中華系航空会社を利用すると必ずと言っていいほどある、そこそこ長い北京でのトランジット。
北京といえば紫禁城や万里の長城など観光スポットや歴史的建造物が目白押し!
せっかくだから市内観光に出たい、という方も多いのではないでしょうか。
とはいえ初めての中国だったりトランジット時間がタイトだったりすると、「何時間あれば可能?」「ビザは必要?」と疑問や不安が浮かぶ方も多いはず…。
筆者は今回、北京首都国際空港で約10時間のトランジットを利用して市内へ出かけ、朝ごはんから街歩き、ランチまでしっかり満喫してきたので、その旅行記を臨場感たっぷりにお届けします。
記事内では実際のタイムスケジュールや注意点、通信・決済方法などにも触れている他、末尾にはよくある疑問に対する回答集も付けています。トランジットを利用して北京を楽しみたい方の参考になれば幸いです。
今回利用した中国国際航空のレビュー記事はこちら!

北京首都空港に到着!入国手続きはどのくらいかかる?
まずは着陸から入国までの手続きやかかった時間をご紹介。
到着から入国審査まで
今回のフライトは早朝5:30、北京首都国際空港(ターミナル3)に到着しました。北京はアジア屈指の巨大空港で、到着ゲートから入国審査場までは徒歩でおよそ10分。途中で案内表示も多く、迷うことはありません。
入国審査の流れと所要時間
入国審査には記入済みの外国人入境カード(Arrival Card)が必要です。機内で配布されていましたが、受け取れなかったため空港内の記入台で記入しました。
審査場にはすでに長い行列ができており、待ち時間は約30分。カウンターでは以下を提示しました。
- パスポート
- 入国カード
- 乗り継ぎ便の航空券
質問は「滞在期間」だけで、「トランジット」と答えると、指紋照合と写真撮影を経て入国完了。
最終的に到着から1時間後の6:35に入国を終えることができました。
北京経由で24時間以内に第三国へ出発する場合は、ビザなしで一時入国が可能です。
必要なのは有効なパスポートと次の便の航空券(eチケット画面でOK)。事前申請は不要でした。
また中国入国に必要となる外国人入境カードは中国語と英語が併記されており、外国人でも問題なく記入できます。
主な記入項目は以下のとおり:
- 氏名・性別・生年月日
- 国籍・パスポート番号
- 搭乗便名
- 入国目的(「Sightseeing」などでOK)
- 滞在先住所(「Transit/Beijing」でOK)
英語・中国語併記なので、中国語が分からなくても大丈夫です。
空港から北京市内へ!エアポートエクスプレス体験記
入国を終えたあと、7:10発のエアポートエクスプレス(机场快轨)に乗車しました。
ターミナル3駅から市内までは片道25元、約35分の道のりです。
改札を通る際には荷物検査(X線)があり、スーツケースやリュックのような大き目の荷物は必ず通す必要があります。

北京では地下鉄・空港鉄道ともに荷物検査が標準なので、少し余裕を持って動くのがおすすめです。
エアポートエクスプレスはVISAタッチにも対応していますが、支払いには今回Alipay(支付宝)を使用しました。
あらかじめ認証と決済方法を登録したアプリでQRコードを表示し、改札の読み取り部分をかざすだけでスムーズに通過できて、非常に便利でした。
エアポートエクスプレスの改札では、AlipayでのQR決済を初めて利用しました。
Alipayはパスポートとクレジットカードを登録すれば外国人でも使えます。
- 登録に必要なもの:パスポート番号、SMSを受け取れる電話番号
- 利用可能カード:VISA / Mastercard / JCBなど(※JCBは不安定との情報あり)
筆者は日本発行のデビットカード(VISA)を登録し、問題なく利用できました。
現金を両替せずに地下鉄や食事代を支払えるのは非常に便利です。
注意点としては、登録電話番号による初回SMS認証が必要になるため、SMSが受け取れる状態で登録作業を行う必要があることでしょうか。

