スイスに90日を超えて滞在する留学生にとって、最初に直面するのが滞在許可(B permit)の手続きです。
これは単なる入国後の事務作業ではなく、スイスで学生生活を送るうえで必ず越えなければならない関門であり、銀行口座の開設や保険加入など、その後の生活全般にも関わってきます。
また、滞在は一度許可を得れば終わりではありません。学業を続けるためには毎年の更新が必要(期限が1年間の場合)となり、留学を終えてスイスを離れる際にはさらに退去の手続きも必要です。
この記事では、実際に筆者がジュネーヴで留学生活を送りながら経験した滞在許可の申請・取得・更新・退去の一連の流れを、体験談を交えて詳しくご紹介します。
これからスイスに留学する方、現在滞在許可を取得・更新中の方、そして留学を終えて退去を控えている方にも役立つ情報をまとめました。
滞在許可の概要と申請に必要な書類

日本国籍保有者は学生ビザが不要
長期留学に行く場合は通常大使館で学生ビザを申請しますが、日本・スイス間の二カ国協定により、日本国籍保有者は学生ビザの取得が免除になります。
そのため、学生ビザ申請のステップを通り越して滞在許可証の申請に移れます。
滞在許可の種類
滞在許可の申請はスイス入国前に居住予定の州(カントン)に対し申請書類を提出することで行います。
スイスの滞在許可の種類はEU(ヨーロッパ連合)およびEFTA(欧州自由貿易連合)加盟国出身者とそれ以外で異なり、日本国籍の場合は「それ以外」のカテゴリーに入るので、以下の種類が該当します。
| 滞在許可の種別 | 滞在目的 | 説明 |
|---|---|---|
| B許可 | 滞在許可 | 一時滞在用(雇用契約の有無に関わらず、特定の目的でスイスに長期滞在する外国人用)。 |
| C許可 | 永住許可 | 永住者用(5年または10年間スイスに居住した後で永住許可を得た外国人。 滞在権に制限はありません)。 |
| Ci許可 | 就労許可付帯滞在許 | 在外公館または政府間組織の職員の就労している配偶者および子どもに対し、州当局から発行される。 |
| G許可 | 越境通勤者許可 | 越境通勤者用(スイスと隣国の国境周辺に居住し、隣接したスイス国内で就労する外国人用)。 |
| L許可 | 短期滞在許可 | 短期間の就労目的、およびその他の一時的滞在。 |
| F許可 | 暫定受入外国人 | 暫定受入外国人用。 連邦移民局の指示に基づき州当局から発行される。 |
| N許可 | 庇護申請者 | 庇護申請者用。 連邦移民局の決定に基づき州当局から発行される。 |
| S許可 | 保護を要する人 | 保護の必要な人用。 連邦移民局の決定に基づき州当局から発行される。 |
申請条件を満たしていれば、1年間以内の滞在の場合はL許可(短期滞在許可)、1年間を超える場合はB許可(1年間有効)が発行されます。
学生用滞在許可証の申請書類リスト
前述のとおり、滞在許可の申請はスイス入国前に各カントン(州)の移民局に対して行います。ジュネーブの場合は、OCPM(Office cantonal de la population et des migrations)に必要書類を郵送するかオンラインで手続きが可能です。
筆者が準備をしていた頃はまだオンライン手続きの情報が十分に無かったのと、紙でしか用意できない提出書類(犯罪経歴証明書)があったため、郵送を選びました。
また筆者の場合は大学からビザ申請用の必要書類と合わせて案内があり、そちらとOCPMのサイトを適宜見比べながら申請書類を準備しました。
大学院からの説明によると、OCPMからの回答は通常、先方が書類を受領してから2~3ヵ月かかるそうです。9月開始のプログラムの場合、5月上旬までに申請手続に入ることが推奨されています。
こちらがOCPMウェブサイトの学生用滞在許可証に関するページです。

