パリ・サンラザール駅から電車に揺られて2時間ほど行くとあるのが、フランス北西部のノルマンディー地方。
りんごや蒸留酒カルヴァドスが有名な地域です。
そのなかでもセーヌ川沿いに位置する3都市オンフルール、ルーアン、ル・アーヴルは、美しい港町の風景、歴史ある街並み、世界遺産級の建築や美術館などがそろい、フランスらしさを手軽に味わえる場所として人気です。
これらの街を巡るツアーもありますが、鉄道とバスだけで十分アクセスできます。
本記事では、筆者が実際に公共交通を使って3都市を周遊した体験をもとに、ルートの組み方、チケット購入のコツ、市内交通の使い方まで詳しくまとめました。
日帰りでも宿泊でも、ノルマンディーを自力でめぐる旅を計画する際に役立つ情報を、写真とともにご紹介します。
ノルマンディー周遊の魅力とおすすめルート概要
フランス北西部に位置するノルマンディー地方は、海辺の港町や中世の街並み、歴史的建築、美術館などが点在する人気の観光エリアです。パリから手軽にアクセスできるため、フランス旅行の中で日帰りや数日間の小旅行先として選ばれることも多くあります。
中でも、セーヌ川沿いに位置するオンフルール、ルーアン、ル・アーヴルの3都市は、全く雰囲気の異なる魅力を楽しめる街です。
- オンフルール:カラフルな建物が並ぶ港町で、絵画のような風景と美術館めぐりが人気。
- ルーアン:ノートルダム大聖堂や旧市街の木組みの家々など、中世の街並みが残る歴史都市。
- ル・アーヴル:近代建築と海沿いの街歩きが魅力で、ユネスコ世界遺産にも登録されている港町。
一都市でも十分見ごたえはありますが、周遊するのもおすすめ。
この3都市は距離が比較的近いため、自力での周遊もそこまで難しくありません。
セーヌ川沿いの3都市をめぐる魅力
それぞれの魅力を簡潔に表すと以下のような感じになります。
かなり異なる特徴を持っていることが分かるはず!
オンフルール Honfleur

カラフルな建物が並ぶ旧港がシンボルの小さな港町。
芸術家にも愛された絵画のような風景と、美術館めぐりが魅力です。
ルーアン Rouen

ノートルダム大聖堂をはじめ、中世の街並みが残る歴史都市。
木組みの家々が並ぶ旧市街を歩けば、中世ヨーロッパの雰囲気を感じられます。
ル・アーヴル Le Havre

