台湾の夜のお楽しみといえば夜市!
屋台が並ぶにぎやかな通りを思い浮かべる人は多いでしょう。
有名な夜市は散策するだけでもとにかく楽しいですよね。
筆者もそんな夜市を巡るのは大好きで、有名な夜市は一通り訪問したと思います。
今回もそんな夜市巡りを計画していたのですが、ちょっと郊外のホテルに泊まったことで偶然にもかなりローカルな雰囲気の漂う夜市(三和夜市)を歩く機会がありました。
そんな三和夜市と合わせて訪問したのは、観光客にも大人気の寧夏観光夜市。
正直夜市のラインナップは場所によってあまり変わらないと思っていたのですが、両方巡ってみると、同じ夜市でも空気感が違うな…と感じました。
かいつまんで言うと、台北中心部にある寧夏観光夜市は、観光客でにぎわう華やかな夜市で分かりやすいメニューが多め。一方、ホテル近くの三和夜市は、地元の人が訪れる普通の夜市であまり見ないものも結構あるみたい。客層や周囲にあるお店のラインナップも結構違います。

三和夜市は台湾人の友人でも知らない人がほとんど。
かなりどローカルな夜市みたいです…。
今回はこの2つを実際に歩き比べながら、「観光夜市」と「ローカル夜市」の違いを感じたままにまとめました。
初めて台北を訪れる人も、少しディープな街歩きをしてみたい人も、自分に合った夜市を見つけるヒントになればと思います。
寧夏観光夜市:観光客にも大人気のグルメ夜市!
アクセスと立地
寧夏観光夜市(寧夏觀光夜市)は、台北駅からほど近い場所にある夜市。
MRT淡水信義線の雙連駅や中山駅からも徒歩で気軽にアクセスでき、周囲には赤峰街をはじめとするオシャレスポットもいっぱい。台北駅からも近い便利な立地です。
初めての台北旅行でも訪問しやすい部類に入ると言えるでしょう。
昼間は普通の通りといった雰囲気ですが、夕方になると道の両側には屋台がずらりと並び、一大観光地に。
思い思いに買い物や散策を楽しむ人々が通りを埋め尽くします。
グルメが有名な夜市らしく、簡易的な椅子とテーブルが並ぶ即席イートインコーナーも大人気ですし、食べ歩きスナックも豊富。飲食以外のコーナーもあり、見ているだけでも楽しいです。
寧夏観光夜市は「台北の夜市」という雰囲気を凝縮したような場所と言えるでしょう。

屋台ラインナップ
寧夏觀光夜市の屋台は、「初めての台湾夜市」でも安心して楽しめるラインナップが特徴です。
通りの両側には、魯肉飯・蚵仔煎(カキ入りお好み焼き)・鹽酥雞(フライドチキン)・臭豆腐など、台湾の定番夜市グルメがぎっしり。屋台なのでもともと何を売っているか分かりやすいですが、日本語表記がある屋台も多くて旅行者にもわかりやすい構成になっています。
また、芋餅のような食べ歩きに適したスナック屋台や、ジューススタンドやデザート系の屋台も豊富。
よく言えば取っつきやすい、悪く言えばそんなに驚きがないラインナップとも言えそう。
分かりやすく美味しそうなものが多いな、と。
食事系の屋台が多いですが、通りの南側は射的やくじ引きなどの娯楽系コーナーになっています。
食事も遊びも広範囲にカバーする夜市として整備されているのが寧夏観光夜市の特徴です。

価格と客層
夜市はリーズナブルな価格で色々楽しめるのが魅力ですが、寧夏観光夜市は少し高めの値付けが多いと感じました。
たとえば魯肉飯でNT$40〜50、蒸餃がNT$100前後、デザートや飲み物もNT$60〜80が中心。
周辺にある飲食店と同等か少し安いくらいなので、少なくとも安く食事をする場所という位置づけではなさそうです。どちらかと言えば、夜市ならでは雰囲気を楽しんだり、目当てのお店を訪問するような場所と言った方が正しいかもしれません。
とはいえ、屋台の味のレベルは総じて高く安定しており、清潔感もあるのは大きなメリットです。これが価格以上の安心感になり、台湾初心者でも楽しめる要因になっているのは否定できないでしょう。
実際日本語や他の言語が常に飛び交うような環境であり、お店によっては簡単な日本語が通じることすらあります。
写真・実食レビュー
この日は、食事系の人気店を中心にテイクアウトしてホテルでゆっくり味わいました。
今回夜市で購入したのは以下のメニューです。
- 赤肉蒸餃(NT$100):ひき肉入りの蒸し餃子。
- 酸辣湯(NT$40):酸っぱくて辛いスープ。豆腐や溶き卵が美味しい。
- 炒米粉(NT$60):野菜たっぷりの焼きビーフン。