そして私が実際に郵送した書類がこちら。
| 必要書類 | 説明 | 入手方法・備考 |
|---|---|---|
| フォームE | 学生用滞在許可の申請書類。 | OCPMのウェブサイトからダウンロード フランス語版と英語版がありますが、筆者は英語版を提出しました。 |
| 身分証明書のカラーコピー | パスポート番号や氏名の書かれたページのカラーコピー。 | |
| パスポートサイズの写真 | パスポートサイズ(3.5cm×4.5cm)の写真。 | 裏に氏名を書く |
| 入学許可証 | 合格通知(Offer letter)と入学許可証(Admission Attestation)の両方を提出。 | 合格発表後に大学の出願者用サイトから入手 |
| CV及び志望理由書 | 英文履歴書とスイスで学ぶことを希望する理由書。 | 出願時に使用したCVと志望理由書をちょっと書き直せばOK |
| 学習計画書 | プログラムの詳細を記載した書類。様式自由。 | 該当プログラムのカタログでOK |
| 卒業後にスイスを去ることの誓約書 | 卒業後はスイスに留まらない旨を書いた誓約書。様式自由。 | 志望理由書にその旨を含めるのが一番簡単。 もちろん別個に作成してもOK |
| 残高証明 | 英文残高証明。 | 取引のある銀行から入手 1年目に必要な資金を証明できればOK(2年コースでも同じ) |
| 賃貸借契約書の写し | ジュネーブの住居が確保できていることを示す書類。 | 学生寮の賃貸借契約書のコピー |
| 犯罪経歴証明書 | 犯罪経歴証明書。 | 都道府県警察から入手 |
次の項目では、フォームEのダウンロード方法と書き方をご紹介します。
フォームEのダウンロード方法&書き方
フォームEのダウンロード方法
まずはOCPMのウェブサイトにアクセスします。学生用滞在許可の申請はこちらのページ。
Je suis ressortissant d’un Etat hors UE-AELE | ge.ch

Déposer une demande de permis pour étudient(学生用滞在許可申請を提出する)の項目の直下に左右2つ並んでいる青ブロックのうち、右にあるTéléchanger le formulaire à retourner par courrier(郵送用フォーマットをダウンロードする)を選択すると、フォームEがダウンロードできるページに飛びます。

フランス語版(Formulaire E Demende de séjour pour étude)と英語版(E Form – english version)があるので、お好みの方を選択してダウンロードします。
フォームEの書き方
筆者は英語版を使用したので、英語版をモデルにご説明します。
まずフォームEの各項目に記入する内容は以下のとおり。
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 1. Type of request (tick as applicable) | 留学なのでStudentの欄にチェック。 |
| 2. Beneficiary | 申請者本人に関する情報を記入。 |
| 3. Spouse/partner: Arriving also in Geneva? | 配偶者を帯同する場合は記入。 |
| 4. Children | 子供を帯同する場合は記入。 |
| 5. Address abroad | 申請時のスイス国外住所を記入。 ※5.5 Embassy/consulate, responsible for your place of residenceは、日本国籍保有者の場合在ジュネーブ領事事務所が該当するので、Consulat du Japon à Genèveと記入 |
| 6. Address in Geneva (if already known) | ジュネーブの居住地に関する情報を記入(不明の場合は空欄でも可)。 筆者は学生寮の住所を書きました。 |
| 7. Study Program | 大学院に関する情報を記入。 ※7.11 Reasons why you chose Genevaと7.12 Indicate your specific intentions upon studies completionは、筆者は大学院の志望理由書の内容から抜き出した内容を記入しました。 |
| 8. Information on your Criminal Record | 日本国籍保有者は対象外なのでスキップ。 |
| 9. Financial guarantees | 学費・生活費の支払いに関する情報を記入。 近親者から支援を受ける場合や奨学金を受給する場合はフォームOの添付が必要です。 |
| 10. Employer | 営利事業等に従事する場合、雇用主に関する情報を記入。 |
| 11. Information on Profitable Activity | 雇用されていない場合はIndipendentにチェック。被雇用者の場合はEmployedにチェックし、労働条件に関する情報を記入。 |
| 末尾の署名欄 | Place/Dateは本書類を作成した都市名と記入日を、Signatureは申請者の署名を記入。 |
必要な書類が揃ったら、OCPMに郵送しましょう。日本からだと約1週間で届きます。
オンライン手続きも選べます
Déposer une demande de permis pour étudient(学生用滞在許可申請を提出する)の項目の直下に左右2つ並んでいる青ブロックのうち、左のAccéder au formulaire de demande en ligne(オンライン申請フォームにアクセスする)を選択するとオンライン申請が可能です。
申請にはアカウント登録が必要です。
こちらのシステムは筆者が触ったことが無いので、今回は説明を省きます。
いずれ機会があれば記事にしたいと思います。
必要書類の郵送~居住許可保証の受領
書類を郵送する
筆者は最寄りの郵便局からEMS(国際スピード郵便)でOCPMに郵送しました。4月18日に郵送手続を行い、4月26日にOCPMに到着しました。その間約一週間。
OCPMからメールが届く
5月11日にOCPMからメールにて居住許可保証書(ASSURANCE D’AUTORISATION DE SÉJOUR)が届きました。つまり到着後約2週間で処理が行われたことになります。
通常ここまでは2~3ヵ月はかかるらしいので驚異的なスピードです。
この文書中でスイス到着後に送付が求められている書類は以下のとおり。
- Copie du passeport(パスポートのコピー)
- Copie du tampon d’entrée figurant dans le passeport(パスポートのスタンプのコピー)
- Attestation d’immatriculation au semestre(セメスターの学費支払証明書)
学生用滞在許可に関して日本で行うべきことはこれでひと段落です。
ジュネーブ到着後