第二次世界大戦後に再建された近代都市で、ユネスコ世界遺産に登録された独特の街並みが特徴。
海沿いの散歩や美術館も楽しめます。
3都市の位置関係とアクセス
3都市を地図上に示すとこうなります。オンフルールとル・アーヴルはセーヌ川河口に位置しており、ルーアンはそこからセーヌ川をさかのぼった位置にあります。
パリからのアクセスのしやすさ
まずはパリからのアクセスをまとめます。
オンフルールだけ少し遠いですが、それぞれ3時間以内で行けるので日帰りも可能な距離感です。
ルート | 鉄道・バス利用の所要時間 |
---|---|
パリからルーアン | サンラザール駅から直通列車で約1時間20分。 パリからFlixBusなどを利用する場合は約2時間。 |
パリからル・アーヴル | サンラザール駅から直通列車で約2時間。 パリからFlixBusなどを利用する場合は約2時間30分。 |
パリからオンフルール | 鉄道駅がないため、ル・アーヴルなど経由でバス乗り換えが必要。所要約3時間~。 パリからはFlixBusなどの直通便を利用すれば約2時間30分。 |
それぞれの位置関係(おおよその距離と移動時間)
3都市それぞれの距離感は以下のような感じ。
- ルーアン ⇔ ル・アーヴル:約90km(電車で約1時間)
- ル・アーヴル ⇔ オンフルール:約25km(バスで約30~40分)
- ルーアン ⇔ オンフルール:約90km(電車+バスで2時間30分~)
周遊プランを立てる際は、列車での移動がしやすく各種施設も充実しているルーアンやル・アーヴルを拠点にし、オンフルールを日帰りまたは1~2泊で組み合わせるのが効率的です。
具体的な交通機関の予約方法など、詳細は後程説明します!
各都市の特徴と見どころ
こちらの章では個性豊かな3都市の魅力をさらに深掘りしてお届けします。
オンフルール:カラフルな建物とアートの港町
セーヌ川の河口に位置するオンフルールは、小さな漁港を中心にカラフルな建物が並ぶ、絵画のような美しい港町。
主な見どころは以下のとおりです。
- ヴュー・バッサン(Vieux Bassin):港に沿って建ち並ぶカラフルな建物がフォトスポットとして人気。
- ウジェーヌ・ブーダン美術館(Musée Eugène Boudin):地元出身の画家の作品を中心に、印象派絵画を中心とした作品群を堪能することができます。
- サティの家(Maisons Satie):「ジュ・トゥ・ヴー」や「3つのジムノペディ」などで知られる作曲家エリック・サティの生家であり、彼の独特な世界が体験できる記念館。
- サント・カトリーヌ教会(Église Sainte-Catherine):船大工によって建てられた珍しい木造教会で、内部の雰囲気も独特です。
印象派の巨匠クロード・モネやウジェーヌ・ブーダンがこの街の景色を描いたことで知られ、ブーダン美術館ではその作品の一部を鑑賞できます。ギャラリーや美術館も多く、まさに芸術の中にいるような感覚で街歩きをすることができます。

港沿いにはレストランやカフェが立ち並んでおり、観光客でにぎわっています。そうしたお店でシーフードを味わうのも旅の楽しみのひとつ。毎週土曜日にはマルシェも開催され、そちらも非常に人気です。

街自体がコンパクトなので半日〜1日の滞在でも十分満喫できますが、数日滞在して時間ごとに異なる港の雰囲気を堪能するのも素敵です。

ルーアン:大聖堂と中世の街並みが息づく歴史都市
ノルマンディー地方の中心都市ルーアンは、フランスの歴史と文化が凝縮された街。セーヌ川沿いに広がる旧市街には、中世の木組みの家々が並び、石畳の小道を歩くだけでタイムスリップしたかのような雰囲気を味わえます。
主な見どころは以下の通りです。
- ノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame de Rouen):ゴシック建築の傑作と称される大聖堂。モネが描いた連作の舞台でもあり、外観の繊細な彫刻や内部のステンドグラスが圧巻です。ルーアン大聖堂とも。
- 大時計台(Rue du Gros-Horloge):ルーアン旧市街のメインストリート。16世紀に建てられた黄金の天文時計「グロス・オルロージュ(Gros-Horloge)」がシンボルです。
- ジャンヌ・ダルク関連スポット:彼女が殉教した場所に建つジャンヌ・ダルク教会や、史跡とマルチメディア展示で歴史を学べるヒストリアル・ジャンヌ・ダルクは必見。
- ルーアン美術館(Musée des Beaux-Arts de Rouen):モネやルノワールなど印象派の絵画をはじめ、豊富なコレクションを誇る美術館です。モネのノートルダム大聖堂の連作の一部も所蔵しています。
- アトル・サン・マクルー(Aître Saint-Maclou):14世紀のペスト流行時に建てられた中世の納骨堂跡。現在はアートギャラリーや文化施設として利用されており、独特の雰囲気が漂うスポットです。
この街は「オルレアンの乙女」と呼ばれたジャンヌ・ダルクが火刑に処された地としても知られ、フランス史に深く関わる多くの史跡が残されています。火刑が執行された旧市場広場(Place du Vieux-Marché)にはジャンヌ・ダルク教会もあり、歴史ファン必見の場所です。

さらにルーアンといえばフランボワイヤン・ゴシック様式の大聖堂。その燃え立つような繊細な装飾と堂々としたたたずまいは、印象派の画家クロード・モネがノートルダム大聖堂を題材に連作を描いたことで美術の世界でも有名です。