まずは「山東赤肉蒸餃」。
皮は厚めでもちもち、噛むと中からじゅわっと肉汁があふれます。醤油と辣油が別添えになっていて、好みに合わせて味を調整できるのもポイント。やや値は張りますが、ボリュームと満足感のバランスがよく、人気の理由が分かる一品でした。

同じお店で「酸辣湯」を購入し、台湾で食べたいと思っていた「炒米粉」を別のお店で購入。
どちらも素朴な味つけで、夜市の喧騒から離れてホテルで落ち着いて食べるにはちょうどいい優しさ。
どの屋台も調理が手早く、注文から受け取りまでスムーズでした。

食後のデザートは、夜市の近くにある台湾デザートのお店「豆花莊」で「芋圓豆花」(NT$55)を食べました。
ふんわりした豆花に芋圓(タロイモ団子)がたっぷり乗っており、冷たいシロップの甘さが体に染み渡ります。
夜遅くまで営業しており、夜市散策の締めにぴったりの甘味です。

寧夏観光夜市のグルメについてはこちらの動画も少し参考にしました。
やっぱり在住者の情報はありがたいですね。
印象と特徴
寧夏観光夜市を歩いてまず感じたのは、とにかく整備されていて華やかなこと。
道路はフラットで照明も明るく、屋台も一直線に整理されているので、目当てのお店を見逃す心配もありません。
衛生面もしっかりしており、若干混雑は激しめではあるものの、女性のひとり歩きでも安心して楽しめる雰囲気です。
また、夜市だけで完結せず、周辺エリアの店と組み合わせて楽しめるのも大きな魅力。
人気のスイーツ店や、名物料理のお店、コンビニなどがすぐ近くに点在しているので、例えばお酒をコンビニやスーパーで購入して屋台フードと一緒に楽しんだり(持ち込みについては要確認)、専門店で食後のデザートを食べたり、はたまた周辺のお店でトイレ借りたり…と、好きなスタイルで夜市を体感することができます。
オプションが豊富なので、最悪夜市が合わなかった場合でもリカバリーが簡単に可能なのも良いところ。
例えばフカヒレスープが大人気の「三元號魯肉飯」のようなお店がすぐ近くにあります。

さらに、夜市の営業時間はおおむね23時まで(店舗により異なる)ですが、周辺のお店を把握しておけば、夜市が終わった後の時間帯でも台北を満喫することができます。
全体的に「観光の目的として立ち寄る夜市」として完成度が高く、初めての台北旅行や夜市デビューにも最適。
価格は少し高めでも、清潔さ・安全さ・快適さを重視する人にはぴったりの場所だと感じました。
三和夜市:地元の人が通う暮らしの夜市
アクセスと立地
三和夜市は、新北市の三重区にある夜市。
最寄り駅はMRT台北橋駅(中和新蘆線)で、駅の出口を出て東に少し行った場所に夜市の入り口があります。
観光夜市と書かれた看板があるので観光客相手なのかもしれませんが、数回訪問しても外国人観光客を見た記憶はありません。外国人は居ますが、在住者という雰囲気の人ばかり。どローカルの夜市と言って良いと思います。
三和夜市は「中央北路」沿いに伸びており、全長は約500メートルほど。通常なら徒歩だと15分ほどで端から端まで歩ける距離ですが、屋台が密集しているため、ゆっくり見て回ると30分〜1時間は軽くかかります。
夜市そのものや周辺の雰囲気は寧夏観光夜市とはかなり異なり、生活感のある普通の通りに夜だけ屋台が並ぶといった感じ。繁華街の中に突然現れる夜市といった趣きで、知らないと素通りしてしまいそう。
またこの夜市では道路の中央にも屋台があるため、通路は一方通行状態になっています(何となく右側通行になっている)。周辺には住宅や商店、バイク修理屋、ローカル食堂などが並び、観光地的な雰囲気は皆無。
規模的には寧夏観光夜市の2倍くらいはあるかな?
すべての屋台やお店を見るには結構根気が要ります。

