【本帰国寂しすぎ】海外駐在帰りの逆ホームシック経験と軽減するためにやったこと

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筆者は現在スイス留学中ですが、以前シンガポールで駐在員として働いていました。

ずっと憧れていた海外生活。しかし、最初から帰国日も分かっていた期間限定のシンガポール赴任は、ヨーロッパ指向の強い自分としてはちょっと不本意な部類ですらありました。

ところが不思議なことに、帰国日が近づくにつれて精神が不安定に…。どうやら思ったよりもシンガポールが気に入ってしまったみたいです。

その後色々と試してみてすっかり日本に適応し、現在はスイスでシンガポール時代の経験を活かすべく奮闘中です。

本記事では、そんな不安定な状態を脱するために自分がやったことをまとめました。同じような境遇の方の参考になれば幸いです。

目次

本帰国前にやったこと:心の準備

マリーナベイサンズのプールから眺める夜景。

愛着なし、むしろちょっと嫌いなくらい

シンガポール赴任は筆者にとって初めての海外勤務でした。

海外勤務希望ではあったものの、筆者が行きたかった海外はあくまで「欧米」。特にシンガポールを希望したわけでなかったため何の思い入れもなく、前提知識はせいぜいマリーナベイサンズとマーライオンくらい。

実際に生活していたときも、毎日汗だくの暑すぎる気候にウンザリしたり、訛りの強い英語に嫌気がさしたり、狭すぎる国土で退屈したり…。日本食が身近すぎるのも筆者にとっては外国感が薄れるガッカリ要素の一つでした。

自分の描いていた海外生活はあくまで「欧米」のそれであったことを再認識する結果となりました。

帰国前にやったこと

帰国までのカウントダウンが始まってしまうと慌ただしくなるのは目に見えていたため、前もって帰国前にやりたいことをリストアップして一つずつこなしていきました。この段階では割と冷静。

会いたい人に会った

本格的に日本に帰国してしまえばシンガポールの知人とは簡単には会えません。機会を見つけてこれまでに知り合った人々にとにかく会いました。

日常風景をデジタルで残した

家の中、住居内の通路、周辺の道で写真を撮りました。

特に家の中は片付け始めてしまうともうその前の風景は見られないため、写真とあわせてビデオでも撮りました。

食べたいものを食べ、行きたいところに行った

チキンライスやバクテーといったシンガポールの名物料理、日常的に訪問していたカフェ等に寄り、よく食べていたメニューを食べました。食べ物や風景の写真も撮りました。

帰国前には奮発して最高級のラッフルズホテルに一泊!このときのために取っておいたわけではありませんが、このタイミングで初めて宿泊したことで非常に良い思い出ができました。

ラッフルズホテル宿泊体験記はこちら。

それでもやっぱり寂しい

それでも時間の流れは無情なもので、刻々と近づく本帰国日。

特段目指していたわけでもなくむしろフラストレーションが溜まることが多かったシンガポール生活でしたが、初めての海外生活はそれなりに充実していたようです。

帰国数週間前から急激に寂しさが込み上げてくるようになりました。

恥ずかしい話ですが、本帰国まで2週間を切ってからは何を見ても涙が出るように…

本帰国後にやったこと:思い出す&形に残す

日々の思い出。

対策していたものの…やっぱり

日本に帰ってきた直後にシンガポールに帰りたい感覚に襲われました。

今でも外に出ると30度超の暑さな気がするし、これからもランチはホーカーセンターで食べるような気がするし、何だったら帰る先はまだコンドミニアムな気がする。色々な感覚がリアルに残っている。

それでも目の前の現実はこれまでとは異なります。

テレビを点ければ日本語の嵐。日本の心地よさを感じる反面、日本の事物を目にするたびに、遅れている点や不便な点、寒すぎる気候(※シンガポールとの比較で寒く感じるだけ)、と悪い面にばかり目が行くようになっていました…。

引継ぎをしっかりと行った

そのような状況でしたが、日本に帰国してからもシンガポールと日本の業務の引継ぎをかなり入念にやりました。

これから日本からシンガポールに赴任する後輩には業務面・生活面で注意すべきことや面白いことを色々と思い出しながら伝えましたが、仕事上でシンガポールと繋がっているのがこれだけだと思うと何だか居たたまれなく、結局聞かれていないことまでクドクド説明(という名前の思い出話)してしまうことに…