夏のバカンス時期には大聖堂の壁面を使ったプロジェクションマッピングも開催されます。
連作はフランス国内ではパリのオルセー美術館に多く所蔵されていますが、ルーアンでも見ることができます。実物と絵を対比させて楽しめるのも、ルーアンならでは!
モネのように一日の時間帯や光の変化によって変わっていく大聖堂の表情を眺めるのもおすすめです。

このように観光スポットがかなり多いルーアンですが、旧市街を中心に密集しているため、1日あれば主要な見どころを効率よく巡ることができます。

ル・アーヴル:近代建築と印象「日の出」誕生の地
第二次世界大戦で大きな被害を受けたル・アーヴルは、戦後、建築家オーギュスト・ペレの手によって復興されました。鉄筋コンクリートによる都市計画は、近代建築の模範として世界的に評価され、ユネスコ世界遺産にも登録されています。
旧市街の趣ある街並みを残すルーアンや、中世の港町オンフルールとは対照的に、ル・アーヴルは「戦後のモダニズム都市」としての個性が際立っています。

現在その面影はありませんが、モネが印象派の名称の由来となった「印象・日の出」(パリのマルモッタン・モネ美術館所蔵)を描いたのも、ここル・アーヴルです。
主な見どころは以下のとおり。
- サン・ジョゼフ教会(Église Saint-Joseph):オーギュスト・ペレによる代表的な建築。巨大な八角形の塔が空に伸び、内部には12,000枚を超えるステンドグラスがはめ込まれています。昼と夕方で光の色合いが変わる幻想的な空間は必見。
- ル・アーヴル近代美術館(MuMa Musée d’art moderne André Malraux):アンドレ・マルロー美術館とも。セーヌ川河口の風景に魅せられた画家たち―モネ、ブーダン、クールベなどの印象派作品を中心に展示。海沿いの立地とモダンな建築も魅力で、美術館好きにとってはルーアン・オンフルールと並ぶ訪問先。
- ヴォルカン(Le Volcan):オスカー・ニーマイヤー設計による文化施設。火山のような外観が特徴的で、現代建築好きにはたまらないスポットです。図書館や劇場としても利用されており、地元の人々の生活に根ざしています。
- 海辺の遊歩道とビーチ:街から歩いてすぐの海岸線には、ゆったりとした遊歩道やカフェ、夏場には海水浴を楽しむ人々の姿も。美術館訪問後に散策するのもおすすめ。
ル・アーヴルは、芸術と建築の現代的な融合を楽しみたい人にぴったりの街。観光地然とした雰囲気は薄く、どこか日常に溶け込む静けさがあります。


