【絶体絶命】Airbnbで強制キャンセル!記録的熱波のパリで滞在先と荷物を失いかけた話

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ジュネーヴで修士論文をようやく提出し、ひと段落。
就活を兼ねて、少しだけリフレッシュのつもりでフランスへの卒業旅行を計画していました。最初も目的地は、何度も訪れた思い入れのある都市パリ!

修論でも取り上げたこの街を、今度は観光客として「暮らすように巡る」。
楽しくて、ちょっぴりセンチメンタルな旅になるはずでした。

円安で出費は痛いけれど、今を逃したらこんな贅沢な時間の使い方はもうできないかもしれない。そんな気持ちで選んだパリ。自炊して少しでも節約できればバランスもとれるし、きっと新しい楽しみも見つかるはず。

…そんな気分で訪れた、勝手知ったるパリでしたが。

待っていたのは設備トラブルと、攻撃的なホストやテンプレ回答を繰り返すAirbnbとの長い闘いの日々でした。
しかもその途上で、泊まる場所も、荷物も、一瞬で失いかけることになるなんて。

今回の記事では、この前代未聞の実体験をもとに、

  • 今回のAirbnbでのトラブルの経緯とその顛末
  • 実際に効果があった(と思われる)対応方法
  • 実際に戦うと決めたら必要なスキルや心構え

を、包み隠さずシェアします。
これは旅のトラブルを超えた、プラットフォーム時代の消費者リスクに関する実録です。

Airbnbを利用するすべての旅人に捧げます。

筆者はAirbnbを使って10年以上。数々の素敵な体験とともにちょっとしたトラブルも色々と経験してきましたが、今回の事件は群を抜いて大変でした。

目次

事件の経緯

まずは今回の事件の経緯から(ところどころ端折ってはいますが、長いです)。

エアコンとWi-Fiの不備

旅行を開始したのは6月末。

パリでは5年ぶりの高温警報が発令中という状況だったので、「ちょっと高いけど背に腹は代えられない…」と思い、エアコン付きの物件を予約しました。

ちょうど直前に予約していた別の物件がキャンセルされたばかりだったこともあり、Airbnbのクーポンもあって背中を押されたのを覚えています。

ジュネーヴから約8時間、長距離バスに揺られ、深夜にチェックインしたのはパリ南郊外のアパート。築年数は経っていそうだけど、エアコンもWi-Fiもある。レビューもそこそこ。広いキッチンもあり、自炊で節約しつつ就活の準備も進められそう…そう思って選んだ物件でした。

ところが、いざ入ってみると…。

エアコンがつかない。
しかもWi-Fiも繋がらない。

熱帯夜のパリ。長距離移動と蒸し暑さでヘトヘトの状態で、もう限界。
すぐにホストとAirbnbのサポートに連絡しました。

解決しない不備と謎の提案

幸いホストからはすぐに返信がありました。
でも内容は「エアコンのモードを切り替えてみてください」「フィルターを掃除してみてください」といった、教科書通りの返答。

いやいや、モードはもう全部試したし、そもそもこのエアコン、壁に埋め込まれていてフィルターなんて取り出せませんけど?

エアコンの実物を見ていれば出てこないような内容に、やりとりの限界を感じつつも、翌朝また試してほしいとのことで、その夜は終了。

以後、ホストからの返信はぱったり途絶えました。

Airbnbのサポートにも「さすがにこれでは泊まれない」と伝えたところ、返ってきたのはやはりテンプレ的な内容。

「代替の宿泊先をゲスト自身で手配してください。領収書があれば最大100ユーロまでカバーします」

…いや、それは無理でしょ?

まず深夜2時の時点で、パリで、当日予約で、エアコン付きのホテルを100ユーロ以内で確保するなんて不可能。しかもここはパリ郊外。治安もあまりよくないエリアで、大きなスーツケースを持って夜間にうろうろ? 危険すぎるし、移動費用もカバーされないなんて…。

深夜3時、交渉の果てに

結局、Airbnbとのチャットは深夜3時まで続いたものの、具体的な代替案は一切なし。
その夜は泣く泣く、そのままその物件に泊まるしかありませんでした。

「どうせ翌朝には移動するし…」と割り切り、シャワーなども控えたまま、汗だくの状態で横になる。
暑くて眠れない、身動きも取れない、そんな最悪の夜が明けました。

ホテルに避難(その1)

結局あまり眠れず朝になりました。朝になったのでホストに連絡するも返答はありません。
Airbnb側からも代替宿泊先の提案や補償らしき話は全く出てきません。

これはまずい。このままだとこの先もこのサウナ状態の物件に宿泊することになってしまう。

気温は既に35度を超え、テレビでは水浴びをする人が映ったり、日本でも報道されるような厳しい熱波の状況です。

セーヌ川での遊泳が解禁されるレベル。

その後もAirbnb側からの代替物件の提案やらホスト側からの「設備直ったよ」的な連絡を待っていましたが、そのような連絡どころかこちらからのメッセージへの返信も全くありません。いよいよサウナ状態の物件に泊まる可能性が濃厚になってきました。

