筆者は2023年9月からジュネーブの大学院に留学中。
日本で就職したときは正直自分が世界的な名門に進学できるかなんて考えたことはなかったですし、実際今回の出願手続もかなりの手探りでしたが、ふたを開けてみれば結構いい感じに進んだ気がします。
国際関係・公共政策関係のヨーロッパの大学院5プログラムに出願し、結果としては、社会科学分野世界トップクラスのLSEや国際関係学の名門であるIHEIDをはじめ、4校(プログラム)に合格をいただいたかたちです。
この記事では、筆者が実際に出願した大学院と合否が出るまでのスケジュールについてご紹介します。
出願大学院の選定
国際機関志望ということで、職歴と関連の深い社会科学や公共政策を学びつつ、本格的に国際関係の方向に舵を切るため、社会科学や国際関係に強みを持ち国際機関に多くの卒業生を送り出している大学院を目指して戦略を立てました。
筆者が大学選びに際し検討した事項はこちらでもご紹介しています。
コース選択基準としては学術的な強みも重視したので、MPPやMPAは受験していません。またヨーロッパ(特にフランス語圏)への留学を主眼に英語とフランス語を学習していたため、アメリカの大学院は当初から候補には入れていませんでした。
なおロンドン大学クイーンメアリー校とロンドン大学パリ研究所は留学エージェントであるBEOを通して出願手続を行いました。
出願した5コースのうち志望順位の高い3コースはエージェントの介在を認めない学校でしたが、志望理由書や推薦書が蓄積されたデータベースにアクセスできる利点があるため利用することにしました。
蓋を開ければ勝率8割となりなかなかの好成績かなと思いますが、受験したのが難易度の高い大学院ばかりだったためかなり危険な賭けだったと思います。
順番は志望順、カッコ内は正式名称→略称・通称です。
- パリ政治学院(Institut d’études politiques de Paris, Sciences Po Paris)
- ジュネーブ国際・開発高等研究所(Institut de hautes études internationales et du développement, IHEID)
- ロンドンスクールオブエコノミクスアンドポリティカルサイエンス(London School of Economics and Political Science, LSE)
- ロンドン大学クイーンメアリー校(Queen Mary University of London, QMUL)
- ロンドン大学パリ研究所(University of London Institute in Paris, ULIP)
出願した大学院5校について
パリ政治学院
フランスに複数ある特別高等教育機関(グランデタブリスマン)の一つ。
各国の首脳や国際機関のトップを輩出する社会科学分野のエリート養成校であり、その分野ではフランスナンバーワン、世界大学ランキングでもかなり上位です。
近年は留学生を積極的に受け入れており半数がフランス外からの学生のようです。
大学院は英語のみのコース、フランス語のコース、両方使用するコースがあり、特に英語のみのコースを受講するとほぼフランス語は使用しないらしいです。
修士課程は多くのコースが2年制です。
学術面での名声も高く、パリ中心部に立地している(ちょっとした憧れ)ことから出願しました。
ジュネーブ国際・開発高等研究所
スイス・ジュネーブに立地する国際関係に特化した小規模な研究機関。
その歴史は国際連盟の時代から国連と共にあり、国際機関に囲まれた地の利を活かした実践的なプログラムや国際機関でのインターン機会を求めて世界100カ国以上から学生が集まります。
正規のコースは修士課程と博士課程のみ設置であり、教育機関よりは研究機関に近い形態のため、ランキングには参加していません。
そのため国際関係分野以外ではあまり知名度は高くないかもしれません。
修士課程は基本的に2年制。
ジュネーブという国際機関を目指すのに最適な立地と英仏バイリンガル教育に惹かれて出願しました。
ロンドンスクールオブエコノミクスアンドポリティカルサイエンス
イギリス・ロンドンに立地する経済学と社会科学に特化したカレッジです。
ロンドン大学の一部を構成しますが、日本の大学の学部組織とは全くの別物。学位も独自のものを授与します。
上流階級出身者向けのオックスフォード大学やケンブリッジ大学に対して一般市民が学ぶ開かれた大学として設立された背景から、先進的な研究を行うことで有名。