本来仕事の段取りについて伝えるのがメインになるべきところですが、ちと申し訳なかったです。

まずは感情を感じ切り、整理する~自分の心を分析しようと考えた

しかし、このままシンガポールを引きずっていては、せっかくシンガポール滞在中に段取りをしたスイス大学院留学に全力で挑むことが出来ません。

また、今もしこの自分の感覚を言語化できれば、スイス留学後にヨーロッパを離れることになっても、そこで得た経験をその後の人生に役立つかたちに昇華させることが出来るのではないか、とも考えました。

そこで気持ちを言語化するために、シンガポールと日本に対して自分が感じたことや滞在中に学んだことや考えたこと、感じたことを整理することにしました。

まずは、感情を感じ切るところから。筆者の場合は以下のような感じでした。ノートに書きなぐると意外と忘れていたことが思い出されたりします。

  • 色々な見どころがあって、代り映えはしないけれどそれも楽しかったな~
  • よくサイクリングに行ったな~
  • サービスはぶっきらぼうだけど、人間味があって良かったな~
  • 熱帯の気候は最後まで慣れなかったかも…
  • 住んでいたコンドミニアム、あんなところに住めたのは幸運だった。でももう二度と入ることはないんだろうな。寂しいな~
  • シンガポールで知り合った人とはなかなか会えなくなるな。寂しいな~
  • ホーカーセンターのご飯、日常になると逆に安心感があったな。ちょっと衛生面では…の面もあったけど
  • 路線バスとMRTよく使ったな。特に二階建てバスでよく遠乗りしたな~
  • よく行っていたあのカフェ、美味しかったな。ランチ休憩もよくしたっけ。

とにかく取り留めのないことを色々と脈絡なく思い出して、とりあえず心に浮かんでくることをそのまま出しました。これだけでもだいぶ心が落ち着きます。

次に、もう少し客観的に。

散らばっている自分の曖昧な感覚を整理するために、以下のような問いを自分に投げかけました。おそらくこれらの問いに明確に答えることが出来れば、自分の価値観が明確になると同時に、この経験をより深く味わって自分の一部に出来るような気がしました。

  • シンガポールが本当に好きなのか、それともただそこでの生活を懐かしんでいるだけなのか?何が楽しくて、何にイライラした?
  • 自分は本当に日本が嫌いなのか、ただシンガポールを懐かしむ気持ちが反射して日本が悪く見えるだけなのか?
  • シンガポールの国・人々・生活について、好きなところ、嫌いなところは?今後も関わっていきたい?もし関わっていきたいなら、どうやって?
  • 日本の国・人々・生活について、好きなところ、嫌いなところは?嫌いなところに折り合いをつけるために今できることは?
  • 今後自分の理想の人生を描くにあたり、欲しい環境は?日本やシンガポールでの経験とどう関連付けられるか?それをスイスでの学びや今後のキャリアでどう生かせるか?

その結果が、このブログを執筆するきっかけとなりました。

思い出を話す・共有する・形にする

誰かに聞いてもらうのも手です。

筆者の場合はまずは家族や友人、職場の同僚にひたすら思い出話をしました。特に一緒にシンガポールについてあまり知識のない家族や友人に話をするときは、背景知識を含めるため細部まで思い出すように努力をしました。

住んでいた家のことや、職場のこと、近所の美味しいお店のこと、そのほか色々と挑戦したことなど…取り留めのないことを色々話すにつれて自分でも忘れていたような事柄やそのときの気持ちが記憶から引っ張り出されてきました。

最初はただただ印象に残った出来事を話していましたが、徐々にシンガポールの好きだったところや嫌いだったところ、便利だったところや不便だったところ、日本の社会とシンガポール社会の比較といったトピックを体系立てて話すようになっていました。おそらく記憶が整理されたのだと思います。

ブログの執筆も思考の整理にとても役立っています。

例えばこれは、思い出が完全に美化される前に…と思って書いた記事です。

馴染みの景色を探してみる~シンガポールっぽい場所を探す

東京や横浜にシンガポール料理のお店があったので、とりあえず訪問してみました。

またコロナ禍が理由となったのか、日本に居ながらシンガポールを味わえるスポットのガイド本が刊行されていたり、シンガポール政府観光局のフェイスブックで日本でシンガポールを感じられる場所が特集されていたり、と情報には事欠かない状況でしたので、可能な限り足を運びました。