台北駅からMRTでアクセスする場合は、民權西路で中和新蘆線(迴龍方面行き)に乗り換えて30分程度と、交通事情自体は悪くありません。
ただし、屋台は22前後には閉まり始めるので、台北市内から行く場合は少し余裕を持って出発するのがおすすめです。
屋台ラインナップ
三和夜市は、地元の人が仕事帰りにふらっと立ち寄る、生活密着型の夜市といった雰囲気。
並んでいるのは、フルーツジュースやパパイヤミルク、サツマイモボール、黒糖系スイーツなど、手軽に買えるドリンクやデザート系が中心。インスタやYouTubeなどでバズったお店もあるようで、若者が行列している屋台もちらほら。
さらに、たこ焼き・お好み焼き・タイスイーツの屋台もあり、台湾ナイズされた東南アジアや日本風メニューが楽しめます。台北郊外らしいミックスカルチャー感が味わえるのはローカル夜市ならではだと思います。
さて食事系の屋台についてですが、寧夏観光夜市ではグルメが主体だった一方で、こちらの屋台の多くは食べ歩きできる軽食系やスマホグッズや衣料品などのいわゆる雑貨を販売するようなものがメイン。
腰を掛けてしっかり食事するようなスタイルの屋台はほぼ見かけません。イスやテーブルを備えたイートインスペースは皆無という状況なので、三和夜市でしっかり座って食べたい人は、夜市の外周に並ぶレストランや食堂を利用する形になります。
周辺には、ステーキ店・スパゲッティ店・バクテー店・臭豆腐専門店・涼麵店など多様なジャンルのお店が軒を連ねており、普通に食事ができます。この夜市は屋台と周辺店舗で役割分担をしているような印象を受けました。
またゲームコーナーはありますが、こちらも観光客向けというよりも地元民向けといった感じ。
結構ごちゃごちゃしているので他の観光夜市のように写真映えする屋台は少ないものの、地元の人たちの日常がそのまま見える場所でした。
価格と客層
三和夜市の価格帯は、台北市中心部に比べると同等かやや安いと感じました。
例えば、スイーツ系は割とボリュームがあってNT$60程度、食事系でもNT$80行かないくらい。周辺の店舗でもNT$120~150前後のメニューが結構あります。スナック系では寧夏觀光夜市と同じメニューがありましたが、同じボリュームでも1〜2割ほど安い印象。
客層は圧倒的に地元の人が多く、家族連れで軽く食事を済ませる人やスイーツやドリンク目当てと思われる学生グループなどが目立ちます。外国人観光客の姿はほぼ見かけません。地域住民のインフラとして機能していることが感じられます。
表現が難しいのですが、どこか昭和的な懐かしい空気が漂うローカル夜市でした。
写真・実食レビュー
筆者はあまり調べずに食事目当てで三和夜市を訪問したのですが、屋台ラインナップにはとにかくスイーツやドリンクが多かったので、結局夜市の脇にあるお店で食べることになりました。
今回購入したのは以下のメニュー。
- 黒糖豆花(NT$60) :台湾名物のヘルシースイーツ・豆花。ここでは黒糖シロップがけ。
- 冬粉饂飩(NT$70) :ワンタンと春雨のスープ。
- 木瓜牛奶(NT$70): パパイヤミルク。パパイヤとミルクのシェイクです。
- バクテー(NT$120): 骨付きの豚肉をスパイスやハーブと一緒に煮込んだ料理。
- 黒糖剉冰(NT$80):黒糖のかき氷。
一品目は冬粉餛飩。
透明感のあるスープに、ぷるぷるのワンタンと春雨が浮かぶヘルシーな一品です。
味付けはあっさりめで、スープには軽くニンニクの風味。夜市の喧騒の中で一息つくのにぴったりの優しい味です。適度にボリュームもあるので、夜市での食べ歩きの途中にしっかりと食べたくなった時にもおすすめ。
かなり込み合っていて空席を見つけるのが難しかったので、ピーク時間帯を外して訪問するのが良いと思います。

