ヨーロッパとアジアにまたがる世界有数の大都市イスタンブール。
そんなイスタンブールの魅力をリーズナブルに味わいたいなら、やっぱり公共交通機関の利用が欠かせません!
地下鉄やトラムのような日本でもよく見かける交通機関から、フェリーのようなイスタンブールならではのものまで、多種多様な公共交通機関を使いこなすことができれば、街歩きの自由度は各段に上がります。
また公共交通機関に慣れてきたら、アジア側に足を延ばすのもおすすめ!定番の観光スポットではなかなか味わえない地元民向けの素敵なお店や絶品グルメを楽しむことができますよ。
この記事では基本的なイスタンブールの構造と各エリアを移動する際に利用する公共交通機関についてまとめます。イスタンブールでの移動の際に役立てば幸いです。
公共交通機関の種類によって項目を分けているので、お急ぎの方は確認したい項目までスキップしてください!
運賃は頻繁に変更されるため、こちらの記事では詳細な料金テーブル等は掲載しません。運賃の記載のある部分についてはあくまで目安程度にお考え下さい。
イスタンブールってどんな街?
イスタンブールはヨーロッパ側(旧市街&新市街)とアジア側に分けられる
まずはイスタンブールのメトロ・トラム・マルマライ・メトロビュスの路線図からざっくりイスタンブールの構造を解説します。
中心のボスポラス海峡を挟んで西側がヨーロッパ側、東側がアジア側と呼ばれます。さらにヨーロッパ側の金角湾を挟んだ南側のエリアは「旧市街」、北側のエリアは「新市街」と(便宜的に)呼ばれます。
地元民は「旧市街」「新市街」といった呼び方はしないそうですが、この記事では便宜上このような呼称を用います。
旧市街&新市街&アジア側それぞれの見どころ
イスタンブールで観光地が多いのはヨーロッパ側。
旧市街にはトプカプ宮殿やアヤソフィアといったビザンツ帝国やオスマン帝国の歴史遺産が集中しており、新市街にはタクシム広場やガラタ塔など比較的新しい時代の観光スポットがあります。
一方のアジア側は地元民の生活の場。
古い歴史を持つユスキュダルや若者に人気のカドゥキョイといった街があります。基本的に観光客は少なく、気取らない雰囲気の町並みや地元民に人気のグルメを楽しむことができます。
カドゥキョイについて知りたい方はこちらの記事も合わせてどうぞ。宿泊場所としてもおすすめです。
イスタンブールの国際空港は2つある
イスタンブールで旅客便が発着する国際空港は現在2つ。北西にあるイスタンブール国際空港(IST)と東のサビハ・ギョクチェン国際空港(SAW)です。
イスタンブール国際空港は長距離路線やフラッグキャリアが多く、サビハ・ギョクチェン国際空港は近距離路線やLCCの利用が多い傾向があります。
日本からの便はイスタンブール国際空港発着であることが多いです。
かつて空の玄関口であったアタトゥルク国際空港は、新しく開港したイスタンブール国際空港への旅客便移行を2019年に終えて、2024年8月現在貨物便等の運行を残すのみとなっています。
イスタンブール国際空港(IST)から市内への移動についてはこちらの記事もご覧ください。
サビハ・ギョクチェン国際空港(SAW)から市内への移動についてはこちらの記事で。
利用できる公共交通機関の一覧
イスタンブールの公共交通機関は非常に多彩!
