スイス・ジュネーブ留学中のMattです。
第2セメスターの中間試験も終わったので、ちょっとした息抜きということで今夏にオリンピック・パラリンピックの開催を控えたパリに行ってきました。
筆者は10年前あたりから年に一回はコンスタントにパリを訪問していますが、コロナ禍を経て少し状況が変わっているように感じられましたので、治安状況と外国人向けサービスについて感じた変化をまとめたいと思います。
本記事は筆者の体験に基づく内容をまとめたものですので、参考までにご覧ください。
パリでよくある犯罪の種類
スリや置き引きはすぐにイメージできると思いますが、日本では聞き慣れないタイプの犯罪もあるのでこちらで簡単に種類を紹介しておきます。
署名詐欺
慈善事業や署名活動を装って通行人に署名させ金品を要求する。たいてい数人で行動しており、ボードや署名用の紙を持って同じ場所をウロウロしているのが特徴。合言葉は「Do you speak English?」「Do you have pen?」「Japanese?」。路上でこの言葉をかけられたらすぐにその場を離れましょう。
署名を求めるだけでなく、グループでスリを働くこともあるので注意。
この詐欺を行っているのは堀の深い顔立ちのロマ(中東欧出身の移動民族)の人々が多いです。
とにかく相手にせずひたすら無視を決め込みましょう。サインなんてもってのほかです。もし無視できないレベルでしつこい場合はNon(ノン)と強い口調で牽制すればOK。
集団スリの可能性もあるので、話しかけてくる人間はもちろんその仲間の挙動にも注意。
ラッキーミサンガ
通行人にフレンドリーに話しかけ、「友好の証」「幸運が訪れる」などと言いながら腕にミサンガを巻き付けてその代金をせびる。腕をつかんでくることも。
こちらも署名詐欺と同様に犯人は複数人で行動しており、壁を作って通路をふさいできます。
パリでこの詐欺を働くのは黒人が多いです。モンマルトルのサクレクール寺院に上る道で関所のように通行人を待ち構えています。
ここまで手口が分かりやすければ引っかかる人は居なさそうですが、アプローチがうまいのか結構な人が引っかかって笑顔でミサンガを巻かれています。もし誰かがミサンガを巻かれているのを見たら警戒しましょう。
そもそも出没エリアに近寄らない。もし難しければ話しかけられても相手にせず足早に通り過ぎる。
巻かれたら簡単には取れないので絶対に腕は出さない。腕をつかまれたら全力で振りほどいて逃げること。
落とし物詐欺
路上でわざと物(指輪など)を落とし、通行人に「あなたの物ですか?」と問いかける。その後通行人に物を押し付けてお金をねだったり、通行人の注意を引いてスリを働いたりする。
基本的に無視すれば大丈夫。立ち止まったりしないこと。
落とし物詐欺はここ数年見ていません。もう絶滅したのかも…?
パリの各スポットの治安状況
パリは日本と比較するとはっきり言って治安が悪いです。特にメジャーな観光地の周辺では観光客を狙った犯罪が多発しています。全部で20ある区のうち一桁台の区は治安が比較的安定していると言われますが、そのような地区であっても観光客が多く集まるスポットではやはり注意が必要です。
ここからは筆者が訪問した場所の治安状況について、筆者の肌感覚を基にご紹介します。
凱旋門周辺
凱旋門からシャンゼリゼ通りの周辺はパリ随一のショッピング街。高級店の買い物袋片手に散策している観光客が非常に多いのが特徴です。
過去は路上では落とし物詐欺やスリ・ひったくりといった犯罪が多かったエリアですが、今回は少なくとも路上で行われる詐欺はまったく見かけませんでした。
エッフェル塔周辺
エッフェル塔のお膝元であるシャン・ド・マルス公園Champ-de-Marsは署名詐欺のメッカ。今回訪問時も数名いましたが、警察が巡回していたからか数が激減しており、かつ出現エリアが縮小していました。