ノルマンディー3都市を効率よく回るルートの組み方
ここではパリからのアクセスも考慮したおすすめルートをご紹介します。
おすすめの順番と回り方
パリ発の場合、おすすめの順番は以下の通りです。
おすすめルート1:オンフルール→ル・アーヴル→ルーアン
- 特徴: 無駄が少なく、移動効率重視派におすすめ!
- ルート詳細:パリ→(FixBusなど)→オンフルール→(NOMAD Normandieバス)→ル・アーヴル→(国鉄)→ルーアン→(国鉄)→パリ
- ポイント:
- 一筆書きで回れるので時間的・費用的に優秀。
- オンフルールでの日程が慌ただしくなるため、ここで1泊すると体力的に楽。
- 注意点:
- パリからオンフルールのバスは本数が限られるので早めの確保を推奨
- オンフルールからル・アーヴルに向かうバスの本数が意外と少ない
まずはパリからFlixBusなどでオンフルールに直接アクセスし、そこからじわじわと東に向かいパリに戻ってくるルート。同一都市を行ったり来たりせずに一筆書きで回れるので、時間的・費用的な点で優れています。
注意が必要なのが、オンフルールに宿泊せずにル・アーヴルに移動する場合。オンフルールの滞在時間が極端に短くなったり、荷物を持って石畳の街を移動することになる点を考慮する必要があります。
さらにル・アーヴルに向かうバスも本数が少ないので、オンフルールに到着する時間帯によってはル・アーヴルへの移動自体が難しい場合も。
このルートを選択するなら、可能であればオンフルールに1泊するのがおすすめ。
余裕をもってオンフルール観光ができますし、ル・アーヴルの移動にも余裕があります。
おすすめルート2:ルーアン → ル・アーヴル → オンフルール
- 特徴: 歴史と芸術体験をじっくり派におすすめ!
- ルート詳細:パリ→(国鉄)→ルーアン→(国鉄)→ル・アーヴル→(NOMAD Normandieバス)→オンフルール→(FlixBusなど)→パリ
- ポイント:
- まずルーアンで大聖堂やジャンヌ・ダルクゆかりの地を観光。美術館で印象派に軽く触れる。
- ル・アーヴルで近代建築と印象派の世界に浸り、最後はオンフルールで絵の中に溶け込むようなひとときを。
- パリに戻る際はオンフルールからFlixBusなどを利用。
- 余裕があればル・アーヴルに戻ったり、西のドーヴィルへ足を延ばすのも◎。
- 注意点:利用する予定のバス(FlixBusやNOMAD Normandie)のスケジュール確認が必須
印象派を絵画などで楽しみ、最後に絵に溶け込むような体験ができるルートです。
フランス芸術ファンはもちろん、特に印象派ファンなら感動的な体験になること間違いなし!
こちらはおすすめルート1とは逆にじわじわと西に向かっていくルートで、最後のオンフルールには鉄道駅がないので、直接パリに戻るにはFlixBusなどを利用します。もし時間に余裕があれば、もう一度ル・アーヴルに戻ったり、更に西に進んでドーヴィルを楽しむのもあり。
注意点としては、バス移動が増えるのでスケジュール確認の手間が多少増えることでしょうか。
おすすめルート3:ル・アーヴル→オンフルール(日帰り)→ルーアン
- 特徴: 拠点を一か所にしたい派におすすめ!
- ルート詳細:パリ→(国鉄)→ル・アーヴル→(NOMAD Normandieバス)→オンフルール→(NOMAD Normandieバス)→ル・アーヴル→(国鉄)→ルーアン→(国鉄)→パリ
- ポイント:
- ル・アーヴルに荷物を置いて身軽にオンフルール観光ができる。
- 20世紀(戦後)→20世紀初頭→中世と、歴史を遡るような移動体験ができる。
- 行きにルーアンを先に組み込むアレンジも可能。
- 注意点:オンフルール発着のバススケジュール要確認。
ル・アーヴルを拠点に日帰りでオンフルールを楽しみ、帰りにルーアンを訪問するルート。
ル・アーヴルに荷物を置いておけるため、身軽にオンフルールを楽しみたい人にうってつけ。
ル・アーヴルで20世紀の近代都市を楽しんだ後、オンフルールでは20世紀初頭の印象派の雰囲気を味わい、さらにルーアンで中世にタイムスリップ…という、フランスの歴史を遡っていくような不思議な感覚が味わえます。
パリ、ル・アーヴル間の国鉄(ルーアン経由)は本数が多いので、行きにルーアンを組み込み、その後にルアーヴルとオンフルールを持ってくることもできます。
3泊4日モデルコース(パリ発着プラン例)
続いてはおすすめルート1(オンフルール→ル・アーヴル→ルーアン)をベースに実際のコースを組み立ててみます。
1日目:パリ → オンフルール(石畳の港町で1泊)
まずはパリからオンフルールにバスで移動し、オンフルールの風景や観光スポットを堪能します。