イスタンブールで利用可能な公共交通機関は以下の8種類に分けることが可能です。
公共交通機関の種類 | 説明 | 備考&注意点 |
---|---|---|
メトロ(M1~9) 【おすすめ】 | いわゆる地下鉄。時間が読みやすく、スムーズに移動が可能。現在も新規路線を拡大中。 | おすすめ交通機関その1。 場所によっては携帯電話の電波が利用できないことがある。 |
トラムヴァイ(T1~6) 【おすすめ】 | いわゆるトラム。時間が読みやすく、スムーズに移動が可能。外の景色も楽しめる。 | おすすめ交通機関その2。 途中駅までしか行かない場合や行き先が変更になる場合があるので、乗車前に必ず終着駅を確認。 |
マルマライ(B1~2) 【おすすめ】 | ボスポラス海峡を渡る地下鉄。ヨーロッパ側とアジア側を結ぶ。 | おすすめ交通機関その3。 場所によっては携帯電話の電波が利用できないことがある。 |
メトロビュス 【おすすめ】 | 専用軌道を走るバス路線(いわゆるBRT)。マルマライと並びヨーロッパ側とアジア側を結ぶ主要な交通機関。 | イスタンブールの外周を移動する路線なので、観光ではあまり使わないかも。 |
路線バス・ドルムシュ | 市内をくまなくカバーする路線バス。メトロやトラムがない場所の移動には欠かせない交通機関。 | 路線が分かりづらく時間も不規則なので、初心者には不向き。 小回りが利くが、運転が荒い。 |
フェリー 【おすすめ】 | ボスポラス海峡の主要な船着き場を結ぶフェリー。様々なルートがあり慣れると非常に便利。風情があるので観光目的に利用するのもあり! | おすすめ交通機関その4。 鉄道と比較すると時間が読めない&時間がかかるので、予定がタイトな場合は推奨しない。 船会社によって乗り場が異なるので、目当ての路線の乗り場を覚えておくと便利。 |
フニキュレル(T1,T3~4)・テュネル(T2) | 高低差の激しいエリアを結ぶ登山鉄道。T2(カラキョイ・ベイオール間)はテュネルと呼ばれる。 | 特になし |
テレフェリク(TF1~2) | いわゆるロープウェイ。新市街と旧市街に一つずつある。 | 時間によっては非常に込み合う。 |
公共交通機関の利用にはイスタンブールカードが便利
イスタンブールの公共交通機関を利用するには、Suicaのように必要額をチャージして使える非接触式のICカードであるイスタンブールカードが便利。必要額をあらかじめチャージしておけば、いちいち乗車券を購入することなく公共交通機関が利用できます。
運賃も回数券その他の手段に比べて割安になるので、イスタンブールの市街地を移動する予定があるなら使わない手はありません。
またイスタンブールカード以外で決済ができない公共交通機関(路線バスなど)も存在するので、その意味でも必需品です。
イスタンブールカードは各駅&船着き場に設置されている黄色または青色の自動販売機で購入が可能です。
イスタンブールカードとは別に観光客向けのイスタンブールシティーカードというカードも販売されています。間違えないように注意。
イスタンブールカードの購入方法や使い方については、こちらの記事もご参照ください。
移動ルート(&所要時間と運賃)の検索方法
イスタンブールでスムーズに移動するためには、様々な交通機関の組み合わせから最適なルートを検索してくれるアプリが便利。
普段はGoogle Mapを利用している方が多いと思いますが、暗い裏道が多いイスタンブールでは大通りを中心にしたルート検索ができるCitymapperがおすすめです。
特に運賃は頻繁に変わるためガイドブックの情報は古くなりやすく、リアルタイムに情報を提供してくれるアプリは非常に役立ちます。
2024年8月現在、乗り換えなしで片道30トルコリラもあれば大抵の公共交通機関は利用可能です。
他にはメトロイスタンブールのウェブサイトでも経路検索が可能ですが、利便性はアプリに劣ります。
メトロ(地下鉄) Metro
概要
メトロはいわゆる地下鉄のこと。2024年8月現在11路線が運行しています。
観光客が使いそうな路線は旧市街と新市街を貫きタクシム広場を通る2号線、イスタンブール国際空港と市街地を結ぶ11号線、カドゥキョイとサビハ・ギョクチェン国際空港を結ぶ4号線あたりでしょうか。
路線 | 主な駅とスポット |
---|---|
M2 | Yenıkapı(マルマライ乗換駅)、Şişhane(ガラタ塔)、Taksim(タクシム広場) |
M4 | Kadıköy(カドゥキョイ埠頭)、Sabiha Gökçen Havalimanı(サビハ・ギョクチェン国際空港) |
M11 | Gayrettepe(メトロ2号線・メトロビュス乗換駅)、İstanbul Havalimanı(イスタンブール国際空港) |
筆者の考えるメリットと利用上の注意点は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
メリット | 素早く移動ができる。 移動時間が読める。 wifiやUSB充電が利用可能。 |
注意点 | 地下鉄駅間は電波状況が良くない。 旧市街の観光スポットには直接アクセスできないので、トラムへの乗り換えが必要。 駅構内の構造によっては長く歩くことになる。 ボスポラス海峡を横断する路線はないので、マルマライかフェリーへの乗り換えが必要。 |
路線と運行区間
各路線の運行区間は以下のとおりです(2024年8月時点)。空港は太字で示しました。
路線番号 | 運行区間 | 路線図 |
---|---|---|
M1A | Yenikapi-Ataturk Airport | M1A路線図 |
M1B | Yenikapi-Kirazli | M1B路線図 |
M2 | Yenikapi-Seyrantepe-Haciosman | M2路線図 |
M3 | Bakirkoy-Kayasehir | M3路線図 |
M4 | Kadikoy-Sabiha Gokcen Airport | M4路線図 |
M5 | Uskudar-Samandira | M5路線図 |
M6 | Levent-Bogazici U.Hisarustu | M6路線図 |
M7 | Yildiz-Mahmutbey | M7路線図 |
M8 | Bostanci-Parseller | M8路線図 |
M9 | Atakoy-Olimpiyat | M9路線図 |
M11/U1&U2 | Gayrettepe-İstanbul Havalimanı-Halkalı | – |
利用方法
まずはメトロのマークを見つけましょう。青と赤のMマークが目印です。
イスタンブールカードや乗車券をタッチして改札を通過します。改札通過後には金属探知機があるので、そちらも通過します。警備員が常駐していますが、特段何かを出したり見せたりする必要はありません。
カード残高が運賃を上回っていれば改札の画面が緑色に変わり通過できますが、残高が足りないと赤色に変わり改札を通過することができません。
改札を通るときに運賃とカードのチャージ残高が表示されるので見逃さないように!
