フランスに住むにあたり問題として挙げられがちなのが、公的サービスの質が非常に悪いこと。
行政サービスは言わずもがな、意外と多くの人が直面するのがフランスの郵便事情の悪さです。
日本では数日もあれば問題なく届く荷物であっても、届かなかったり、紛失してしまったり、挙句の果てには売られてしまったりと、日本と比較するともはや異次元レベル…。フランスの郵便トラブルを検索すると阿鼻叫喚っぷりがよく分かります。
郵便に関しては苦労する人が多すぎて、もはや通過儀礼のような状態になっていますね。
そしてこの記事のタイトルからも分かる通り筆者もめでたく?フランスの郵便事情に翻弄されることになったので、その顛末をご紹介したいと思います。
全く同じ経験をする人は多くないかもしれませんが、それでも多少は役立つはずなので、これからフランスに来る方の参考になれば幸いです。
EMSで日本から書類を送った結果
筆者が日本からフランスに送ったのは戸籍謄本。
フランスに長期滞在する際にはフランスの公的健康保険であるセキュリテ・ソシアルに加入することが義務付けられており、その手続きのためには在外公館で発行される出生証明書を入手する必要があります。戸籍謄本はその出生証明書の申請のために必要な書類。
両親に頼んでフランスの住所まで送ってもらうことにしました。
結局戸籍謄本を入手するまでに2回チャレンジすることになりました。
1回目
大学院のウェビナーで交換留学生でもセキュリテ・ソシアルの登録が必要なことを知ったのが8月。
手続きを進めるには日本の自治体でしか発行できない戸籍謄本が必要なことが分かったため、両親に連絡して送ってもらうようお願いしました。以前シンガポールで国際郵便のやりとりをした際にEMSの存在を知り便利だったので、今回もEMSでお願いしました(今思えばこれが最初の失敗)。この時点で8月末。
その後9月半ばまで待っていましたが、全く音沙汰がありません。
さすがに遅すぎると感じて両親に追跡番号を聞きウェブサイト上で郵便物の現在地を確認したところ、受取人不在ということでいつの間にか日本に返送されていたことが判明。
不在票も何も受け取っていなかったのですが…
この段階でフランスの郵便事情について色々なサイトを調べ、
- 日本からのEMSはフランス側ではクロノポストに引き渡される
- クロノポストはトラブルが多いことで有名
ということを知りました。
郵便物が売られてしまうという記事も読み、所在不明にならなかっただけまだマシ…と自分を安心させました。戸籍謄本のような個人情報の塊が売りに出されてしまったらと思うと恐怖でしかありません。
また今回受け取れなかった理由として思い当たったのが、両親にフランスの携帯電話番号を伝えていなかったため、郵便物に掛かれた受取人の電話番号が日本の番号になってしまっていたこと。これではクロノポスト側から連絡することはできませんね…。
この点については明らかにこちらの落ち度ですね。
この経験を踏まえて次回のチャレンジに向け考えたのは以下の2点。
- 追跡番号を使って郵便物の所在確認をしなかった。→次は追跡番号を使って逐一確認する。
- フランスの携帯電話番号を伝えていなかった。→次は通じる番号を郵便物に書いてもらう。
あとはフランスでは敷地内に入るためのパスコードを配達員に知らせておくケースが多いようですが、筆者の場合は住居のルールで明確に他言を禁止されているので教えることはできませんし、表札も出せないので郵便物という観点では非常にややこしい状況。
これらのルールもちょっと事態をややこしくしているような気がしますが、この点は自分ではどうしようもないので一旦脇に置いておきます。
2回目
2回目は1回目の反省を活かしてちゃんと追跡することを心に決めました。またフランスで使える携帯電話番号もしっかり郵便物に書いてもらいました。
が、具体的にどのくらいで到着するのかが分からないこともあって、送ってから1週間くらいたって「もうそろそろフランスに入ったかな…」というタイミングでクロノポストのウェブサイトで確認でしたところ、
何と受取人不在で持ち帰りになっていました(しかもその時間は在宅だった)。今回も不在票はありません。
ただ不思議なことに、その翌日の昼にクロノポストから「本日18時までに配達予定」と書かれたSMSが送られてきました。
1回目とは違う展開に心躍ります。やっぱり携帯電話番号は重要!
18時まで在宅していれば郵便物が受け取れると思いスタンバイしていましたが、待てど暮らせど郵便物は来ません。結局18時を過ぎても音沙汰はなく、やっぱり不在票も入っていません。
そこで改めてクロノポストのウェブサイトを確認したところ、住所が書き換えられている(建物名が削除されている)ことが分かりました。
滞在先は同じ番地に複数の建物があり建物名がないと郵便物が届かないちょっと特殊な仕様だったため、不在票も残されない理由がこれではっきりしました。
これはさすがにクロノポストの落ち度でしょう。
その翌日に再び「本日18時までに届きます」というSMSが届きましたが、それが朝の7時。他の予定もありまた不確実な状態で18時まで待つのが苦痛だったのと、今回はDHLというバックアップを用意していたこともあって、特段意識はせず。
朝7時から18時まで待ち続けて誰も来なかったら虚しい気持ちになりそう…。素直にDHLに頼ります。
もうこの段階で「郵便物がまた日本に送り返されても仕方ないかな…。」と半分諦めていました。
そして郵便局へ
ところがそこから数日たって事態が急展開。なんと筆者の住居の管理人から不在票を受け取ったとの連絡が。
受け取った不在票には最寄りの郵便局で郵便物が受け取れるという記載がありました!
