交通事情や気候の面で徒歩で回るには適さない湾岸諸国。他の都市では毎回タクシーを利用するしか移動手段がなかったりしますが、ドバイは別!
石油資源が乏しいため観光立国を目指すドバイでは、完全車社会の湾岸諸国では珍しく、旅行者でも利用可能な様々な公共交通機関が運行されています。
従来のタクシーに加えて主要観光地を結ぶメトロやトラム、バスなどを活用すれば、ゴージャスなドバイでも出費を抑えつつアクティブに観光することが可能です。
今回はそんなドバイの公共交通機関の利用方法等についてご紹介します。
公共交通機関を利用する際に必須のノル・カードについてはこちらの記事でまとめていますので、合わせてどうぞ。
なお2023年9月現在のレートは1AED=約40円です。
メトロ(ドバイメトロ)
まずは観光客が最も利用する頻度が高いと思われるドバイメトロからご紹介。メトロと聞くと地下鉄を想像しますが、ドバイメトロはほとんど高架鉄道部分で見晴らしが良いです。
ドバイメトロは2路線で運行
ドバイメトロは2つの路線(レッドラインとグリーンライン)で運行されています。
料金はゾーン制(全7ゾーン)で計算され、乗り越し精算はできません。利用するにはAED 7.5以上の金額がカードにチャージされている必要があります。
路線図は以下のとおり。※2020年以降いくつかの駅名が変更されています
主要スポットの立地する駅(レッドライン)
レッドラインの主要スポット所在駅は以下のとおりです。概ねスポット名がそのまま駅名に使用されており、分かりやすい印象。
ゾーン | 駅名 | 駅番号 | 主要スポット |
---|---|---|---|
5 | Airport Terminal 3 | R13 | ドバイ国際空港ターミナル3 |
5 | Airport Terminal 1 | R14 | ドバイ国際空港ターミナル1 |
6 | Max※ | R21 | ドバイ・フレーム(車利用) |
6 | World Trade Centre | R22 | ジュメイラ・モスク(車利用) エティハド・ミュージアム(車利用) |
6 | Burj Khalifa/Dubai Mall | R25 | バージュ・ハリファ ドバイ・モール&ドバイ水族館 ドバイ・オペラ |
2 | Ibn Batuta | R39 | イブン・バトゥータ・モール |
主要スポットの立地する駅(グリーンライン)
グリーンラインの主要スポット所在駅は以下のとおりです。スーク系の名所を網羅しています。
ゾーン | 駅名 | 駅番号 | 主要スポット |
---|---|---|---|
5 | Gold Souq | G22 | ゴールド・スーク |
5 | Al Ras | G23 | デイラ・オールド・スーク(スパイス・スーク) |
6 | Sharaf DG※ | G25 | ドバイ博物館 ドバイ・オールド・スーク(テキスタイル・スーク) アル・ファヒディ歴史地区(バスタキヤ) |
料金は使用するノル・カードにより異なる
各ゾーンに対応する運賃は以下のとおり。使用するノル・カードの種類とクラス(後述)に応じて変わります。
区間 | レッド・チケット | シルバー・カード | ゴールド・カード |
---|---|---|---|
1ゾーン以内 | 4 AED | 3 AED | 6 AED |
隣接する2ゾーン | 6 AED | 5 AED | 10 AED |
2ゾーンを超える区間 | 8.5 AED | 7.5 AED | 15 AED |
運行時間は概ね朝5時から0時
メトロの運行時間は概ね朝5時から深夜0時まで。金曜日は翌1時まで運行しており便利ですが、日曜日だけ運行開始時間が遅い点に注意。
曜日 | 運行時間 |
---|---|
月曜日~木曜日 | 5:00~0:00 |
金曜日 | 5:00~翌1:00 |
土曜日 | 5:00~0:00 |
日曜日 | 8:00~0:00 |
車両の種類はレギュラー・クラス、ゴールド・クラス、女性・子供専用車両の3つ
ドバイメトロには3種類の車両があり、それぞれ対応する条件を満たせば乗車が可能です。内装は青系統でまとめられています。
項目 | レギュラー・クラス | ゴールド・クラス | 女性・子供専用車両 |
---|---|---|---|
説明 | 通常の乗車クラス。 | 革張りの座席とパノラマが楽しめるクラス。 | 女性と子供が利用可能な車両。 |
利用可能な乗客 | 全員 | ゴールド・クラス対応乗車券を持つ乗客 | 女性と子供 |
ゴールドクラスの乗車口。分かりやすくゴールドの表示があります。
女性・子供専用車両の乗車口にはピンクの表示。ゴールドクラスの反対側の端の車両が割り当てられています。
注意すべき乗車マナー
ドバイメトロでは、日本では問題のない事柄でも罰則の対象になる行為があります。
代表例は以下のとおりなので、注意しましょう!