ホームにはそれぞれ終着駅が記載されているので、進行方向のホームで電車を待ちます。
「~方面」を意味する「Yönü」を頼りに、行きたい方向の終着駅名を探しましょう。
日本のような時刻表はありませんが、電光掲示板を見ればあと何分で電車が来るかが分かります。dkは「分」の意味。
電車が来たら乗車します。
降車駅に着いたら下車します。その駅で降りる場合は「Çıkış(出口)」に向かいます。
どの出口から出るかは駅構内の案内を参考に。
出口ごとの主要施設の案内もあるので、こちらも参考に。
乗り換えの場合は乗換案内の表示に従って進みます。
路線カラーを覚えておくとすぐに目当ての路線が見つけられます。
均一料金なのでカードのタッチは不要。目的地に近い出口から外に出ましょう。
トラムヴァイ(トラム) Tramvayı
概要
トラムヴァイはいわゆるトラム(路面電車)です。2024年8月現在6路線が運行しています。
観光客が使いそうな路線は旧市街の主要観光地をカバーするT1、新市街の目抜き通りであるイスティクラル通りを通るシンボリックなT2。カドゥキョイ滞在者であればT3を使う機会があるかもしれません。
路線 | 主な停留所とスポット |
---|---|
T1 | Sultanahmet(アヤソフィア、トプカプ宮殿など)、Sırkecı(マルマライ乗換駅) Eminönü(エミニョニュ埠頭)、Karaköy(カラキョイ埠頭、テュネル乗換駅) |
T2 | Sishane(ガラタ塔、テュネル乗換駅)、Taksım Meydan(タクシム広場) |
筆者の考えるメリットと利用上の注意点は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
メリット | 素早く移動ができる。 (ある程度)移動時間が読める。 旧市街の急こう配を楽に上り下りすることができる。 |
注意点 | T1やT2は非常に混雑するので、観光客狙いのスリなどに注意。 |
路線と運行区間
各路線の運行区間は以下のとおりです(2024年8月時点)。
路線番号 | 運行区間 | 路線図 | 備考 |
---|---|---|---|
T1 | Kabatas-Bagcilar | T1路線図 | 旧市街の主要観光地をカバー。非常に混雑する |
T2 | Taksim-Tünel | – | 乗車自体が観光になる「ヘリテージトラム」。 イスティクラル通りを往復する |
T3 | Kadikoy-Moda | T3路線図 | 乗車自体が観光になる「ヘリテージトラム」。 カドゥキョイ市街地を時計回りに循環する |
T4 | Topkapi – Mescid-i Selam | T4路線図 | |
T5 | Eminonu-Alibeykoy | T5路線図 | |
T6/U3 | Sirkeci–Kazlıçeşme | – |
利用方法
まずはトラムヴァイの停留所を見つけましょう!
T1のような通常のトラムヴァイの場合は改札口があるので分かりやすいですが、T2やT3のようなヘリテージトラムの停留所は改札口はなく目印の看板のみなので注意。
進行方向を確認し、イスタンブールカードや乗車券をタッチして改札を通過します。ヘリテージトラムの場合は改札がないので目印のある場所で電車が来るのを待ちます。
行きたい方向の終着駅名が書かれたホームの改札を通過します(入口がひとつだけの場合もあります)。もし間違えたらトラムヴァイの軌道を跨いで移動することもできます。
トラムヴァイが来たら乗車します。普通のトラムヴァイは途中駅で折り返し運転をする場合があるので、乗車前に車体前面に表示されている終着駅名の確認をしましょう。
ヘリテージトラムの場合はこのタイミングで車内の端末にカードをタッチします。
なお目的地の手前までしか行かないトラムヴァイが来た場合ですが、目的地まで行くトラムヴァイが来るまで見送るか、そのトラムヴァイの終着駅まで乗車後に別のトラムヴァイに乗り換えるか、のどちらかを選択することになります。
T1はEminönüで折り返し運転をすることが結構あります。
途中で折り返す場合はそのまま乗っていると来た道を戻ることになるので注意!