もう無理。一晩だけでもエアコンのあるホテルに避難しよう。

Airbnbにも再度連絡し、返信期限を設けてメッセージを送信。
その期限までに何の反応もなかったため、自腹でホテルを予約しました。

翌日にはエアコンが直ったり、そうでなくても最悪エアコン付きの代替物件に移れるだろう…なんて甘い考えを抱いていたため、1泊だけの予約。

エアコンとWi-Fiの両方があるホテルは、当日予約だと300ユーロ超えが当たり前。
痛い出費ではあったけど、自分の身を守るための投資。それだけは確かでした。

エアコンとWi-Fiが直った!?(誤報1)

予約から間もなく、Airbnbから「ホストより、エアコンとWi-Fiが復旧したとの連絡がありました」との通知が。
「行き違いになっちゃったな。でも、明日からはまたAirbnb生活に戻れるかな」
そんな淡い期待を抱きながら、ホテル宿泊の準備のため物件へ戻りました。

が…。

戻ってみて、愕然。

エアコンもWi-Fiも、朝と何も変わっていない

サウナのような部屋に長居する必要はない。
必要最低限の荷物だけを取り、私は再びホテルへと引き返しました。

Airbnbを問い詰めるも、まさかのホテル2泊目へ

「ちょっと!Airbnbさん!どうなってるの!?」
怒りを込めて送ったメッセージに対して返ってきたのは、またもや、

「ご不便をおかけして申し訳ありません」

という、心のこもっていないテンプレ回答

結局、エアコンもWi-Fiも復旧していないという危機的状況。
このままでは、熱波のパリで再びサウナ生活…。いや、もう無理です。

仕方なく、前日泊まったホテルに相談してみることに。
ありがたいことに、フロントのお姉さんが愚痴まで聞いてくれた上に、ちょっぴり割引もしてくれて、二泊目も同じ部屋に泊まれることになりました。

エアコンとWi-Fiが直った!?(誤報2)

その日の深夜、再びAirbnbから通知。

「ホストから、エアコンとWi-Fiが復旧したとの連絡がありました」

まさかの「復旧報告」再び。
今度こそ!?と期待しながらも、その日はすでにホテル泊が確定済み。

それと同時にAirbnb側から送られてきた補償案がこちら:

「ホテル泊費用の30%まで補償いたします」

…ちょっと待って。

この熱波の中で、エアコン不調って命に関わるレベルなんですけど?
「30%しか補償しない」って、平時の話でしょ?この状況では話が違うはず。というか最初の時点で代替物件を示してくれていたらこんな出費もなかったわけで。

その旨を冷静に伝えつつ、「明日からはエアコンの効いたAirbnb生活ができるはず…」という淡い期待を胸に、ホテルで就寝しました。

そして再び、物件へ

翌朝。二泊した快適なホテルに別れを告げ、再び問題のAirbnb物件へ。
いよいよこれで生活が再開できる…そんなワクワクした気持ちで、エアコンの操作盤に手を伸ばそうとしましたが…。

エラー。

Wi-Fiの電波も、不安定。

あれ? いや、うん? いやいやいや?

エアコンもWi-Fiも、やっぱり直ってない。

そして始まる思考のループ

なんでぇ…?どうしてぇ…?

ここで、私の中のなけなしの理性が崩れかけました。

希望→期待→裏切り、のループ。

「もしかして、直ったって言っておけば乗り切れると思ってない?」
「あの報告って、確認してないただの言い訳なのでは?」
「ホストとプラットフォーム、どっちも責任取らない構造、まずくない?」

そんな疑念が心の中で渦を巻きはじめました。

(仕方なく)エアビー物件に滞在

とはいえ、幸か不幸か熱波はひとまず去りました

夜も相変わらず暑いけれど、ピーク時に比べれば命に関わるほどではない。
窓を開ければなんとか風は入ってくる(網戸がないので虫がめちゃくちゃ入ってくるけど)

「もうすぐ全額返金&代替物件に移れるだろう」
…そんな淡い期待を胸に、パリでの生活を適度に楽しみつつ、Airbnbとのやりとりを続けることにしました。

相変わらずのテンプレ回答に加え、なぜかAirbnb側から届いたのはこんなメッセージ:

「日本の番号に電話しましたが、連絡がつきませんでした」

…いやいや、今パリって言ってるし、国際電話って結構かかるんだけど?受電しただけでもそこそこの出費になっちゃうんだけど?そもそも、ここまでずっとアプリ上でやりとりしてるし、わざわざ電話する必要ある?

そんな不満も割とはっきりと伝えたものの、相手は要領を得ないテンプレ回答を繰り返すだけ。
気にしても仕方ない。気持ちを切り替えて、引き続きメッセージで粘り強く交渉を続けました。

こちらは「いずれ移動する」という前提があるので、物件では荷物はあまり広げずに最小限で生活。
とはいえ、日中はまだ暑く、どうしても汗だくになってしまいます。衛生状態を保つためにシャワーだけは使うようにしていました。

ここで自主的にチェックアウトしてしまうと、返金交渉で不利になる可能性がある。
それがわかっていたので、Airbnb側から代替物件を提示されるまでは、意地でも居座る方針に切り替えました。

前日にOrangeでプリペイドSIMを購入したおかげで、ようやくネット環境も確保。
そして熱波が落ち着いたこともあり、「まだ耐えられる。今は動くな」という判断を下しました。

こちらからも希望物件を出してみる

その後、Airbnbからようやく次のようなメッセージが。

「もしご希望の物件があれば教えてください。できる限り対応します」

…よし、出してみようじゃないの。エアコンとWi-Fiが使える物件。そして、それをAirbnbの責任で手配してもらおう。

ただし、パリでエアコン付き物件は希少で、当然価格も高め。「それでも出す、どう動くかはそっち次第だ」と腹をくくって提示しました。

ところが…。

Airbnbが返してきたのは、まったく別の物件の提案。

「あなたが選んで」って言ったじゃないの…!
だったら最初から「この価格帯までです」とか条件出してくれたらいいのに!