車内は清潔で座席もゆったり。
座席下にはUSB充電ポートがあり、移動中にスマホを充電できるのがありがたいポイントでした。

第3ターミナル駅(3号航站楼)から市内に向かう際は第2ターミナル駅(2号航站楼)を経由します。
電車は第2ターミナル駅でスイッチバックするので、第3ターミナル駅で前向きの座席に座ると第2ターミナル駅以降は後ろ向きになります。気になる人は要注意。
7:45に東直門駅に到着。
この駅は地下鉄2号線と13号線が接続しており、ここから市内各所へアクセスできます。
観光スタート!炸醤麺の朝ごはんとスタバ
北京市内に入り、いよいよ本格的に観光がスタート!まずは地下鉄2号線前門駅まで移動し、腹ごしらえです。
地下鉄2号線で前門へ
東直門からは地下鉄2号線に乗り換え、8:00に前門駅に到着しました。こちらも改札前に荷物検査がありましたが、列は短くスムーズでした。運賃は6元。
北京市内の地下鉄は距離制運賃で、交通系ICカードのほか、AlipayやWeChat PayでのQR決済が主流ですが、VISAタッチも利用できます。
前門駅を出るとすぐに広がるのが前門大街。清の時代から続く北京を代表する繁華街で、現在は歩行者天国として整備されています。通りの両側には老舗の北京料理店や土産物店が並び、スターバックスのような外資系のチェーン店も外観は伝統的な中国建築風に統一されているのが特徴です。
全長は約840メートル、観光用の路面電車も運行しており、朝から多くの人で賑わっていました。
通りの北側正面には正陽門の箭楼が建っており、そこから北側が天安門広場。

西側に伸びる大柵欄は、北京でもっとも古い商業街のひとつ。
明代からの歴史があり、薬局や布地屋、茶館など昔ながらの北京を感じられるエリアです。前門大街と合わせて散策するのがおすすめです。

目抜き通りはこんな感じですが、一本外れると胡同(路地)の景色が広がり、観光エリアとはまた違った北京らしい雰囲気を体感できます。
空港からわずか1時間弱ですが、既に別世界!
老北京炸醤麺で腹ごしらえ
前門大街の路地に入り、ローカルの食堂で炸醤麺(ジャージャー麺)を注文しました。
麺の上には刻んだきゅうりや大豆、野菜がたっぷり。そこに濃厚な甜麺醤ベースの肉味噌を混ぜ合わせていただきます。見た目以上にボリュームがあり、朝からしっかりエネルギーをチャージできました。
料金は一杯29元(約600円)。
決済はAlipayで問題なく支払いできましたが、クレジットカードは使えず、現金も不可という店も少なくありません。北京ではローカル食堂ほどQRコード決済が必須になるので注意が必要です。
英語は通じなさそうでしたが、メニューを指さし注文すればOK。

スターバックスでひと休み
食後は近くのスターバックスへ。ここ前門の店舗は伝統的な建物を活かした内装で、観光の合間に立ち寄るだけでも楽しめる雰囲気です。窓越しに胡同の風景を眺めながらアイスコーヒーをいただきました。
支払いはAlipayのQRコード決済を利用しました。スタバでは例外的に外国発行のクレジットカードも使えるようですが未確認。やっぱりQR決済を用意しておくのが安心です。
こちらは問題なく英語が通じました。
注文はアイスアメリカーノ(トールサイズ)!34元(約700円)とちょっと高いですね…。
店内にはフリーWi-Fiもありますが、利用にはSMS認証が必要でした。

前門から王府井へ
前門に最初に来たのは、北京中心部を徐々に北上しつつ歴史スポットを総ざらいしたかったからです。
ただなかなか思ったようにいかないのが旅…。
天安門広場を北上…できない
天安門広場を北上して故宮博物院へ行く予定でしたが、広場一帯はゲートで囲まれており、入口には「故宮博物院は予約が必要」と書かれた案内。
警察官も多数配置され、予約していない状態で通れるかどうかすら分からない雰囲気。
写真を撮ることもためらわれる物々しさに圧倒され、ここはおとなしく回れ右をしました。
故宮が事前予約制なのは知っていましたが、天安門広場そのものに近づくことすら難しいのは想定外。短時間のトランジット観光で訪問するのは、かなりハードルが高いと感じました。
王府井で街歩き
そこで方向を変えて地下鉄で王府井へ。到着時刻は9時30分。
王府井は明・清の時代から栄えた商業地区で、かつて宮廷の井戸(水源)があったことからこの名が付いたとされています。
現在は全長およそ1キロの歩行者天国が整備され、大型百貨店やショッピングモールが並ぶ一方、老舗の飲食店や土産物屋も健在。前門と同じく歴史の長い繁華街ですが、雰囲気が全然違って面白いです。

王府井自体も歩きがいのあるスポットですが、故宮博物院の東に位置しているので、ここからでも故宮博物院に近づくことができます(予約がないので入れないけど)。
王府井大街を北上し、永安門大街に行き当たったら通りを西へ。通りの名前が東華門大街に変わり、さらに西に歩くと故宮の東華門に到着します。
巨大な城壁と赤い門が圧倒的な存在感を放っており、門周辺を散策するだけでも十分に北京の歴史を感じられました。
通り沿いにはお土産屋さんや飲食店の他に、時代衣装をレンタルできるスポットもたくさん。多くの人が思い思いの衣装を着て写真を撮っていました。