目的地についたらトラムヴァイから下車し、改札口から外に出ます。均一料金なのでタッチは不要。
マルマライ Marmaray
概要
マルマライはイスタンブールのヨーロッパ側とアジア側を繋ぎ東西に延びる鉄道。
計画自体はかなり前(1860年)からあったものの政治的な理由や技術的な理由から何度も頓挫してきた経緯があり「トルコ150年の夢」とも。
高度な技術を要するボスポラス海峡の沈埋トンネル部分は日本の大成建設が主に施工しました。このプロジェクトは「ボスポラス海峡トンネル」篇としてテレビCMも制作されています(→https://www.taisei.co.jp/corp/library/tvcm/)。
現時点では旧市街とアジア側の主要都市(ユスキュダルやカドゥキョイ)の間を最も早く移動できる交通機関と言えるでしょう。
筆者の考えるメリットと利用上の注意点は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
メリット | ヨーロッパ側とアジア側を素早く移動できる。 移動時間が読める。 |
注意点 | 電車内(地下を走る区間)は電波状況が良くない。 駅構内の構造によっては長く歩くことになる。 |
路線と運行区間
単独の路線図が見つからなかったため、全体の路線図を掲載します。
B1は東のゲブゼGebze駅と西のハルカルHalkalı駅を結び、B2はB1の終着駅であるハルカルHalkalı駅とBahçeşehir駅を結びます。主な観光地はB1の区間に集中しているので、B2区間まで行く観光客はかなり少ないと思われます。
観光客が利用すると思われるマルマライの駅は以下のとおり。
- Yenıkapı:メトロ(1号線、2号線)、トラム(6号線)乗換駅
- Sırkecı:トラム(1号線)乗換駅
- Üsküdar:メトロ(5号線)、ヴァプール乗換駅
- Ayrılık Çeşmesi:メトロ(4号線)乗換駅
- Söğütlüçeşme:メトロビュス乗換駅
メトロと同様に、地下を走る区間では電波状況が良くないという問題があります。
利用方法
利用方法は運賃の精算以外は基本的にメトロと同じイメージ。
まずはマルマライのマークを見つけましょう。カラフルなMの文字がマルマライ。
マークは駅の入り口にもあるので分かりやすいです。
イスタンブールカードや乗車券をタッチして改札を通過します。改札通過後には金属探知機があるので、そちらも通過します。警備員が常駐していますが、特段何かを出したり見せたりする必要はありません。
カード残高が運賃を上回っていれば改札の画面が緑色に変わり通過できますが、残高が足りないと赤色に変わり改札を通過することができません。
改札を通るときに運賃とカードのチャージ残高が表示されるので見逃さないように!
ホームにはそれぞれ終着駅が記載されているので、進行方向のホームで電車を待ちます。地上駅か地下駅かで雰囲気が異なりますが、基本は一緒。
「~方面」を意味する「Yönü」を頼りに、行きたい方向の終着駅名を探しましょう。
ホームの形状によってはこのような表示の場合もあります。主に地下駅。
マルマライはメトロよりもデジタルな表示板があり、こちらも電車の終着駅やあと何分で電車が来るのかといった情報が分かるようになっています。
電車が来たら乗車します。
車内には電光掲示板があり、現在地や次の駅が分かります。
降車駅に着いたら下車します。その駅で降りる場合は「Çıkış(出口)」に向かいます。
どの出口から出るかは駅構内の案内を参考に。
乗り換えの場合は乗換案内の表示に従って進みます。
改札から出る際にはカードのタッチは不要。目的地に近い出口から外に出ましょう。
均一料金の多いイスタンブールの公共個通機関ですが、マルマライの運賃は従距離制。先に全区間分の運賃が取られるので精算する必要があります。
改札の外に精算機があるので、対象になる場合はカードを機械にタッチします。
筆者はこれまで精算が上手くいったことがないので、無記名のカードは精算対象外なのかもしれません。
メトロビュス Metrobüs
概要
メトロビュスは専用軌道を走るバス(いわゆるBRTと呼ばれる交通機関)。運営はIETT(イスタンブール市電・チュネル会社)です。
7月15日殉教者の橋を経由してヨーロッパ側とアジア側を結ぶ路線で、市街地の外周に張り巡らされた高速道路に沿うかたちで路線が設定されており、SöğütlüçeşmeからBeylikdüzüまでの区間で各乗降場を結びます。軌道のないトラムのようなイメージ。
市街地の外周を走るため観光地に直接アクセスするのには使えませんが、市街地の渋滞を避けて長距離を移動するには便利です。メトロやトラムとの接続場所が多いのも特徴。