理由を問い詰めても、明確な説明は一切なし。しまいには「Partial Refund(部分返金)になるかもしれません」とまで言い出す始末。

こっちは条件の合う物件さえあれば、今すぐにでも出ていく準備はあるんです。
それなのに、「出ていかない=返金対象じゃない」と言わんばかりの理屈に唖然。

再度、Airbnbに対して代替物件の早急な手配を強く要求しました。

突然のキャンセル通知!パリで突然宿なしに

そんな交渉を続けていた最中、ホストとのチャットに突然メッセージが飛び込んできました。

「Alternation request accepted」(変更リクエストが承認されました)

…えっ?
続いてAirbnbから届いたメール。

「Your refund has arrived」(返金が到着しました)

えっえっ??
こっちは何も変更していないのに、勝手に「宿泊日程が短縮」され、強制的にキャンセルされた!?

ホストに「これ、どういうこと?」と尋ねても返答はなく、
代わりに届いたのは一言:

「We need you to leave.」(物件から退去してください)

…え?
いや、え???何の連絡もなしに、いきなりキャンセル通知。
しかも、いま私の荷物、全部この物件にあるんですけど?
普通に生活してるんですけど???

ホストからはさらに驚きの連絡。

「20時にドアコードを変更するので、それまでに荷物を取りに来てください」

現在時刻、17時。
あと3時間しかない。

Airbnbからは、確かにFull Refund(全額返金)はされたけれど、それと引き換えに、宿泊場所も荷物へのアクセスも失った。

私は、まさに真夏のパリで、突如として放り出されたのです。

この時の感情は、今思い出しても手が震えるレベル。

「えっ、これ、本当に放り出されるやつ?
「荷物、どうするの?そもそも中に入れるの?」
「勝手に撤去されたらどうしよう?最悪処分されるかもしれない」
色々な考えが頭の中を駆け巡ります。

在フランス日本国大使館に助けを求める

Airbnbにもホストにも話が通じない。もう自分ではどうにもできない。
とりあえず今晩泊まる場所がない。このまま荷物が捨てられちゃったらどうしよう…。

「これ、明らかに邦人の身の安全に危険が迫ってるよね?完全に領事案件なのでは?」

そう思って、日本大使館に連絡を入れることにしました。

落ち着いた筆致で書いてるけど、当時はパニック状態です。

パスポートの紛失や所持金の盗難などの場合でなければ大使館では対応できないんだけど、
という前置きとともに、以下のアドバイスをもらいました。

  • ホストとの信頼関係が破綻している場合、単独で荷物を取りに戻るのは危険。少なくとも当日は避けた方が良い。
  • とりあえず今晩だけでもホテルを早急に確保することを勧める。
  • 法律関係のトラブルについては、フランスで日本語の通じる弁護士のリストを大使館のウェブサイトに掲載しているので、相談してみてはどうか。

直接的な解決にはなりませんでしたが、かなりほっとしました。

スマホのバッテリーが尽きかけていたため、ひとまず電源とWi-Fiが使えるForum des Hallesに移動。充電しつつ、何とかホテルを押さえることができました。

荷物については安全上の懸念からアドバイスのとおり当日の回収を断念。日を改めて交渉することにしました。

こんなことになるなんて想定していなかったため、着替えや歯ブラシなどの衛生用品は手元にありません。
これからどうなるのか…目の前が真っ暗になりました。

貴重な薬剤が荷物の中に

でもそれだけでは終わりませんでした。

取り残された荷物には、尋常性乾癬の症状を抑えるために使う生物学的製剤「トルツ」が入っていたのです。

1本あたりおよそ14万円。冷蔵保存が必要な、高価で繊細な薬。
もし冷蔵庫から出されてしまったら、薬効が失われる可能性があります。

しかもこの薬、フランスで再入手しようとすると大変。
皮膚科の専門医にかかって処方箋をもらう必要があり、予約まで1ヶ月はザラ。

フランスで専門医にかかるハードルの高さ(費用&時間)は既にリヨンで経験していました。

つまり…実質的に、再入手不可能。

これはまずい。すぐにAirbnbとホストに「これは貴重かつ非常に高価な薬剤なので、冷蔵庫から動かさないでほしい」というメッセージを送信しました。

そうすると衝撃の返信が。

Airbnb「ゲストとホストの間で解決してください」
ホスト「そんなこと知らん。次のゲストを入れるので移動させるわ」

終わった。治療スケジュールが頭の中をグルグルします。

「え?この後の注射はどうなるの?」
「日本に戻るまで何日ある?皮膚の状態は?」
「再発したらどうする?次の薬はどこで手に入れる?」

そして最後に、心の底からこう思ったのです。
「…Airbnbって、こんな状況でも助けてくれないんだ」

ホテルに避難(その2)