社会政策学のようにLSEが発祥と言われる学問もあります。名前の通り経済学に強みを持っており、ノーベル賞受賞者(特に経済学賞)を多く輩出する世界的に有名な超名門校です。
イギリスということもあり一部を除き修士課程は1年制。
多くのランキング(社会科学分野)でヨーロッパトップクラスであり、ロンドン中心部に立地(ちょっとした憧れ)していることから出願しました。
ロンドン大学クイーンメアリー校
ロンドン大学を構成するカレッジの一つであり、イギリスの一流研究型大学連合であるラッセルグループに加盟しているため教育の質は高いと思われます。
ビジネスや医学、舞台芸術、法学といった分野に強みを持っています。
イギリスのため修士は1年制が多いです。
ロンドン東部にメインキャンパスを持つ比較的規模の大きい大学であり、留学生が約半数を占めることからイギリス国外からの学生向けのサポートも充実しているようです。
公共政策を国際的な観点から学習できるプログラムが提供されており、勉強したい分野のため出願しました。
ロンドン大学パリ研究所
大陸部ヨーロッパに初めて設置されたイギリスの機関であり、パリ中心部に立地しています。
その使命はイギリスとフランス語圏を繋ぐことで、主にフランス研究や国際関係学のコースを開設しています。
ロンドンには立地していないもののその設立の歴史からロンドン大学に加盟しており、出願はロンドン大学クイーンメアリー校を通じて行います。
教育体制はイギリスをベースとしているので、修士課程は基本的に1年制です。
パリ中心部で国際関係学を勉強できることに魅力を感じ、出願しました。
出願及び合否判明時期(2023年秋入学)
出願から合否判明までのスケジュール
上記の大学院の出願時期及び合否判明時期は以下のとおりです。
大学院名 | 募集方式 | 出願時期 | 合否判明時期※ |
---|---|---|---|
Sciences Po Paris | Rolling | 2022年10月10日 | 2022年11月25日(資格要件:合格) 2022年12月13日(最終合否:不合格) |
IHEID | Regular | 2023年1月中旬 | 2023年3月15日(無条件合格) |
LSE | Rolling | 2022年10月21日 | 2023年1月5日(条件付き合格)→無条件合格 |
QMUL | Rolling | 2022年11月25日 | 2022年11月30日(条件付き合格)→無条件合格 |
ULIP | Rolling | 2022年11月25日 | 2022年11月30日(条件付き合格)→無条件合格 |
受験した大学院の中では、IHEIDのみ募集方式が「レギュラー方式」(締切後一斉に審査→一斉に合否発表)のため、出願書類はかなり早い段階で提出したものの審査が開始したのが出願締切後でした。そのためテーブル上は出願時期を出願締切日と同一としています。
最終進学先の決定
全ての結果が出揃ってからは、合格したコースのうち特にLSEとIHEIDの間で悩みました。幸い現役の学生や卒業生にお話しを伺う機会が得られたことで改めて以下の点でIHEIDのアドバンテージを感じたため、同大学院に進学することに決めました。
- 2年間、時間をかけてじっくり勉強できる。休暇期間を利用してインターンや旅行もできる
- 学費が他の学校と比較してかなり安い(特にLSEと比較すると顕著)
- コースが少人数なので、教授や他の学生との関係構築がしやすい
- 英語とフランス語の両方で勉強できる。フランス語に囲まれて暮らすことができる
- 国連を目指す学生が多く、土地柄インターンや就業につながる機会が豊富
- 交換留学先として第一志望だったパリ政治学院がある
現状、IHEIDについて感じる不安要素は、知名度の低さ(≒ランキング順位の低さ)とジュネーブの物価の高さ、年齢によって不利になる(現にJPO試験は年齢的に受験不可だったり)可能性があることくらい。
そのあたりは現地で実際にやってみないとわからないことなのであまり気負わずに頑張る予定です。
正直今でもちょっとLSEに未練があったり…。PhDで狙ってみようかな…
まとめ
本記事では、筆者が実際に受験したヨーロッパの大学院と合否についてご紹介しました。
ひとまず全落ちにはならなかったので、一安心。スタートラインに立つことができました。
第一セメスターの中間振り返りの記事を書いたので、大学院留学生の学業や生活について興味があればぜひ。
以上です。
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