筆者の考えるメリットと利用上の注意点は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
メリット | ヨーロッパ側とアジア側を素早く移動できる。 移動時間が読める。 |
注意点 | 郊外を走るので中心街や観光地へ行くには乗換が必要になる。 |
路線と運行区間
走行距離に応じて複数の路線が設定されていて、青線は全区間、その他の5路線は部分的に区間をカバーしています。
路線図は以下のとおりです。メトロビュスは左から3番目の青と水色のMのマークが目印。
Google Mapだとこんな感じ。
東のSöğütlüçeşmeはカドゥキョイ地区の近く。マルマライに乗り換えができます。
西のBeylikdüzüはこのあたり。
利用方法
まずはメトロビュスの駅を見つけます。メトロビュスのMマークを探すのが近道。
外周に向かって伸びる他の交通機関(メトロ、トラムヴァイなど)との結節点に乗降場が設けられていることが多いです。
イスタンブールカードや乗車券をタッチして改札を通過します。
カード残高が運賃を上回っていれば改札の画面が緑色に変わり通過できますが、残高が足りないと赤色に変わり改札を通過することができません。
改札を通るときに運賃とカードのチャージ残高が表示されるので見逃さないように!
各乗降場にはイスタンブールカードをチャージできる機械が備え付けられているので、もし残高不足でもチャージができるのでご安心を。
ホームにはそれぞれ終着駅が記載されているので、進行方向のホームでメトロビュスを待ちます。
「~方面」を意味する「Yönü」を頼りに、行きたい方向の終着駅名を探しましょう。
メトロビュスが来たら乗車します。表示されている終着駅名に注意。
降車する乗降場に着いたら下車します。
改札から出る際にはカードのタッチは不要。目的地に近い出口から外に出ましょう。
路線バス Otobüs
概要
いわゆる路線バスで黄色い車体が目印です。運営はメトロビュスと同じIETT。
Google MapやCitymapperの情報が外れることもしばしば。
筆者の考えるメリットと利用上の注意点は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
メリット | 他の公共交通機関では行きづらい場所にアクセスできる。 眺めを楽しむことができる。 |
注意点(詳細は後述) | 路線やスケジュールが複雑。 Google Mapなどの地図アプリの情報が役に立たないことがある。 渋滞に巻き込まれると時間がかかる。 エアコンが無い場合もある。夏の昼間の利用は注意。 |
IETTの公式サイトではルート検索機能が使えます。
なおイスタンブールには路線バス以外にもミニバスやドルムシュといった路線バスに準じる公共交通機関がありますが、路線バスよりも難易度が高いと感じたため筆者は利用しませんでした。なので今回は割愛します。(いずれ利用することがあれば記事にするかもしれません)
イスタンブール路線バス利用の心得
イスタンブール初心者には路線バスの利用は全くもっておすすめできませんが、路線バスでしか行けない観光地があるのも事実ですし、路線バスの利用が避けられないシチュエーションもあるかもしれません。
しかもそのような場所にこそイスタンブールの面白さがあったりするんですよね…
そこでイスタンブールで路線バスを利用する際に(慣れていない人が)頭に入れておくべきことをいくつかご紹介します。既に路線バスをある程度利用している在住者などは除きます。
- 時間に余裕をもって利用する(地図アプリを過信しない)
- バス停に誰もいなかったら危険信号
- 代替手段を考えておく(準備として配車アプリを入れておく)
- 人に頼る(準備として翻訳アプリを入れておく)
- 最悪諦めて別プランにするのも勇気
以下順番に見ていきます。
時間に余裕を持って利用する(地図アプリを過信しない)
Google MapやCitymapperで経路検索を行うと、かなりの確率で路線バスの利用を提案されることがあると思います。そんなときは路線バスが最も効率的な交通機関に見えます。
ただ、バス停の位置がずれていたり、その路線が時間通りに来ない(遅れているのか運休なのかの区別もつかない)ようなことも頻繁にあり、アプリの経路通りにいかないことが結構あるのが現実。
予定通りにいくことはほぼないと考えて、代替手段を用意しつつ時間には余裕をもって行動しましょう。地図アプリを過信するのは禁物です。
予定通りにいかなくても焦らないことが重要です!焦って行動すると思わぬトラブルに巻き込まれることも。
バス停に誰もいなかったら危険信号
地図アプリで見つけたバス停にたどり着いても、他に誰もいなかったら危険信号!