とりあえず今晩泊まる場所を確保しなければ。
震える手でBooking.comのアプリからホテルを予約しました。

当日予約の枠が少なくなり始めていたので、かなり緊張しました。
これで野宿の心配はなくなった…。

でもまだ頭の中はグルグルします。
荷物のこと、これからの旅程のこと、法的手段のこと…。考えることは山ほどあります。

「え?訴訟?フランスで?弁護士費用、高いよね…?」
「荷物、どうしよう…。シンガポール駐在の思い出の品もあるし、何より薬…。」
「たぶん荷物は移動させられちゃうよね…。ホストに会わないといけなくなるかもしれない。あの攻撃的なホストと?」
「それよりも明日以降の滞在先どうすんの…?」

もうどうしたら良いのか分からない。

まあ、宿泊代も全額返ってきたし、お金ならある!
最悪またホテルでも良い!
とシャンゼリゼ通りのビストロに繰り出し、無理やり気分を整えました…。

Airbnbのクーポンで新しい宿泊先を確保する

とはいえホテルに連泊はちょっと…。
荷物が回収できるのもいつか分からない状況では、いつまで滞在しないといけないのかも見えません。

慰謝料替わりなのか知りませんが、Airbnbからそこそこの金額のクーポンが付与されていました。
そこで当座の拠点として、ひとまずエアコンとWi-Fiがあるリスティングを予約することにしました。

宿泊先はあっさりと決まり、着替えをユニクロで購入。

これでひとまず安心して滞在できる拠点を手に入れました。

決死の荷物回収ミッション

薬剤の件の後も大使館からのアドバイスに従って当日の荷物回収を見合わせる旨をホストにメッセージしましたが、ことごとく攻撃的な返信が返ってきました。全くこちらの事は気にしていない様子です。

そんな中、ホストから回収日を示唆するメッセージが来たので、複数の時間帯を示して応じることにします。Airbnbにも共有しますが、安全上の懸念があるなら当局に相談を、とやはりゲストとホストの間には介入しない姿勢を崩しません。

仕方ないのでホストと交渉して回収日時を決め、それを念のためAirbnbに共有することにしました。

屋外の倉庫に放置された荷物

当日は雨。熱波から打って変わっての冷たい雨です。
締め出された日はまだ暑かったこともあり、手元には薄手のTシャツと短パンしかありません。

既にコードは変更されているので、自力で部屋に入ることはできません。
指定の時間に到着し、建物前で待ちます。寒いけど我慢。

メッセージを送りますが、ホストが出てくる気配はありません。
掃除婦がリネンと思しき袋を建物内から引っ張り出しています。

フランス語で話しかけられたので応じます。どうやら誰かの荷物が屋外の倉庫にあるらしい。
自分はホストと待ち合わせをしているので違う人のものでは?と思いつつ、念のため確認してみます。

屋外の倉庫を開けると、そこには雑然と積まれたスーツケースや鞄。
よく見ると、私の荷物でした。
リビングに広げていた物品はゴミ袋に詰め込まれています。その中には尋常性乾癬の薬剤「トルツ」もありました。

終わった。

心がポッキリと折れ、Uberを使って新しく予約した宿泊先に帰りました。
本来ならその場で荷物が全て揃っているかを確認すべきなのでしょうが、そんな気力はもうありません。

なおこの日結局ホストは姿を見せませんでした。

強制キャンセルは返金のため仕方なく?

その後も、Airbnbからは誠意ある対応は一切見られませんでした。

ホテル代はカバーできない、薬剤の補償もできない…そんな冷たい回答ばかりが続き、
強制キャンセルについても「なぜあのタイミングだったのか」という説明は一切なし

しばらくしてから提示された説明は、驚くべきものでした。

「全額返金の手続きのために、強制キャンセルを行いました」

意味が分かりません。

そもそも問題の発端は、設備不良というホスト側の契約不履行にあります。

しかもこちらは何も操作していないのに、勝手に予約が変更され、宿泊場所を失い、最終的には荷物も追い出される形になった。

それなのに、その対応で生じたホテル代や薬剤損失を自己負担せよというのは、到底納得できるものではありません。

粘り強く交渉した結果、ようやく返金へ

それでも諦めず、事実関係と根拠を明示しながら交渉を続けました。

  • 強制キャンセルによって宿泊先を失ったこと
  • それにより高額なホテル泊を余儀なくされたこと
  • 医薬品の損失が健康被害につながる恐れがあること
  • Airbnbの対応が一貫して不誠実だったこと

こうした点を一つ一つ丁寧に訴え、メール・アプリ・消費者保護機関を含めてあらゆるチャネルを駆使して訴え続けました。

その結果…

  • ホテル2泊分の全額返金
  • 薬剤「トルツ」の費用
  • 皮膚科の初診料
  • 強制キャンセルに伴う追加費用

これらの全てが、最終的に返金されることになりました。
これでひとまず金銭的な損失はカバーされた、ということになります。

これがこの事件の顛末。

「戦えば勝てる」ではなく「放っておけば泣き寝入り」だった

重要なのは、これらの返金が最初からAirbnbの制度として自動的に行われたものではなかったという点です。
こちらが何もしなければ、何の補償も受けられなかった

逆に、行動し、交渉したからこそ得られた結果だったのです。

未解決の課題

こうして一応は幕引きをみた今回の事件ですが、いくつか根本的な問題は未解決のままです。

身体的・精神的苦痛に対する損害賠償

最大の問題は、心身に与えた負担に対する正当な補償がなかったことです。

  • 初日はエアコンのない部屋での宿泊を強いられ、その後も不十分な補償提案と複数回の誤情報に振り回され続けました。
  • ホストとの関係も悪化し、針の筵のような精神状態に。
  • 突然の強制キャンセルで、不安定な立場に置かれました。