楊枝甘露でひと休み!
東華門をチラ見してから王府井に戻ると10時。
もうそろそろ周辺のデパートが開店する時間です。
そこで立ち寄ったのが、王府井にある香港系デザートチェーン「満記甜品(Honeymoon Dessert)」。
ここで注文したのは楊枝甘露。マンゴーとグレープフルーツをベースにした中華系デザートで、爽やかな酸味とタピオカの食感が特徴です。

濃厚なマンゴーとほろ苦いポメロ、ぷちぷちとしたタピオカが絶妙に混ざり合い、歩き疲れた体にぴったりの一品。
価格は29元(約600円)で、Alipayでスムーズに支払えました。

他にも健康に良さそうなデザートもたくさんあるので試したかったのですが、ランチにお腹の容量を取っておくことにしました。
南鑼鼓巷を散策。胡同にオシャレカフェを発見!
王府井から地下鉄でさらに北上し、人気の観光エリア南鑼鼓巷へやってきました。時刻は11時。
ここは細長い胡同(伝統的な路地)が南北に延び、観光客や地元の若者でにぎわうスポットです。

両脇には雑貨店や土産物屋、スナックを売る露店などが軒を連ね、北京の古い町並みを感じながら散策を楽しめます。石畳の路地と灰色の瓦屋根の建物に、カラフルな看板が並ぶコントラストはこの街ならでは。
南鑼鼓巷は歩くだけで楽しいエリアですが、カフェやスイーツ店はどこも激混みで騒がしい雰囲気なのがちょっぴり残念…。
そんな感じで歩き疲れたところで、たまたま胡同をリノベーションしたカフェ「静水StillWater」を発見!
木のぬくもりを感じる店内は、にぎやかな通りの喧騒から一歩離れて落ち着ける雰囲気。
観光の合間に冷たいドリンクでリフレッシュできました。30分ほどゆったりする中で、スマホの充電もできてひと安心。

散策してみると意外な発見があるのが、北京観光の面白いところです。
昼食は打卤面!北新橋から空港へ
カフェで一息ついたらランチタイム。北京の名物料理を食べに行きます。
胡同を抜けて北新橋へ
カフェを後にして胡同を東へ。北新橋を目指します。
北京の裏路地らしい灰色のレンガ塀が続き、にぎやかな観光地とはまた違う生活感のある風景に出会えました。

今日のランチは北京名物の打卤面(ダールーメン)!
お店は中国の検索サイト「百度」を使って事前に調べておきました。
名物・打卤面を堪能!
訪問したのは北三条胡同打卤面館(雍和宮店)。北京名物のひとつである打卤面(ダールーメン)が看板メニューのお店です。筆者訪問時、客席は三階までありましたがほぼ満席!人気店であることが伺えました(百度地図の評価4.4/5.0は伊達じゃない)。
打卤面は茹でたての太麺にとろみのある餡をたっぷりかけて食べる料理で、餡にはキクラゲや豚肉など具材が豊富。日本のあんかけうどんに似ていますが、もちもちの麺との相性は独特でクセになる美味しさでした。価格はミネラルウォーターを含めて29元(約600円)。
注文はテーブルに貼られたQRコードをAlipayアプリでスキャン。メニュー選びから支払いまでアプリ上で完結する方式で、中国ならではのスタイルを体験できました。

醤油味のとろみのある餡に肉厚のシイタケやきくらげなどの野菜や肉がたっぷりで非常に美味しかったです!
空港へ戻る
お店は北新橋駅のすぐ近くで、ここから空港エクスプレスに直結。
13:30頃に出発し、14:00には北京首都国際空港第3ターミナルに到着しました。
フライトは15:30発。1時間半前に空港へ戻るのが、トランジット観光の安心ラインだと感じました。空港では再び手荷物検査と出国審査があり、国際線に乗り継ぐ場合はこの時間の余裕が不可欠です。