深夜早朝出ない限り誰かしらバスを待っているものなので、バスが行ってしまったばかりか、バス停の移転や運休など何らかの理由でそのバス停にバスが来ない可能性も考えられます。
もちろん単純に他に乗る人がいない場合もあるので、必ず注意した方が良いというものでもありませんが…
ただ複数の路線が選択できる場合は、なるべく他の人がいるバス停で待ったほうが安心。
代替手段を考えておく
最悪路線バスが利用できない可能性を考慮して、他の公共交通機関の利用を視野に入れておきましょう。地図アプリ上では路線バスが最速&最安値の場合でも、結果的にメトロやトラムヴァイのほうが早いこともありえます。
運賃を節約したいのであれば、状況によってはメトロやトラムヴァイの駅まで多少歩く覚悟も必要です。
もし決まった時間まで決まった場所にたどり着かなければいけない場合でかつ他の公共交通機関が厳しそうなら、タクシーの利用も視野に。
流しのタクシーを拾うはトラブルの元なので、ぼったくりの心配のない配車アプリを利用しましょう。
イスタンブールでおすすめなのはUberとBitaksi。
人に頼る
どうしても分からない場合や本当にバスが来るのか確認したい場合は、周囲に助けを求めましょう!トルコ人は基本的に親切なので何かしらの手段で助けてくれるはず。
ただトルコでは外国語の通用度が微妙なので、もしもの時にために翻訳アプリを入れておくと便利です。
自力で解決できる場合ばかりとは限りません。勇気を出して話しかけてみましょう!
最悪諦めて別プランにする勇気も必要
予定通りに来るとは限らない路線バス。遅れてくるくらいならまだマシで、最悪来なかったりすると時間&精神を空費することに。
路線バスでしかアクセスできない目的地に行きたいとしてそのスポットの優先順位があまり高くない場合、勇気を出して諦めるという選択肢を持っておくのも必要です。
特に旅行者の場合、貴重なイスタンブールの滞在時間を路線バス待ちに費やすのはもったいないです。イスタンブールにはメトロやトラムヴァイでアクセスできるスポットがたくさんありますし…
どうしても行きたい場合は前述の配車アプリを使いましょう!
筆者は路線バスが来なくて何度か観光を諦めたことがあります…。
利用方法
まずはバス停の目印を見つけましょう!
ベンチや広告の設置スペースがない場所の場合は、画像のような看板が立っているだけのこともあります。
乗りたいバスが来たら、手を挙げて運転手に合図することを忘れずに!
大抵のバス停には複数の路線が通っていますしバス停のベンチで休んでいるだけの人もいるので、合図をしないとバス停に人がいても普通に通過するので注意。
イスタンブールの路線バスは前のドアから乗車する方式。
運転席の脇にイスタンブールカードや乗車券をタッチする端末があるので、タッチしてバスに乗車します。後ろのドアは降車専用なので端末はありません。
路線バスによってはUSB充電が設置されていることも。
下車したいバス停に近づいたら赤い停車ボタンを押して運転手に知らせます。
後ろのドアから下車します。再度のタッチは不要。
フェリー
概要
ボスポラス海峡や金角湾を隔てて市街地が広がるイスタンブールでは、舟運も重要な公共交通機関のひとつです。
ボスポラス海峡を横断するのに使えるのはもちろん、便数は限られますが金角湾を巡ったりボスポラス海峡を縦断したりする路線もあり、イスタンブールを代表すると言っても過言ではありません!