さて、ジュネーブ到着後にすべき滞在許可関連の作業は以下のとおり。
- ジュネーブ到着後14日以内に必要書類をOCPMに郵送する。
- 生体認証登録に関する書類を郵送で受領後、センターに出向いて登録手続を行う。
必要書類の郵送(到着後14日以内)
到着してすぐに動く必要があるのは、タイムリミットが短めな書類の郵送手続。筆者は到着してから2日目(9月頭)に書類を近くの郵便局からOCPMに郵送しました(普通郵便)。
受領したかどうかの確認は先方からは来ません。今思えば多少追加料金を払ってでも追跡可能な種別で送ればよかったかも。
その後しばらくOCPMから応答がなかったので、「もしかして届いていないのでは?」「書類に不備があったのでは?」とドキドキしました。
生体認証(Biometrics)登録の予約
書類を郵送してから約1ヵ月。OCPMからは何の音沙汰もありません。
保険のこともある(到着してから3ヵ月以内に医療保険関係の手続きを行う必要がある)ので、OCPMから居住許可保証書を受領した際のメールアドレスに返信するかたちで処理状況を聞いてみました。
先方からはすぐに「滞在許可証の申請が集中しており、処理に時間がかかっている。あなたの申請は昨日処理が完了したので、近日中に生体認証登録関連の書類が届く」という旨の返信(フランス語)があり、それから数日後に実際にOCPMから生体認証登録に関する書類と手数料に関する書類がそれぞれ届きました(それぞれ1通で計2通)。
生体認証登録に関する書類には予約システムにアクセスするためのQRコードと個別に割り当てられるパスコードが記載されており、これらを利用して空いている時間枠で予約手続きを行いました。
筆者が手続きを行った際は予約可能な枠が直近で数週間先からとなっており、結局10月下旬の枠を取ることになりました。(タイミングによっては早い枠が取れることもあるようです。筆者よりも遅く書類を受け取ったのにかなり早い時期に生体認証登録の予約が取れた留学生もいました。)
手数料の支払い
筆者の場合は合計で232CHFを支払う必要がありました(手続きの方法(オンラインなど)や国籍によって異なるらしい)。銀行送金か郵便局等の窓口で支払うことができます。
支払いは生体認証登録後でも良いという情報もありましたが、筆者は生体認証登録直前にセンター近くの郵便局で支払いました。
郵便局は基本的に現地語のやりとりになるため現地語が話せない場合は若干の不安が残りますが、もし英語が通じない場合でも書類を見せれば意図を汲み取ってもらえると思います。
いよいよ登録センターへ
生体認証の登録手続きは、中心部からやや離れた場所にあるジュネーブ州生体認証登録センター(Centre cantonal de Biométrie)で行います。
当日はパスポートが必要になるので、忘れずに持参しましょう!
センターはショッピングモールに入っています。モールの外観はこんな感じ。