とくに、宿泊予約がビザ申請などの根拠資料となる場合、その基盤を失うことにも繋がる重大な問題です。
もし金銭的余裕がなければ、あの夜、本当に路上で過ごすことになっていたかもしれない。そう思うと、今でも背筋が寒くなります。

一時的に「持ち物をほぼ全て失う」恐怖

強制キャンセルにより、筆者の荷物は本人不在のまま、屋外倉庫に移動されました
それに関して事前の同意は一切なく、連絡も後出し

仮にトルツのような薬剤が破棄されていたら?(まあ結果として薬効は失われたも同然ですが)
もしオーダーメイドした着物や買い戻せない大切な品々が紛失していたら?
考えるだけで胸が苦しくなります。

疲れた体を鞭打って問題に対処することになってしまったという事実は、補償対象にはならないのでしょうか?

なぜ補償対象にならなかったのか

薬剤の費用は当初補償対象外とされ、ホテル代もわずか30%の補填提案に留まりました。
その後、長期間にわたる交渉と外部通報の末に全額返金が実現しましたが、そこに至るまでの消耗は極めて大きかった

乾癬治療薬の価値や必要性について尋ねても、Airbnbからの回答はゼロ
筆者にとっては必要不可欠な医薬品だったにもかかわらず、健康被害のリスクが軽視されたことに深い憤りを感じています。

また、Airbnbが連絡してくるのは深夜帯が多く、やりとりは大抵深夜2時3時あたりまで続きました。その結果、何日も寝不足による体調不良に悩まされました。せっかくの旅が、闘争と体調不良で塗りつぶされた事実に対し、何の補償もないというのは、やはり納得できません。

強制キャンセルの裏側は未解明のまま

さらに重大なのが、なぜ、どのような根拠で、あのタイミングで強制キャンセルを実施したのか、Airbnb側がいまだに明確な説明をしていないことです。

Airbnb側からは根拠となるルールとして以下の条項が提示されました。

Airbnb may take actions such as canceling an active reservation, refunding a guest from a host’s payout…
depending on the nature of the violation.

しかしこの「nature of the violation」(違反の性質)についての説明は一切ありません。また「返金のためキャンセルが必要だった」という論理も破綻しています。
返金はシステム上の処理であり、ゲストを追い出す理由にはなりません。

さらに後には、「ゲストが宿泊継続の意思を示さなかった」とも主張されましたが、
荷物を残したままのゲストが宿泊継続の意思を示していないというのは、到底筋が通る説明とは言えません。

結局強制キャンセルの内幕は闇の中です。

一方的なキャンセルの容認という前例を作ったAirbnb

今回の対応は、「Airbnbはゲストの同意なく予約をキャンセル・短縮し、かつホストもゲストの同意なく荷物を動かすことができる」という危険な前例を作ってしまいました。

ホストの違反を理由にしても、なぜゲストに不利益が及ぶ形で強制キャンセルされたのか、その点が全く正当化されていません。

このような事態がまかり通るなら、ゲストは何の保証もない「利用者」として、いつでもプラットフォームに切り捨てられる可能性がある…。そうした不安が残ったままです。

こちら側の交渉カード

ここまで見てきたように未解決の課題は残るものの、最初の提案内容と比べるとかなり譲歩を引き出すことができたのも事実です。このパートでは、こちらが交渉に使った手段をご紹介します。

ケースによって戦略は変わるので、この方法が常に有効とは限りません。参考程度に留めてください。

まずは粘り強く交渉

まずは、テンプレ対応でも根気よくやりとりを続けることから始めました。

Airbnbは多国籍企業なのでクレームへの対応方法を心得ており、個々のシチュエーションに対してある程度返答や対応内容が決まっています。問題なのは、多少状況が異なっていても無理やりテンプレを適用しようとしてくること。今回はそれを突き崩すのに細かい説明や証拠の提示を繰り返すこととなり、かなり精神力を使いました。

具体的には「その情報のソースは何か」「説明が不足している」「補償額が実情に合っていない」といった点を、事実とともに具体的に指摘しながら、一つずつ確認を求めていきました。

ポイントは、論点を整理しつつこちらの要求を冷静に繰り返すこと。
内心はらわた煮えくりかえっていましたが、感情的になったり脅迫になったりしないようトーンを保つことを意識しました。

AIのように「ぶれずにこちらの主張を繰り返す」のは、意外と効きます(時間はかかりますが…)。

公益通報

あまりにも誠意の欠けた対応が続いたため、やむを得ず外部機関への通報も実施しました。
効果は機関の性質によって異なりますが、企業に直接是正勧告を行ったり介入してもらえる可能性もあり、企業にとっては無視できない圧力になります。