風情がありつつも他の公共交通機関のようにイスタンブールカードが使えて運賃も高くない(他の公共交通機関と同じくらい)のでお得感があります。
イスタンブールに来たら一度は体験すべき公共交通機関ナンバーワン。
筆者の考えるメリットと利用上の注意点は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
メリット | 渋滞を避けて移動できる。 座席が多いので必ず座れる。 他の交通機関では見られないような海からの景色が楽しめる。 乗船中にドリンクやスナックも楽しめる(しかも安い)。 本数が多く深夜早朝でも利用可能。 |
注意点 | 路線がやや複雑。 船会社によって船着き場が異なる。 乗り間違えるとリカバリーが大変。 そこそこ揺れることがあるので船酔いする人は注意が必要かも。 |
イスタンブールと他都市を移動する船便もありますが、主旨から外れるので本記事では扱いません。
路線と運行区間
公共交通機関としてのフェリーは2種類。スケジュールや船着き場の位置といった微妙な違いがありますが、運賃や利用方法はほぼ同じなので都合の良い方を選択してOK。
種類 | 主な船会社 | 概要 |
---|---|---|
ワプル Vapur | Şehir Hatları(公営) | 大型の連絡船。深夜も運行しているので便利。 |
モトル Motor | Turyol(私営) | 乗り合い水上バス。ワプルよりも小型で所要時間も短い。ガラタ橋の下をくぐりたいならこちら。 |
フェリーの本数が多い主な船着き場と観光客がよく利用する路線は以下のとおりです。
- エミノニュ(旧市街)~カドゥキョイ(アジア側)
- エミノニュ(旧市街)~ユスキュダル(アジア側)
- ベシクタシュ(新市街)~カドゥキョイ(アジア側)
- カラキョイ(新市街)~カドゥキョイ(アジア側)
- カラキョイ(新市街)~ユスキュダル(アジア側)
他にも観光地に向かう路線や観光用の路線も運行されています。
- ボスポラス海峡クルーズ
- プリンスィズ諸島ライン
- 金角湾ライン
運行区間やスケジュールの詳細は各社の公式ウェブサイトからご確認ください。
Şehir Hatları
大型連絡船・ワプルを運行するのが赤い錨のマークと黄色が目印のŞehir Hatları。
記事執筆時現在Şehir Hatlarıの公式ウェブサイトにアクセスできない状況です。確認でき次第、情報を更新します。
Turyol
水上バス・モトルを運行するのが緑と青のカラーリングが目印のTuryolです。
主な船着き場
観光客が多く利用する船着き場は、ヨーロッパ側ならカラキョイやエミノニュ、アジア側ならカドゥキョイやユスキュダルです。
カラキョイ Karaköy
まずは新市街のカラキョイ。トラム1号線やテュネルとの乗り換えが便利です。
Şehir Hatlarıの船着き場はガラタ橋の東側にあり、周辺にはレストランやカフェが並んでいます。こちらはカドゥキョイ便やベシクタシュ・エユップ便が発着します。
Şehir Hatlarıの船着き場にはカフェが併設されていることが多く、乗船時間までの時間つぶしにも使えます。公営のため価格も良心的。写真はカラキョイの船着き場。
Turyolの船着き場はガラタ橋の西側。魚市場が近くにあります。こちらはカドゥキョイ便やユスキュダル便が発着します。
Turyolはガラタ橋の下を通ります。橋の下からの眺めを楽しむなら断然Turyol。
ヨーロッパ側からアジア側に戻る場合、Turyolの終電(終船?)は9時半ごろでしたが、Şehir Hatlarıは真夜中を過ぎてもまだ便がありました。(2024年8月現在)
エミノニュ Eminönü
旧市街側にあり、エジプシャン・バザールからも歩いてすぐの船着き場。トラム1号線との乗り換えに便利です。エミノニュには同じ船会社でも行き先によって複数の船着き場があります。
まずはŞehir Hatlarıのカドゥキョイ便の船着き場。ガラタ橋に近い場所にあります。
次にŞehir Hatlarıのユスキュダル便が発着する船着き場。この船着き場には他にも路線があります。
続いてTuryolの船着き場。ユスキュダル便やカドゥキョイ便の発着点で、こちらはガラタ橋の西側にありトラム5号線の乗り換えに便利。サバサンド屋台が並ぶエリアからも近いです。
カドゥキョイ Kadıköy
アジア側カドゥキョイも重要な交通の要所。カラキョイやエミノニュ行きの便をはじめ、カバタシュ、ベシクタシュといった場所への便もあります。地下鉄4号線やトラム3号線との乗り換えも便利。
カドゥキョイにはこの他にも各船会社独自の船着き場がありますが、主要な船着き場を結ぶ路線が就航するこちらの船着き場には、Şehir HatlarıとTuryolの両方が発着します。
ユスキュダル Üsküdar
最後にアジア側ユスキュダル。メトロ5号線とマルマライへの乗り換えが可能です。
Şehir Hatlarıの船着き場はこちら。こちらもカドゥキョイ同様にベシクタシュ行きやカバタシュ行きがあります。