またセンターにアクセスするためのエレベーターにも表示があります。迷う心配はありません。

3階に到着したら、すぐ目の前がセンターです。
生体認証登録当日の流れ
生体認証登録の流れは以下のとおりです。
- まず入口で係員にパスポートを見せる。番号札を受け取り、自分の番号と受付カウンターが画面に表示されるまで待つ。
- 自分の番号が画面に表示されたら、指定された受付カウンターへ。パスポートを渡し住所を伝える。
- パスポートを返してもらったら、生体認証登録のコーナーへ。新しい番号札を受け取る。
- 自分の番号と生体認証登録を行うブースの番号が画面に表示されるので、指定されたブースへ。
- ブースでパスポートを渡し、生体認証登録(パスポートと同じサイン、眼鏡なし顔写真、指紋)。
- パスポートを受け取って完了。
非常にシステマティックで、全体で20分もかかりませんでした。
滞在許可証を受け取る
滞在許可証は本人確認が必要な郵便で届きます。もし郵便局の不在票が入っていたら、再配達を依頼するか郵便局に出向いて受け取ります。
筆者の場合は生体認証登録から1週間程度で滞在許可証を受領しました。
滞在許可(学生用)の更新
学生用の滞在許可の期間は、EU圏外から来る学生の場合1年間になることがほとんど。つまり、2年間以上滞在する場合は滞在許可を更新する必要があります。
滞在許可更新の必要書類
滞在許可を更新するために必要な書類は以下のとおりです。
- フォームE(初回申請時に利用したものと同じフォームを使用します)
- 教育機関への登録が証明できる書類(筆者はCERTIFICATE OF REGISTRATION FOR THE SEMESTERを送付しました)
- 留学に必要な資金を有していることが証明できる書類(銀行の残高証明)か資金提供者が分かる書類(フォームO)
- パスポートのコピー(カラー)
これらをOCPMに郵送しました。

今確認したらパスポートサイズの写真も必要だったみたいですね。特段何も指摘されず滞在許可は更新されましたが…
公式ウェブサイトに詳細な記載があります。
滞在許可証を受け取るまでにかかる期間をOCPMに尋ねてみた
更新申請前に更新された滞在許可証を受け取るまでの期間についてOCPMで問い合わせました。
その回答によると、更新された滞在許可証を受け取るまでには更新申請後3ヵ月~4ヵ月はかかるようです。6月末に申請すると受け取れるのは早くても10月、もしかしたら12月になるになるかも、とのこと。
その間はジュネーブ州の電子申請ウェブサイトで「滞在許可申請中であることを示す書類」がダウンロードできるので、何かあった場合はその書類を見せれば不法滞在にはならないとのことでした。
滞在許可の更新にかかる費用
滞在許可の更新には費用がかかります。
金額は郵送で知らされますが、たしか95フランくらい支払った気がします(確認して間違っていたら修正します)。
3週間くらいで更新された滞在許可証を受け取れた
さて筆者が実際に更新された滞在許可証を受け取るまでにかかった期間ですが、何と約3週間でした(6月末申請→7月中旬受領)。かなりのスピードで発行されたということになります。
なお更新された滞在許可証は普通に郵便受けに入れられていました。
ただこれはもしからしたら例外的な対応なのかも?と感じています。理由として考えられるのは一つ。
申請前にOCPMに出向いて窓口で標準処理期間について問い合わせを行っていたこと(その際に早急に更新された滞在許可証が必要である旨の説明を行っていた)
このときは「スイスの滞在許可が有効であれば交換留学先のフランスの学生ビザは不要」の旨の案内を駐日フランス大使館からされており、かつフランス学生ビザ取得に必要な領事館訪問の枠が全く予約できない(予約可能な時間帯がない)状況だったため、

フランス学生ビザが申請できない状況なので、もしジュネーブの滞在許可でフランスに滞在できるならそうしたい!ただこのままだとフランス滞在中にジュネーブの滞在許可が失効してしまうので、早急に更新する必要がある!
とかなり焦っていたため、食い気味にOCPMの窓口で相談をしていました。
その後無事にフランス領事館の予約が取れ、そこで6ヵ月以上フランスに滞在する場合は有効なジュネーブの滞在許可を有している場合でもフランスの学生ビザが必要ということを知りました。

ビザ関係の領事館訪問の枠が全くなかったのは、スイス人がフランスのビザを必要としないのが理由でした。なるほどー
そのため結論から言うとジュネーブの滞在許可更新を焦って行う必要はなかったのですが、OCPMで事情を汲んでもらえたのかもしれません。
退去手続(退去届の提出)

