海外大学院留学を実現するためには、出願までにやることだけをとってみても必要書類を集めたり語学の勉強をしたりと大変な手間がかかります。
筆者が検討を始めた頃は、以下のような課題を抱えていました。
これらの悩みは留学を志す多くの人が通る道ではないでしょうか。
- 何となく専攻したい分野はあるが、そこまで明確ではない
- 出願先大学院をどれにしようか迷う
- 出願先大学院の候補はあるが、他にも選択肢がある気がする
- 自分の学歴や職歴が海外大学院に通用するか分からない
- 志望理由書や推薦状といった書類をどう準備したらいいか分からない
留学エージェントの提供するサービスを利用すれば、このような悩みに対してヒントや解決策を得られる可能性があります。
本記事では留学エージェントの利用について筆者が検討した点と利用して良かった点、良くないと思った点についてご紹介します。留学エージェントの利用について検討されている方の参考になれば幸いです。
結論としては、留学エージェントは有用ですが、必須ではありません。またおすすめできる人とそうでない人がいると思います。
以下説明していきます。
結論:留学エージェントは有用だが必須ではない
基本的に不要
メリットやデメリットを比較考量した結果、筆者は英語圏への大学院留学に強みを持つBEOを利用しました。
筆者の場合、志望先にフランスやスイスの大学院が含まれていることと既にIELTS OA7.0を取得していたことから「登録制サポート」を利用することとしました。
BEOを利用していて、有用に感じた点とそこまで有用ではないと感じた点がありましたので、それぞれ説明していきます。
有用に感じた点
留学エージェントに登録することで、志望理由書や推薦書のデータベースにアクセスでき、記載内容やフォーマット、文字数といった内容について基準を得ることができました。また出身大学発行の成績証明書にGPAが記載されないため、GPAの再計算サービスは出願時に役立ちました。
筆者の場合はイギリスに限られましたが、GPAを基に希望する学問分野に強い大学を紹介いただけたのも助かりました。
必須ではないと感じた点
留学エージェントは担当する国・地域が限定されている場合が多く、複数の国・地域をまたいで出願大学院を選定する目的には適さないことがあります。さらに担当する国・地域の大学に出願する場合でも、大学院によっては留学エージェントの介入を認めない場合があります。
また必要な書類や手続については大学院のウェブサイトを参照すれば簡単に情報が手に入りますし、出願手続自体も多くの場合オンラインで全て完結します。出願時につまづく受験生が多い点については大抵FAQにまとめられていますし、メール等で問い合わせれば回答は得られます。
筆者の場合、元々自分でリサーチしていた第1志望から第3志望が「登録制サポート」によるサポートの対象外でした。
そのため留学エージェントを介して出願した第4・第5志望の大学院以外は自力で出願手続を行いましたが、問題なく合否判定までたどり着くことが出来ました。
留学エージェントを利用するメリットとデメリット
以下は筆者がBEOを利用したときに感じた、留学エージェントに依頼することに関する一般的なメリットとデメリットです。
また筆者の場合は留学エージェントのサポート対象外となる場合も多かったので、そのことについてもご説明します。
留学エージェントを利用するメリット
カウンセラーに相談できる
担当カウンセラーが付き、出願に関する質問に答えてもらえます。筆者は最初に検討していた大学院以外に候補となる大学院が無いか相談したり、複数の大学院から条件付き合格が出たときに対応方法を訊いたりしました。
データベースにアクセスできる
過去の登録者が出願時に実際に使用した志望理由書や推薦状の蓄積されたデータベースがあるため、文字数やレベル感の参考にしました。特に推薦状を依頼する際に書いてもらいたい事柄や(文言を自分で考える必要が生じた場合に備えて)文言を検討するために大変役立ちました。
GPAが再計算できる
筆者の卒業時点でまだGPAが導入されていなかったため、出願に利用できるGPAがありませんでした。英文成績証明書からの再換算を依頼し、エージェントを利用して算出したGPAの提出が認められる大学院に提出しました。
ちなみに私の場合、再計算で3.4になりました。4.0満点で自分で計算したときは2.6だったのでビックリ!