続いてはバクテー(肉骨茶)。シンガポールやマレーシアの名物料理です。
夜市通り沿いの専門店で注文しました。
こちらのバクテーはにんにくやスパイスがしっかり効いた醤油ベースのスープが特徴のマレーシア式。骨付きの豚肉がごろっと入っていて、非常に食べ応えがあります。
まさか台湾でバクテーが食べられるとは…。
思いがけず出会った懐かしい味にちょっと興奮しました。

スイーツもいくつか試しました。まずは黒糖豆花。
こちらのお店では同じ値段でトッピングを3種類選べました。ピーナッツや小豆、愛玉など選択肢が非常に多かったのでかなり悩みましたが、結局ハトムギ、小豆、マンゴーゼリーを選択。
黒糖シロップのコクが豆花のなめらかさを引き立て、トッピングとの相性も抜群。優しい甘さで締めのデザートに最適だと感じました。氷も乗せてくれるので、少しだけかき氷が食べたいときにもおすすめ。
見た目はシンプルですが、夜市スイーツとして完成度が高い一品でした。

別日にはかき氷(黒糖刨冰)にもトライしてみました。
こちらは5種類のトッピングが選べます(何を選んだかは忘れました)。
ザクザクとしたボリュームのある氷の上に黒糖シロップがたっぷりかかり、下から現れるトッピングがうれしいサプライズ。蒸し暑い台北の夜にぴったりのデザートといった感じ。これで400円くらいなのも嬉しい。

夜市の定番ドリンクといえば、やっぱり木瓜牛奶(パパイヤミルク)!
今回は「市場口木瓜牛奶専賣店」で購入しました。
注文するとその場で作ってくれるこの木瓜牛奶は、搾りたてのパパイヤの香りが濃厚で、牛乳とのバランスも絶妙。
甘さの中に少しのほろ苦さがあり、ここでも安定のクオリティです。