翌日のル・アーヴル行きのバスのスケジュールを確認しておくと安心。
- 午前
- パリ・ベルシーバスターミナル発 FlixBusでオンフルールへ(約2時間30分)
- 早朝出発便を選ぶと昼前に到着できる
- 昼
- ホテルにチェックインし、旧港ヴュー・バッサンを散策
- サント・カトリーヌ教会(木造の珍しい教会)を見学
- カフェでムール貝やガレットなどランチ
- 午後
- 小さなギャラリーやブーダン美術館、サティの家などを巡りながらのんびり
- 写真スポット多数。港沿いのカラフルな建物は必見
- 夜
- 海沿いのレストランで夕食
- 港の夜景散歩
- オンフルール泊(できれば港近くの宿がおすすめ)
2日目:オンフルール → ル・アーヴル(近代都市と美術館を堪能)
翌日はオンフルールからル・アーヴルに移動。ル・アーヴルでは近代建築や芸術を楽しみましょう。
ル・アーヴルの市街地は意外と広いので、交通パスの購入がおすすめ。
- 朝
- 早起きして朝の港町を散歩(パン屋で焼きたてクロワッサンを調達。土曜日ならマルシェ散策も)
- 午前中発のNOMAD Normandieバスでル・アーヴルへ(30〜60分)
- 午前
- サン・ジョゼフ教会を見学。ステンドグラスに差し込む光は午前中が特に美しい
- 昼
- 港沿いのレストランで魚介ランチ
- 午後
- MuMa(ル・アーヴル近代美術館)でモネ、ブーダンらの印象派作品を鑑賞
- 海辺の遊歩道を散策、カフェで一休み
- 夕方〜夜
- 近代都市の街並みを散歩。ヴォルカンや市庁舎周辺など写真スポット多め
- ル・アーヴル泊(国鉄駅近くならルーアンへの移動も便利)
3日目:ル・アーヴル → ルーアン(中世の街並みにタイムスリップ)
ルーアンではジャンヌダルクゆかりの歴史スポットや可愛らしい街並みを巡ります。
- 午前
- ル・アーヴルの朝市や海沿い散歩
- 午前中の国鉄TERでルーアンへ(約1時間)
- 昼
- ルーアン旧市街でクレープランチ
- 午後
- ルーアン大聖堂を見学
- モネが描いた連作の展示をルーアン美術館で鑑賞
- 中世の木組みの家が立ち並ぶ街並みを散策
- 夜
- ノルマンディー名物「シードル」で乾杯
- 大聖堂ライトアップを見てからルーアン泊
4日目:ルーアン → パリ
最終日はパリに帰還。お疲れさまでした!
- 朝
- 時間があればルーアン美術館や市場を散策
- 昼〜午後
- TER(国鉄)でパリへ(約1時間半)
- 夕方にはパリ到着、そのままパリ観光や帰国便へ
日程に余裕がある場合の+1泊アレンジ
3泊4日プランにもう1泊足せるなら、以下のようなアレンジも可能です。
オンフルールにもう1泊(印象派ファンにおすすめ)
美しい港町にもう一泊ステイ。美術館やギャラリーをしらみつぶしに巡ってみたり、海岸でぼーっとしてみたり。
朝と夜の風景の移り変わりをじっくりと堪能することもでき、時間に追われず絵画のような世界をゆったり楽しみたい人にぴったり。
ル・アーヴルからエトルタへ日帰り(絶景派におすすめ)
数々の絵画にも描かれた、世界的に有名な白い断崖を見に行く小旅行。ル・アーヴルからバスで手軽にアクセス可能です。ル・アーヴルに荷物を置いていければ身軽に楽しめますね。
ルーアンにもう1泊(芸術・歴史派におすすめ)
ルーアンの木組みの街並みをじっくり散策。大聖堂のライトアップや美術館を心ゆくまで楽しめます。風情あるカフェも多く、のんびり滞在するのにも最高です。
トゥルーヴィル・ドーヴィル泊(リゾート気分を味わいたい人におすすめ)
オンフルールからさらにバスで西へ行くと、有名なリゾート地であるトゥルーヴィル・ドーヴィルがあります。オンフルールの素朴な港町とは一味違い、華やかなビーチリゾートを満喫できます。カジノや豪華ホテルもあり、贅沢な時間を過ごしたい人におすすめ。国鉄駅からそのままパリに戻れる点も便利です。
公共交通と市内移動の徹底ガイド
続いて具体的な交通手段の手配方法や各都市の市内移動方法についてまとめます。
パリからノルマンディー主要都市へのアクセス&都市間移動
ノルマンディー地方の交通手段は電車とバスがあります。
フランス国鉄TERの利用方法
利用区間
主にパリ~ルーアン、パリ~ル・アーヴル、ルーアン~ル・アーヴル間で利用できるローカル列車です。自由席で、車内は2等車がメイン。
予約方法
フランス国鉄の切符は窓口やオンラインで購入できますが、売り切れのリスクやフランス語でのやりとりの手間を考えると、オンラインでの購入がおすすめ。公式アプリSNCF Connectを利用すれば、apple payで支払いができたり、購入した切符をウォレットに入れられたりと便利です。