出願手続や合否確認を代行してもらえる
留学エージェントと提携のある大学院は、出願に関する手続や合否の確認の代行を依頼することが出来ます。なお大学院によっては留学エージェントが出願窓口になっていることがあり、その場合は出願に際し必ずエージェントを通す必要があります。
留学エージェントを利用するデメリット
費用がかかる
サポート内容により初期費用が掛かります。例としてBEOの登録制サポートの場合は20,000円がサポート料金として掛かります(進学先が決定し渡航すれば返金)。
またエージェントの介入を認めない大学院(LSEを含むイギリストップ校)対策のために特別なサポートが用意されている場合もあります(BEO「オックスブリッジサポート」が該当)。申し込めば手厚いサポートを受けられますが、その分料金は高額です。
情報を持っている国・地域が限定される
この点は完全に筆者の方針と合わなかっただけで多くの方にとってはメリットに入ると思いますが、留学エージェントはそれぞれ特定の国や地域に強みを持っており、他の国・地域については情報を持っていません。国を絞って出願計画を立てている方にとっては効率的に出願先候補を探すことが出来ますが、そうでない場合は出願先のリサーチを留学エージェントに委ねると却って選択肢が狭まってしまう恐れがあります。
筆者は出願先について研究分野やキャリアを中心に据えており国の選択は二の次(ざっくりヨーロッパ希望)だったため、出願先の提案がイギリスだけになってしまうのは若干デメリットに映りました。
最初に出願先としてLSEを検討していなければ、留学エージェントは利用しなかったかもしれません。
留学エージェントを利用してもサポートが受けられない場合がある
複数の国にまたがって出願する場合
筆者は社会科学や国際関係に強いヨーロッパの大学院(できればフランス語圏)を軸に出願先候補を探していました。この場合、出願先の国のバリエーションが増えるほど留学エージェントのサポートを受けられない可能性が高くなります。
エージェントの介入を許可しない大学院に出願する場合
先に挙げた留学エージェントを利用するメリットに「出願手続や合否確認の代行」がありましたが、留学エージェントが取り扱う国であっても、大学院によっては介入を認めない場合があります。そのような場合に対応するサポートはあるものの、高額な料金を支払ったとしても合格するとは限りません。
留学エージェントを利用したほうが良い人/特に不要かも?な人
これまでの内容から、筆者の考える「留学エージェントを利用したほうが良い人」と「留学エージェントを利用しなくても良いかも?な人」をまとめました。
留学エージェントを利用したほうが良い人
以下の方については、留学エージェントを利用すると望ましい結果に繋がる可能性を少しでも高められるのではないでしょうか。
- 出願大学院が確定しており、その大学院の出願窓口が留学エージェントである
- 出願大学院が確定しており、出願代行や合否確認等といった留学エージェントのサポートを受けたい
- 出願大学院は確定している。その大学院は留学エージェントの介入を認めないが、資金が潤沢にあり少しでもサポートを受けたい
- 出願大学院は確定していないが、特定の国・地域から選択肢を探りたい(要注意!)
なお最後の「出願大学院が確定していない」場合ですが、留学エージェントを先に選んでしまうとその留学エージェントがカバーしていない国・地域の良い大学院を取りこぼす可能性があるため、特定の国・地域に強い意向がある場合を除いて、まずは色々な地域の大学院をリサーチしてみることを強くおススメします。
留学エージェントを利用しなくても良いかも?な人
以下は、留学エージェントを利用しなくても自力でも出願まで漕ぎつけられる、もしくは留学エージェントのサポートがあまり意味を成さないと思われるパターンです。この場合に留学エージェントのサポートを利用する場合は、志望理由書の添削のようなピンポイントのサービスのみ有用と思われます。
- 出願大学院が確定しており、情報収集から出願手続まで自力で出来る
- 周囲に大学院留学経験者や相談できる人が既にいる
- 出願大学院は確定していないが、国・地域よりも学問分野や研究分野から選択肢を探りたい
筆者の個人的な意見ではありますが…こんな人は要注意
これは筆者の個人的な意見ですが、大学院留学の強いモチベーションと英語力の両方が足りない場合は、すぐに留学エージェントに頼ってしまうのは少し危険だと思います。
理由としては、留学エージェントの提携する大学院に深い考えなしに入学してしまうリスクがあるからです。
大学院の勉強には強いモチベーションや目的意識が必要です。高額な費用をかけたのに途中でドロップアウトしてしまうような悲劇を避けるためにも、まず自分の内的な動機を考えることをおすすめします。
まとめ
留学エージェントはノウハウの蓄積があるため、基本的に非常に有用です。
しかしながら留学希望者の状況によってはデメリットになる要素もありますので、留学希望者が志す留学の内容と留学エージェントの提供するサービスの相性を良く見極めて利用する/しないを決定することが非常に重要だと思います。
以上です。
参考にしていただけると嬉しいです。
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