印象と特徴
三和夜市を歩いてまず感じたのは、生活感の強さとリアルな地元感。
観光夜市のような派手さや整然とした印象はなく、どちらかといえば「台北市民の日常」がそのまま夜市になったような空気です。
夜市の中では台湾華語が飛び交い、外国人観光客の姿もほとんど見かけません。たまに外国人っぽい人を見かけても、台湾で生活している感じがする人ばかり。観光客向けの呼び込みや英語表記も少ないため、言葉がわからないと少しハードルを感じる場面もあるかもしれません。
屋台の清潔度は台湾平均といったところで、特段低いわけではないものの外国人観光客も相手にするような観光夜市と比較すると微妙。このあたりは評価が分かれそうです。
周辺には食堂やローカルレストランが多く、食事の選択肢は豊富ですが、どれも観光向けというより日常使いの価格帯と内容。有名店がないわけではないのですが、総じて外国人観光客にはハードルが高めです。また、外国人労働者が多いエリアなのか、バクテーやタイのスイーツのような東南アジア特有のメニューが楽しめるお店が多かったのが印象的でした。
なお、夜市はメインの通りを中心に広がっているので路地にも屋台やお店がありますが、薄暗い路地もあるのであまり本線からは外れないようにしたほうが安心。観光客向けの夜市よりも撤収時間がやや早い(22時くらい)点も要注意。
全体的に、台北の「暮らし」を覗く感覚で訪れる夜市。
観光夜市とは異なる、素朴でリアルな台湾の夜を体感できる場所でした。
実際に巡って感じた、観光夜市とローカル夜市の違い
こんな感じでちょっとタイプの異なる夜市を歩いてきましたが、振り返ってみると面白い違いがあるな、と感じることが多々ありました。
日常感と非日常感のミックス
台湾の夜市は、特に観光夜市において「台湾文化のショーケース」のような役割を果たしていると、今回改めて感じました。「台湾といえばこれ!」という定番グルメが多く並び、観光客が見たい台湾を再現している、いわばテーマパーク的な「ハレの場」のような印象です。
ただし、雑誌にも登場するような有名店や定番グルメは多いものの、最新トレンドや実験的な屋台は意外と少なめ。価格もやや高く設定されており、観光客の購買力を前提にした夜市であることがうかがえます。
周辺には飲食店が多く、地元の人にとっては日常的に足を運ぶ理由はそれほど多くないのかもしれません。
その意味では、もしも日本で例えるなら、百貨店の催事場やフードフェスのような存在と言えそう。
知らないわけではないけれど、日常使いよりは少し特別…そんな距離感の夜市です。
一方、三和夜市はまさに「ケ」の世界。
若い店主が自ら屋台を出していて、インスタのQRコードを掲げたり、試食を配ったりと活気にあふれています。
テレビ局が取材に来た写真を貼っている屋台もあり、どの店も今を生きている感じがするのが印象的でした。
スマホグッズやマッサージの屋台など、食以外の店も混在。
仕事帰りや通りすがりに立ち寄る日常的な場所として機能しているように感じました。
また、屋台の出店スタイルにも違いがあります。
寧夏夜市の屋台が完成されたブランド的存在なのに対し、三和夜市の屋台は新しい商品を試すためのパイロット出店や、小規模で展開できる業態が中心。夜市と周辺店舗が相互補完する形でバランスが取れているのが特徴です。
日本で言えば、ポップアップショップが集まった商店街のような場所。
神社仏閣の出店とは違い、ここには台湾経済とダイレクトに結びついた「日常の商い」が息づいています。
自炊よりも外食!な文化
台湾の夜市を歩いていると、改めて「台湾では外食が日常」ということを実感します。
屋台の多くは夕方になると一斉に準備を始め、夜になると通り全体が「台所」に早変わり。
観光客と「今日の晩ごはんを買い(食べ)に来た地元の人」が入り乱れます。
ここまで夜市を訪れる台湾人が多い理由は、台湾では外食・中食(テイクアウトして家で食べる)文化が根付いているから。背景については、共働き世帯が多いことや、自炊するよりも外食の方が安上がりということが挙げられることが多いようです。
台湾人は食事を通じたコミュニケーションを非常に大切にするので、夜市に限らず準備や片づけの時間を節約することでコミュニケーションに掛けるための時間を確保している…ということも要因としてあるのかもしれませんね。
このコミュニケーションに掛かる労力の話は、それぞれの夜市のメニュー構成の傾向を考えても面白いです。
たとえば一人暮らしや少人数の世帯が多いと思われる都市部にある夜市では、ワンタン麺、炒米粉、滷味など、一人前で完結するちゃんとした食事系の屋台が多く、「一人でサッと食べる」スタイルが主流。
一方で、三和夜市のように都心からちょっと離れると、夜市はスナックやドリンクが中心に。食事は夜市ではなくレストランやファストフードなどの系統がメインになってきます。単身者にはちょっと微妙かも…?
まあサンプルが少ないのでもちろん断定はできませんが、個人的にはそんな違いを感じました。
実際、三和夜市では屋台で食事ができずに結局レストランに入っちゃったし…。