乗車方法
TERは座席指定があるので、車両番号と座席番号から該当の席を探して着席しましょう。電車の停車時間が短いこともあるので、定刻の30分前には駅に行っておくと安心です。
日本のような改札はなく、車内で検札係が回ってきたらスマホチケットを提示します。紙のチケットを買った場合のみ、駅の黄色い機械でバリデーション(打刻)を行ってから乗車します。
その他
車内では無料でWi-Fiが利用できるほか、座席によってはUSB充電の設備も利用できます。
スーツケースを置ける荷物置き場もありますが、盗難に注意。
FlixBusの利用方法
利用区間
パリ~オンフルールの移動に便利な長距離バス。1日数便運行しており、早朝出発便を選ぶと午前中に到着できます。
予約方法
公式アプリまたはウェブサイトからオンライン予約が便利です(前述のSNCF Connectからでも予約が可能)。クレジットカードやPayPal、Apple Payなどに対応。購入後はQRコードチケットがアプリまたはメールで届きます。

乗車方法
パリではベルシー・セーヌ(Bercy Seine)バスターミナルもしくはラ・デファンスの(Le Terminal Jules Verne)の発着が多め。出発15分前にはバス停に到着しておきましょう。
乗車時はドライバーにQRコードを提示すればOK。座席は指定制(予約時に選択)または自由席の場合があり、予約画面で確認できます。
その他
座席によってはUSB充電の設備が利用できます。
長距離路線にはバスにトイレがある場合があります。
荷物は専用の荷物入れに収納可能ですが、行き先に応じて収納場所が決まっていることがあるのでドライバーの指示に従いましょう。
NOMAD Normandieバスの利用方法
利用区間
ノルマンディー地方をカバーするローカルバス。路線によって運行頻度はまちまちなので要確認。オンフルールへのアクセスには必ず利用することになります。
ル・アーヴルからオンフルールへのバス移動に関する情報はこちらの記事でも詳しく紹介しています。
チケット購入方法
事前予約は不要で、乗車時に運転手から購入します(現金またはクレジットカード対応の場合あり)。料金は片道数ユーロ程度。国鉄と抱き合わせの旅程の場合は、SNCF Connect経由でチケットを購入することも可能。
乗車方法
基本的にバスターミナルの発着。バスのフロントに路線番号と行き先が表示されるので、確認して乗り込みます。不安なら運転手に確認しても良いでしょう。スーツケースを持っている場合は、運転手に声をかけてトランクに預けましょう。
その他
時間帯によっては運行本数が極端に少ない路線もあるので、事前のスケジュール確認が必須。
座席によってはUSB充電の設備が利用できます。
各都市での市内移動
オンフルールの市内交通
オンフルールはこぢんまりした港町で、観光スポットはすべて徒歩圏内。市内を効率よく回るなら、基本は徒歩+必要に応じて観光用のプチトラン(小さな遊覧電車)を利用する形になります。
石畳の道が多いので、歩きやすい靴がおすすめ。
- 旧港周辺から出発し、町をぐるっと巡る観光列車
- 料金:大人8ユーロ
- チケットは乗車時に購入可能
- 主要観光スポットの外観を効率よく回りたい人に便利
- 土曜午前はマルシェ開催のため運行なし
ル・アーヴルの市内交通(バス・トラムなど)
ル・アーヴルは港町としては比較的大きく、観光スポット間の移動は徒歩だけでは少し距離がある場合もあります。特に駅周辺と市街地は少し距離があります。