いきなり通報するのではなく、期限を切って通報を予告し、それまでに対応がなされなければ実際に通報するというステップを踏んでいました。

今回はアメリカ(Airbnb本社所在地)、フランス(事件が起きた場所)、日本(筆者の国籍国)を中心に通報を行いました。

具体的に通報した機関はこちら。

機関名説明
Better Business Bureau (BBB)アメリカAirbnb本社が所在するアメリカにおける消費者苦情受付機関。
通報内容はAirbnbの対外的評価にも反映される可能性がある。
Federal Trade Commission (FTC)アメリカ国際的な消費者トラブルに対応。各国の当局に情報共有される。
DGCCRFフランスフランス経済省傘下の全国規模の消費者保護機関。
オンラインでの通報が可能で、全国的な是正や監視措置が期待できます。SignalConso(全国通報プラットフォーム)を通じて通報する形式。
DDPP Parisフランスパリ市内の消費者保護行政を担当する機関。
Airbnbフランス本社の所在地がパリにあるため、こちらにも通報を行いました。他にも県ごとに設けられています。
越境消費者センター(CCJ)日本日本の消費者庁が運営する海外トラブル相談窓口で、他国の当局と連携して対応。

今回どの程度効果があったかは分かりませんが、最終的に大幅な譲歩を引き出したことから、「外部にも伝えている」ことを明示したことでプラットフォーム側の動きが変わったといえるかもしれません。

日本法人に直メール

チャットやアプリ上でのやりとりでは埒が明かないと判断し、Airbnbの日本法人にも直接メールを送りました。

ただし問い合わせチャネルはサポートチャットに統一しておりメールによる問い合わせは受け付けていないため、今回は唯一公開されている報道関係者向けのメールアドレス宛にメールの送信を行うかたちになりました。

内容としては、やりとりの履歴、経緯、補償を求める理由を端的にまとめ、企業としての責任を問う形で伝えました

テンプレ回答ではありましたが、返信自体は比較的早かったです。

ただし強制キャンセル後に送ったメールに対しては、本記事執筆時点まで返信はありません。
それだけ事態を重く受け止めたということなのか、はたまた別の理由があるのか。こちらからは知る由もありません。

徹底した証拠保全

スクリーンショット、チャット履歴、領収書、交通費、薬剤の写真、荷物の保管状態…とにかくあらゆる記録を時系列で残しました。

薬剤の処方や購入記録については、日本にいる両親に頼んでLINEで写真を送ってもらいました。便利な世の中です。

特に有効だったのは以下の資料でしょうか。

  • Airbnbやホストとのメッセージの全文保存(スクショ+テキスト)
  • 宿泊費や購入品のレシートと購入物の写真
  • 薬剤の価格証明や保存条件の公式資料

「何が・いつ・どのように起きたか」が一目で分かる状態にしておくと相手の言い逃れを防ぐことができますし、前述の公益通報にも使えます。

ChatGPTの活用

そして最後に、冷静さを保つための裏方として、大いに活躍してくれたのがChatGPTです。

  • 主張の整理
  • 表現のチェック
  • メール文の構成確認
  • 「この主張は筋が通っているか?」という相談

など、人間に頼みにくいことも素直に投げられる場として本当に助かりました。

相手からの返答にかなり高い精度の回答文(英語)を瞬時に作ってくれるので非常に助かりましたが、嘘が混じったり因果関係に齟齬があったりするので、人間の目でチェックはどうしても必要です。

今回行わなかった対応

今回実施しなかったものの準備をしていた対応としては、経営幹部へのエスカレーション(executive escalation)調停(mediation)があります。

経営幹部へのエスカレーションは、カスタマーサポートでの対応に納得できない場合に、Airbnbの経営陣やシニアマネジメント層宛に直接苦情を送る方法です。

「エスカレーション」は端的に言うと「上司を出せ!」みたいな感じ。

一方、調停(mediation)は、Airbnbの社内制度として明示されているものではありませんが、外部の消費者保護機関を通じて第三者の関与のもと解決を図る手段として準備を進めていました。

今回の教訓

今回の出来事を経て次のような教訓を得ました。すべての旅行者に当てはまるとは限りませんが、少なくとも筆者自身は「次回からはこうする」と心に誓ったポイントです。

絶対に妥協できない設備がある場合は、おとなしくホテルに

「エアコン必須」「Wi-Fiがないと仕事にならない」など、どうしても譲れない条件がある場合は、Airbnbのような個人間プラットフォームではなく、設備とサービスの水準が比較的一定なホテルを選ぶのが無難です。

設備の不備は数日で解決されることもありますが、ずっと直らないこともあります。ホストの姿勢や現地の状況にかなり依存します。

今回は「エアコンあり」と記載された物件でも実際には故障しており、結局最後まで復旧しなかったばかりか、復旧したという誤報に振り回されて時間や労力を浪費することになりました。

熱波下のエアコンのように設備の信頼性が命に関わるような状況では、やはりホテルのほうが安心です。

宿泊先探しは計画的に

今回は修論や就活を理由に直前まで旅程が決まらなかったのですが、宿泊先を直前に取るという行為は海外では非常にリスクが高いと改めて感じました。

ハイシーズンやイベント時期は直前予約の選択肢が限られ想定外の出費につながりますし、Airbnbでは特にその傾向が顕著です。直前になると非常に高額な物件や評価が低い物件しか残っていない、という状況になりがち。