もし自分が台北で働いていたら、たぶん三和夜市の近くに住んでいたとしても、寧夏観光夜市あたりでサクッと食べて帰るスタイルになるだろうな…なんて想像しちゃいました。
余談ですが、このあたりは同じ外食文化であるシンガポールとも共通している点があると思います(あちらはホーカーセンターですが)。安くサクッと食べられる環境が身近にあると、仕事とか趣味に全振りできて非常に楽でした。
時折混じる東南アジアの空気感
三和夜市を歩いていて印象的だったのは、ときおり感じる東南アジアの香りでした。
たとえば、マレーシア系のバクテー、タイのスイーツ、ベトナム風のドリンクスタンドなど、どこか「台湾の夜市」らしからぬラインナップがぽつぽつと並んでいるのです。屋台のスタッフも、東南アジア出身と思しき人たちの姿を何度か見かけました。
夜市を散策している人たちの中にも、東南アジア出身と思しき人がちらほらと。
一方で、寧夏觀光夜市ではこうした印象はほとんどありませんでした。
「なかった」と断定はできないものの、東南アジアに住んでいた筆者であれば、もしあれば気づいたはず。
それほどまでに、観光夜市では「台湾らしさ」が意図的に演出されているのかもしれません。
一方で、その対極にあるのが三和夜市です(筆者はしっかりバクテーに反応しました。笑)。
ここでは「台湾らしさ」の定義がもっとゆるやかで、東南アジアや中国大陸など、台湾とは異なる文化が自然に混じり合ってコミュニティーを構成している姿を垣間見ることができました。
それは移民や外国人労働者が多い新北市という地域性の反映でもあり、ローカル夜市が多様な背景を持つ人々の生活の交差点になっている証拠でもあります。
筆者の滞在中にも外国人労働者の制度に関する報道を目にしましたが、台湾でも漁業など多くのセクターで既に欠かせない労働力となっていることは正直知らなかったので驚きました。さらに台北駅でも週末に外国人労働者が集まる光景を見ていたので、最近の日本の外国人労働者政策と重ねて色々と考えさせられました。
(このテーマは、いずれ別の記事で掘り下げたいと思います。)
観光夜市が「台湾を見せる場所」だとすれば、ローカル夜市は「台湾社会そのものを映す場所」。
屋台の香りや看板の言語からも、台北という街の多層性が静かににじみ出ていました。
どちらの夜市に行くべき?
ここまでの内容を踏まえて、どちらに行くべきかを考えてみます。
台北初心者・観光重視なら「寧夏観光夜市」
初めて台北を訪れるなら、まずは寧夏観光夜市から。
夜市の入門編としての完成度が高く、屋台の並びも整っていて歩きやすい。「台湾の夜市ってこういう感じなんだ」と実感できる場所です。台湾文化を存分に味わいたいならやっぱりこちらでしょう。
しかも照明も明るく、メニュー表記も一部多言語対応。人気のグルメやスイーツが一通りそろっているので、夜市初心者でも安心して楽しめます。
インスタなどのSNSに映えるのもやっぱりこっち!
ローカル文化を味わいたいなら「三和夜市」
一方で、台湾の暮らしを肌で感じたい人には三和夜市がおすすめ。観光地らしさは薄いけれど、地元の人の息づかいがそのまま残っています。
屋台のラインナップは食事・雑貨・生活用品まで幅広く、外国人観光客がほとんどいない分、より自然な夜の台北を感じられます。少しディープではありますが、「夜市」という言葉の本来の意味を思い出させてくれる場所です。
日本人になじみのあるメニューを扱うレストランがあるのも特徴(台湾でも日本の洋食みたいなメニューが食べられます)なので、あえてステーキとかパスタを食べてみるのも面白いですよ。
両方巡るなら、この順番がおすすめ
もし時間があるなら、1日目に寧夏観光夜市、2日目に三和夜市という順番が良いでしょう。
まず観光夜市で雰囲気をつかみ、翌日にローカル夜市で「生活としての夜市」を体感する。
この順番で歩くと、台湾の夜市の多様さが自然に実感できるはず。
どちらも「台湾の今」を映す鏡のような場所。
観光夜市だけでも結構あるので、滞在期間が短いとちょっと厳しいと思いますが、是非両方訪れてリアルな台湾社会を体感してみてください。
まとめ
夜市は観光でも生活でも欠かせない台湾文化の象徴。
屋台の灯り、漂う香り、人々のやりとり…そのすべてに「台湾の今」が映っています。
観光夜市では台湾の「顔」を、ローカル夜市では「暮らし」を。
どちらも違った魅力を持つ夜市を通して、台湾という国の奥行きを感じてみてください。
最後に夜市を楽しむための補足情報を何点かご紹介します。参考までにどうぞ。
夜市で役立つフレーズと支払いのコツ
屋台での買い物は基本的に現金払い。
最近は悠遊卡(EasyCard)などの交通系ICカードやクレジットカード、QRコード決済が使える屋台も増えていますが、まだ一部に限られます。少額紙幣や硬貨(NT$100以下)を多めに用意しておくのが安心です。
また、夜市では英語が通じることも多い(日本語が通じることもある)ですが、中国語のフレーズをいくつか覚えておくと安心です。
例えばこんな感じ。
- 這個多少錢?(Zhège duōshǎo qián?)=これはいくらですか?
- 我要一個。/我要這個。(Wǒ yào yí gè./Wǒ yào zhège.)=一つください。/これをください。
- 不辣/小辣(Bù là/xiǎo là)=辛くしないで/少し辛く
- 外帶(Wàidài)=テイクアウト
- 在這裡吃(Zài zhèlǐ chī)=ここで食べます(イートイン)
- 我要筷子/叉子/湯匙(Wǒ yào kuàizi/chāzi/tāngchí)=お箸/フォーク/スプーンをください
ワンポイント:複数買うときは「兩個(liǎng gè)」「三個(sān gè)」など数詞も覚えておくと便利です。
夜市で持っていくと便利なもの
筆者が実際に夜市を訪れた際に感じた、持っていくと役立つアイテムは以下の通り。
ウェットティッシュ(手拭き・テーブル拭き用)
夜市の屋台では手づかみで食べるグルメも多いですが、お手拭きは提供されません(手を洗う場所も基本的にない)。さらにテーブルが拭かれていないことも非常に多いです。そのため、ウェットティッシュはほぼ必須。
ビニール袋(ゴミ箱がない)
次にビニール袋。買ったものをまとめたり、ゴミ袋の代わりにしたりと、様々な用途に使えます。
食べ歩きをするなら、ひとつ鞄に忍ばせておきましょう。
近年は台湾でもお店のビニール袋は有料なことが多いので、予備があれば日本から持参するのも手です。
小型モバイル扇風機 or 折りたたみ傘(季節や天気に応じて)
台湾には日本ほどはっきりした四季が存在せず、あるのは長い夏と短い冬。
そのため日本の真冬の時期でない限り基本的にかなり蒸し暑い気候で、夜間でもそこまで涼しくはならないことも多いです。
蒸し暑い屋外を歩き回るなら、手持ち扇風機があるといくらか快適です。
また台湾には雨季(5月~10月)があり、台北市内でもスコールに見舞われることがあります。
この時期に台湾旅行をするなら、折り畳み傘を持っておくと便利です。