市内交通は主にLiAが運行するバス・トラムを利用します。
- 路線:主要観光スポットや市内をカバー
- 運賃:1回乗車(60分有効)1.80ユーロ、1日乗車券4.50ユーロ(2025年時点)
- 主なチケット購入方法:
- 主要停留所の券売機
- LiA窓口
- LiA公式アプリからSMS利用によりモバイルチケット購入可能
- バリデーション:乗車時に必ず打刻する必要あり
ルーアンの市内交通(駅から旧市街までのアクセスとメトロ&バス)
ルーアンは旧市街に観光スポットが集まっており、基本的には徒歩での観光が中心です。駅から旧市街への移動のみ、メトロやバスなどの市内交通を利用すると便利です。
利用可能な主な交通機関は以下のとおり。Astuceブランドで運行されています。
- ① メトロ(地下鉄/トラム)
- 名称は「メトロ」ですが、多くの区間は地上を走るトラム型電車。
- 市内中心部を通り、駅はプラットフォーム式。
- 改札はないので、車内でチケットをバリデーションする必要あり。
- ② TEORバス&FASTバス
- 頭に「T」「F」と番号がついた連節バス。
- 専用レーンで運行され、中心部を素早く移動できる。
- 停留所はプラットフォーム型で、トラムに似た感覚で利用可能。
- ③普通の路線バス
- 市内をきめ細かく走る路線。TEORやFASTが通らないエリアに行く際に利用。
- チケットの買い方
- メトロ駅、主要停留所、車内、Astuce窓口で購入可能。
- 1回券は1.80ユーロ。メトロ・バス共通で利用可。
移動を快適にするヒント
最後にフランスで移動するときに知っておくと便利な事柄をいくつか。
日曜・祝日のダイヤに注意
日曜日や祝日はバスやTERの運行本数が極端に減ることがあります。事前に時刻表をアプリや公式サイトでチェックし、行き帰りの時間を確保しておくのが安心です。
乗車前にチケットをバリデーション
TERやバスなど、紙チケットの場合は忘れずにホームや乗車口にある機械に差し込んで打刻しましょう。忘れると不正乗車として罰金の対象になることもあります。
アプリ購入の場合は不要ですが、検札時にアプリをすぐ提示できるよう準備しておきましょう。
荷物を少なくすると移動が楽
バスやTERは荷物置き場が限られることも多く、混雑時は不便です。防犯上の問題もあるので、大きなスーツケースは拠点に置いて、小さい荷物で周遊すると快適。
簡単なフランス語表現を覚えておくと安心
バスや駅で「このバスは○○に行きますか?」など簡単な質問ができるとスムーズ。
例えば以下のようなフレーズ。
- 「Est-ce que ce bus va à Honfleur ?」(このバスはオンフルール行きですか?)
- 「Où est l’arrêt de bus pour Rouen ?」(ルーアン行きのバス停はどこですか?)
ちょっとした一言が言えるだけで、道中のストレスがぐっと減ります。
まとめ
パリから近くちょっとした小旅行にぴったりなルーアン・ル・アーヴル・オンフルールの3都市。
公共交通だけでも効率よく周遊することは十分可能で、フランス旅行初心者でもそこまで難しくありません。バスや鉄道といった移動手段をうまく組み合わせれば、車がなくてもノルマンディーの魅力をしっかり満喫できます。
各区間の詳細な時刻表やバスの乗り方など、より詳しい情報は個別記事でも紹介していますので、旅程を組む際にぜひ参考にしてください。
以上です!
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