時間があるうちに、レビューや設備、立地、緊急時の対応方針などを比較しながら、余裕を持って探すのが吉です。

Airbnbを利用するならスーパーホスト一択

今回の物件はスーパーホストではありませんでした。レビューも悪くなかったので軽く考えてしまいましたが、やはり運用実績と対応力のあるホストを選ぶべきでした。

スーパーホストであれば100%安全というわけではありませんが、少なくともトラブル時の対応がスムーズである可能性が高いです。

実は次にAirbnbで予約した宿泊先でもエアコンの不備に遭遇したのですが、そちらは数日後にメンテナンスが入りちゃんと復旧しました。さすがスーパーホスト。

スーパーホストでない場合はレビューを全て確認する

スーパーホストでない物件を選ぶ場合は、必ず過去のレビューをひとつずつ確認しましょう。特に「清潔さ」「設備の不具合」「ホストの対応」に関する記述は要チェックです。

評価が高くても「対応に不満」「騒音がひどい」などの記述が散見されるようなら、他の物件を検討した方がよいかもしれません。また、レビュー件数が極端に少ない物件も避けた方が無難です。

今回は直前の予約だったのでマイナスの評価理由をちゃんと読み込まずに予約をしてしまったことにも問題がありました。

よく読むと「エアコンが故障していた」というレビューが見つかったはずですが、今思うと「こんなレビューがあるんだからもう直ってるでしょ!」というバイアスも働いていました。時間的な余裕があればホストに事前問い合わせができたことを考えると、やっぱり直前予約は避けるべきです。

予備費を設定しておく

今回はたまたま経済的に余裕があったため、一時的にホテルに避難したり衣類を買い直したりすることができましたが、そうでなければ非常に困難な状況に陥っていたと思います。

返金があったとしても、その口座やカードが使える状況になかったら詰んでしまいますし…。

予期せぬ出費に備えて、最低でも数日分のホテル代+移動費を確保しておくことを強くおすすめします。

もし戦うと決めたなら

Airbnbのようなグローバルプラットフォームとトラブルになったとき、戦うという選択肢を取るかどうかは人それぞれ。労力・時間・メンタルのコストは相当なものなので、戦わないことも十分選択肢に入ります。

それでも、もし「ここで引き下がりたくない」と感じたときは、次のポイントを意識することが重要です。

まずはとにかく冷静に勝機を伺う

トラブルに見舞われているときは難しいですが、とにかく落ち着いて!

怒りや焦りに任せて行動してしまうと、相手に「ヒステリックなクレーマー」と見なされ、対応が後回しになったり、正当な要求であっても通りにくくなってしまいます。

まずは事実関係を整理し、自分が置かれている状況、相手の対応内容、自分に残された選択肢を冷静に把握すること。特に時差のあるサポート体制では、すぐに返事が来るとは限りません。長期戦を覚悟して、感情ではなく戦略で動く準備をしましょう。

もし勝機がなさそうだったり、時間やリソースが不足していると感じたなら、無駄にエネルギーや時間を浪費する前に引くのも選択肢です。

何といっても貴重な旅の時間が優先です。後から振り返って「なんか戦いしか記憶に残ってない…。」なんて寂しすぎますからね。

要求に明確な優先順位と撤退ラインを設ける

「全部返金してほしい」「謝罪してほしい」「代替宿泊費も払ってほしい」など、こちらの要求はいくつかあるかもしれません。その中で、何が最優先なのか、どこまで譲れるのかをあらかじめ自分の中で明確にしておくと、交渉がぶれません。

最初に全てを要求するのではなく、段階的に交渉を進めることで、より多くの成果を引き出せることもあります。

英語力と現地語力が不足しているなら無理はしない

交渉の多くは英語(Airbnb)または現地語(特にホストや現地機関)で行われるため、言語の壁は大きな障害になります。Airbnbの場合、そこまで複雑な状況でなければ日本語でサポートが受けられるかもしれませんが、時間や状況によっては否応なしに英語での対応が求められるケースも多いです。

特に日本法人の及ばない本国の社員とやり合うには一定レベル以上の英語力が必須

語学力の不足は機械翻訳やAIツールの助けを借りればある程度は補うことはできるものの、特に交渉の場合は細かいニュアンスの誤解や不用意な発言が取り返しのつかない結果につながる場合もあることを認識しておくべき。もし機械翻訳やAIに頼った結果読み間違いや誤解が発生してしまっても、その責任を負うのは発信者である人間です。

言語的に不安がある場合は、専門家に相談する・日本語対応可能な機関に仲介してもらう・信頼できる第三者に助けを求める、といった手段も視野に入れてください。

徹底的に証拠保全

メールやチャット、領収書、通話記録、写真、時刻の分かるスクリーンショットなど、「何がいつ起こったのか」を客観的に示せる証拠は、交渉において最強の武器になります。

「相手がこう言った」「この時点ではこうだった」という主張を裏付けるために、日々のやり取りを地道に残すことが重要です。

特にAirbnbなどのチャット履歴は、あとから編集されたり削除される可能性もあるため、リアルタイムでの保存を心がけましょう。

「やりとりを消したこと」自体を非難することもできますが、ややこしくなるのでやはり証拠を保全しておくのが重要です。

あくまで理屈と戦略で立ち回る(語気に注意)