余談ですが、九分は雨が多いので、もし行くなら時期関係なく折り畳み傘は必須です。
小銭・小銭入れ/マネークリップ(支払いをスムーズに&防犯対策)
夜市の主流な決済方法はやっぱり現金。
食べ歩きが目的であれば、数十ドル単位の出し入れを頻繁に行うことになります。あらかじめコインを多めに持っておくとスムーズに支払いが可能です。
普通にメイン財布から出し入れするのも良いですが、小銭入れを使うと予算の管理が非常に楽ですし、メインの財布を出し入れする頻度が減るため、スリ対策にもなります。
また夜市では100ドル札の出番が増えるので、マネークリップを併用すると管理の手間がさらに減らせます。

特に有名な夜市は非常に混雑します。スリ被害に遭うリスクもあるので、貴重品の管理を徹底しましょう!
また、手元の現金が少なくなったときに備えて、現地ATMで少額から現金を引き出せるWISEのデビットカードを持っておくのもおすすめです。
あらかじめチャージしておけばATMでクレジットカードを取り出す頻度が減りますし、万が一盗難やスキミング被害に遭っても、被害はチャージ額だけで済みます。カード決済対応のお店なら、そのまま支払いまで可能。
現在、お友達紹介リンクからの登録で、通常1,200円かかるカード発行手数料が無料になる特典があります。
海外旅行のお金管理のストレスを減らしたい方は、ぜひこの機会に活用してみてください!
カードの発行方法や便利な使い方についてはこちらの記事にまとめています。

モバイルバッテリー
夜市ではスマホを充電できる場所がかなり少ないです。
軽量のモバイルバッテリーを持っておくと、いざというときに便利です。
ツアーに参加するのもおすすめ!
台湾の夜市はそれぞれの好みに合わせて自由に散策するのが醍醐味ではありますが、慣れないとお店選びだけで結構消耗しますし、行列グルメも食べてみるまで自分の好みに合うか分かりません。
その点、ツアーに参加すれば間違いないグルメが分かりますし、夜市そのものの魅力を深く知ることもできます。
有名な夜市であれば様々なツアーが催行されているので、ぜひチェックしてみてください。
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以上です!
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