数年前までは写真の芝生エリアにも大量に署名詐欺の集団がいました。筆者はここで腕を掴まれたことがありますし、唾を吐かれたこともあります。今回訪問時はこちらが無視すればそれ以上アプローチしてきませんでした。
今回署名詐欺に遭遇したのはエッフェル塔の下(ケ・ブランリ美術館側)のみ。同じエッフェル塔の下でも反対側とトゥール・エッフェル庭園Jardin de la Tour Eiffelには全くいませんでした。
確実とは言えませんが、署名詐欺に煩わされたくなかったらケ・ブランリ美術館側とは反対側からエッフェル塔にアプローチすると良いかもしれません。
モンマルトル周辺
モンマルトルといえばラッキーミサンガ。サクレクール寺院のふもとに広がる公園は丘に沿ってなだらかな斜面になっており、ところどころ通路が狭くなっていたり陰になっている薄暗い場所があったりするので、以前はそこにミサンガ売りが潜んでいました。そのときも警察による取り締まりも行われていましたが、警察を見るとミサンガ売りは散っていくのでいたちごっこ状態。
以前ラッキーミサンガの関所があったのは、1)最下層(メリーゴーランドのある場所)から一段上に上る弧を描いた通路と2)大きな噴水の階層から一段上に上る通路。いずれも逃げ場がない構造かつ木に覆われていて薄暗い箇所があるという共通点があります。
今回訪問時の変化といえば、2)の通路の一部が閉鎖されていたため、関所は1)の場所のみになっていました。こちらも警察による見回りが強化されているようで、警察による職務質問の場面も見ましたし、以前は通行人の道をふさぐようなかたちでミサンガ売りの関所ができていた場所もすんなり通ることができました。
まだミサンガ売りが居るので相変わらず警戒は必須ですが、要注意スポットが減ったので治安が多少改善したと言えるのではないでしょうか。
根絶はかなり難しいようで、今回もミサンガを巻かれている人を見かけました。もしミサンガ売りを完全に避けたいのならケーブルカーFuniculaireの利用がおすすめ。
公共交通機関全般
パリの公共交通機関(メトロ、バス、トラムなど)はスリが多く出没するスポット。日本語を含む多言語バージョンの注意喚起が駅構内で流されるほどです。
パリで公共交通機関を利用する際は、空席があったら着席するようにして、入口付近に立つような状況はなるべく避けます。満員の場合は一本見送るのも手です。またカバンの口はしっかりガードして。
またコロナ禍以前は、地下鉄の通路や車内で無許可のパフォーマーが楽器演奏などを行って乗客にお金をせびったりしていました。その他にも、券売機周辺ではクレジットカードの暗証番号を盗み見ようとする人がいたり、改札口では改札を通過する人にぴったりくっついて支払いを免れようとする行為(キセル行為)も良く見られました。
今回訪問時は朝9時頃から夜23時頃までメトロやバスを利用していましたがいずれの行為も見られず。またキセル行為の取り締まりも強化されているようで、一部の駅では出口前で乗車券のチェックが行われていました。
降車時は乗車券がなくても駅から出られるので紛失してしまっても大事にはならないケースも多いですが、こういう場合もあるので以前にも増して乗車券の管理には気を使った方が良さそうです。
その他の観光地
今回訪問できなかった観光地のうち、以前訪問した際に署名詐欺が横行していた場所は以下のとおり。
- ノートルダム寺院周辺
- コンコルド広場周辺
- トロカデロ庭園周辺
- オペラ座周辺(特にロワシーバス乗降場所)
訪問する機会があったら治安状況をアップデートしたいと思います。
サービスその他
オリンピック・パラリンピックが関係してか、以前とは接客の質が変わった気がします。その他にも色々と変わった点があったので、ここでまとめます。
英語が(以前にも増して)通じるようになった?