ルール | 罰金 |
---|---|
飲食 | 100 AED(約4,000円) |
居眠り | 300 AED(約12,000円) |
酒類の持ち込み | 500 AED(約20,000円) |
具体的なドバイメトロの乗り方
ドバイメトロの乗り方は日本の地下鉄とほぼ同じ。
- (ノル・カード未購入の場合)ノル・カードを券売機か窓口で購入する、もしくは(既にチャージ可能なノル・カードを持っているが残高不足の場合)カードに必要額をチャージする
- 自動改札にカードをタッチして駅構内に入場する。※AED7.5以上チャージされている必要がある点に注意
- ホームの案内表示に従い乗車する。※ゴールドクラスと女性・子供専用車両の停止位置はホームの目印を参照
- 下車駅で下車し、自動改札にカードをタッチして出場する(カードは回収されない)
- 必要に応じカードの払い戻し手続きを行う
利用回数等に応じてどのノル・カードを購入すべきかについてはこちらの記事で解説しています。
トラム
ジュメイラ・ビーチやパーム・ジュメイラ(モノレール駅)を結ぶ公共交通機関。Sobha realtyとDMCCの2駅でメトロのレッドラインと連絡します。
ドバイトラムは1路線の運行
トラムの路線図はこちら。2023年9月現在、1路線の運行です。
料金は使用するノル・カードにより異なる
トラムの運賃は以下のとおり。メトロと異なりゾーンを跨がないので、1ゾーンの料金が適用されます。
具体的な運賃は使用するノル・カードの種類とクラス(後述)に応じて変わります。
区間 | レッド・チケット | シルバー・カード | ゴールド・カード |
---|---|---|---|
一律料金 | 4 AED | 3 AED | 6 AED |
運行時間
トラムの運行時間は以下のとおりです。
曜日 | 運行時間 |
---|---|
月曜日~土曜日 | 6:00~翌1:00 |
日曜日 | 9:00~翌1:00 |
車両の種類はレギュラー・クラス、ゴールド・クラス、女性・子供専用車両の3つ
トラムにもメトロと同様に3種類の車両があり、それぞれ対応する条件を満たせば乗車が可能です。トラムの内装は緑系の色でまとめられています。
項目 | レギュラー・クラス | ゴールド・クラス | 女性・子供専用車両 |
---|---|---|---|
説明 | 通常の乗車クラス。 | 革張りの座席とパノラマが楽しめるクラス。 | 女性と子供が利用可能な車両。 |
利用可能な乗客 | 全員 | ゴールド・クラス対応乗車券を持つ乗客 | 女性と子供 |
注意すべき乗車マナー
トラムでも罰則の対象になる行為が規定されています。
内容はメトロとほぼ同じですが、トラム独自の禁止事項もあります。
ルール | 罰金 |
---|---|
飲食 | 100 AED |
居眠り | 300 AED |
酒類の持ち込み | 500 AED |
横断可能部分以外での軌道の横断 | 1,000 AED |
具体的なトラムの乗り方
トラムの乗り方はメトロとほぼ同じですが、自動改札はなく停留所にある機械にタッチする方式です。乗車時と降車時にそれぞれタッチする必要があるので注意。
- (ノル・カード未購入の場合)ノル・カードを券売機か窓口で購入する、もしくは(既にチャージ可能なノル・カードを持っているが残高不足の場合)カードに必要額をチャージする
- 停留所に設置されている機械にカードをタッチして乗車する。
- ホームの案内表示に従い乗車する。※ゴールドクラスと女性・子供専用車両の停止位置はホームの目印を参照
- 下車駅で下車し、停留所に設置されている機械にカードをタッチする(カードは回収されない)
- 必要に応じカードの払い戻し手続きを行う
利用回数等に応じてどのノル・カードを購入すべきかについてはこちらの記事で解説しています。
バス
ドバイではバスも利用が可能。メトロやトラムと比較すると小回りが利きますが、路線が分かりづらく運行時間も正確ではないので注意が必要です。
市内を巡るバスの他、UAE域内の都市間バスや国際バスが存在します。
バス路線の検索はこちらから可能ですが、個人的には後述のアプリ利用をおすすめします。
運行時間
バスの運行時間は以下のとおりです。他の交通機関とは異なり、曜日による違いはありません。
曜日 | 運行時間 |
---|---|
毎日 | 4:00~翌1:00 |
女性・子供・家族用の座席がある
バスにはゴールド・クラスの設定はありませんが、女性・子供・家族が座るエリアが設定されています。乗る場所を間違えないように注意。
アブラ(渡し舟)
ドバイクリーク(運河)では、両岸を結ぶアブラ(Abra)と呼ばれる伝統的な渡し舟が運行されています。運賃は片道2 AED(最近1 AEDから値上げされたようです)。
ドバイメトロでも対岸まで行くことはできますが、北岸のデイラスーク(Deira Souq)と南岸のオールドスーク(Old souq)の移動にはこのアブラが最短ルートです。
乗船時に備え付けの機械にノル・カードをタッチします。
路線検索とノル・カードへのチャージにはアプリを活用
ノル・カードを使用してバスを含む公共交通機関を利用する場合は、前述のとおりAED 7.5以上の残高がカードに残っている必要があります。しかしノル・カードはその場で残高確認ができませんし、特にバスの場合はチャージ可能な設備がない(主要なバス停にはある)ため、乗車時に残高が不足していると乗車できません。
そこで登場するのが便利なアプリです。
RTAは複数のアプリをリリースしていますが、公共交通機関を中心にドバイを巡る旅行者におすすめなのが「S’hail」。
このアプリを利用すると、経路検索やノル・カードの残高確認&トップアップ(チャージ)、タクシーの予約といった市内交通に関するサービスを一元的に利用することが可能です。
複数の交通機関を組み合わせたルートの検索もできるので、旅の自由度が上がります。
まとめ
今回は観光客がよく利用すると思われるドバイメトロ、トラム、バスなどについて乗車方法等をご紹介しました。
ドバイには他にも海上交通もあるのですが、筆者は未体験なので、今後利用することがあれば記事にしたいと思います。
以上です。
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