂咖啡館は、台湾産コーヒーの専門店として知られる名店です。
現在は台北市内にいくつか支店がありますが、やっぱり行きたいのは大稻埕總店。
商館建築をリノベーションしたクラシックな建物は、グレーの石造りに縦長の窓が並び、街角のランドマークのような存在感を放っています。

店内に入ると、重厚な木の家具とシャンデリアが並び、外の喧騒を忘れるような静けさに包まれます。

メニューには、嘉義・雲林・花蓮・台東など、台湾各地の農園から届くシングルオリジン豆がずらり。浅煎りから深煎りまで、どれも香り豊かで、土地ごとの個性を丁寧に引き出しています。メニューではそれぞれのフレーバーがフルーツやワインなどに例えて表現されており、その奥深さが堪能できます。
今回は森高砂浅煎りブレンドコーヒーをアイスでいただきました(スモールで250NTD)。フルーティーな芳香と爽やかな酸味は蒸し暑い台北にぴったり。一杯ずつサイフォンで淹れられるコーヒーは、味わうたびに台湾の豊かな自然が思い浮かぶようです。

パソコン作業には向かないものの、ゆっくりとコーヒーを味わいながら過去と現在が交わる時間を楽しむには最高の空間です。台湾のコーヒー文化の今を体感したいなら、ぜひ一度足を運びたい一軒。
| 住所 | No. 1, Section 2, Yanping N Rd, Datong District, Taipei City, 台湾 103 |
| 営業時間 | 12時~20時 |
| Wi-Fi | なし |
| 電源 | なし |
| 公式ウェブサイト/SNS | 森高砂精品台灣咖啡 | 台灣咖啡第一品牌 |
eslite café Songyan Shop
eslite café Songyan Shopは誠品生活松菸店3階にあるカフェ。大量の本に囲まれた書店スペースの脇にあるこのスペースは、まさに台北カルチャーを象徴する場所です。
書店スペースの誠品書店松菸はなんと24時間営業。朝から晩までじっくりと大量の本に向き合うことができる、本好きにはたまらない場所です。
書店スペースが籠るような空間だとすれば、カフェスペースはその逆でガラス張りの明るい空間。
大きな窓からは台北101を含む市政府駅周辺の高層ビル群が見渡せ、日が暮れると街の灯りが柔らかく差し込みます。

店内はクリーンなホワイトを基調に、広々としたテーブル配置。買い物の合間に立ち寄る人も多く、ノートパソコンを開いて作業する人や静かに読書を楽しむ人の姿も。BGMは控えめでにぎやかさよりも整った穏やかさが漂います。

メニューはコーヒーから紅茶や台湾茶も揃い、デザートの完成度もなかなかのもの。特に季節限定のケーキは見た目も美しく、軽やかな甘さでコーヒーとの相性が抜群です。店内のすぐ外には誠品書店やギャラリースペースが広がり、知的な空気に包まれたまま時間を過ごせます。
書店とカフェを行きつ戻りつしながら知の旅を楽しめるこのカフェは、台湾文化と日常が交わる場所として「文青カフェ」という言葉を最も体現する場所と言えるでしょう。
| 住所 | 110 台湾 Taipei City, Xinyi District, Yanchang Rd, 88號3樓 |
| 営業時間 | 10時~0時 |
| Wi-Fi | あり |
| 電源 | あり(少ない) |
| 公式ウェブサイト/SNS | eslite café | 誠品行旅 | eslite |
まとめ
日本と比べると猥雑な感じがする台北の街。
その街を注意深く観察していると、面白い発見がたくさんあります。
そのうちのひとつが、古い建物を丁寧に再生した喫茶店や、音楽やアートと共にあるカフェなど、ぽっかりと日常と切り離されたような素敵なカフェとの遭遇。誰もが思い思いの時間を過ごし、それが自然に調和している…。そんな柔らかい空気が、台北の文青カフェにはあります。
筆者個人としては、台湾のカフェ文化の豊かさや変化の早さは世界のどことも異なる感じがして結構好き。
何となくですが、台湾という国が大切にしてきた人と場所のつながりや、日常を丁寧に味わう文化が、カフェという形で息づいているような感じもします。
地場産業とのつながりが感じられることが多いのも面白いポイント。
一杯のコーヒーをゆっくりと味わいながら街の鼓動を遠くに感じたり、台湾の本を通じて自分の内面に触れてみたり。
そんな時間こそが、台北という都市のいちばん贅沢な過ごし方かもしれませんね。
以上です。
-1.png)

コメント