ジュネーヴから退去するときにはOCPMに届け出る必要があります。これは単なる形式ではなく、今後の税務や保険などの解約手続きを進めるための重要なステップです。
この項目では、留学生(滞在許可B permit保有者)がジュネーヴを退去する際の手続きを解説します。
OCPMの公式ウェブサイトの説明はこちら。
なぜ退去を届け出る必要があるの?目的と法的意義
スイスでは、住民登録と同様に「退去」も公式に届け出る義務があります。
滞在許可失効=自動的に登録抹消して終わり、にはなりません。
退去の届出は住民登録や税務上の理由もありますが、スイス滞在中に利用する各種サービスの解約にもこの手続き(と退去の証明)が必要になる点も非常に重要です。
特に継続的なサービスに関しては、確実に解約しないとスイス退去後も請求が継続する(=料金が発生し続ける)ことになるので要注意!
退去の届出の証明がないと解約できないサービスとしては、以下のものが挙げられます。
- 留学生用医療保険の解約
- 通信会社の解約
見て分かるとおり、他の国では必ずしも解約手続きと退去手続がセットになっていないものも含まれます。
過去に別の国に留学したり駐在したりした経験がある方にとっては落とし穴になりうるので、油断せずに確実に手続きを済ませましょう!
届出のタイミング
退去の届出は出国の1か月前から可能です。
ただし、遅くとも出国の2週間前までに提出することが求められています。
出国直前は他の手続き(住居解約・荷物整理・税務など)が重なるうえ、前述のとおり退去の届出が受理された「証明」が健康保険や通信会社の解約に必要となるため、退去日が決まった時点で早めに動くのがおすすめです。
私の場合は、ジュネーヴでの就活スケジュールの関係で提出が出国直前になってしまいました。
結果として退去日はそのまま受理されたものの、健康保険や通信会社の解約が間に合わず、一度支払いをしてから返金手続きを行うことになりました。
もし早めに退去届を出していれば、日割り料金だけで済んだ可能性が高かったと思います。
経験上、やはり早めに退去の届出を済ませることを強くおすすめします。
提出方法
退去届は以下の方法で提出できます。
- 窓口で直接提出
- 郵送
- オンラインフォーム
窓口で提出する場合と郵送する場合は、記入及び署名済みの「フォームD」に有効な身分証明書のコピーを添えて提出する必要があります。
フォームはこちらからダウンロードできます。
筆者は最も簡便なオンラインフォームを利用しました。
基本情報(氏名・住所・退去予定日など)を入力するだけで完了し、非常にスムーズでした。

オンラインフォームによる提出はe-démarches(電子申請プラットフォーム)で行います。ログインにSMS認証が必要なので、SMSが受け取れる環境で作業を進めてください。
なおオンラインフォームで届出するにあたって添付書類は特に不要でした。
退去届の具体的な提出方法
ここからはオンラインフォームを用いて退去の届出を行う方法について、実際の画面を交えて解説します。
まずはこちらのページから専用のオンラインフォームにアクセスします。
下にスクロールするとAccess online formとDownload form to send by postal mailの選択肢があるので、Access online formを選択。e-démarchesにログインします。
最初に選択する項目は 「Type de demande(申請の種類)」 です。
- Annonce de départ(退去届出):退去する場合はこちらを選択
- Demande d’autorisation de retour(再入国許可の申請):一時的に国外に出るが再びジュネーヴに戻る場合はこちら
完全にスイスを離れる場合は「Annonce de départ」を選択し、「Continuer(続ける)」を押して次へ。

続いて「Mes coordonnées(連絡先情報)」を入力します。
ここでは以下の項目を入力していきます。
- Nom(姓)/Prénom(名)
- Date de naissance(生年月日)
- Nationalité(国籍)
- État civil(婚姻状況)
- Adresse e-mail(メールアドレス)

続いて「Adresse du dernier domicile connu à Genève(ジュネーヴでの最後の住所)」を入力します。
ここでの入力内容は以下の通り。
- Chez(〜様方/滞在先名)
- Rue(通り名)
- N°(番地)
- NPA(郵便番号)
- Ville(都市名:Genève)
- Pays(国名:Suisse)
- Date d’entrée connue(入居日)
- L’adresse du dernier domicile connu est exacte(最後の住所は正しいか) → Oui / Non を選択

この情報は本人確認に利用されるため、滞在許可証やパスポートに記載の内容と一致させることが重要です。
「Continuer」 で次に進みます。
次に入力するのは 「Informations relatives au départ(退去に関する情報)」です。
入力項目は以下のとおりです。
- Date de départ(退去日)
→ 出国予定日またはジュネーヴを離れる日を入力します。 - Adresse de destination(転出先住所)
→ 転出先の住所。日本など次の居住地住所を記入します。
住所の入力欄は以下の通りです:
- Pays(国名)(例:Japon)
- Adresse(住所、通り名など)(例:1-2-3 Jingumae)
- Complément d’adresse(補足住所:アパート名や部屋番号など)(例:Copo Aoyama, 101)
- Rue(通り名)(例:Jingumae)
- N°(番地)(例:1-2-3)
- Code postal(郵便番号)(例:1500001)
- Ville(都市名)(例:Shibuya-ku, Tokyo)