実際に過ごしたスケジュールまとめ
今回の乗り継ぎ観光では、約10時間の滞在時間で市内観光と食事、カフェまで満喫することができました。
観光スポットの内部に入るのは難しくても、街歩きや食文化を体験するだけで北京らしさを十分に味わえます。
以下が実際に過ごしたスケジュールです。
時間 | 項目 | 備考 |
---|---|---|
5:30~7:10 | 北京首都空港に到着、入国手続き(所要約1時間30分) | |
7:10~7:45 | 北京首都国際空港T3 → 東直門 | エアポートエクスプレス |
7:45~8:00 | 東直門 → 前門 | 地下鉄2号線 |
8:00~9:10 | 前門散策(炸醤麺の朝食&スタバで休憩) | |
9:10~9:30 | 前門 → 王府井 | 地下鉄8号線 |
9:30~10:30 | 王府井散策(東華門&中華デザート) | |
10:30~11:00 | 王府井 → 南鑼鼓巷 | 地下鉄8号線 |
11:00〜12:30 | 南鑼鼓巷で街歩き&カフェ休憩 | |
12:30~12:50 | 南鑼鼓巷 → 北新橋 | 徒歩 |
12:50~13:30 | 北新橋で昼食(打卤面) | |
13:30~14:00 | 北新橋 → 北京首都国際空港T3 | エアポートエクスプレス |
14:00~15:15 | 北京首都国際空港T3到着、出国手続き(所要約1時間15分) | |
15:15 | 搭乗ゲート到着 | |
15:30 | (フライト出発予定時刻) |
今回の体験では、乗り継ぎ時間が約10時間あったので市内観光を余裕を持って楽しむことができました。
入国や移動、出国手続きに多めに見積もって4時間ほどかかるため、実際に観光に充てられるのは残りの6時間前後であることが分かりました。
6時間だと天安門や故宮博物院のような広大な主要スポットを入れようとすると時間が足りなくなりますが、街歩きやグルメを中心に楽しめば時間を有効活用できます。
よくある疑問と回答
最後にこの記事の体験を踏まえて、旅行者が特に気になるポイントをまとめました。
- 何時間あれば北京観光できる?
-
入国・移動・出国手続きにおよそ4時間かかるため、観光できる時間はトランジット総時間から4時間を引いたものと考えると分かりやすいです。
筆者の考える北京トランジット観光の所要時間は以下の通り。
- 10時間以上(観光時間:6時間~) → 街歩きや食事をしながら余裕を持って観光可能
- 7時間前後(観光時間:3時間) → 観光はできるがあまり余裕はない
- 6時間以下(観光時間:~2時間) → 空港待機を推奨(リスクが高い)
- 通信手段はどうする?
-
中国の現地SIMを空港で調達することも可能ですが、トランジット観光ではなるべく時間を節約したいところ。また公共Wi-FiはSMS認証が必要なため旅行者には使いにくいケースもあります。
おすすめは着陸後すぐに使えるeSIM。筆者はAiraloのeSIMを利用し、VPNなしでもLINEやGoogle検索が問題なく使えました。
詳しい設定方法や使い方は別記事で紹介しています。 - 決済はどうすればいい?両替は必要?
-
北京では現金よりもQRコード決済(Alipay / WeChat Pay)が主流。外国発行のクレジットカードもアプリに登録して利用できます。
- Alipay / WeChat Pay → 市内の食事・買い物はほぼこれで対応
- クレジットカード直接利用 → 地下鉄や空港鉄道、スターバックスなど一部チェーン店のみ
- 現金 → 少額あれば安心だが、基本的に不要(筆者も両替は一切しませんでした)
- 入れておくと役立つアプリは?
-
以下のアプリを入れておくと役立ちます。
- 百度地図(中国語が読めればさらに正確で便利)
- Metroman(北京地下鉄の乗換検索に便利)
- 大众点评(中国版食べログ。口コミ数が多く参考になる)
- VoiceTra(総務省所管の研究機関開発の多言語音声翻訳アプリ)
VPNやairaloのように中国政府の規制に引っかからないネット環境があれば以下もおすすめ。
- Google翻訳(中国語しか通じない場面で必須)
- Google Maps(外国人でも使いやすい地図アプリ。ただし中国の情報は少な目)
まとめ
今回の北京トランジット観光では、約10時間の滞在で市内に出て、朝食の炸醤麺から王府井の街歩き、南鑼鼓巷の胡同散策、昼食の打卤面まで余裕を持って楽しむことができました。
改めて時間の感覚をまとめると、実際には入国や移動、出国手続きに合計4時間ほどかかるため、観光に使えるのは6時間前後。北京の主要観光地である故宮博物院や万里の長城といったスポットは非常に広大だったり遠かったりするため、この時間内に収めるのはかなり無理があると言わざるを得ません。
ただそれでも、北京ならではの食文化や街歩きは限られた時間でも十分に楽しむことができるので、時間を上手く割り振ることができれば、満足度の高い滞在ができるはず!
北京の魅力をしっかり感じるのは、短時間のトランジットでも工夫次第で十分可能なことが分かりました。
これで北京を気に入ったら、次は時間をたっぷり取って再訪することも検討してみてはいかがでしょうか。
なお中国国際航空のフライト自体の様子については別記事で詳しくレビューしています。
以上です!
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