クロノポストの郵便物を郵便局で受け取ることができるんですね。ありがたいことですが、どうすれば郵便局扱いにしてくれるのかは未だに謎です。
翌日指定された郵便局に身分証明証を持って出向き、無事に郵便物を受け取ることができました。
無事受け取れてホッとしましたが、結局1回目の送付から郵便物を受け取るまでに約2ヵ月の期間を要したことになります…。あとはクロノポストの配達員さんとは最後まで会わずじまいでしたね。
DHLで日本から書類を送った結果
1回目のチャレンジでクロノポストが信用できないことが分かったため、EMSと並行してDHLでも送ってもらうことにしました。
結論としてDHLはEMSと比較してかなり使い勝手が良かったです。
配達日が明確に分かる
最大のメリットは、日本側もフランス側も同じDHLが扱う点。EMSのように途中で別会社に引き継ぐようなことがないため、ミスコミュニケーションが生じる危険がありません。
しかも到着予定日もすぐに分かるので、送付人も安心ですし、受け取り側としても心の準備ができます。
受け取り場所が選べる(&パスコードを伝える必要がない)
さらに便利だったのが、到着予定日の前にSMSで通知が送られてきたことと、そこ段階で受け取り場所の指定ができたこと。
筆者の場合は授業の関係でどうしても外出しなければならない時間帯があるため到着時間帯が分かっても受け取れない可能性がありますが、DHLの場合は同社が設置している郵便ロッカーその他のピックアップポイントでの受け取りが事前に選べました。
クロノポストに振り回された分、確実に受け取れるという安心感はかなり大きかったです。
またフランスで郵便を受け取る際、集合住宅であれば建物の敷地に入るためのパスコードを配達員に教える必要があるらしい(特にパリ)のですが、敷地外で自分で受け取るのであればそういった情報提供も不要なのでその点でも安心です。
筆者の場合はパスコードを外部に教えてはいけないという住居ルールが決まっているので助かりました。
実際の受け取りもスムーズ!
筆者は近所のスーパーマーケットに設置されているDHLの郵便ロッカーを指定しました。
ロッカーを開錠するための情報もSMSで受け取ることができたので、受け取り手続きもスムーズでした。
リヨン市内でも荷物を受け取れる場所がたくさんあって非常に便利でした。
今回の教訓と対策法
こちらの項目では今回の経験を踏まえた対策をまとめます。
送付人がフランスの郵便事情に詳しい場合は、トラブルをうまく避ける術を既に知っているか、もしくはフランスの郵便事情に慣れてしまっているかのどちらかだと思うので、今回は国際郵便を送ることに慣れていない人に荷物の郵送を依頼するケースを想定した内容にしました。
連絡のつく携帯電話番号を確実に記載する(よう伝える)
何と言ってもコレ。当たり前といえば当たり前なのですが、送付人の理解力にかなり左右されるので要注意。
送付人がフランス国内で使える番号を知っている場合は良いですが、例えばあまり海外経験がない親世代にお願いする場合などは(フランスでは使えない)日本の携帯電話番号を意図せずに書いてしまったりします。
郵便物に書いた電話番号が実際に使用されるシチュエーションはあまり思いつかないのかも。
そういった事態を防ぐためにも、送付人の理解度に合わせて受取人の連絡先をしっかり伝えたり、記載内容を確認したりするといった対策が必要になります。
追跡番号を忘れずに聞く
日本やその他の国では郵便物は当たり前に届くため、追跡番号の重要性はあまり認識されていません。そのため、郵便物を送ってしまえば確実に届くと考えて送り状をちゃんと保管しない可能性があります。
追跡番号や送付人が郵便物に記載した内容については、荷物の郵送時にフランスにいる受取人側でしっかり確認することをおすすめします。
可能であれば荷物の郵送手続を取る前や取っているときに今後必要になる情報を共有しておけるとベスト。
クロノポストを避けられる郵送方法を検討する
重要な書類やすぐに必要な荷物を送ってもらう際は、可能な限り想定しうるリスク(=クロノポスト)を避けるのも重要です。端的に言えばEMSを使わないということ。
その場合の代替案としては、多少値は張りますがDHLのようなサービスを利用するのが便利。受け取り時間や場所が選べるので、忙しくても確実に荷物を受け取ることができます。
また届くまでに時間がかかっても構わない&最悪紛失してもダメージが少ない郵便物(あまりないとは思いますが…)の場合は、あえて普通郵便を選択するのも手だと思います。
普通郵便はラ・ポストの管轄になるらしいので、この手段でもクロノポストを避けることができますね。
普通郵便は追跡番号が附番されない点がリスクですが郵便料金は最も安価なので、「これで届いたらラッキー!」くらいの心持ちでいられるのであれば、かなりお得な選択肢といえるかもしれません。
EMSを利用する場合は頻繁にチェックを
もしも何らかの理由でEMSしか選択肢がなかったり、送付人が既にEMSで荷物を送ってしまった!という場合は、とにかく追跡番号を使って郵便物の所在を確認しましょう!(というかそれしかできません。)
運が良ければ近くの郵便局で荷物を受け取れるかもしれません。
まとめ
今回の記事では、フランスで日本からの郵便物を受け取るまでの体験談をご紹介しました。
郵便事情は各国によって異なりますが、話を聞く限り先進国の中ではフランスが際立って悪いような気がします。この記事を読まれる方の郵便物が無事に届くことをお祈りしています…。
この記事が少しでも役に立てば幸いです。
以上です。
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