もちろん全く同じとはいきませんが、これも自分の経験を客観的に整理するのに役立ちました。(自分が強く懐かしさを感じるのは観光地や有名な美食ではなく、ごくごく一般的な生活だったのかもしれない。)

私が参考にしたのは以下の本とサイトです。

  • シンガポール政府観光局公式フェイスブック「日本でシンガポールを感じる場所」
  • aruco東京で楽しむアジアの国々

話題を共有できる人を開拓する~シンガポールや他のASEAN諸国の人とつながる

言語交換アプリHelloTalkのMoments機能を使用し、シンガポールの思い出や現地で撮った写真を共有しました。

英語ライティングの練習にもなりますし、シンガポール人やシンガポールにゆかりのある人が反応してくれるので達成感がありますし、他のメンバーが上げたシンガポール関連のMomentsを見るだけで少しだけまだ現地に居るような気分に浸れます。

もちろん現地で知り合った友人ともWhatsAppやLINEといったアプリを利用したやりとりを通じて継続的にコミュニケーションを取っています!

ちょっぴり再訪問~Google Mapを活用して追体験する

シンガポールの街路はほぼ全てGoogle Mapで探索できるようになっています。

住んでいた家の中やホーカーセンターにはさすがに入れないものの、よく歩いた道やバスで定期的に通った通りを辿れば少しだけ寂しい気持ちを和らげることが出来ます。

通ったことのない場所を探索して新しい発見をすることも、次に訪問した時の楽しみのストックになります。

今自分がいる環境に目を向ける

人間の基本的な性質かもしれませんが、どうしても戻れない過去や手に入らないものに意識が向きがち。せっかくなので、現在自分がいる状況の良い部分に注目してみることにもトライしました。

例えば日本であれば…

  • 日本食が安くて美味しい
  • 家族や友達とすぐに会える
  • サービスが丁寧で、痒い所に手が届く
  • 街が清潔
  • どこでも日本語が通じる
  • 四季がある

というようなメリットがあります。

将来の可能性に加えてみる

駐在員としての生活がまた出来るか、といえば、COMPASS制度(新しいビザ取得用ポイント制度)の導入も相俟ってシンガポールにおける就労ビザ取得は年々難しくなっているため、可能性は高くなさそうです。

これまでに現地で会った人々の職業を考慮すると、金融やIT業界に所属していない筆者がもう一度同じ生活をシンガポールで手に入れるには相当のクラスチェンジを行わなければ正直無理だと思います。

ですが、道は一つではありません。もう戻れないと考えるとただ懐かしむだけになってしまうので、これから就労ビザが得られるくらいの人材になることを決心するだけです。

筆者の場合、一定期間ならシンガポールに滞在できるオプションがあります(IHEIDの交換留学先にシンガポール国立大学が入っている)。

自分から放棄しない限りは何かしら道はあるものです。

おわりに:諦めなければ道はある

飽きるぐらい見上げたCBDの空。

いずれにしても、まずは行動すること

この手の事はじっとしていても何の解決もしないですし、そもそも精神衛生上良くないです。

何かをしても完全に解決されるわけではありませんが、行動することで自分の中での捉え方が変わり、この経験を活かす方向に少しずつシフトできるという実感が湧きました。

素敵な思い出にするのも全然ありですし、駐在から帰国してすぐに転職したり現地採用を目指す人もいるみたいです。

結局は時間が解決してくれる

とは言っても、この喪失感それ自体は多分ずっと無くならないような気がしています。

これから新しい経験をして楽しい記憶で上書きすることで、少しずつ自分の一部として馴染んでいくのでしょう。この先自分がワクワクできるキャリアを目指していくことで、この点は更に強固な線の一部として結ばれていくのだと思います。

次の機会は自分次第で作れる

幸いなことに、シンガポールは気軽な旅行先として人気の場所。安いフライトもあります。

6月に改めてシンガポールを訪問し、現地で振り返った内容を記事にしました。

スイスからは、ちょっと遠いかな…

新天地で前を向く

そんなことを経て、筆者は今スイス・ジュネーブにいます。

大学院は非常に国際的な環境で、こちらで新しいシンガポール人や他の東南アジアの友人もできました。アカデミック面でシンガポールの経験を100%活かせているかといえば、まだまだ力不足の感があることは否めません。

でも、この経験は新天地で頑張る力をくれる気がします。

シンガポールへの交換留学はかなり厳しそうですが、それ以外の手段であっても、そう遠くない未来に再会できることを夢見て。

以上です。

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