Turyolの船着き場はŞehir Hatlarıの船着き場から少し北に行った場所にあります。こちらはカラキョイやエミノニュ行き。
利用方法
まずはフェリーに乗りたい船着き場まで行きます。
船会社独自の船着き場もあれば共用している船着き場もあります。例えばカドゥキョイの場合、右側がTuryol、左側がŞehir Hatlarıの改札口です。
乗船時間と行き先を確認し改札を通ります。
改札内は待合室のような感じであまり多くの設備がない(椅子があるくらい)ので、改札を通るのは乗船時間の少し前がおすすめです。
乗船の準備が整ったら乗船口が開くので、乗船します。
船内の席かデッキかはお好みですが、何となくデッキのほうが人気がありそうでした。
船が動き出したら、のんびり船の時間を楽しみましょう。
飲み物や軽食も売っているので、海風に吹かれながらチャイを楽しむのも素敵です。
経由便の場合は、目的地に着くまでそのまま乗船し続けます。例えばカドゥキョイ~カラキョイ~エミノニュ便の場合は途中でカラキョイを経由しますが、エミノニュまで行く場合はここで下船する必要はありません。
目的地に着いたら下船します。滑るので足元注意。
フェリーの楽しみ方についてはこちらの記事もどうぞ。
フニキュレル/テュネル/テレフェリク
最後は1区間の単純往復をする公共交通機関をご紹介。
起伏の激しいイスタンブールで重要な役割を果たしているのが、急斜面を駆け上る地下ケーブルカー・フニキュレルやテュネル。風景を楽しみながら移動できるテレフェリクも人気です。
それぞれ全く異なる公共交通機関ではありますが、こちらにまとめます。
フニキュレル Füniküler
フニキュレル(含テュネル)は2024年8月現在4路線。それぞれの概要は以下のとおりです。
路線番号 | 区間 | 備考 |
---|---|---|
F1 | Taksim – Kabataş | 2006年開通。 |
F2 | Karaköy – Beyoğlu | 1875年開通の世界で2番目に古い地下鉄。テュネルと呼ばれる。 |
F3 | Seyrantepe – Vadistanbul | 2017年開通。 |
F4 | Rumeli Hisarüstü – Aşiyan | 2022年開通。 |
観光客の利用はおそらくF1とF2が多いのではないでしょうか。
F1の位置はこちら。トラム1号線のカバタシュ駅とメトロ2号線のタクシム駅を結びます。
F2の位置はこちら。カラキョイの船着き場近くからガラタ橋近くのベイオールを結びます。
テレフェリク Teleferik
テレフェリクはいわゆるロープウェイのことで、2024年8月現在2路線あります。
路線番号 | 運行区間 | 備考 |
---|---|---|
TF1 | Maçka – Taşkışla | |
TF2 | Eyüp – Piyer Loti | 山頂には有名なピエールロティのチャイハーネがある。 Eyüpでトラム5号線Eyüpsultan Teleferik駅に接続。 |
TF2は夕方~夜にかけて非常に込み合います。利用は時間の余裕を持って。
利用方法
フニキュレル、テュネル、テレフェリクの利用方法はメトロなどの公共交通機関と同じです。ここではテュネル(F2)を例にご紹介します。
まずは乗り場を見つけましょう。地下ケーブルカーの場合は地上に線路がないので若干見つけづらいです。
イスタンブールカードなどをかざして改札を通過し、乗車します。
目的地に着いたら下車します。
各エリア間の移動はどうする?
最後に各エリア(旧市街、新市街、アジア側)の移動について軽く触れます。移動ルートの感覚を掴んでいただければ幸いです。
旧市街⇔新市街
新市街と旧市街の移動はトラムヴァイとメトロが便利です。
特にトラムヴァイ1号線は主要観光地を網羅していますし、ガラタ橋を通るので観光にもGOOD。
新市街に入ってからはトラムヴァイ1号線とメトロ2号線が並走するようなかたちになりますが、それぞれテレフェリクで接続されているので利用すると便利です。
路線バスを利用する場合、ガラタ橋とアタトゥルク橋を通る路線に乗れば旧市街と新市街を移動することができます。
旧市街⇔アジア側
旧市街とアジア側の移動はマルマライとフェリーが便利です。
旧市街といってもテオドシウスの城壁あたりの内陸になってくるとメトロビュスを視野に入れても良いかもしれません。
またアジア側のカドゥキョイの移動であれば、こちらもメトロビュスが使えそう。
新市街⇔アジア側
新市街とアジア側の移動はフェリーが便利です。
ただし急いでいる場合はトラムヴァイやメトロで旧市街に渡り、マルマライを利用するという手も。
もし新市街でも外周部やメトロ駅周辺に近ければ、メトロビュスも有用です。
まとめ
この記事ではイスタンブールの交通機関の利用方法について一通りまとめました。
イスタンブール滞在の際に参考にしていただければ幸いです。
以上です。
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