パリでは元々英語の通用度が比較的高かったものの、以前訪問した際は一言目は必ずフランス語での接客だったり、英語でのサービスをお願いするとちょっと嫌な顔をされることもありました。
一方今回は一言目から英語で接客されることも多く、こちらがフランス語を話すとむしろ驚かれたり褒められたりするくらいでした。
もちろん訪問するお店にもよると思いますが…
接客の質が良くなった(ような気がする)
以前訪問した際は、レストランでちょっと微妙な席に案内されたり、カフェでウェイターがなかなか注文を取りに来なかったりといったこともありました。外国人観光客ということで少し邪険にされた思い出も。
今回はそういったことは特段なく、普通に接客してもらえました。また接客態度はフランス語使用時と英語使用時で特段大きな変化は感じられず。
ルーブル美術館・オルセー美術館などは予約必須に
ルーブル美術館やオルセー美術館は、以前は当日窓口でチケットを購入すれば入場できましたが、今は公式ウェブサイトでの予約がほぼ必須です。最低でも1週間は前にチケットを押さえるのがおすすめ。
当日でもウェブサイトや窓口で残りチケットが開放される(=購入が可能になる)ことがあるようですが、一瞬で売り切れるので、確実に入場したい場合は当てにせず早めにチケットを確保する方が良いです。
ルーブル美術館の予約サイトで一瞬当日券が予約可能な状態になりました(午前10時頃)が、すぐに元(予約不可)に戻りました。ご参考まで。
パリ市内はオリンピック・パラリンピック色がいっぱい
オリンピック・パラリンピックパリ大会まであと数ヵ月ということで、街中にはスポーツ関連の展示がたくさん。
土産物屋にはグッズがいっぱい!特設のオフィシャルショップも
パリ市内の土産物屋にはオリンピック・パラリンピック関連のグッズがいっぱい。主要駅にはオフィシャルショップも設置されていました。
お土産の購入先としておすすめなのはオペラ座近くのギャラリーラファイエットの百貨店Galeries Lafayette Haussmann6階にあるお土産スペース。こちらは定番パリお土産の品揃えはもちろん、オリンピック・パラリンピックパリ大会のライセンス商品も豊富です。
また併設の食品館Galeries Lafayette Le Gourmetもフランスらしい食品を探すのにぴったりです。
所在地 | 40 Bd Haussmann, 75009 Paris, フランス |
営業時間 | 百貨店Galeries Lafayette Paris Haussmann 月曜日~土曜日:10時~20時30分 日曜日・祝日:11時~20時 食品館Galeries Lafayette Le Gourmet 月曜日~土曜日:9時30分~21時30分 日曜日・祝日:11時~20時 |
公式ウェブサイト | Galeries Lafayette Haussmann, votre grand magasin Mode à Paris |
最寄り駅 | Chaussée d’Antin — La Fayette(メトロ7・9号線) Trinité – d’Estienne d’Orves(メトロ12号線) Opéra(メトロ3・7・8号線) Auber(RER A線) Haussmann Saint-Lazare(RER E線) |
市庁舎の壁でもアピール
パリ市庁舎の正面の装飾については先ほど触れましたが、市庁舎の横の壁にも架空のマガジンThe Parisianerのアートワークから各競技をモチーフにした作品が展示されていました。ほんの一部ですがご紹介します。
まずは卓球と柔道。アジアのイメージの強い両競技ですが、パリっぽいモチーフに見事に変化させています!柔道のイメージはやっぱり礼なんですね。
そして砲丸投げとバスケットボール。こちらもパリっぽい雰囲気で素敵ですが、砲丸投げの背景はおそらくサン・マルタン運河、バスケットボールの背景はモンマルトルと、名所とスポーツのモチーフを掛け合わせている点にも注目です。
このように市内の色々な場所にスポーツモチーフの装飾が施されているので、パリを訪問する際は是非チェックしてみてください!
会場の準備も進む
パリ市内では様々な場所でオリンピック・パラリンピック会場の整備が進んでいます。トロカデロ庭園の前にもステージが組まれていました。
快適に旅するために
改善傾向とは言っても油断は大敵
これまでパリの治安状況は以前と比較して良くなっていること、サービスについても不快な思いをする頻度が減ってきていることをお伝えしました。
しかしながら、これだけで絶対的に治安が良くなっていると結論づけることはできませんし、スリや置き引きといった犯罪は見えないところで行われることがほとんどなので、注意を怠らない姿勢は絶対に必要です。
カフェやレストランでスマホをテーブルの上に置きっぱなしにしない、周囲に気を配る、といった基本的な対策は確実に行うようにしましょう!
全てフランス語で行う必要はないが、多少のマナーを守ればさらに快適
開口一番から英語で接客されるという内容を書きましたが、こちらがフランス語を使えるとちょっと待遇が良くなることもあります。少なくとも簡単な挨拶くらいはできたほうが楽しい滞在になります。
お店に入るときには店員さんにアイコンタクトを取って「ボンジュール!(Bonjour、こんにちはの意)」、退店するときは「オーボワー!(Au revoir、さようならの意」と声をかけると良いです。
まとめ
今回は先日パリを訪問した際に感じた街の変化(治安状況、オリンピック・パラリンピックの準備)をお伝えしました。
主要観光地や有名店をメインに訪問したため市内全域の治安が向上したかは別の話かとは思いますが、コロナ禍前に訪問した際と比較すると街の空気感が多少変わったな、というのが率直な感想です。
これからオリンピック・パラリンピックパリ大会が近づくにつれて街がどう変わっていくいくのか、また大会終了後はどのような状況になるのか、今後も注視していきたいと思います。
以上です。
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