最後のステップは 「Avertissement(注意事項)」です。

ここでは、入力した内容が正確であることを確認するための宣誓文が表示されます。フランス語で以下のように書かれています。
Je certifie avoir rempli ce formulaire avec des informations exactes et complètes. J’ai pris note que je suis passible de poursuites pénales si les informations que j’ai indiquées sont fausses ou sont données sans l’accord des personnes concernées par ce formulaire.
(私はこのフォームに正確かつ完全な情報を記入したことを証明します。虚偽の情報や本人の同意なしに提供した情報は、刑事罰の対象になることを理解しています。)
問題なければ
- 「J’ai pris connaissance et j’accepte les règles et la législation applicables.」
(私は規則および適用される法律を理解し、同意します。)
にチェックし、「Continuer」をクリック。
すべての入力が終わると、最後に入力内容の一覧が表示されます。


ここでは、これまで入力した内容(申請の種類・個人情報・住所・退去日・転出先住所など)が一覧で表示されます。誤りがあれば、右側の「Corriger(修正)」ボタンから戻って修正可能です。
画面下部には再び「Avertissement(注意事項)」が表示されており、「J’ai pris connaissance et j’accepte les règles et la législation applicables.」(規則および法律を理解し、同意します)のチェックボックスを入れる必要があります。
すべて問題がなければ、「Valider(送信)」をクリックして手続きは完了です。
送信が完了すると、次のような「Résultat(結果)」画面が表示されます。

画面に表示されたメッセージの意味は以下の通り。
Les données de ce formulaire ont bien été transmises, elles seront reprises pour traiter votre dossier.(このフォームのデータは正常に送信され、あなたの案件を処理するために使用されます。)
あわせて、Numéro de référence(受付番号)が付与されます。
この番号は問い合わせ時に必要になる可能性があるため、必ずスクリーンショットや控えを残しておきましょう。
登録しているメールアドレスにも受付番号付きの受領メッセージが届きます。
処理されるまでの流れと所要時間
オンラインで退去届フォームを送信すると、すぐに受理確認メールが届きました。
さらにその翌日には 手続き完了の通知メールも送られてきたため、非常にスピーディーに処理されたようです。
もちろん、提出内容や方法(窓口/郵送/オンライン)によって所要時間は異なる可能性があります。遅れが出るケースもあるため、余裕を持って提出するのがおすすめです。
また、筆者の場合は滞在許可証の返却を特段求められることはありませんでした。
ただしケースによって対応が異なる可能性があるため、必要があればOCPMに確認しておくと安心です。
退去証明が必要なケース
退去届が受理されれば基本的な退去手続きは完了です。
ただし、健康保険会社や通信会社の解約などでは、追加で退去証明(英:certificate of departure、仏:attestation de départ)を求められることがあります。
この証明はOCPMに依頼すれば発行可能ですが、手数料が25フランかかります。
筆者の場合は、退去証明をサービス解約のためだけに有料で取得するのは避けたかったため、
- OCPMからの受理通知メールの文面
- 出国便の航空券の写し
で解約手続きができないか交渉したところ、いずれも証明書代わりとして認めてもらえました。
このように、もし追加の証明を求められた場合でも、まずは代替になる書類を提示して交渉してみると、意外と柔軟に対応してもらえることがあります。
まとめ
スイスでの学生生活における滞在許可は、入国後の申請に始まり、更新、そして退去まで続く長いプロセスです。体感としては、必要書類を集めて郵送する初回申請が最も大変で、退去はオンライン提出だけで完了し、拍子抜けするほどシンプルでした。
実体験ベースで振り返ると、要点は次のとおりです。
- 早めの準備が最善策:申請に必要な書類は入手に時間がかかります。とにかく余裕を持った行動を。
- 更新は遅延前提で計画:標準処理は数か月との案内が一般的。申請中の証明手段のことも頭の片隅に。
- 退去届は計画的に:各種サービスの解約は退去手続きと紐づく。無駄な出費を避けるには事前の計画がカギ。
各手続きの詳細や最新のリンクは、適宜公式サイトで確認のうえ進めてください。
本記事がこれから申請する方・更新中の方・退去を控える方それぞれの「次の一手」を具体化する助けになれば幸いです。
以上です!
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