不条理な対応に怒りがこみ上げてくるのは当然ですが、あくまで交渉は「冷静な言葉の応酬」です。強い語気や感情的な表現は、交渉相手の防御反応を招き、前進を妨げてしまう可能性があります。

こちらの正当性があるからこそ、理屈で圧倒する姿勢を貫くことが重要です。

できれば送信前に一呼吸おいて文章を確認し、過激な言い回しがないかをチェックする習慣をつけると安心です。

使えるチャネルは全て使う

一つの窓口で解決しなければ、他のルートを使うことも検討しましょう。

Airbnbのカスタマーサポート、日本法人、外部の消費者保護機関、そしてSNSやメディアなど、それぞれのチャネルに異なる影響力があります。複数のチャネルを組み合わせることで、相手に「無視できない」と思わせることができます。

ただし、どのチャネルに何を伝えるかは慎重に検討し、無駄打ちにならないよう準備してから動きましょう。

併せて注意したいのが、チャネルによっては影響が非常に大きく、一度拡散してしまうと撤回や火消しが事実上不可能になること。名誉棄損や営業妨害で訴えられたりしないためにも、チャネル選びは慎重に。

以下はチャネルの例と、筆者の考える影響度&注意点です。

チャネルの例影響度注意点
本社カスタマーサポート小~中一番手軽だが、あくまで内部なので影響は限定的。
日本語が使えることもある。
現地法人や日本法人小~中あくまで内部なので、影響は限定的。
相談窓口を一本化するため連絡手段が用意されていないことが多い。
外部消費者保護機関中~大機関によっては具体的な是正勧告や調停が期待できる。
証拠の提示が必要だったりこちらの負担も大きい。
基本的に現地語の知識が必要。
大使館・領事館・政治家など中~大影響力が発信者の属性に左右される。
事案の性質によっては取り扱ってもらえないこともある。
SNSやマスコミ・メディア中~大影響力が発信者の属性に左右される。
一度広がってしまうと取り返しがつかない結果を招くことも。

撤退は負けじゃない

繰り返しになってしまいますが、ここで一番伝えたいのは「引くこと=負け」ではないということです。

交渉の過程で「もう無理だ」「これ以上の消耗は避けたい」と感じたなら、途中でやめる選択肢も尊重されるべきです。これはあくまで「自分の生活と心身を守るための戦い」であり、勝ち負けの問題ではありません。

冒頭にも述べましたが、何よりも貴重なのは自分の時間や労力です。勝っても何も残らないような戦いに身を投じるよりも、多少の損を受け入れてでも楽しい時間を選ぶべきシチュエーションはあるはずです。

まとめ

逆パリ症候群?

ここまで読んでくださった方の中には、もしかしたら「パリ、怖すぎる…」と思う方もいるかもしれません。

でも、実は今回の体験は総じてそれとは真逆で。むしろ同情してくれたり、それとは関係なく優しくしてくれた人もたくさんいました。もう「逆パリ症候群」と言っても良いくらい。

例えば、当日予約で飛び込んだホテルのフロントのお姉さんは「大変だったね」と声をかけてくれて。関係があるのかどうかは分かりませんが、翌日の宿泊をほんの少しだけ安くしてくれました。

あるパン屋さんでは、にこやかな接客に癒やされましたし、荷物回収の途中で立ち寄ったマックでは、マダムがサンデーをプレゼントしてくれました。また、あるカフェではフランス語の発音練習にちょっとだけ付き合ってくれたり。別のレストランでは、隣の席の人から「ボナペティー!」と笑顔で声をかけられたことも。

さらに、Wi-Fiと安心できる作業場所を失ったため半ば通い詰めていたルーヴル美術館内のスタバでは、店員さんが顔を覚えていてくれて、静かに迎えてくれました。

人に冷たいと思われがちなパリ。
でも、私の記憶に残っているのはこんな小さな優しさです。

Airbnbとホストへの対応中は非常にピリピリして心が消耗していましたが、パリでの色々なやりとりがあったことで心が和らぎました。こんな人間臭さもパリの一面ですね。

旅のトラブルで消耗しないために

旅先でのトラブルは、突然に、そして容赦なく訪れます。

今回の件は、たまたまAirbnbでの滞在中に起きた出来事でしたが、それだけではありません。災害級の熱波、機能しない設備、補償の不在、不誠実な対応、強制キャンセル…次々と降りかかる問題に、旅行者として、そして一人の生活者として、真正面から向き合わざるを得ませんでした。

ただ一方で、声を上げてみたことで、状況が少しずつ動いたのも事実です。
妥協せずに向き合い、粘り強く主張し、制度や仕組みを使って交渉すれば、「どうにもならない」と思っていたことでも少しは変えられるかもしれない。そんな実感を得た日々でもありました。

久々に仕事でやっていたようなやりとりをして脳が活性化しました。笑

けれど、それでも思います。やっぱり旅は、こうした闘争の記憶ではなく、美しい風景や美味しいごはん、偶然の出会い、そんな日々で彩られてほしい。本来、そうあるべきです。

トラブルに備えることと、旅を楽しむこと。
このバランスはとても難しいけれど、備えをしておくことで、「旅を守る」ことはできるのだと、今回あらためて感じました。

この体験が、いつかどこかで誰かの「旅の防波堤」になりますように。
そして、同じような思いをする人が、少しでも減りますように。

以上です。

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